[写真]小沢一郎氏(筆者撮影)。
野田佳彦総理は2012年3月30日(金)の閣議で、力強く「消費増税準備法案」を決定し、国会に提出しました。残念ながら与野党協議は実現しませんでしたが、国会に出てからが与野党協議です。総理、反対派は切り捨てろ!
さて、小沢グループがついにまっぷたつになりました。
消費増税準備法案に反対する小沢グループの3副大臣1政務官の合計4議員が政務三役の辞表を出しました。しかし、小沢グループの他の5副大臣7政務官は辞表を出しておらず、これにより小沢グループはまっ2つになりました。
当ブログが小沢グループと定義している議員のうち、辞表を出したのは次の4人。
【辞表を出した小沢グループ】
黄川田徹・総務副大臣(衆院岩手3区)、森裕子・文部科学副大臣(参院新潟選挙区)、牧義夫・厚生労働副大臣(衆院愛知4く)、主浜了・総務大臣政務官(参院岩手選挙区)。
一方、職務にとどまり、政権の重荷を背負う選択をしたのは次の通り。
【辞表を出さなかった小沢グループに近い政務三役のみなさん】
内閣府副大臣(行革・公務員制度、金融、復興庁)の中塚一宏さん(衆院神奈川12区)。
法務副大臣の滝実さん(衆院奈良2区)。
文部科学副大臣の奥村展三さん(衆院滋賀4区)。
農林水産副大臣の筒井信隆さん(衆院新潟6区)。
農林水産副大臣の岩本司さん(参院福岡選挙)。
総務大臣政務官の福田昭夫さん(衆院栃木2区)。
外務大臣政務官の中野譲さん(衆院埼玉14区)。
財務大臣政務官の吉田泉さん(衆院福島5区)。
農林水産大臣政務官の仲野博子さん(衆院北海道7区)。
国土交通大臣政務官の津島恭一さん(衆院青森4区)。
国土交通大臣政務官の室井邦彦さん(参院全国比例、事務所は兵庫)。
環境大臣政務官の高山智司さん(衆院埼玉15区)。
防衛大臣政務官の神風英男さん(衆院埼玉4区)。
平成24年度本予算がおそらく来週4月5日(木)には成立するでしょう。予算成立直前に辞表を出す。衆院側のみならず、予算審議中の参院側でも一般法案の審議で各委員会はフル稼働中。大臣の代わりに答弁する副大臣、政務官は一年でイチバン忙しい時期です。その責任を全うしたいとというのは、立派というより当然です。
このうち、中塚内閣府副大臣については、反小沢の急先鋒である岡田克也副総理(内閣府特命担当大臣)が2月14日の記者会見で「今、百何十あるのですけれども、勿論それの中で事務的に折衝して済むものもありますが、そうでないものが出てきますので、中塚副大臣にまずやってもらって、残されたものについては、私から各大臣にというふうに思っております」と全面的に信頼を寄せている姿勢を示しています。岡田さんと同期当選で自民党離党・新生党結党をともにした衆院議員の秘書を中塚さんがしていたこともあり、中塚議員は政権交代直後、岡田さんの小沢グループ切り崩しリストのトップに輝いた優秀な人材です。ようやく1月から大臣、副大臣としてコンビを組むことができました。
環境大臣政務官の高山さん(1970年生まれ)は細野豪志大臣(1971年生まれ)とともに「民主党1970年代生まれ議員の会」の発起人の一人。枝野幸男・経産大臣とは義兄弟で、埼玉県連会長・幹事長として首都圏では圧倒的に強い地方組織を作り上げています。
このほか、政務調査会副会長を中村哲治氏(参院奈良選挙区来年改選)ら4人が辞めました。ただ、政調副会長では三井辨雄さん(政調会長代理、衆院北海道2区)や、一新会の会員だった菊田真紀子さん(衆院新潟4区)、吉良州司さん(衆院大分1区)らが残りました。
なお、参院(過半数121)では民主党・新緑風会が104議席、公明党が19議席、国民新党が4議席、新党大地・真民主が2議席。参院議員2人が辞表を出したことから、離党した場合、民主党と公明党で121議席と過半数と同数となります。国民新党や新党大地・真民主、新党改革などとの協力がますます必要になります。
とはいえ、小沢グループが真っ二つに、しかも小沢一郎氏の指示に従わない議員の方がやや多いという状況で、小沢氏の影響力は大幅に下がることが予想されます。良かったです。
私は総選挙最終日直前の2009年8月26日付で「選挙に勝たせるだけでは、親(有権者)の責任は終わらない」というエントリーを書いています。この中で「うきうきローンにご用心」ということで、政権交代後の小沢氏による不条理な支配を予言していました。おそらく選挙中ですから気付いていなかった人も多いでしょう。この前日、8月25日夜に、5幹部会合(鳩山由紀夫代表、小沢一郎、菅直人、輿石東各代表代行、岡田克也幹事長)の場で、政権を回す「岡田300日プラン」を岡田さんが配ったところ、「こういうのは選挙が終わってからでいい」と小沢さんに回収されてしまいました。300日間というのは、第45回衆院選から第22回参院選までの300日間のことで、ここで工程表を失ったこともあり、あっという間に衆参ねじれとなり、物事が進まなくなりました。私も「300日プラン」の内容を知らないし、あってもうまくいかなかったかもしれませんが、鳩山内閣のああいう「(法治政治ならぬ)人治政治」が少しマシになっていたかもしれません。悔しいです。
この「選挙が終わってからでいい」という一見もっともな発言。小沢さんは勤続40年のベテランなのでもっともらしい発言が多いのですが、小沢さんが久しぶりの与党で主導権を握る腹の内だったことはまちがいありません。投票日から内閣発足までの2週間に連日、小沢側近が党本部代表室に直談判し、小沢幹事長に交代してしまいました。これも当時から私は党金庫が目当てだと考えていました。もっと強くハッキリと書くべきでした。しかし、政権交代と同時に、小沢さんへの姿勢を180度変えたように読者に思われ、説得力を失ってしまった面もありました。ただ、過去のエントリーをていねいに読んでいただければ、西松事件(現・陸山会事件)が始まった7週間後のゴールデンウィーク前に「小沢と心中できないのが本音」というエントリーも書いています。ブログで小沢さんのことを英雄と位置づけて煽っているブロガーは大いに反省していただきたい。日本の子どもたちのために。
さて、年末の「素案」を与野党協議で「大綱」にすることはできず、そのまま「法案」になりました。しかし、ここから与野党協議ということで、国会というインターネットで国民注視の場でどれだけの論戦が衆参でできるのか。楽しみにしたいところです。
[新聞記事から引用はじめ]
副大臣、政務官らが辞表=小沢系相次ぐ、消費増税に抗議(時事通信) - goo ニュース
民主党の小沢一郎元代表に近い黄川田徹総務副大臣、森裕子文部科学副大臣、牧義夫厚生労働副大臣、主浜了総務政務官の政務三役4人は30日夜、首相官邸を訪れ、消費増税関連法案の閣議決定に抗議するとして、秘書官を通じて野田佳彦首相に辞表を提出した。
この後、牧氏は記者団に「デフレ状況下での増税は景気を収縮させる。政府の一員として国民に説明を続けることは困難だ」と理由を説明した。
民主党内でも元代表に近い松崎哲久、横山北斗、中村哲治、階猛の4政調副会長が辞表を提出。鈴木克昌幹事長代理、樋高剛総括副幹事長も辞任の意向を固めた。鈴木氏は30日夜のBSフジの番組で「週明けになるが、改めて輿石東幹事長のところに行く」と述べ、近く辞表を提出する考えを明らかにした。
さらに、石山敬貴、大谷啓、笠原多見子、木内孝胤、菅川洋、友近聡朗の各政調会長補佐も辞表を提出した。
[新聞記事から引用おわり]
[関連エントリーのお知らせ]
【保存版リスト】これが小沢一郎グループだ 議員名・顔写真・選挙区・地元事務所一覧表
[関連エントリーのお知らせ終わり]
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