【平成28年2016年1月26日(火)衆議院本会議】
施政方針など政府4演説に対する各党代表質問がありました。
民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表から、持続可能な財政に関する質問が相次ぎ、世代間格差の分かち合いを強調する民維クという方向性が、第190回国会にあたって、明示されました。
民主党の岡田克也さんの問いに対して、安倍晋三首相(自民党総裁)はほとんど答えませんでした。
ただ、部分的には次のような質疑応答がありました。
岡田さんが「ことしは18歳選挙権元年であり、若者、若者、若者の年だ」とし、「すべての若者が夢と希望を持って学ぶことのできる日本でなければならないと思います。授業料減免や奨学金の拡充、返済不要の給付型奨学金の創設が必要です」と問うたのに対して。
安倍首相は「卒業後の返済額が変化する、所得連動型返還奨学金を導入する」としながらも、「給付型奨学金はなお検討が必要だ」とし、日本学生支援機構が0件しか扱っていない給付型は導入しない考えを示しました。
岡田さんが「金融課税を25%に引き上げ、中長期的には所得税、住民税、相続税の累進強化が必要だ」としたのに対して、安倍総理は「金融分離課税は本則税率の20%とするが、今後は検討する」と語り、検討の余地がある、ととれる言い方をしました。
金曜日の施政方針で、安倍演説は「非正規雇用者の均衡待遇を確保します」としながら「日本一億総活躍プランに同一労働同一賃金を盛り込む」とした件について、分かっていないのではないか、との指摘が出ていました。岡田さんがただすと、安倍総理は「多様な働き方のなかで、均衡待遇にとどまらず、均等待遇を日本一億総活躍プランで検討してもらう」と答弁。安倍さんがうまく逃げ切った印象です。
財政健全化について、岡田さんは「私はよく原理、原則主義者だと言われるが、財政規律。この原則だけは曲げるわけにはいきません」としました。安倍首相は「安倍内閣は経済成長なくして財政健全化なしという考え方だ。また、安倍内閣は行政改革を含めて歳出削減を行ってきている」としました。
ここから先は、岡田さんの発言だけです。
岡田さんは、「私は25年間、政権交代可能な政治の実現をひたすら目指してきました。失敗も挫折もありました。しかし、日本の政治をよくするためには、自民党と競うことのできる政治勢力をつくりあげなければならない。この信念は変わりません。まだ道半ばですが、必ずやり遂げることを国民の皆様にお誓いします」。
「例えば二十歳の若者が国会議員を目指す道がなぜ閉ざされているのでしょうか。選挙権だけでなく、被選挙権年齢の引き下げも実現すべし」。
「LGBTは、3割が子供の頃に自殺を考えたとされ、差別をなくすべし」。
「選択的夫婦別姓(別氏)の民主党の法案に賛成すべし」。
「生活が厳しくなっている。異次元の金融緩和で円安株高に誘導したが、3本目の矢が出てこない。これがないとアベノミクスは総崩れになる」。
「私の経済政策と安倍総理の経済政策の根本的な違いは、経済成長の果実をどう分かち合うべきかの考え方だ」。
「マクロ経済スライドには私も賛成だが、年金の最低保証機能とマクロ経済スライドをどう調和させるか検討すべし」。
「長時間労働が仕事と家庭の両立を阻み、介護離職、育児離職、少子化の深刻な原因であると考えている。多様な働き方の実現は重要です。しかし、まず行うべきは、日本人の働き方を根本から変えるための最小限の労働時間規制です。総労働時間の規制と終業から始業まで一定時間を確保する労働時間インターバル規制、毎週必ず休日を取得させる絶対的週休制を法制化すべし」。
「財政規律は、子供や若者、未来の世代への責任を果たさなければならないと考えるからです。日本の持続可能性について、最も重要なかぢ亜から逃げることは総理に許されません。今までの自民党の失政の結果、日本は巨額の借金を抱えています。我々は、歳出改革、成長戦略、歳入改革の三本柱で、着実に財政健全化を進めるための財政健全化推進法案をこの国会に提出します」。
「国民の皆さんには今、日本が大きな分岐点にあることを強く認識していただきたいと思います。安倍総理の立憲主義に対する認識を問います」。
「国民の皆さん、国民に正直で真面目な政治か、それとも安倍政治か。みなさん一人一人に次の世代に恥じない判断をしていただきたい。今まで政治と距離を置いてきた人々が危機感を持って声をあげています。私は覚悟を持って、安倍政権とたたかっていきます」。
この後、自民党幹事長の谷垣禎一さんが「通関の簡素化などの実績を上げており、TPPで、コンテンツ輸出なども活性化する」と演説しました。
維新の党の松野頼久代表は、財政の持続可能性について語りました。
松野さんは50年前の国会議事録をひもとき、「一度発行したら途中でストップすることはできないのではないかとの野党議員の質問に、福田首相(自民党総裁)は、財政法4条の重みは分かっているが今年だけの例外として認めてほしいと答えている。50年前の先輩方は、きょうの事態を想定していた」とし、「もはや現在の予算編成は持続可能性を失っている」。
「安倍首相外遊時の資金援助表明は、38件で、円借款を入れると総額32兆円になる。我が国の国益を計算したうえでの表明なのか」と指摘しました。
安倍首相は「政権交代後、新規発行国債は年10兆円減らしている」と語りました。
安倍首相は「安倍内閣はデフレ脱却と経済再生で、リーマンショック後の底から名目GDPを40兆円上げた」とし、「第3の矢でも、できるわけがない、と言われた農協改革と電力システム改革を実現させた」と胸を張りました。
安倍首相は「我が国のODAは途上国で高く評価されており、産業インフラの整備、生産性の向上を後押ししている。このような我が国の支援は外交上の効果を十分に検討し、わが国の厳しい制約を考えて実施している」としました。例えば、「パプアニューギニアは太平洋戦争で日本兵が10万人死傷しており、遺骨収集を同国が協力してくれていることを付言する」 としました。「円借款は期限がくれば返ってくる」。
民主党・維新の党の政策は、経済政策もようやく理論的に正しく、説得力があるメニューがそろってきており、国民に浸透する内容だと考えます。それでいて、安倍首相の答弁もていねいにできており、成長戦略、外交における実績の明示は賛同できます。
しばらくは、このような流れで、与党が受けて立つペースの国会が続きそうです。
【同日 衆議院議院運営委員会】
本会議に先立ち、開かれました。
【同日 法律公布】
ことし初めて7本の法律が公布されました。なお、条約は1本公布されていました。公布法律は給与法が6本、補正予算関連法が1本。
平成28年1月26日法律1号は「改正一般職給与法」。議案番号は190閣法2号で、1月4日の召集日に提出され、20日自公民維の賛成で成立。2015年人勧を実施。公布とともに施行。
「改正特別職給与法」は平成28年1月26日法律2号。議案番号は190閣法3号で、4日(月)提出、自公民維の賛成多数で20日成立。
「改正国会議員秘書給与法」は、平成28年1月26日法律3号。議案番号は190衆法1号で、1月14日(木)に衆議院議員運営委員長が提出。全会一致で20日成立。
「改正地方交付税法」は平成28年1月26日法律4号。議案番号は、190閣法1号で、補正予算関連法として自公民維共の賛成で成立。
「改正裁判官報酬法」は平成28年1月26日法律5号。議案番号は190閣法4号、
「改正検察官俸給法」は平成28年1月26日法律6号、190閣法5号。
「改正防衛省職員(自衛官)給与法」は平成28年1月26日法律7号。190閣法6号。自公民維共が賛成。
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