【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

かき消された福島の声 復興予算提出前日、森まさこさん「全国防災とかいっぱい入っていて残念」

2012年10月14日 06時15分23秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]森まさこ自民党参院議員、2011年10月26日、参議院インターネット審議中継から。

【第179臨時国会 2011年10月26日(水) 参議院法務委員会】

 「復興予算」というのはおおすじ、平成23年度第3次補正予算のことです。2011年10月27日(木)に衆参本会議での財政演説で審議入りし、11月21日(月)に成立しました。復興債を発行する復興財源確保法(179閣法4号議案、平成23年法律117号)など関連法が11月30日(水)に成立した一連の「3点セット」(復興債、復興庁、復興特区)を具体化した予算です。この当時すでに、「復興予算」という表現がされていました。基本的には公明党のプランが骨組みとなり、民主党、自民党、公明党の3党合意により参院では「賛成225、反対6(共産党)の賛成多数」で成立しました。

 この提出前日の26日(水)の参議院法務委員会では平岡秀夫法相への一般質疑が行われました。この中で、福島県選出の自民党の森まさこさんが次のように語っています。

 「3次補正の中身を見ましたら、12兆のうち8兆が震災と言っておきながら、被災地への予算ではない全国防災とかいっぱい入っておりますし、この法務省の予算でいっても、今から言う被災地の治安の問題も入っていないし、福島県民の損害賠償の法テラスの法律扶助の予算も入っていないし、一体何のために2か月間無駄にしたのかなというとても残念な気持ちでございます」

 このように、全国防災対策費が被災地向けでないと指摘しています。2ヶ月間無駄にしたというのは、小沢一郎氏が主導した「菅内閣不信任政局」をめぐる6月1日からの混乱の収束と平成23年度特例公債法の成立とひきかえに、民自公が合意した「辞任3条件」にともない、菅直人首相が内閣総辞職を表明した8月26日からの2ヶ月間という意味です。

 森さんの質疑によると、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故にともなう避難区域の治安は「もう泣いてしまって、地獄のようだった。その中に大変な犯罪が多数起きているんです」とし、半年間で避難者の住宅の犯罪被害は30倍になり、50軒に1軒が被害にあい、東電に賠償を要求したところ「悪いのは泥棒だとして一切賠償に応じていない」そうです。さらに、「性犯罪も起きて、避難所に婦人警官が私服で泊まり込むということもありました」とのことで、地獄のような実態です。

 この部分の議事録は下につけました。なお、参議院インターネット審議中継でも、(このエントリーの初投稿時点では)見ることもできます。なお参院福島選挙区は4増4減の減員対象となっています(参院で可決、衆院で継続審査、180参法36号)。福島県では、金子恵美(かねこ・えみ)さんが地味ながらとてもよくがんばっていて、復興大臣政務官(兼)内閣府大臣政務官をつとめています。

 谷垣禎一・自民党総裁は、10月31日(月)の衆議院本会議で「三次補正で計上されている全国防災対策費などは全国で行われるハード事業であり」、「全国防災対策経費の定義は何か、単なる公共事業が紛れていることはないのか」と述べ、全国防災費が全国で行われる単なる公共事業であるとの認識を持っていたことがハッキリ分かります。さすがに宏池会総裁だし、野田さんと「ケミストリーがあう」本筋を見すえた政治家です。

 森さんと同じ日の衆議院厚生労働委員会で安倍派四天王(清和会四天王)とよばれた中国地方選出の政治家の世襲議員(娘婿)は「今回の復興の関係では、被災地だけではなくて、全国防災という観点もあります」と述べています。清和会の安倍総裁誕生にともない総裁特別補佐を務めています。その前日には、鹿児島県選出の民主党衆院議員が災害対策特別委員会で「我々のところでも日向灘というところでよく地震があったりする」「この3次補正の中でも全国防災として2600億強の予算がついているわけです」と指摘しています。この人は非主流派でしたが、今月、政務官になりました。

 wikipediaによると、森まさこさんは清和会ということで、残念な思いです。なぜ森さんの声が自民党内で封じられたのか。それを自民党は語る必要があるのではないでしょうか。

 責任ある政治、健全なる古き良き自民党を体現していた宏池会の谷垣総裁がひきずりおろされ、自民党はふたたび清和会に乗っ取られました。税金乞食、解散乞食の清和会自民党に日本を任せられません。そういう悔しさでいっぱいです。国難にあたって、国家財政を福島など被災地に集中できずに全国防災費に敷衍化してしまうようでは明治維新以来の経世済民、日本の国家戦略の否定です。そして同時に、30年遅れで始まった、代議制民主政治の危機でもあります。

 猛省を促します。そして、国会でも、行政刷新会議でもない。国民の出番が近づいています。 

国会会議録検索システムから引用はじめ]

(前略)

○森まさこ君 御就任から二か月が過ぎようとしております。私、なぜ今冒頭このようなことをお聞きしたかと申しますと、私、千葉景子大臣のころからずっとこの法務委員会で自民党の筆頭理事をさせていただいておりますけれども、大臣所信のたびにむなしい思いを感じているものですから質問をさせていただいたということなんですね。
 民主党政権になって二年ちょっとですか、平岡大臣を入れずに計算しますと、お一人当たり在任期間が五・八か月、約五・八か月と半年にも満たないわけでございます。ですから、大臣所信のたびに質問をさせていただいて、法務大臣のそれなりのお考えというものをいただいているわけでございますが、これがなかなか政策に反映されないうちにまた次の大臣になってしまう。平岡法務大臣も約六か月の在任期間だと仮定いたしますと、もう既に二か月が過ぎてしまった。やはりもっと早く、就任直後に大臣の所信を伺いたかったわけなんです。
 今日は、私、被災地の福島県でございますので、福島県の原発地域の空き巣被害が大変な問題になっております、このことをこの後質問をさせていただくんですけれども、平岡大臣の前の江田五月大臣に何回も質問しているんですよ。それが、もう被害が増大する一方なんです。しかも、看過できない事態もいわき市で起きております。ですから、私は早く大臣所信をいただきたかったなと思うんですが、野田総理が任命してすぐに国会を閉じてしまった。それで、私たち、平岡大臣に所信を伺って、そして、そこでいろんな、大臣ってどういう人なんだろう、何を考えて、法務行政どう進めるんだろうと質問をする機会もなかったし、前回からの引継ぎ事項を注文する機会もないうちに二か月が過ぎちゃったんです。
 それは、補正予算を組むから忙しいからという理由だったから、震災のための補正予算を組んでいただけるのであればやむを得ないかなと思って待っておりましたが、この間出てきた三次補正の中身を見ましたら、十二兆のうち八兆が震災と言っておきながら、被災地への予算ではない全国防災とかいっぱい入っておりますし、この法務省の予算でいっても、今から言う被災地の治安の問題も入っていないし、福島県民の損害賠償の法テラスの法律扶助の予算も入っていないし、一体何のために二か月間無駄にしたのかなというとても残念な気持ちでございます。
 大臣、このことについて、まず大臣のお考えをお聞かせ願えませんか。

(中略)

○森まさこ君 今のことを私から詳しく説明を申し上げますと、震災後、いわき市の福島地検いわき支部、それから地裁いわき支部も、ちょっと時を異にしておりますが、十五日、十六日に次々と庁舎を閉めて、十六日には郡山の方に移動してしまったということがあったんです。そして、それに先立ち、地検では勾留をしていた被疑者を全員釈放する、処分しないで釈放するということがあり、その中には女性の家に押し入って手錠をはめて性的犯罪を犯すという、そういう容疑者もおりましたし、釈放されたうちの被疑者がまた再犯を起こしたということも起こりました。
 あの当時、いわき市は避難地域でありませんでした。三十キロまでが屋内退避です。一部三十キロに入っておりますが、警戒区域ではありませんから、いわき市の北部の少しだけが屋内退避、それ以外全ていわき市は何の避難区域にも、政府の言う避難区域に入っていないんですよ。そこにいなさいという指示です。ガソリンも何もなくて、自分で避難したいと思う人さえ避難できなかった。今お昼休みに、福島県の方々、双葉郡、いわき市の方に会ってきましたけれども、その当時の状況を話すと今でももう泣いてしまって、地獄のようだった。その中に大変な犯罪が多数起きているんですよ。
 私が三月二十四日に質問したときには、警察庁は、特にそんな犯罪は増加しておりませんし、ちゃんと警戒していますというような答弁でしたけれども、今になって、十月十六日の朝日新聞に書いてありますけれども、九月末までの住宅の被害は前年同期の三十倍近くに達していて、五十軒に一軒が被害に遭った。被害者からはこれは避難せよということが原因なんだからということで東電に賠償を求めておりますが、東電は悪いのは泥棒だとして一切賠償には応じていないんですよ。これは財産犯罪だけの話ですけれども、先ほどのような性犯罪も起きて、避難所に婦人警官が私服で泊まり込むということもありました。
 その中で、国民に対して避難指示が出ていないのに、国の機関が先に避難したというのはどういうことなんですか。大臣、お答えください。(後略)

[引用おわり]

国会会議録検索システムから引用はじめ]

(前略)

○谷垣禎一君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、先般の野田総理の所信表明演説、安住財務大臣の財政演説について質問いたします。(拍手)
 冒頭、東日本大震災並びに相次ぐ台風の被害によって不自由かつ不安な日々をお過ごしの皆様に対し、心からお見舞い申し上げるとともに、地域における復旧復興に向けて、自民党は引き続き総力を挙げてまいることをここにお約束いたします。
 また、先般のタイ王国大規模洪水及びトルコ共和国大地震災害に対して、政府においては最大限の支援策を講じることを強く求めます。
 さらには、歴史的な円高の影響によって、多くの企業が厳しい経営を強いられております。政府は、本日、市場介入を行いましたが、引き続き市場に対して断固たる姿勢を示すよう求めます。
 さて、政権交代より、はや二年の歳月が過ぎ、その間、民主党政権において三代目の総理に至りました。我が自民党も、小泉総理で総選挙を行い、その後、三人の総理がかわったことは公平に述べておかねばなりません。
 しかし、その際に、野田総理、あなたは、与党のトップが交代する際には民意を問うべきであると言われたことを覚えておられるでしょうか。今もその意見は変わりありませんか。
 この二年間、民主党の、絶え間ない内紛、統治能力の欠如によって国政の著しい停滞を招き、内政、外交にわたって多大なる国益の損失をもたらしました。これを民主主義のコストとして安易に片づけてしまうことは、到底許されません。
 国際社会においては、来年の主要国における権力の移行期を控えつつ、欧米諸国の財政リスクが顕在化し、他国を顧みるゆとりもなく、ひたすらみずからの国益を追求して、しのぎを削り合う情勢にあります。
 一方、国内に目を向ければ、少子高齢化は急速にその進行の度を深め、経済の高成長、それによって立つ財政の分配を期待する経済社会システムは、もはや昔日のものとなりました。その上に、この大震災が我々を襲ったわけです。
 これらを踏まえれば、民主党の政権担当能力を磨くための授業料を支払う余裕が残されていないことは、国際情勢からも、国民の懐ぐあいからも、明らかであります。
 また、民主党政権におけるマニフェスト施策の実現が進まないどころか、後退、違背を繰り返すことによって、国民との契約違反の状態が続いております。
 野田総理は、その不履行の要因として、景気後退による税収減、ねじれ国会、東日本大震災、この三つを挙げています。しかし、これらはすべて、無駄を省いて財源を確保することで施策を実施するというマニフェストの基本構造に対しては、何ら関係がありません。どれが無駄の削減策を左右し得たのでしょうか。震災前の昨年末に野田財務大臣のもとで編成された平成二十三年度予算において、十六・八兆円と言っていたマニフェストの実行額がわずか三・六兆円にとどまっていたことこそ、その構造的欠陥の明らかな証左です。
 国民は、さきの総選挙で票という代金を支払ったものの、約束された商品を受け取れないままとなっております。うそをついて奪い取った政権はそのままに、誠実な履行をすることができないのであれば、根強い政治不信を払拭することもできず、国民は、コストをひたすら払い続けるのみです。
 これらの厳然たる事実を、政権運営に当たる野田総理においては十二分に認識すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、平成二十三年度第三次補正予算案と東日本大震災に係る復興財源の確保のあり方について、我が党の基本的考え方を申し述べつつ、政府・与党の考え方をただしてまいります。
 初めに明らかにしておきますが、我が自民党は、七月八日には、総額十七兆円の震災対策を公表しております。その財源のうち、歳出削減や税外収入で賄えない分について復興債を発行することとし、その信認を担保するために、所得税、法人税等の付加税により償還の道筋を明確にすべきであると、いち早く表明しております。
 我が国財政事情は深刻さをきわめており、東日本大震災からの復旧復興対策経費が巨額に上る中で、いかに財政規律を確保するかという基本的認識において、政府・与党と私どもとは違いはありません。
 しかし、今回の政府・与党の三次補正予算案と復興財源確保法案は、我が党の取りまとめから三カ月半以上おくれている上、その間、内容についてよほど詰めが進んでいるのかと思いきや、国民の皆様に負担を求めるにしては、随分粗っぽい、いいかげんな案を出してきたとの印象であります。
 国民の皆さんに負担を求めるためには、丁寧な説明と合理的な制度設計が必要であります。政府・与党の案はその双方の要素に欠けており、運び方も、案の内容も、稚拙そのものです。このような政府・与党が、今後、消費税でさらに大きな国民負担をお願いすることに取り組むというのであれば、その資質からして、大いに疑問を抱かざるを得ません。このことを、質問を通じて明らかにしてまいる所存です。
 我が党は、第一に、現在の政府・与党案の復興債の償還期限が十年とされているのは短過ぎると考えており、その大幅な延長を求めております。
 理由としては、まず、千年に一度という大震災の復旧復興経費に係る財源調達を現世代の負担によってのみ賄うとすれば、現世代が前後の世代と比較して、大震災があったばかりに過重な負担を強いられることになり、不公平と言わざるを得ません。特に、復興による受益を後の世代が享受することを踏まえれば、世代をまたいで負担を分かち合う必要があります。
 しかも、復旧復興経費の内容を見れば、三次補正で計上されている全国防災対策費などは全国で行われるハード事業であり、中身において、通常の建設公債発行対象経費と明確に区別が可能なものとは到底思えず、復興債及びその償還財源としての税制措置で賄わなければならない理由がわかりません。
 また、我々は、単に、長く償還期限を延ばせと申し上げているつもりはありません。我が国財政に対する市場の信認を高める上で大事なことは、償還の道筋をしっかりとつけることであって、償還期間をいたずらに短くすることではありません。政府・与党は、この点を混同しております。
 さらには、我が国財政の今後の課題を見据えれば、いたずらに短く設定することには疑義があります。
 我が国は、基礎的財政収支の黒字化などの財政健全化目標を設定しており、その達成に向けて、消費税を含む税制抜本改革は避けられません。目先の性急な復興財源確保のみにとらわれず、マクロの財政健全化の取り組みとの関係にも配意し、償還期間を長くとることで、その負担を薄いものにしておく必要があります。
 そこで、総理に質問いたします。一つ一つお答えください。
 まず、三次補正予算に係る東日本大震災復興経費十一兆七千三百三十五億円のうち、公債発行対象経費とそれ以外は幾らずつか。言いかえれば、この部分について、今回のような異例の対応ではなく、通常の公債の追加発行による対応をとった場合、建設公債、特例公債はそれぞれ幾らとなったのか、伺います。
 その上で、それらについて、建設公債等によらず、あえて復興債及びその償還財源の確保のための税制措置というスキームによることとした理由を改めて伺います。
 次いで、政府・与党案では復興債の償還期間が通常の六十年償還ルールに対して十年と大幅な短縮がなされたことについて、いかなる理由づけがあるのか、お答えください。
 さらには、そこまで償還期間に差を設けるからには、債券の発行で賄われる事業の性質についても明確な差が認められるのでしょうか。例えば、全国防災対策経費の定義は何か、単なる公共事業が紛れていることはないのか。両者を区別する基準は何でしょうか。
 さらに伺いますが、消費税の取り扱いなどを含めて今後の財政健全化への取り組みが具体的に固まっていない中で、短い償還期間を設定して単年度当たりの国民負担を大きなものにしてしまうことが、今後の取り組みへの足かせとなるのではないでしょうか。
 これらに対する答弁を踏まえた上で、改めて、償還期間の大幅延長を求めている我が党の見解に対するお答えをいただきたいと存じます。
 第二に、我が党は、二十三年度予算における子ども手当の減額措置に伴って、特例公債を減額することを求めております。これは、民主党のマニフェスト施策を目のかたきにして、その歳出削減に見合う特例公債減額を立てることであえて辱めに遭わせようとしているわけではありません。子ども手当の見直しの要因を震災に求めることが筋違いだと申し上げているわけです。
 そもそも、特例公債発行額を極力圧縮するというのが財政運営の基本ルールであり、特例公債の発行によって全体の予算が賄われている以上、歳出の削減を行う一方で建設公債発行対象経費の増額が行われた場合、特例公債を減額して建設公債に振りかえるのが補正予算の通例であるはずです。なぜ、今般はそのような対応をとらないのでしょうか。
 政府・与党が、マニフェスト政策については特例公債に頼らず財源をきちんと確保したという建前と、復興債と建設公債を同時発行しないことにこだわる余りに、特例公債発行の減額に努めるという財政運営の基本ルールをないがしろにしてしまっているのが今回の対応ではないかと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
 そして、このような対応を今後も踏襲していくとなると、二十四年度以降の当初予算についても、復興財源となる歳出削減分については、その見合いとなる復興経費に幾ら公債発行対象経費があっても特例公債発行額を減額しない措置をとり続けることになりかねませんが、それでよろしいのでしょうか。本来圧縮できるはずの相当規模の特例公債発行額が毎年度圧縮できないということになってしまいますが、そのことは財政運営として妥当なのか、あわせて御回答願います。
 以上を踏まえた上で、改めて、今般の三次補正予算、さらには二十四年度予算以降における子ども手当の歳出削減分を特例公債減額に充てることを求めます。
 第三に、我々は、復旧復興経費を管理する特別会計の創設を求めています。
 今回の政府・与党の復興財源確保のスキームが、余りにいいかげんで、国民にとって受益と負担の対応関係が見えにくいものであることを踏まえると、特別会計の創設は、いよいよ必要となります。それにより、復興経費は新たな特別会計で管理されることとなるため、その他の経費との差別化が進み、単なる通常の公共事業関係費が全国防災対策費として復興経費に紛れ込んでくるようなことも防がれていくと考えられ、B型肝炎対策との区分も明確になります。税財源が確保されている復興事業の進捗度合いが明確になり、今後、国民からも、さらなる税制上の措置が必要な状況にあるのかどうかということが見えやすくなります。復興を名目に講じられた税制措置による増収分が、他の事業に費消されることなく、必ず被災地向け歳出に充てられることが明確になることで、国民の納税意識も高まるものと考えます。
 政府・与党は、今回の復興財源確保のスキームについて、よくよく居ずまいを正した上で、国民に増税の理解を求めていくべきです。特別会計設置に関する野田総理の見解を改めて伺います。
 復興財源としての税外収入、歳出削減をめぐっては、前原政調会長と政府側とで、増税額をめぐって行ったり来たりのやりとりが続くという混迷ぶりを見せつけましたが、相変わらず取り扱いがすっきりしておりません。
 関連してお尋ねしますが、国家公務員給与特例法案による国家公務員給与の引き下げ分は復興財源にカウントされている一方、二十四年度予算などで連動して行われる地方公務員給与に係る地財措置、さらには義務教育国庫負担金や独立行政法人運営費交付金の見直しなどによって生み出される財源については、復興財源に使うのではなく財政再建に使うとの報道もあり、現段階では復興財源としてはカウントされていないようです。
 しかし、やはり公的部門全体で捻出する復興財源として整理することが適切であり、今後、復興経費の増加が確実な中で、これ以上税負担をふやさないために用いるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、社会保障・税一体改革について伺います。
 先般、五十嵐財務副大臣が、二〇一五年度までの消費税率の一〇%への引き上げは二段階に分けて行い、その第一段階目は再来年秋の衆院任期満了後に行う旨を示唆しましたが、本来、財政や経済の状況を踏まえ決せられるべき消費税率の引き上げのタイミングが、それらとはおよそ関係ない政治日程との関係で決まるというのは、いかにもナンセンスであり、いかにマニフェストとの関係で民主党が消費増税の検討を行うことが破綻を来しているかのあらわれであります。
 そもそも、あなた方が法案提出のよりどころとしている消費税を含む税制抜本改革の規定を含む平成二十一年度税制改正法に、民主党は反対されたのではありませんか。さきの総選挙におけるマニフェストには、消費税について一言の言及もありませんでした。当時の鳩山代表は、消費税は二十年間上げないことを公然と述べておられました。
 社会保障・税一体改革は必要な政策ではありますが、ここでもまた国民に対して言行不一致な行動をとろうとするあなた方は、票を投じた有権者にどう説明するのでしょうか。
 また、平成二十一年度税制改正法附則第百四条との関係で今年度内に具体的な法案提出ということになれば、年内にはその概要を固める必要があります。しかし、議論の時間が余りに不足しています。
 六月に成案を取りまとめて以降、社会保障機能強化の進め方等、具体的な検討が進んでいるようには聞こえてきません。複数税率など逆進性対策をどうするのかといった受益と負担の関係も全く見えないまま年末までの二カ月ですべてを決めてしまうことには、相当無理が伴います。
 このように、無理に無理を重ね、国民に言ったことと違う政策を押し通そうとするあなた方の社会保障・税一体改革への取り組みの前途は多難と考えますが、野田総理としては、この窮屈な日程の中で具体的なスケジュールをどのように進めていこうとされているのか、具体的にお示しいただくとともに、改めて御決意を伺います。
 過去二代にわたる民主党政権によって我が国の外交の基盤は大きく揺らぎ、今や、その失地回復にのみきゅうきゅうとせざるを得ないのが現状であります。普天間基地移設問題についても、その迷走によって米国との信頼関係を大きく損ねたために、政府・与党は、そのツケをなりふり構わず返そうとしているかのように見受けられます。
 TPP交渉への参加をめぐっても同様であります。
 そもそも、日米関係において日々の情報交換や意見調整等が円滑になされていれば、このような切迫した事態に陥っていなかったはずであります。また、国益にかかわる重要事項にもかかわらず、政府が情報を提供しないため、参加の可否を判断するための国民的議論が全く熟しておりません。それに加え、藤村官房長官や前原政調会長は交渉途中の離脱の可能性を明言されていますが、入り口から逃げ腰の国を相手に、他の参加予定国が真剣に向き合うことはあり得ません。
 これまでの経緯から昨今の騒動まで、極めて稚拙な取り運びとなっていることについて、民主党並びに野田政権の責任は極めて重いものと考えますが、その点について総理の見解を伺います。
 いずれにせよ、我が国は、世界に物を売って、自国で賄い切れないエネルギーや資源を買って成り立っている以上、自由貿易体制を志向せざるを得ず、その中で国内産業にも十分な目配りをする。その際、不断の外交努力でみずからの国益を主張し他国の譲歩を可能な限り引き出すとともに、国内産業に対しては、不安と弊害を払拭すべく、財源に裏づけられた対策を適切に講じていくことが、我が国の基本戦略ではないでしょうか。前者は先ほど指摘しましたが、後者についても、その対策が不十分なものと考えます。
 民主党政権は農家の戸別所得補償制度を推進していますが、これは、基本的には価格差補てんの仕組みであります。したがって、関税障壁が除かれて市場価格が払底しても、これより高い生産価格との価格差を補てんすることで、TPPへの一定の対応策にはなります。しかし、価格差が拡大していけば、それを埋めていくための巨額の財源を要します。
 TPPで輸出企業に、戸別所得補償で農家にもいい顔をし、その結果、財源はないとなれば、まさに、あの詐欺マニフェストと同じことであります。
 そもそも、財源が限られた中では、頑張って競争力を発揮できる農家には担い手として支援するとともに、農業の多面的機能の観点からも直接支払いを中心として支えていくといった、政策目的に応じた農業政策こそが求められるものと考えます。その見きわめもないままばらまくのみでは、財源は枯渇して、結局は農業を守ることもできず、民主党が五〇%まで掲げた食料自給率は見る見る低下し、農村は荒廃し、過疎化が進む一方となります。
 政府においては、積極的に情報を開示し、今後の確たる展望を示すことで国民の議論に供するよう、強く求めます。
 APECも差し迫っておりますが、TPPがもたらすメリット、デメリットは具体的に何か、TPP交渉に参加するのか否か、野田総理の明確な答弁を求めます。
 野田総理が早期成立の意欲を示しておられる国家公務員給与特例法案について伺います。
 我が党は、国家公務員の給与引き下げ自体に反対しているわけではありません。協約締結権とセットであることを問題視するとともに、人事院勧告を実施した上で、さらに深掘りすべきと考えております。これによって、地方公務員等を含め、より大きな削減が実現できるわけです。
 さて、本法律案は、その策定過程で、自治労、日教組が大宗を占める職員団体と交渉を行った結果まとまったものと承知しており、官が身を切るという、一見改革的でありながら、組合配慮ありきの法律案であるとすれば、働きアリの税金にシロアリがたかる構図が総理の足元で始まっているということとなりかねません。
 その点に関して、まずは、協約締結権の付与を行う国家公務員制度改革関連四法案との関係を確認いたします。
 給与特例法案が仮に協約締結権の付与と交換条件になっているとしたら、本法案は組合天国への誘い水であるということになり、論外であります。
 連合などは、ホームページで、十月十一日の政府とのトップ会談における、国家公務員制度改革関連法案と国家公務員給与特例法案を同時期に成立を目指すという基本姿勢は変わっていないという関係閣僚の答弁を成果として喧伝していますが、これは事実でしょうか。四法案とのセットを組合と取引しているとすれば、復興財源捻出を装いながら、実際は協約締結権の取得対価としての手あかにまみれた引き下げ法案であることになり、我々としては、審議にも値しないということになります。
 この答弁をした閣僚を明らかにしていただくとともに、事実であるとすれば、撤回を求めます。事実でないとすれば、この答弁を否定し、四法案の処理とは完全に切り離す旨をこの場で明言してください。
 重ねてお尋ねします。
 政府は、閣議決定において、国家公務員給与特例法案は人事院勧告の趣旨を内包しているとして人事院勧告不実施を決めましたが、人勧の趣旨は、労働基本権の制約の代償に尽きると言って過言ではありません。
 給与特例法案は、人勧どおりのマイナス〇・二三%ではなく、マイナス七・八%にまで労働者の給与を一段と大幅に引き下げるわけですが、これのどこが、どうして、その趣旨を含むことになるのでしょうか。含んでいないとすれば、虚偽の閣議決定であったということになりますし、人勧無視の憲法違反ということになります。含んでいることになれば、それこそ四法案とは連動しないものであることが明らかになるので、四法案の棚上げを求めます。この点の確認をお願いいたします。
 なお、内包しているという閣議決定がそのとおりであれば、独立行政法人、義務教育国庫負担金を初め、国家公務員給与の改定に伴う公的部門の人件費に関する扱いは人勧の際と全く同様でなければ、閣議決定が偽りとなるということを申し添えておきます。
 いずれにしても、内包云々という苦しい説明をしていますが、政府には、人勧を実施した上で給与特例法案も成立させる選択肢もあったのに、わざわざダイレクトに人勧を不実施にする理由がどこにあったのでしょう。ぜひ御教示ください。
 人勧不実施を高らかにうたう背景に、よもや、人勧制度の廃止、協約締結権の付与に向けて、人勧不実施の実績をつくりたいという何らかの政治的思惑はなかったのか、あわせて伺います。
 国民の皆様には、各種の組合が政府に対して人勧不実施を申し入れているという事実を申し添え、組合依存という民主党の実態をよく見きわめていただくとともに、保守政治家を自認する野田総理におかれては、ぜひ、組合との取引によって国政が壟断されることがないよう、衷心から御忠告申し上げます。何かおっしゃりたいことがあれば、反論していただいて結構であります。
 次に、選挙制度改革と一票の格差是正について伺います。
 先般、衆議院の選挙制度について各党の協議会がスタートしました。我が党も、具体的な提案を行い、積極的に参加してまいります。
 私は、既に衆議院議員の任期が二年を切っており、まずは当面の対応として、衆議院の小選挙区における一票の格差が憲法違反と判断されている状態を一刻も早く解消すべきと考えます。
 そのためには、現在、最高裁判決を受けてストップしているいわゆる区割り審の審議を早急に再開することが、不可欠の第一歩となります。今国会でその前提となる条件をクリアする必要があると考えますが、野田総理は、どのような条件が整えば審議を再開できると理解しているのか、伺います。
 また、区割り審が直ちに調査審議を進めたとしても、来年二月二十五日の期限までに審議を終えて勧告を行うことが困難な場合、勧告期限の延長期間は必要最小限のものとすべきであります。早期の解散を避ける意図を持ってわざと長く延長しているといった疑念を国民に抱かれるようなことがあってはなりません。
 延長は最小限の期間とし、勧告が出たら、速やかに区割りを改定する法律を成立させる、かつ、その公布から施行までの間、すなわち周知期間は、十年前と同様の一カ月とすべきであると考えます。この点についての野田総理の見解を確認します。
 一票の格差是正のための区割りの改定は、先ほど述べた手順でいけば、次期通常国会のうちに実現し、憲法に違背しない制度で国民に信を問うことが可能となります。なお、それまでの間においても、今の民主党政権の状態では、即刻解散・総選挙を行う以外に日本を救う道がないという状況を迎えることも十分に考えられます。その場合には、私は、現行制度のもとでの解散・総選挙も必要だと考えております。
 区割り審の審議や法改正の途上である場合でも解散権は常に制約されないと理解しておりますが、この解散権の解釈について、野田総理の見解をここで明確にお示しください。
 なお、最高裁判決から一年を経過しても国会が法改正の道筋をつけられないことは、国会の権威にかかわる重大問題であると重ねて申し上げておきます。
 本日は、多々政策課題について伺いましたが、政策を実現するに当たっては、何より、その主体となる為政者の資質が問われます。クリーンな政治を標榜する民主党において、野田総理を初め、鳩山元総理、菅前総理、小沢元代表、前原政調会長などの幹部が相次いで政治資金問題を引き起こしているまま、その説明責任も十分に果たされてきていないことは、その資質の欠如のあらわれと考えます。我々は、この問題をいたずらに復旧復興の議論の妨げとするつもりはありませんが、政党間の信頼関係を構築し、議論を円滑に進めるための環境整備に意を砕くことは、与党の務めであります。
 これに関して、二つ伺います。
 まず、野田総理御自身の外国人及び脱税関係企業からの献金問題について、今国会において説明責任を必ず果たしていただくよう求めます。九月三日に、調査する、結果が出たら報告すると述べてから、途中経過の報告も公表のめども示さないままに二カ月がたちます。
 また、小沢元代表に対し、国民から選ばれた公人として、証人喚問に応じ国会においてその説明責任を果たすよう、民主党代表として指導力を発揮するのかどうか、総理は、誠実かつ明確にお答えください。
 さきの臨時国会において、私は、野田総理に対し、保守政治家としての理念を問い、民主党の理念のあらわれである綱領の有無について伺いましたが、いずれも明確な回答を得られませんでした。
 政権発足後しばらくは、野田三原則、余計なことは言わない・やらない、派手なことはしない、突出しないとの安全運転などのおかげか、大きな混乱はもたらされませんでした。しかし、これは、何の見るべきことも進められなかったということであり、いわば停滞であります。結局は、理念なき総理、綱領なき政党において、大局的な政策判断の物差しを欠く以上、内政、外交にわたる重要課題を乗り越えていくことはできません。
 それに加え、何より、マニフェストの破綻と、かつてみずからが批判した信を受けないままの総理たらい回しによって、この政権は、主権者たる国民に対して正統性を欠いていることは明らかであります。
 被災地で延期されていた地方選挙も十一月二十日にはすべて実施されるとともに、復旧復興の補正予算も三次を数えるに至りました。にもかかわらず、復興を理由に、被災地を含む全国民との契約違反の状態は放置されたままにあります。
 国民との契約違反の十字架を背負い、国民からの信という権威の裏づけもないがゆえに、確たる政策体系は構築できず、その場を取り繕うことのみが野田政権に許されたことなのではありませんか。
 したがって、今後一気に押し寄せるであろう政治的かつ政策的な矛盾によって、これまで同様、もしくはそれ以上の政治的混乱がもたらされることは不可避であり、早晩行き詰まることは必至であります。
 この混乱を回避し、国政の停滞を打開するためには、解散・総選挙によって国民との再契約を行って信を受け、大事に当たるための政権の基礎体力を回復することが求められます。それを欠いたままで、マニフェスト違反の消費税や普天間問題、TPPや選挙制度改革といった重要課題をすべて乗り越えられるとお考えでしょうか。
 これらの課題を総合的に組み立て、実現していくためには、政治の力を要するわけであり、各省が行政の発想で描く絵のとおりには決して事は進みません。
 何もなすこともなかった二代にわたる亡国の宰相の轍を踏まないためにも、賢明なる回答を野田総理に心から期待し、私の質問を終わります。(拍手)

(後略)

[引用おわり]

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第179臨時会が閉幕 

2011年12月09日 15時31分51秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]国会閉会にあたりあいさつする、平田健二参院議長、2011年12月9日の本会議、参議院インターネット審議中継から。

 第179臨時国会が閉会しました。当初会期通り平成23年(2011年)10月20日(木)から12月9日(金)までの51日間でした。

 ことしの国会は第177通常会、第178臨時会とも当初会期末当日に延長を決議するという異例の事態が続きました。東日本大震災・東京電力原子力災害および台風12号という数百年に一度の大災害の年でした。そして今第179臨時国会中には、西岡武夫・参議院議長が在職中に亡くなりました。西岡さんは召集日・開会式から欠席していました。「国民の生命と財産を守る」という政治(政府、国会)がもろくなっている世相を象徴させるような出来事がありました。後任に平田健二さんが選ばれました。

 その中で、「復興債」「復興特区」「復興庁」の東日本大震災復興3点セットが成立。復興債は25年償還となりましたが、未曾有の災害からすれば妥当な年数だと感じます。総額12・5兆円の平成23年度第3次補正予算が成立しました。原子力災害のため、審議が難航していた原子力協定4条約(韓国、ベトナム、ロシア、ヨルダン)が承認され、将来への種をまくこともできました。

 第177通常国会での自民党の議員立法3点セットのうち、第178臨時国会で成立した「塩崎法(原子力発電所事故の調査委員会設置法)」にもとづく両院合同調査会が衆参15人ずつで発足しました。これは衆院と参院の委員室を相互に使うスタイル、QT党首討論(国家基本政策委員会)と同じスタイルで開かれました。ただ、会長は衆院議院運営委員長(小平忠正さん)に固定されました。両院による審議の新しいスタイルが生まれました。もう一つ「片山法(二重ローン軽減法)」も衆院で修正のうえ、参院に回付し成立しました。橋本聖子さんらが提出していた「私学の建物の復旧助成特措法案」は成立しませんでした。

 直近の民意である「衆参ねじれ」(2010年7月11日の第22回参院選)。有権者の一部には「お灸が過ぎた」と思っている人もいるでしょうが、「ねじれの成果」がありました。ねじれもたまには良いものです。政府が平成23年4月1日施行を想定して提出した「国税改正法案」のうち、第177通常国会、そして第178臨時国会などで分割して成立させてきた部分を除き、継続審査となってきたもののうち、相続税増税および法人税減税がついに成立しませんでした。すでに12月ですので、廃案になると考えられます。政府の税制改正大綱に基づき、提出された増税法案がハウス(国会)での議論の中で廃案になるのは珍しいのではないでしょうか。これは、民自公3党の税調会長による実務者協議のなかで、野田毅・自民党税調会長が党の方針を踏まえて認めなかったようです。ですから、これは衆参ねじれの成果、「熟議」と言えるのではないでしょうか。政府・民主党は平成24年度税制改正大綱を今夜にも決定する見通しです。ところが、これまでの報道で、「積み残しの相続税増税を平成24年度税制改正大綱に盛り込む見通し」という報道が散見されました。これが法案として国会で審議される2012年3月ごろ、衆参の議席構成はことしとまったく変わりません。その状態で、同じものを盛り込むのは不自然というよりも、政府が国会に喧嘩を売るようなものです。メディアが政治部でも経済部でも、すべて「国権の最高機関は国会である」という当たり前の前提を、再確認すべきでしょう。

 自民党が衆参とも委員長を務める「決算委員会」は、参議で平成21年度決算を不認定としました。このなかで、鳩山内閣が政権交代直後に、閣議決定で、予算の執行を一部停止したことについて、財政民主主義に反するという指摘が自民党・公明党からありました。たしかに予備費使用の国会での事後承諾は数百億円単位なのですから、金額から言っても、何らかの国会への報告はあって法律の定めはなくても、あってよかったのかなと考えます。私自身も当時、「予算の執行停止は大臣命令でできる」ということを与党初体験の総理側近にサジェスチョンした経緯もあり、改めて議事録を読み反省します。

 日本郵政改革関連法案、国家公務員給与引き下げ関連法案は、第180通常国会の冒頭で審議する運びとなっています。ただ、法案の修正の余地はかなり大きいと思います。

 ハワイでのAPECにあわせて、野田佳彦首相のTPP(環太平洋パートナーシップ条約)の交渉への事前協議について、国論を二分する議論が巻き起こりました。これは当然ですが、しっかりと足腰の強い議論となり、80年前のブロック経済化の流れよりもはるかに進歩した輿論をみせることができました。2020年の第32回オリンピック・第16回パラリンピックの東京への招致決議が衆参とも全会一致でなされました。

 強行採決は一度もなかったのですが、会期末当日の衆院外務委員会で、参院先議の「日本とペルーの経済連携協定(EPA)」と「日本とメキシコの経済連携協定(EPA)の改定議定書」の条約2件の審議に自民党ら欠席。質問時間を「空回し」したうえで、採決され、承認されました。今国会での参院先議の議案成立もこの2件だけでした。

 参院では会期末に、自民党と公明党が一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長(兼)消費者担当相の問責決議案を提出しました。1998年夏の参院選で第2次民主党が結党直後に大躍進(橋本首相が退陣)した後の秋の臨時国会で、民主党の北澤俊美・参院国対委員長らの指揮で、額賀福志郎・防衛庁長官を問責して以来、6人目・7人目となりました。また参院議員である大臣への問責決議案は過去何度も提出されていますが、可決されたのは一川さんが初めて。仲間意識の強い参議院では特筆すべき歴史的出来事となりました。年末に2大臣が問責されるのも2年連続です。あまり「風物詩」にしない工夫が政府・民主党幹部に求められます。13年前の額賀大臣は、就任前に発生した防衛庁内の不祥事の対処を問われた問責でしたので、一川防衛相をかばいきるには、理論武装面ではかなり厳しいと言わざるを得ません。私見ですが、どうも一川さんは辞めたいような表情も見て取れる感じがしますが、どうなんでしょうか。

 提出されなかった法案としては、「衆議院区割り審設置法改正案」で、最高裁が明確に違憲とした「1人1枠方式」と「2010国勢調査に基づく、2012年2月25日までの新区割り勧告期限」の2つの条文を手直しする法案が出せませんでした。通常国会冒頭でも間に合いますが、仮に2012年3月15日までの「第1期間」に小選挙区選出議員が欠けたら、4月22日(日)に補欠選挙があります。仮に2つ以上の選挙区での統一補欠選挙となり、現行の区割りで選挙をした場合、ついに裁判所は選挙の無効・やり直しを命じる可能性があるのでは。今国会では、民主党幹事長代行の樽床伸二さんが各党協議会座長として、自民党実務者の細田博之さんの間で、定数是正(区割り審設置法の改正)では合意済みでした。ですから改正法案は衆参ねじれでも可決・成立したはずです。とはいえ、7つの中小政党にとっては、定数是正の次にある「比例定数削減」、そしてそのまた次にある「選挙制度の抜本改革」は組織としての存亡の危機につながります。いかにも「政治」という感じがするマターですが、もう少し歩み寄れるように第180通常国会に先送りとなりました。樽床さんの胆力が試されます。ただ、私は現段階では、樽床さんの政治家としての資質に対して懐疑的にならざるをえない心境です。

 12月24日ごろに、平成24年度予算(案)が閣議決定される見通しです。さらに税と社会保障の一体改革大綱の素案を年内につくり、それをもとに与野党協議で成案を得るスケジュールになっています。第4次補正予算案、郵政改革法案、国家公務員給与引き下げ法案は通常国会冒頭に審議入りすることになりそうです。それから予算。そして、平成24年度の特例公債法案、消費税増税法案が議題となる、3月・4月以降は、解散含みの展開になるのは決定的です。私たち有権者もそろそろ、次の総選挙で、小選挙区はどの政治家、比例代表はどの党に入れれば、参院のねじれは続くとはいえ、国益・国民益、そして家族と自分の利益になる政府をつくれるのか。情報収集とその整理、分析、話し合いを始める時期に入ってきました。

 なお、決算審査での松野信夫さんの質問などいくつか面白いなあ、と思いながら書くタイミングを逸していた問答がありますので、年末までにまた書いていく予定です。

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「まあそうあわてなさんな」

2011年12月08日 17時25分49秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

 自民党元衆院議員の小里貞利さん、読売新聞九州版より拝借。

 衆参ねじれと震災で、衆参・与野党の枠を越えて、力のある国会議員による閣法修正成立、議員立法成立をなしとげた2011年(平成23年)の国会もいよいよ、残り1日となりました。

 ところが、力のある民主党1期生が、総理の野田佳彦さんを官邸に押しかけて、「郵政改革法案の成立を」「国家公務員給与引き下げ法案の成立を」などと直談判。さらには「このままでは不安だ」「来年の通常国会も、当初予算審議から始まるから法案審議はずっと後になってしまう」とツイッターやブログで発する事態になっています。

 たしかに、対抗馬が都市部でありながら踏みとどまった自民党若手有力株だったり、二世議員ながら政治改革で一貫し、さきがけ解党に伴い自民党に戻った筋を通した閣僚経験者の元職だったりしたら、不安になるのも当然。しっかりやっているのに、国会や党幹部がしっかりしてほしいという隔靴掻痒。

 でも、法案を良く読むと、これはおかしい。ムリヤリ会期を延長して通すような法案ではありません。例えば、国家公務員給与引き下げ関連法案の中には、人事院を廃止し、内閣府公務員庁をつくり、出先機関を新設するなどという内容が含まれています。だから、今国会で政府特別補佐人の江利川毅・人事院総裁(昭和45年厚生省)が「人勧不実施は憲法違反だ」なとど激しく現政府を批判する答弁をしていたのだと納得しました。江利川さんは内務官僚エリートコースを来た人らしい、とても律儀なジェントルマンだと、私は拝察していました。ただ、自らが内閣総務官として閣議の段取りをしていた時代に決まった橋本行革のあおりもあり、厚労省ではなく内閣府事務次官になったころには、記者会見などで「ちょっと江利川さん人相悪くなったよね」と記者仲間と賛同したものです。ところが、なんと本籍地の厚労省の事務次官に横滑りというおそらく太政官布告以来初めての運に恵まれると、またやさしい江利川さんに戻りました。認証官である人事院総裁となった際には、あいさつしたいと国会内幹事長室に当時の民主党幹事長、岡田克也さんを訪問。あいさつもそこそこに、封筒から資料を出して総裁自らご説明を始めようとすると、「ちょっと私、(外相を辞めて)幹事長になってから、細かい政策を受け付けないので、お引き取り願った」と岡田さんは記者会見で明かしています。これは以下にも江利川さんらしい。「直勝内閣」と呼ばれていますが、財務官僚だけでなく、内務官僚がいなければ、政府は回りません。この時期から7・8%引き下げたところで、削減できる歳出はさほど大きくない。むしろ、国家公務員の士気が下がるほうが問題です。例えば、内閣府の旧経済企画庁部局や、経産省の官僚の士気が下がらなければ、逆に経世済民、経済感覚は大丈夫なのかと逆に心配になります。超デフレ政策を立案しかねません。ですから、人事院を残して、今年度人勧を実施した上で、国家公務員給与を引き下げる法案を通常国会に出し直す。そして、マニフェストに入れて、民意という力で特別国会で審議するのが得策でしょう。郵政株はとても素晴らしい埋蔵金(税外収入)ですが、すぐにオカネになるものでもないし、郵政民営化一時凍結法(自見法)を改正すれば、株式は売れます。国民新党の参議院での3議席は重要です。だからこそ、誠実な話し合いのもと、来年にかけてじっくりやるべきでしょう。

 今年の国会では、与野党から、すでに亡くなったり、引退した政治家の名前が何度も上がりました。橋本龍太郎さん。これは「橋本行革」と「普天間返還合意」で。山中貞則さん。これは「消費税新設の税制改正」とやはり「沖縄問題」で。そして、小里貞利さん。こちらは「阪神・淡路大震災の復旧・復興担当大臣」として。小里さんはご健在ですから、自民党などは勉強会で小里さんから生の声を聞くことができました。

 【まあ、そうあわてなさんな】

 小里さんは橋本行革ができたときの担当大臣・総務庁長官でもありました。これは忘れている人も多いと思います。当初は副総理格の大物として外相経験もあった武藤嘉文さんが総務庁長官を務めました。ただ、内閣改造の際に、橋本首相は「先日、自民党の行政改革本部に出席したときに、政府と党で認識のズレを感じた」という趣旨のことを言って、佐藤孝行・党行革本部長と武藤さんの入れ替えます。私は橋本首相のホントウの理由は違うと思います。おそらく佐藤さんの派閥の中曽根康弘会長が押し込んだのではないかと今でも推測しています。そのロッキード事件の黒色高官(よく「灰色高官」と言われますが、佐藤さんは有罪なので「黒色高官」というべきです)だった佐藤大臣は1週間で辞任しました。そして、そのあと、阪神・淡路大震災からわずか2年半で、小里さんがまたしてもリリーフとして大臣になりました。

 この行革会議が最終段階のとき、総理番記者が一問一答で合計10回ほど総理に質問をしました。橋本さんも答えてくれました。ちなみにこの記者はとても優秀かつ尊敬されていて、お父さんも別の会社で後に社長を務めた人です。この記者は今も現役の政治記者です。執拗に攻める。橋本行革の最終段階ですが、最後の最後の抵抗とのせめぎ合い。総理と記者もせめぎ合い。このとき、総理の真後ろに居た小里長官は、会議室の扉の近くで、とつぜん後ろからこの記者の肩を叩きました。そして、ひと言。

 「まあ、そうあわてなさんな」

 極度の緊張感の深夜の首相官邸。総理と小里大臣が会議室の中に消えた後、廊下にいる番記者は爆笑。電話連絡先のキャップもみんな緊張がほぐれた爆笑だったようです。橋本首相と番記者とのぶら下がり一問一答の攻防は今でも語りぐさですが、後にも先にも、「首相」「記者」の後に、「小里総務庁長官」と第3者が登場したのは、このときのやりとりだけのようです。

 まあ、そうあわてなさんな。小里さんの衆院議員初当選は49歳です。それでも震災対策担当大臣、労働大臣、北海道開発庁長官、沖縄開発庁長官、総務庁長官のほか、自民党総務会長を務めました。そして、ことしの震災国会で何度も名前が出て、議事録に残り、引退後も後輩たちに呼ばれる。そういった小里貞利さんが、震災という修羅場で官僚の要請を一手に引き受けられた。そのすべてが詰まっているのが、まあ、そうあわてなさんな。ではないか。組織にはこういう人が必要だ。だから閣議決定から14年経った今も、わずかな手直し(公取など)だけで、橋本行革が残り、国会でその名前があがるのでしょう。

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大震災イヤー国会いよいよ最終週 289日間できっちり年の納めを

2011年12月04日 16時13分12秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

 東日本大震災の復旧・復興に明け暮れた2011年(平成23年)の国会も今週が最終週となりました。第179回国会の会期末12月9日(金)で今年通算289日目となります。

 「震災国会」(横路孝弘・衆院議長のあいさつ)となった第177通常国会は220日間、野田佳彦新首相が所信表明した第178臨時国会が18日間、そして第3次補正と復興債・復興特区などが成立した第179臨時国会が51日間となります。

 第177通常国会の4月以降、民主党・自民党・公明党の3党協議のしくみができました。

 修正協議が仕上がっていて審議を待っているのが、

 第174国会閣法60号の「労働者派遣法改正案」です。

 現在、修正協議が進んでいるのが、

 第176国会閣法1~3号の「日本郵政改革関連法案」
 第177国会閣法74号~80号の「国家公務員給与引き下げ・人事院廃止関連法案」
 第179国会閣法1号「復興庁設置法案」

 などです。

 私にはこれらが日本未来にとって、どうしても必要な法律(案)とは思えないのです。延長してまで成立させることはない、という意味です。

 ただ、こういうのは走り続けている人たちは気付かないのですが、例えば国家公務員給与引き下げ関連法案は人事院を廃止するという内容も盛り込まれており7・8%引き下げという劇薬を断行するならば、マニフェストに入れて総選挙後の特別国会でやらないと断行できないでしょう。

 郵政関連3法案は、郵便局と郵便事業を本体に統合し、ゆうちょとかんぽの事務を一緒にできるようにし政府の持ち株比率を「100%」から「3分の1」に引き下げるものです。だから、郵政民営化のプロセスを進める法案ですが、これは第44回総選挙の民意である郵政民営プロセスを逆行させる法案だと勘違いしている有権者が多いです。勘違いしている有権者が多いのは政治家の責任でもあり、ていねいに「説得」する時間が必要です。

 復興庁に関しては他府省への勧告権限と出先機関をもつ省をつくるというもので、私に言わせれば、昔の総務庁程度のつまらない官庁にすぎない。地区においては他省を乗り越えるスーパー官庁、いわば沖縄開発庁方式でつくらないといけないでしょう。復興庁設置法が成立しないと、東北が復興しないということはありません。

 自民党幹事長の石原伸晃さんはいわゆる3点セット(復興債、復興特区、復興庁)は自民党(と公明党の)発案だから、国益に資するために、それが出来上がるまでは政府に協力すると言っています。郵政改革関連3法案が成立する国民新党は存在意義を失います。

 なので、これら各法案は、第180通常国会で修正法案を審議・採決すればいいのではないでしょうか。第4次補正が出ますので、それと当初予算審議の間にわずかに大臣の体が空きます。この時間と場所を活用する。朝9時から衆参予算委員会があるのなら、朝8時から委員会をやればいいだけの話です。予算が通過するときに本会議が必ず開かれますから、そこに上程すればいいでしょう。そうでないと、後半国会は解散含みになります。民自公の実務者はしっかりと委員会の開催日程まで責任を持ってほしい。

 一方、平成21年度決算(案)と平成22年度決算(案)については、これがあるうちは解散に臨めないと考えたい。ですから、これは年末年始に閉会中審査をして仕上げるべきです。衆院決算行政監視委員会も、参院決算委員会も突貫工事です。全般審査の後の省別審査には財務大臣の同席はいりませんから、財務大臣には予算の組み上げと税制改正に没頭してもらって、大臣を呼ぶ。

 震災によるスピードアップとインターネット審議中継による可視化で、衆参、与野党とも特定の議員に質問の機会も実務者としての苦労も集中する「正念場」となっています。議員の疲労感も大きい。官僚の疲労感も大きい。とはいえ、走り続けていく中で見えなくなる物もあるようです。衆・決算行監委で、「政権交代直後は民主党政府が自民党政権の決算を仕分けていたから良いが、今は民主党政府が民主党政府が組んだ予算を仕分けていておかしい」と指摘された蓮舫・行政刷新相はホンキで驚いたようです。これは分かりそうなもので、走り続けている人は見えなくなるものです。震災国会で、法案の修正協議で何もできなかった議員は、当選回数に関係なくいっぱいいます。そういう人も含めて、年末年始は地元を回る時間も必要ですし、その中で見えてくる物もある。

 1975年には、三木武夫内閣が国会を296日間開きました。しかしこれは波乱の予兆でした。1975年末召集の第77回通常国会は、「ロッキード事件で前後47日間におよび審議の空白と予算成立の5月へのずれ込み」で「国会史上極めて異例な常会であった」(議会制度百年史)と振り返られています。そして、三木内閣は現行憲法下で唯一、解散権を行使できずに任期満了による第34回衆院選を施行しました。結果、過半数を失いました。やはりダラダラやるのははよくありません。同じ理由で、4次補正をやるからという理由で、第180通常国会をあまりにも早い時期に召集させるのも得策ではありません。参院の問題があるとは言え、衆院では議席占有率63%の大与党なのですから、あわてずゆっくりと泰然自若で取り組むべきです。

 12月9日(金)でしっかりきっちり、年の納めをしてほしいと思います。有権者がどう判断するかは別ですが、衆参も、与野党も、2011年震災国会は「終わり良ければすべて良し」ということにしないといけません。

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3つのエントリーに切り分けました お知らせ

2011年12月01日 17時16分00秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

この記事は2011年12月1日に投稿しましたが、2016年6月27日時点でも反響が多いです。

そのため、3つの内容を1つのエントリーにまとめていたのを、内容にそって、3つのエントリーに切り分けました。

内容ごとに次のアドレスをクリックして、お読みください。

平成23年度第3次「復興」補正予算関連法案のうち5法が成立、遅れた法案と合わせて成立へ

ガソリンプール(ガソプー)発言疑惑を笑い飛ばして否定 安住淳財務大臣

竹谷とし子公認会計士「明許繰越」「基金」で国の単式簿記で率直な疑問連発に安住淳財務大臣もエール

 


平成23年度第3次「復興」補正予算関連法案のうち5法が成立、遅れた法案と合わせて成立へ

2011年11月30日 23時59分57秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

(この記事は、2011年初投稿の時点で3つの内容があった記事を1つに切り分けて、2016年6月27日11時半に再投稿しました)

【平成23年2011年11月30日(水)参議院本会議】

 第3次補正予算関連11法案の成立が確実となりました。

 まず、2011年11月30日(水)の参院本会議で次の5法案が可決・成立しました。

 「復興財源確保法(復興債発行法)」(衆院財金委与党筆頭理事の寺田学さんら民自公修正)
 「所得税など国税の改正法(177通常国会の積み残し)」(同)
 「全国防災費の確保のための地方税の臨時特例法」(衆院総務委与党筆頭理事の稲見哲男さんら民自公修正)
 「改正地方税法(177通常国会の積み残し)」(同)
 「地方交付税交付金の総額の特例法」(全会一致)

 の5法です。

 これに先立ち、次の法案が11月29日の衆院本会議で可決し、参院に送られ、審議入りしています。

 「復興特区法案」(田嶋要さん、谷公一さんら民国自公たの5党修正)。

 そして、12月1日(木)の衆院本会議で次の5法案が可決し、参院に送られました。

 「津波防災地域づくり法案」
 「津波防災地域作り法案の関連法整備法案」
 「国民年金法の一部を改正する法案(年金の国庫負担分の消費増税の担保の明確化)」
 「被災者に対する国税などの軽減法案」
 「地方税法の一部を改正して被災者の負担の軽減法案」

 参院に送られた6法案は、参院でも過半数に達する見通しで今国会の当初会期中にすべて成立するのは確実。残る「復興庁設置法案」は修正協議中です。

 これにより、第3次補正予算の歳入の確保と執行に関する法案はすべて成立する見通しが立ちました。

 なお、衆院決算行政監視委員会は、1年半前の第174通常国会に提出されていた「平成21年度予算の予備費の使用調書」について承諾することを決めて、12月1日の本会議に報告し、承諾を得ました。民主党理事は、「本来なら昨年の今ごろしていなければならない案件。国会仕分けから与野党歩み寄りのムードができた」とつぶやいています。遅い!


竹谷とし子公認会計士「明許繰越」「基金」で国の単式簿記で率直な疑問連発に安住淳財務大臣もエール

2011年11月29日 23時59分09秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

(この記事は、2011年初投稿の時点で3つの内容があった記事を1つに切り分けて、2016年6月27日11時半に再投稿しました)

【平成23年2011年11月29日(火)参議院財政金融委員会】

 
[写真]竹谷とし子さん、参院財政金融委員会、2011年11月29日、参議院インターネット審議中継から。

 この後、公認会計士で、昨夏参院議員になった竹谷とし子(たけや・としこ)さん=公明党=から実に興味深い指摘があり、安住さんもしっかり答弁しました。

 竹谷さんは公認会計士として複式簿記の世界で生きてきて、この1年間単式簿記の世界に浸ったことになります。

 国・自治体とも、予算には「繰越明許費」(くりこしめいきょひ)があります。繰越明許費とは、「歳出予算の経費のうち、その性質上または予算成立後の事由に基づき、年度内に支出(歳出)を終わらない見込みのものは、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用できる経費」のことです。(『体系 都財政用語事典』)。予算書のなかに、繰越明許はちゃんと書いてあります。とくに事業・購入金額の大きい国土交通省や防衛省は、繰越明許を活用して、大型の公共財を複数年度で整備しています。

 竹谷さんは次のように質問しました。

 「繰越明許は1年間繰り越せることとなっています。3次補正の成立は11月ですから、今年度はあと4ヶ月間です。1年間繰り越せるとしても最低1年4ヶ月間で予算を執行することが前提となります。しかし、(被災自治体の)復興計画の現状を考えると、来年度末までにとても執行できるとは思えません。例えば津波被害を受けた自治体の高台移転を考えると、移転先の検討、津波被害を受けた土地の買い上げがなされるかどうか分かりませんが、新しいまちづくりとの関係など複雑な利害の絡む合意形成が待っています。例えば、(石巻港など)8漁港の復旧には4年間かかる。それなのに予算が1年3ヶ月で終わるとするなら、ホントウに必要でない事業に(今年度第3次補正)予算が使われる可能性があります。この復興の期間と予算の執行の関係はどうなりますか?」

 これに対して、安住さんは

 「繰越明許費は5兆円を盛り込んでいて、来年度に発注してどれだけ工事が進むかを考えると、私は(5兆円を平成24年度執行分として)積んでおかないといけないと考えます」と答弁しました。

 「えっと繰り越せるということですか・・・?」

 「今の繰越は1年間です。来年の4月から」

 「具体的にどういう事業に充てるのですか?」

 「ですので、繰越明許ではなく、基金にすれば(そのまた)翌年にも繰り越せるので、一つの方法かと思います」と答弁しました。

 このような複式簿記・発生主義会計にない、単式簿記特有の「繰越金」、「基金」といったものについて素朴な疑問をぶつけた竹谷さんのセンスをずっと持ち続けていただきたいです。東京都庁のように国の予算システムを複式簿記にするには30年はかかるでしょう。このような質問は同じく、昨夏、公認会計士から初当選した自民党の若林健太さんもしています。

 そして、安住さんは、竹谷さんに次のように答えました。

 「私も国会議員を15年間やってきて、野党でしたけど、この間、一般会計の透明化、国会のチェックはだいぶ進んできたと思います。ただ、基金など複数年度にわたる予算の執行に関しては、まだ国会のチェックは十分でないと思います。ぜひ(竹谷)議員にもご協力いただきたい」

 安住さん、胆力と情だけの財務大臣ではないようです。

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ガソリンプール(ガソプー)発言、笑い飛ばして疑惑を否定 安住淳財務大臣

2011年11月29日 23時59分04秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

(この記事は、2011年初投稿の時点で3つの内容があった記事を1つに切り分けて、2016年6月27日11時半に再投稿しました)

【平成23年2011年11月29日(火)参議院財政金融委員会】

 29日の参院財政金融委員会は7時間4分間にわたり復興財源確保法案と国税改正法案を審議しました。この法案の採決は、この日の朝の理事会で、自民党らがスケジュールに応じました。自民党からは宮城選挙区選出の愛知治郎・筆頭理事が登場。第177通常国会では、通例衆院から特例公債法案・国税改正法案が送られてくる時期に、「3・11」。その後、法案が8月まで送られてこないというタイヘン珍しい体験をした参院議員です。どういう気持ちだったのか、一度うかがってみたいものです。頼れるアニキ・安住さんはその当時、民主党国対委員長として平日は国会で指揮、土日は地元で被災者に寄り添いました。

 愛知さんは「私たちは同じ被災地、宮城県の国会議員ですから、立場を越えて是々非々で協力したい」と述べると、安住大臣は「愛知先生のおじいさま(愛知揆一元建設大臣)は全県的に貢献されたし、お父様(愛知和男・元環境庁長官)には私が当選後お世話になった」と持ち上げました。

 愛知さんは「とはいえ、議論をするのが仕事ですから、いくつか確認したい」として「3月19日に国対委員長だった安住さんが次のように言っています(という情報があります」としました。

「ガソリンを運んでもスタンドがつぶれていて、貯蔵できるところがない。学校のプールに溜めたらどうだ」

 これについて、頼れるアニキ・安住大蔵大臣(財務大臣に改称)は次のように答弁しました。

 「それはまったく根も葉もない話です。テレビでも一切発言していませんし、記者会見でも。これは週刊誌でもおもしろおかしく書いていたんですけど、私記者の懇談もオフレコもなにもやっていますけど、一切そういう発言はしていません。ですからまったくのガセでして、事実と違います。だいたい既発油性のものがどうなるかぐらい子供でも分かる話ですから、そんなこと言うわけがありません。私は毎週、地元に帰っていましたから、プールの水はトイレに使ったりして十分必要です。寒いからちょうど凍ったりするということですね。そういうわけありません

 と豪快に笑い飛ばしながら、完全に否定しました。

 このガセネタから、安住さんは「ガソリンプール」「ガソプー安住」などと俗称されていますが、これで収束するでしょう。

 7時間4分間で、笑い飛ばしたのはこの場面だけでした。豪快な笑いにアニキの頼もしさを感じました。マニフェストとか、政策とか、そういうのでなくて、今の世の大蔵大臣にふさわしい人だと感じました。

 このエントリー記事の本文は以上です。 


出先機関(総員2436人)の局長が暴言 田中聡・沖縄防衛局長 【追記あり】

2011年11月29日 11時13分52秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[写真]出先機関である沖縄防衛局長の田中聡氏(昭和59年防衛施設庁)=琉球新報から。

 防衛省の出先機関である沖縄防衛局の田中聡局長(昭和59年防衛施設庁採用)が2011年11月28日夜のマスメディア各社とのオフレコ会談で暴言を吐いていたことが明らかになりました。本来は、オフレコ会談での内容は、日程取材などで、発言内容を報じる場合は取材先の事後承諾が必要だとされていますが、琉球新報社によると、懇談会終了後、沖縄防衛局は、琉球新報の取材に対して、「発言の有無は否定さざるを得ない」と述べたそうです。それについて、同社は「発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した」として報道に踏み切ったようです。自民党の石原伸晃幹事長は、監督責任があるとして、一川保夫・防衛大臣(民主党参院議員)の罷免を要求しました。返す刀で、地方防衛局を全廃し、自治体に移管するという手もあるでしょう。

【出先機関・地方防衛局の年間予算は183億円で、2436人が所属】

  防衛省の出先機関である地方防衛局は、全国に8つあり、平成23年度一般会計予算書によると、予算定員は2436人。一般企業の取締役にあたる「指定職」は8人で、田中氏ら8人の局長だと思います。この予算額は7488万円。行政職は2400人で、技能労務職が25人、医療職(看護師)が3人で合計2436人が所属しています。以前は防衛庁の外局である防衛施設庁の出先機関である防衛施設局という名前でした。官公需(調達)などの入札で、不祥事が多い傾向が見受けられる官庁です。

 予算総額は183億円。ほとんどが人件費で、国有資産所在市町村交付金に1679万円、自動車重量税に337万円、交際費に56万円が計上されています。私の知っている限り、地方防衛局はたいてい合同庁舎に入っています。沖縄防衛局は嘉手納町ということですから、一戸建てかもしれません。

 民主党は2009マニフェストで、出先機関の原則廃止と国家公務員の総人件費の2割削減を提唱。関西広域連合から一部受け入れの助け船を受けていないがら、第45期衆議院の任期が折り返した現在も、何一つ進捗していません。

【渡邉恒雄主筆が「特ダネは時々でよい」としてオフレコの順守を求める】

 オフレコに関しては、2011年11月28日付朝日新聞で、渡邉恒雄・読売新聞主筆が、オフレコの約束で、鳩山由紀夫さんと会談したところ、鳩山さんが発言内容を自身のブログに書いてしまい、半世紀を越える政治記者人生で、政治家の方がオフレコの約束を破ったのは初めてだと驚いたエピソードを披露しました。また、ワタツネさんは「特ダネは時々で良い」とも述べています。これは、大きな話をいくつか聞いていても、それの必要性、時機を仕分けして報じることで、取材先の信頼を得て、次の取材につながるということだと思います。私も改めて肝に銘じたいと感じました。政治取材は日程把握と想像力です。社会部のことは分かりませんが、社会部も強制捜査の現場をテレビカメラが待ちかまえていますが、あれもオフレコによる日程取材なんだろうと推測します。このように日程取材のために、オフレコは政治取材では絶対的に必要です。連日の夜回りは時間のムダだと思いますが、今後とも、オフレコ取材(懇談)は続けるべきです。

 ◇

 暴言の内容については、以下の記事でご確認下さい。

「犯す前に言うか」田中防衛局長 辺野古評価書提出めぐり - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

 沖縄防衛局の田中聡局長は28日夜、報道陣との非公式の懇談会の席で、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)の「評価書」の年内提出について、一川保夫防衛相が「年内に提出できる準備をしている」との表現にとどめ、年内提出実施の明言を避けていることはなぜか、と問われたことに対し「これから犯しますよと言いますか」と述べ、年内提出の方針はあるものの、沖縄側の感情に配慮しているとの考えを示した。
県などが普天間飛行場の「県外移設」を強く求め、県議会で評価書提出断念を求める決議が全会一致で可決された中、県民、女性をさげすみ、人権感覚を欠いた防衛局長の問題発言に反発の声が上がりそうだ。
  田中局長は那覇市の居酒屋で、防衛局が呼び掛けた報道陣との懇談会を開いた。報道陣は県内外の約10社が参加した。
  評価書の提出時期について、一川氏の発言が明確でないことについて質問が出たとき、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。
  懇談会終了後、沖縄防衛局は、琉球新報の取材に対し「発言の有無は否定せざるを得ない」と述べた。
  沖縄の米軍基地問題に関連し、女性をさげすむ発言は過去にも問題となった。
  1995年9月に起きた少女乱暴事件後の同年11月、リチャード・マッキー米太平洋軍司令官(海軍大将)が同事件をめぐり、「全くばかげている。私が何度も言っているように、彼らは車を借りる金で女が買えた」と発言し、更迭された。
  田中局長は1961年生まれ。大阪大学法学部卒。84年旧防衛施設庁入庁。那覇防衛施設局施設部施設企画課長、大臣官房広報課長、地方協力局企画課長などを経て8月15日に、沖縄防衛局長に就いた。
  田中局長は非公式の懇談の席で発言したが、琉球新報社は発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した。

【追記 2011年11月30日 午前7時】

 一川保夫・防衛省は29日付で、沖縄防衛局長を大臣官房付にし、沖縄防衛局次長を事務代理とする更迭人事を発令しました。【追記おわり】

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沖縄知事激怒、「一括交付金は民主党マニフェストの1丁目1番地政策」

2011年11月29日 08時41分24秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[写真]沖縄県庁の知事室ホームページ

 報道によると、沖縄県知事の仲井眞弘太さん(昭和36年通産省入省)は2011年11月28日、官房長官(藤村修さん)と会い、平成24年度予算で内閣府が財務省に概算要求している「沖縄振興一括交付金」の新設について、3000億円とし、全額を使途を定めない一括交付金にするよう要望しました。これについて、官房長官は「難しいが、年末の予算編成に向けて頑張る」と述べました。これについて、仲井眞知事は、「一括交付金は民主党が(マニフェストの)1丁目1番地政策で打ち出しており、実現してほしい」としました。

 2009年の民主党マニフェストには、「地域主権 地域のことは、地域が決める。活気に満ちた地域社会をつくります。」との題で、「地域主権を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします」とし、「国のひもつき補助金(社会保障・義務教育関係は除く)を廃止し、地方の自主財源に転換します」としています。

 第177通常国会では、地域主権関連法案(可決時に野党の修正で、タイトルから「地域主権」を削除)と呼ばれた、第1次一括法、第2次一括法が成立していますが、これは義務付け・枠付けの権限の移譲であって、財源の移譲ではありません。権限を移譲して、地方交付税交付金や補助金で裏負担しても何の意味もありません。また、地方一括交付金は、官僚の典型的な手法である「骨抜き」により、内閣府の地域自主戦略交付金という偽りの改革にとどまっています。

 民主党は自治労という有力な支持基盤がありますが、国家公務員労組の支持はありません。唯一「社会保険関係労働組合」が自治労に加盟していましたが、自民党安倍政権によって、社会保険庁は日本年金機構になっています。ですから、地方一括交付金化と国家公務員の総人件費2割カットはクルマの両輪といえる政策です。それに国家公務員には、与党になってから政権運営面で手助けを受ける中で関係が密接になっただけであり、衆院小選挙区で勝つためには、国家公務員の力は必要ありません。ですから、平成24年度予算で、まずは沖縄振興一括交付金を3000億円つけて、他の46都道府県の一括交付金化や、出先機関改革(国税局は現状維持、近畿地方整備局と近畿地方農政局は関西広域連合に移譲、行政評価局は会計検査院に付け替え、法務局は基礎自治体に完全移譲など)を訴えて、第46回衆院選にのぞめば、万が一勝った場合は一気に法案を通すことが可能です。ちなみに、現在の民主党政権はかなりレームダック化しているので提出中の国家公務員給与引き下げ法案の成立は不可能だと考えられます。そのため、今年度人事院勧告は実施しておいた方が、与党になろうが、野党になろうが、民主党のためになるでしょう。

 つくづく、鳩山由紀夫首相が総務大臣の人選に失敗したことが悔やまれます。


[画像]マニフェストを見せながら質問する西村康稔・影の財務相、2011年11月22日の衆院財務金融委員会。

 元総務大臣政務官で、地方制度調査会(地制調)委員の民主党衆院議員、逢坂誠二さんは2011年11月29日早朝配信のメールマガジン「『逢坂誠二の徒然日記』その1587」で民主党地域主権調査会の第9回総会について、次のように書いています。

[逢坂誠二の徒然日記 その1587から引用はじめ]

地域主権調査会
同じく昨夕、地域主権調査会第9回総会が開かれました。

出先機関、一括交付金などについて、
政府事務局から話を聞き、議論しました。

一括交付金、出先機関ともに否定的な意見が大勢を占めました。

事実関係の説明であるにも関わらず、
発言を撤回しろなどの罵声も飛び交って、
議論という雰囲気にはほど遠い印象を受けています。

今後、政府とも調整が必要になりますが、
険しい道のりが続きそうです。

[引用おわり]

 この罵声を浴びせた議員というのは誰なのか、正直私も分かりません。民主党はしっかりまとまってほしいと思います。なぜ大阪府知事、大阪市長選で推薦候補が大敗したのか、まだ分かっていないようです。

 なお、あす11月30日、総務省が政治資金収支報告書の平成22年(2010年)暦年の定期公表分(総務相届け出分)をインターネットで公開します

 


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民主党大阪府連幹事長の尾立源幸さん、「出先機関一つ移せないモタモタ感へのレッドカードだ」

2011年11月28日 23時16分23秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]防災服姿で衆院総務委で答弁する財務政務官当時の尾立源幸さん、2011年3月26日=衆議院インターネット審議中継から、キャプチャ。

 民主党大阪府連幹事長で、参院財政金融委員長の尾立源幸さんは2011年11月28日のBS11「インサイドアウト」で、「(国の)出先機関ひとつを(自治体や広域連合に)移すにも、(政権交代から)2年、3年経っても一つもできていないモタモタ感に、いい加減にしろというレッドカードを突き付けられた」ことが大阪秋の陣の歴史的完敗につながったとの考えを示しました。

 尾立さんは「大きな維新台風が吹いた。市長選の投票率は前回比17ポイント上がった」として、投票率が上がった分の投票者が大阪維新の会の松井一郎知事、橋下徹・次期大阪市長に投票したとの分析結果を示しました。そして、国会議員の立場から「中央の政治はスピード感がないと言われる。自民党政権で(2007年に)衆参ねじれになって、このところ4~5年間続いている。とくに大阪は閉塞感が強い」「大阪府と大阪市の二重行政(の解消)はずっと前から言われていたんです。そこで、同じ維新の系統の人が、府と市(の首長)に座ると言うことで、(有権者が)スピード感を感じたんだと思う」としました。

 民主党国会議員として「我々がいけなかったのは、地域主権(地方分権)を訴えながら、今ある政令市を大きくしていくのか、小さくしていくのか党の中で議論されていなかった。その中で、大阪都構想が出されたので、対応できなかった」とも指摘しました。

 そして、「地域主権は色とりどりだ」として、大阪らしい自治制度の構築で連携していく考えを示しました。

 政調副会長として、2009マニフェストにかかわった立場から、「マニフェストでは4年間で9兆円を(ムダ削減で)出すと言いながら、現時点で4兆円しか出せていない」として、残りの5兆円は、提出中の国家公務員給与引き下げ法案が成立すれば、かなり埋められるとしました。日本国債や日本株が堅調な11月の経済情勢については、「欧州各国の消費税率は20%台だが、日本は5%なのでまだまだ上げられるとの期待感が国際マーケットにある」としながら、「総理に語ってほしい。自民党政権時代の税法附則104条で消費税増税法案を出すことになっていますでは発信力が弱い」として、古川元久・税と社会保障の一体改革担当大臣に、野田佳彦首相から国民への直接のメッセージを出させるよう話したことを明らかにしました。年末を予定している税・社一体改革大綱などを念頭に、「党内がまとまっていることが大事だ」としんみりとつぶやきました。



 尾立源幸(おだち・もとゆき)さんは民主党の参院大阪選挙区選出(2016年改選)で、参議院財政金融委員長です。逆転の夏の後の「民主党の青春」期では法案の嵐作戦で、「年金流用禁止法案」(筆頭発議者は蓮舫さん)、「農業者戸別所得補償法案」(筆頭発議者は平野達夫さん)といった参法を、官僚の手助けなしに、参院事務局・法制局らと一緒につくりました。徹夜の作業の仲間は、参院民主党政審会長だった福山哲郎さん、筆頭副会長だった大塚耕平さんです。類は友を呼ぶ。この仲間を見ただけでも、尾立さんが優秀な政治家であることが分かります。その証拠に、政権交代後は財務政務官として東日本大震災を経験しました。

 第178臨時国会からは、参議院において財政金融委員長を務めています。この先タイヘンです。実に政治家らしい仕事です。例えば、早ければ3月上旬に平成24年度の特例公債法案が衆院から送られてきてたっぷり議論して、採決して、可決して本会議に上げられればいいでしょう。これには3党合意が前提になります。あるいは、否決して、本会議に委員長報告をして、衆院に送り返すことになるかもしれません。そこで解散かもしれません。この段階で、2010年のねじれ国会後は影をひそめた強行採決となり、尾立さんは殴られながらも涙をこらえてマイクを持って採決して、悠然と委員会室を去る仕事をしなければならないかもしれません。法案が来ないまま、衆院選になる可能性もあります。例えばことしの第177通常国会では、一般質疑の格好で、自民党の林芳正さんが野田佳彦財務大臣に「早く送れ」と迫りながらも、まだ来ない法案の質問をそれとなくしていて、能力の高さを感じました。タイヘンマジメな荒木清寛・公明党財金委理事は、予算委員会にさしかえで登場し、「早く送って下さい」と菅直人総理に迫っていました。

 さらに、尾立さんはタイヘンです。第46回衆院選で、大阪府は、定数是正で平岡案(5増9減)が採用されると、1減で全18選挙区、大阪1区~18区となります。当然にして、区割りは大幅に変わります。ここでも、尾立さんの力が試されます。まさに正念場となる次の通常国会と第46回衆院選。注目度は維新コンビの0・1%以下でもいいですから、尾立さんのいぶし銀の活躍に期待しています。見ている人は必ずいます。



ひとつひとつ、乗り越えていく。

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石破茂さん、税・社一体改革大綱は年内でないと「そうとうきつくなる」、4次補正「なぜやるか分からない」

2011年11月28日 21時49分30秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法


 衆院予算委員会与党筆頭理事で自民党(鳥取1区)の石破茂さんが2011年11月27日のTBS「時事放談」に登場。

 小沢一郎氏が「消費税増税を強行するなら党運営は厳しくなる」「今、選挙があったら特攻状態だ。出撃したら、何人帰ってこられるか、帰ってこられなくなる」との見方を示したとされる報道について「

 だから何なんだ

 」と語りました。その上で、「小沢さんは、消費税は上げませんと。TPPも小沢さんはあまり発言していないけど、TPP反対の人は小沢グループが多いですけどね」として、年末にかけての小沢グループによる民主党分裂に期待をのぞかせました。「もちろん自民党もキチンとしないといけない。TPPに入るなら、(24分野などのうち)これと、これと、これをやります、とキチンと示さないといけない。消費税については、なぜ上げないといけないのか示すべきだ。それをしないから、自民党の支持率が下がっているわけだ」と話しました。石破さんは9月の定例人事で、役員会から外れましたから、多少自由な立場で見通している感じがします。

 司会の御厨貴さんが、「社会保障と税との一体改革大綱」について、今国会延長により、決定を越年させる機運があることについて話を向けました。

 石破さんは、「それはね、そうとう(民主党政府の)次の一手がきつくなりますね」とし、税・社一体改革大綱は年内に決定した方がいいとしました。私も賛成です。

 そのうえで、「だれが言わせたか知らないが、第4次補正予算(案)ということを、口走る人(=野田佳彦総理・安住淳財務大臣)が出てきたわけです。なんで第4次補正か、私はまったく分からないが、(TPP交渉の事前協議への参加表明の見返りとしての)農業対策だというんですね。それがなんで4次補正かさっぱり分からないが、そういうことになると、全部の日程が押してくるわけですよ。そうすると予算の年度内成立もほぼ絶望的になる」と語りました。私も石破さんの意見には賛同しますが、あくまでも技術論としては、第180通常国会を1月上旬に召集すれば、来年度予算案の年度内成立は十分可能です。しかし、おおむね、石破さんの言うとおりです。

 石破さんは言葉をつなぎ、「そうすると、消費増税準備法案というんですか、それの成立が、そうとう難しくなる。ホントウに正念場がいきつくところまで行ってしまってどうにもならない局面になる可能性が高い」と警告しました。

 まず、JA全農がTPPでさほど怒っているようにも思えないので、4次補正はしなくても、大丈夫なのではないでしょうか。すでに総理は先週の答弁で、4次補正をしないと思える発言をしています。通常国会の召集日を1月の前半に持ってくると、全体的に総崩れになってきます。それと、報道によると、石破さんは「自民党石破派」の結成をめざしているようですから、あまり総選挙が早くなると困るという事情も、ひょっとしたらあるのかな、と感じました。

 いずれにしろ、税・社一体改革大綱は年内に決定すべき。4次補正はやるべきではない。これは石破筆頭理事の発言に私も大いに賛同します。日本のために、2大政党、民公自の正念場です。

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ひとつひとつ、乗り越えていく。玄葉光一郎外相、日米地位協定の刑事裁判権の運用で前進

2011年11月28日 10時05分11秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[写真]玄葉光一郎外相とクリントン国務長官、2011年11月11日、ハワイ、外務省ホームページから。

 玄葉光一郎外相(衆院福島3区)は2011年11月24日、日米地位協定の運用の見直しで、日米政府が合意したと発表しました。

 日米安保条約、日米地位協定という書き方しかされませんが、実際には、「日米相互協力および安全保障条約」であり、その第6条に基づき「(在日米軍の)施設および区域ならびに日本における米国軍隊の地位に関する協定」です。いわば、法律と政令のような組み合わせになっています。

 私もていねいに読んでみたら、日米地位協定の第17条に刑事裁判権の規定があります。このなかで、1の(b)に「日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員および軍属ならびにそれらの家族に対し、日本国の領域内で犯す罪で日本国の法令によって罰することができるものについて、裁判権を有する」となっています。

 今回の運用見直しにつながった、ひき逃げ事件は当然にして、日本の領域内で犯した罪です。

 しかし、第17条の3に「裁判権を行使する権利が競合する場合には、次の規定が適用される」(a)「合衆国の軍当局は、次の罪については、合衆国軍隊の構成員または軍属に対して裁判権を行使する第1次の権利を有する」()公務執行中の作為または不作為から生ずる罪」とあります。すなわち、今回は基地から家に帰る途中なので「公務執行中」であり、「軍属に対して」「合衆国の軍当局」が「裁判権を行使する」ことの「第1次の権利を有する」ことになります。しかし、第1次の権利を持つ、ということですから、今回はアメリカがこれを放棄し、日本の検察・裁判所が裁判権を持ったという意味なのだと思います。

 玄葉外相は26日(土)、沖縄県を訪れ、仲井眞弘多知事と会いました。仲井眞さんは「県民の中には地位協定の抜本的な改定という要求が強くある」としながらも、「一歩一歩解決していただくのは大変ありがたい」と述べました。

 それにしても、上の日米地位協定、「()」という記号どうやって打つのかなと思ったら、ワープロで案外と簡単に変換できるものですね。

 ところで、日米安保条約の前文をみなさんは読まれたことがあるでしょうが。私もこの機会に初めて読みました。日本とアメリカという空間軸、50年間の平和と繁栄という時間軸を大きく感じさせる物でした。

 日米相互協力および安全保障条約

 日本国及びアメリカ合衆国は、
 両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、
 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、
 両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、
 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、
 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、
 よって、次のとおり協定する。


 これが日米相互協力および安全保障条約の前文です。

 まあ、何か押しつけ憲法といわれる日本国憲法前文と似ています。憲法制定の1946年から14年後の1960年発効の二国間条約ですので、日本語はこなれています。

 TPP(環太平洋パートナーシップ条約)の交渉の事前協議に野田政権は参加しています。それは太平洋を隔てた永遠の隣国であるアメリカと日本の一層緊密な経済的協力を促進し、経済的安定や少子高齢化に悩むわが国の福祉の助長につながります。例えば、日米同盟(日米安保条約)がなくて、わが国のバブル経済がありえたはずがありません。そのころ、日米では日米構造協議がありました。これは、Structure Impedement Ivolvement であり、日本語に翻訳するなら、「日米構造障壁協議」とすべきですが、「日米構造協議」となっています。おそらく当時の通商産業省がそう訳したのでしょう。しかし、今はそのようなごまかしは利きませんから、TPPに関しては国民的な議論が必要な情報を公開しないといけません。またオールジャパンで人材を活用しないといけないです。

 わが国は幕末から不平等条約に悩まされてきました。しかし、日米安全保障条約はわが国ないし極東の有事の際に米軍が平和を維持するのに対して、アメリカの有事において自衛隊の義務づけがない、わが国にとって有利な不平等条約、片務協定、片肺同盟です。日本列島の防共の砦、太平洋の防波堤としてのプレゼンスは薄くなりました。しかし、太平洋をこれからも世界でイチバン平和で豊饒の海にしていくためには、変わるときは変わらないといけません。つまり、何事も程度問題です。TPPに関しては、JA全農がハチマキをしめたのが運動論としていけなかったという指摘があります。そして、TPPに参加する政治家は、やはり政治とカネの問題がない、国民から安心して委託できる政治家ではないといけないでしょう。その点では、日本の伝統的な名家である、造り酒屋の息子である玄葉さんは適任者だと考えます。それにしても、ミッションスクール卒業生の外相が初めてとは驚きです。内田康哉外相が同志社で英語を学んだようですが、東京帝大卒です。日本が今までいかに人材の配置が下手な国だったか。それが政権交代で改善され、反動はあるかも知れませんが、2大政党間での政権交代を繰り返すことで、スピード感のある人材活用ができるようになるでしょう。

 2011年11月27日の大阪府知事選で松井一郎さん、大阪市長選で橋下徹(はしもと・とおる)さんが当選しました。ともに40歳代で、おととし末に「大阪維新の会」を結党した3人のメンバーだそうです。もう1人は大阪府議会議長だそうです。大阪市長は57歳ぐらいがこれまでの最年少だったそうなので、42歳の橋下さんは当然最年少市長。府知事と市長が40歳代コンビになったのは初めてでしょう。これは、インターネットの登場により、傑出したリーダーが自らの政治理念を「説得」し、構図を設定することで、既存の各種団体の総攻撃に勝ったものでしょう。日本では、バブル崩壊とテレビの影響などの社会化で、地方経済が停滞していますが、大阪経済は死んでいます。ここまで追い込まれなければ、橋下さんのような傑出したリーダシップが各種団体の猛攻に勝てなかったのでしょう。大阪都構想の統合検討本部(松井本部長、橋下副本部長)ができるそうですから、「国と地方の協議の場」のほかに、「国と維新の協議の場」を設けて、地方自治法改正案ではなくて、大阪都構想特別措置法案を民公自3党合意で、第45期衆議院に提出し、成立させるのが賢明でしょう。そして、各種団体の会合でスピーチすることが日常活動であり、小選挙区に勝つ方法だと勘違いしている民主党の1期生はどうにかならないものでしょうか。私には各種団体の会合でスピーチすると小選挙区に勝てるという論法がまったく理解できない。きょうの朝日新聞で、渡邉恒雄・読売新聞主筆も「1党の人数は280人~300人が限界」と述べています。衆院を小選挙区比例代表連用制(比例80人削減)、参院を11ブロック大選挙区1票連記制にして定数42人削減すると、そのくらいが政権党としてもちょうどよくなります。何事も程度問題です。良い塩梅が繁栄につながります。きょうから会期末(12月9日金曜日)の前週のスタートです。すなわち仕上げる法案を仕分けなければいかません。メドがついている復興財源確保法案など第3次補正予算関連5法案、復興特区設置法案。そして、未提出の衆議院選挙区区割り画定審議会設置法改正案(1人1枠方式の廃止)までで限界でしょう。

 民主党本部が模様替えしました。



 ご覧のように、会見台の後ろに「ひとつひとつ、乗り越えていく。」という野田佳彦首相のポスターが張られるようになりました。

 

 今回の日米地位協定の運用の見直しもその一つです。

 ひとつひとつ、乗り越えていく。

asahi.com(朝日新聞社):地位協定の運用見直しを評価 沖縄知事、玄葉外相と会談 - 政治

玄葉光一郎外相は26日、沖縄県庁で仲井真弘多知事と会談した。玄葉外相は、在日米軍に勤務する民間米国人(米軍属)の公務中の犯罪で日本が裁判権を行使できるよう日米地位協定の運用を見直したことを説明。仲井真知事は「感謝する」と歓迎した。

 会談では、仲井真知事が「県民の中には地位協定の抜本的な改定という要求が強くある」と指摘。そのうえで、今回の運用見直しに「一歩一歩解決していただくのは大変ありがたい」と評価した。玄葉外相は「これからも事件事故、環境騒音の問題で全力を尽くしたい」と伝えた。

地位協定改定訴え 支援団体「米兵、軍属、日本で裁判を」 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

 今年1月に沖縄市で交通事故を起こし、男性(19)を死亡させた米軍属、ルーフェイス・ラムジー被告(24)が、事故から10カ月過ぎて在宅起訴された。息子を失った一人の母親の怒り、悲しみが世論、日米政府を動かした結果の起訴。支援者は「ほっとした」と一定の評価をしたものの、「抜本的な解決はされていない」と運用改善でなく日米地位協定の改定をあらためて求めた。
 起訴を受けて支援団体は25日午前、県庁で会見を開いた。男性の母親は「一応はほっとした。しかし公務中であろうが公務外の事件であろうが、日本国内での米兵、軍属の裁判は当然日本の裁判所で裁くよう、地位協定を変えていかなければならない」というコメントを池宮城紀夫弁護士を通して発表した。池宮城弁護士によると母親は日がたつにつれ、悲しみが深くなり夜眠れない日もあるという。
  男性の高校の同級生で、支援団体共同代表(21)は「起訴になったことは良かったが、これは本当は当たり前のこと。日本政府の動きが遅い。10カ月何をやっていたんだ」と怒りをぶつけた。
  支える会には過去に米軍絡みの事故で家族を失った人も。1950年ごろ、父親を米軍車両の事故で亡くした女性(75)=北谷町=は「復帰して40年たとうとしているのに、いまだにこんなことが起こる。この間、泣き寝入りしてきた人は多い。不平等な地位協定を改定してほしい」と訴えた。
  支援団体は地位協定改定を求める署名活動を展開。現在までに6万2千筆が集まっており、来月上旬ごろ国に届ける予定。団体事務局長は「主権国家として自国民を守る立場をしっかり持ってほしい」と話した。

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自民党は決算委員長の仕事をしないで解散風を吹かすな 【追記あり】

2011年11月25日 21時31分27秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[写真]衆・決算行政監視委員長の新藤義孝さんと参・決算委員長の山本順三さんの2人の自民党議員。背景の自民党本部写真は筆者が撮影した物。

【衆参とも決算委員長を務める自民党は、決算審査を終えてから解散風を吹かすべきだ】

 政府は、会計検査院の意見をつけて、2011年11月22日(火)に、衆議院と参議院に別々に「平成22年度決算(案)」を提出しました。財政法では通常国会冒頭に出すことになっていますが、最近では会計検査院が頑張っていて、秋の臨時国会に提出しています。

 衆院決算行政監視委員会は、24日(木)に10分ほど会議を開き、「平成21年度の予備費」の国会での事後承諾を求めるという議案について、安住淳・財務大臣から趣旨説明を聴取しました。予備費とは、 当初予算に通例1兆円盛り込まれていて、その範囲内で災害の復旧工事などで、閣議の決定で歳出することができるお金で、翌年度に国会の事後承諾を受けることになっています。

 今後、この予備費の使用調書を審査して、その後に平成21年度の決算(一般会計、特別会計、政府関係機関など)の審査をします。そして、そのまた後に、平成22年度の決算の審査をするのでしょう。

 夏休みの宿題が溜まった小学生時代を思い出すのは、私だけではないでしょう。 

 ちなみに、日本中のほとんどの地方議会はすでに平成22年度の決算審査を終えています。

 平成21年度決算(案)は、自民党麻生政権が当初予算を編成し、4月に第1次補正で14兆円増額し、政権交代後の10月に民主党鳩山内閣が第2次補正で歳出の減額などの補正をしたものです。ですから、審査が難しいのは分かっていますが、それとこれとは別です。

 衆・決算行政監視委員長は新藤義孝さん(埼玉2区)、参院決算委員長も、自民党で、山本順三さん(愛媛県選出)が務めています。衆参とも決算委員長は自民党なのですから、第46回総選挙での政権交代をめざすうえで、平成21年度決算は当然として、平成22年度決算も府省別の審査や総理への総括質疑をし、議決したうえで、解散を求めるのが当然でしょう。衆参とも平成22年度決算審査が仕上がっていない状態で、選挙をやっても、どちらが勝っても、その政権は上手く行かないでしょう。仮に決算審査が意味のないセレモニーだとしたら、国会など不要です。

[追記 2011年12月7日(水) 午後1時]

 補足します。参・決算委員会は3月11日に平成21年度決算(案)の全般質疑をしましたが、これが震災のため、休憩・散会となり、5月から審議を再開しました。その後、省別審査を終えて、12月7日の決算委員会でしめくくり総括質疑となります。一方、衆・決算行政監視委員会は平成21年度決算(案)について、趣旨説明を受けていない段階です。衆参での審査の進捗度に関する認識が私の中で違っていたことに気付きましたので、補足しました。[追記おわり]


 決算(案)は他の議案と違い、衆院先議などが該当せず、両議院が別個に審査し、別個に議決(認定、不認定)することができます。

【第179臨時国会は延長せず12月9日(金)で閉会すべきだ】

 第179臨時国会は会期末まで残り2週間となりました。第3次補正予算(東日本大震災復興、原子力被害の賠償や研究など、全国自治体の防災対策、年金財源の安定化、台風19号復旧、B型肝炎賠償の基金の新設など)を成立させることができました。また、本来は一体的(同時)に成立させるべき歳入関連5法案(復興債発行、平成23年度税制改正積み残し、地方交付税増額法案、全国防災費のための地方税措置)が参院本会議できょう25日審議入りしました。5法案は衆院段階で3党修正が入り、賛成多数(日本共産党が反対)ないしは全会一致で可決していますので、参院でも過半数を上回り成立する運びです。

 東日本大震災復興基本法にもとづく、3点セット、復興債・復興特区・復興庁は、復興債が上述の通り、参院で審議入りし、参・財政金融委員会(尾立源幸委員長=民主党)が審議していて、成立の見通し。復興特区は、衆・復興特別委(古賀一成委員長=民主党)が審議していますが、衆参与野党による修正協議がまとまっており、修正可決のうえ、参院に送られ、おそらく会期内に成立するでしょう。復興庁設置法も衆院本会議で代表質問が済みましたが、閣法の「本部は東京」「他府省に勧告できる」という部分が「本部は仙台」「他府省を上回るスーパー官庁に」という意見がでており、難航しています。

 それと、2大政党と7中小政党が話し合っている衆院の定数是正・定数削減・選挙制度改革の3点を協議する会合(座長は民主党幹事長代行の樽床伸二・衆院議員)がもめています。ただ、内閣府にある「衆院選挙区区割り画定審議会(村松岐夫会長ら7委員)」の設置法にある「1人1枠方式」を定めた条文では、民主党の樽床座長と自民党の細田博之さんの間で削除することが合意できていますので、議員立法で今国会中に改正区割り審設置法が衆参で過半数以上で可決します。しかし、民主党参院議員会長と民主党幹事長を兼ねる輿石東さんが、慎重な姿勢をもっています。定数削減と選挙制度改革は来年に持ち越しになるでしょうが、定数是正に関しては、今年中でないと、来年2月25日の総理への新区割りの勧告に間に合わないでしょう。ぜひ今国会中に成立させるべきです。なお、新区割りの勧告の後、衆参で公職選挙法改正案が成立させる作業が必要です。しかし、区割り審の村松会長が総理の野田さんに勧告した時点で、第46回衆院選の区割りは分かるので、改正公職選挙法が成立すれば、周知期間をおかずに、すぐに総理が解散しても合憲合法だという学説や解釈が有力です。さらにいえば、現在第1党の民主党にとっては、抜き打ち的に解散した方が有利である可能性が高いと考えられます。

 このように様々な神経戦が行われている大震災イヤー納めの第179臨時国会です。今週辺りでは、野田総理や、安住財務大臣の答弁は安定しています。しかし、川端達夫大臣などはかなり答弁がキツイ状態になっています。おそらく文科大臣のときは、文部科学省という一つの役所でしたが、現在は、総務省と内閣府地域主権本部、内閣府北方対策本部、内閣府沖縄振興局を兼ねているので、優れた組織人である川端さんには、かえって手の抜き所や大づかみな議論が分からなくなっているのかもしれません。このほか、自民党議員が「質問通告しましたよ」としながら、民主党大臣が「質問通告は受けていないと思いますが・・・」と口ごもる場面がより増えてきました。

 私は第179臨時国会は当初会期通り12月9日(金)で閉会すべきだと考えます。そのうえで、衆参決算委員会は閉会中審査で決算審査をすべきでしょう。いずれにしろ、大臣は土日も閉会中も東京にいなくちゃいけないので、予算編成・税制改正に余り関係ない大臣、例えば、人件費が中心の法務省や外務省の大臣を衆参で午前と午後のたすき掛けで呼んで、ドンドン府省別審査を進めればいいでしょう。

【野田首相が4次補正を組まない可能性に言及、できれば時間の余裕ある年始に】

 また、野田佳彦首相がきょうの参院本会議で、二重ローン軽減法(片山さつき法)などの追加財政需要を予備費で対応し、今年度はもう補正予算を組まない可能性に言及しました。その方が、年越し後、じっくり準備してから、第180通常国会にのぞむことができます。私はその方が賛成です。

 解散風が吹くとどうしても、あわてふためく人がいますが、こういうときこそ、君子は本を務む、本立ちて道生ず。しかっり決算を審査して、たっぷり時間をとって来年の計をはかる。二大政党どちらが勝とうと、しっかり日本を立て直すには、それしかありません。


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3次補正予算が成立 自民党が討論で「これをもって協力は終わります」と宣言

2011年11月21日 13時32分59秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]平成23年度第3次補正予算(案)の賛成討論に立つ民主党・新緑風会の金子洋一さん、2011年11月21日、参議院インターネット審議中継から。

【2011年11月21日(月)参・予算委】

 民主党は高知県選出で自治労組織内の武内則男さんが質問しました。人事院勧告不実施を求めました。

 続いて、自民党からは礒崎陽輔さんが登場。「給与引き下げ関連法案はことしの人勧を内包している」と答弁する川端達夫総務相野田佳彦首相に対して、「人勧を実施して、給与引き下げ関連法案を成立させればいい」と反論。そのうえで「じゃあ、聞きましょう、野田総理は連合と人勧不実施を約束しましたか?」とストレートな質問。これに対して、総理は「給与引き下げ法案の成立だけで、それ以外はない」としました。礒崎さんはたたみかけて、「あるんでしょう。人勧不実施で、労働協約締結権を得たいんでしょう」として、労働協約に多少の理解は示しながらも、「ひきょうなやり方だと思いますが、どうですか?」と質問しました。

 この間、答弁の不一致などで山本一太・野党側筆頭理事の抗議でたびたび審議がストップしましたが、石井一委員長が「礒崎さん、あなたも理事なんだから、後で理事会で協議しましょう。質問を続けてください」と切り返しました。


[画像]安定した運営をした石井一・参院予算委員長。
 公明党の浜田昌良さんは、TPPの説明責任について質問。野田総理は「すべての外交交渉は2項対立ではないと思います」と答弁しました。浜田さんは「私も(通産省出身でもあり)自由貿易は推進する立場ですが・・・」と現在の公明党の党議と若干違和感がある切り返しをしました。

 浜田さんの「ウォール・ストリートの格差是正デモが起きている理由はなぜか」との質問には、財務大臣の安住淳さんが「行きすぎた金融市場が実態経済からかけ離れているのが原因だ」と答弁しました。これはともに、ペーパーをみずに、自分の言葉で答弁したようすで、こういう根本中の根本の状況認識で、総理と財務大臣が背骨の通った答弁をしたことはタイヘンな安心感・安定感がありました。

 このほか、浜田さんは原子力被害者への賠償支援について質問しました。ただ、これ以外の委員はほとんど3次補正予算のメニューへの質問がなく、残念でした。また、浜田さんはペーパーを見ながら「ところで野田総理はトインビーの信奉者でしょうか?」というなぞの質問をし、総理はトインビーの言葉についての感想は述べませんでしたが、質問そのものには答えませんでした。何だったんでしょう。国会も疲れるわ。

 この後、討論の中で、自民党の赤石清美さん(全国比例、2016年改選)が賛成討論に立ち、「この補正を持って自民党は協力を終わります」と宣言しました。かねて見通し報道がありましたが、ハッキリと議事録に残りました。そのうえで、赤石さんは「これからは閣僚の資質を追及していきます」としました。公明党の竹谷とし子さんは「公明党の提案が一部盛り込まれた」「今後は予算の執行が大事だ」と賛成しました。一方、日本共産党の田村智子議員は「復興債の償還財源を庶民増税に頼っている。その一方で法人税など大企業減税が進んでいる」として反対討論しました。

 この後、採決され、民主党、自民党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本・新党改革、社民党・護憲連合が賛成し、正午前に可決しました。

【2011年11月21日(月)参・本会議】

 平田健二さんが初めて議長席に座りました。

 石井一・予算委員長が報告。その後の採決で、平成23年度第3次補正予算が可決、成立しました。投票総数は231、賛成225、反対6。

 この後、野田首相のホノルルAPEC(アジア太平洋経済協力)やバリ島でのASEAN+3(東南アジア、日本、中国、韓国)などの2週にわたった国際会議の報告とそれに対する代表質問。

 またこの後、片山さつきさんら提出の「二重ローン軽減法案」(「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案」=第177回国会参法第12号)の衆院修正部分の回付案が可決・成立。みんなの党は、「参法の共同提出者の自民党や公明党には大変申し訳ないが、衆院での修正部分に納得できない」(先週の委員会での桜内文城さんの討論)として反対。先週の委員会では、片山さんが「JA(農協)、JF(漁協)、商工会議所の窓口になってもらいたい。銀行の支店までは、(被災者の方は)行けないですよ」と答弁しており、少し残念な気もしますが、それは現実だと思います。


 衆院先議が原則のため、参院本会議は、会期末前日ごろに17本ほどの日程(議案)が集中したりすることがよくあります。ただ、会期末まできょうを入れて14営業日ある時点で、これだけてんこ盛りの本会議は異例です。これは課題が先送りになってきた証拠ですが、逆にスピードアップしているともいえます。現時点で良し悪しは判断できません。

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