宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「ねじれ新国会」は佐藤正久さんが先陣 参院野党提出の新法成立は憲政史上初 仮払い法

2011年07月29日 17時52分44秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]自民党参院議員(シャドウ防衛副大臣)の佐藤正久さん=本人公式ホームページ。

 平成23年(2011年)7月29日(金)、新しい日本、新しい国会の幕開けです。

 参院自民党の佐藤正久さんらが提出していた「原子力災害の仮払い法案(平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案)」(177参法9号)が衆院からの回付案(修正案)を本会議で採決し、賛成231、反対6の「多数をもって本案の衆院修正を同意」し、可決・成立し、法律となりました。

 野党参院議員だけが提出した参法で、修正案ではない「新法」が成立したのは、佐藤法が憲政史上初めてとなりました。現行法の改正案を含めても、後に副総理になった久保亘(くぼ・わたる=クボタン)さんらの議案以来、憲政史上2本目となります。

 改正案を含めたすべての参法では、野党提出では過去1回成立しています。第82回国会の昭和52年(1977年)10月25日に提出され、第84回国会の昭和53年(1978年)5月12日に衆院回付案を可決・成立した「女子教職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の改正案」(第82国会参法第1号)です。この法案の筆頭発議者の久保亘さんはのちに副総理・大蔵大臣になっています。久保さんは事実上初のねじれ国会となった第116回国会の召集日である平成元年(1989年)の9月28日に「消費税法を廃止する法律案」(116参法1号)を提出しており、この審議はTV中継もされました。このとき同僚の「野党にも政権担当能力があるのは、(久保さんらの)答弁を見ていれば分かるじゃないですか!?」というヤジがNHKの音声に入ったのをよく覚えています。

 あまり知られていませんが、久保さんは民主党の結党メンバーで、長老として民主党倫理委員長を務めました。

佐藤法審議入りのようすの関連エントリー)「再ねじれ」から1年、「3・11」から4ヶ月 それぞれの“再スタート”

 その久保さん以来となる、天皇陛下の御名御璽が入って公布される参法の筆頭発議者がヒゲの隊長・佐藤正久さんとは、私もうれしいです。というのは、このブログを始めた2007年8月4日が、ヒゲの隊長にとっても、参議院初登院の日でしたし、そして、外交防衛委員会に配属され、北澤俊美委員長と丁々発止のやりとりをたびたび見てきたからです。この委員会は私が野党時代イチバン現地で傍聴した回数の多い委員会です。北澤委員長と佐藤議員の時代は、いつも委員長にやりこめられていただけの記憶があります。おととしの通常国会で、俊美さんは外防を外れましたが、、政権交代で防衛大臣になり、再び、北澤・佐藤のバトルを見られるようになりました。

北澤・佐藤問答の関連エントリー)政治家の「覚悟」とは? 北澤大臣とヒゲの隊長が問答

 そのころから、隊長は独り立ちした参議院議員になった印象があり、「やはり陸上自衛隊で一等陸佐まで行く人は、国会でも良いところまで行くな」と思いました。今調べたら、佐藤さんのことについては、当ブログ内でも15本以上のエントリーで言及(http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/s/%BA%B4%C6%A3%C0%B5%B5%D7)しているようです。

 投票は押しボタンではなく、自民党などの提案で、記名投票採決がとられ、投票総数237、賛成231、反対6でした。日本共産党が反対したものと思われます。

 前回のねじれ国会では野党の参法は、まず、「年金流用禁止法案」が参院で可決しました。筆頭発議者は民主党本部政調会長だった直嶋正行さんでしたが、主要な答弁者は1期生の蓮舫さんでした。しかし、衆議院では審議してもらえませんでした。次に「農業者戸別所得補償法案」が参院で可決し、衆院でも審議させてもらいました。平野達男さんがほとんどの答弁を手がけ、野党なので数字がなく、勧進帳状態で答弁をこなしました。衆議院段階では、けっこう数字のデータも入ってきて、なぜ参院を通過して衆院に行くと、データが入ってくるのか若干不思議な感覚もしましたが、もちろん衆院では数の下否決されました。そして、国民新党の自見庄三郎さんが筆頭発議者の「郵政民営化一時凍結法案」は参院通過後に、衆院で1年間吊されました。それでも趣旨説明できました。これは政権交代後に法律となっています。

 ですから、ここで出てきた直嶋さん、蓮舫さん、平野さん、自見さんはみんな政権交代後に閣僚になっています。

 政権交代ある政治。

 衆参ねじれが常態化した政治(さもなければカーボンコピーの時間のムダ)。

 この2つのねじれを上手くロータリーエンジンのようにして日本を前に進める上で、大きな一歩がきょうです。

 政権交代ある政治では野党時代の振るまいが大事です。

 民主党は結党以来、野党第1党として1999年度当初予算から2009年度当初予算まで11年連続で年度内に採決しました。だから、政権交代後も3月24日、3月27日の成立にこぎつけて、「細川・羽田内閣」のトラウマから逃れることができました。

 今回、与党衆院民主党が、野党参院自民党などの法案を、修正のうえ、可決したことは、次の衆院での政権交代や、次の参院でのねじれでも良い前例になるでしょう。なんだかんだ言っても、この国会は歴史的な実りある国会になっています。

 ところで、参法(参議院議員提出法案)の歴史をひもとくと、第1回特別国会(昭和22年1947年5月20日召集)で、小杉ィ子さん(ィは捨て字小さい字のィ)が「青少年禁酒法案」というのを出していて、これは厚生委員会に付託されましたが、審議されませんでした。第2回国会でも、小杉ィ子議員は同じ名前の「青少年禁酒法案」を出して、これも付託されましたが、審議未了。第2回国会参法2号は著名な議員(タレント議員?)の羽仁五郎さんらが提出した「国立国会図書館法案」でしたが、これは付託されずに廃案となってしまいました。しかし、普通選挙権で婦人参政権が認められた第1回国会で、婦人議員(女性議員)が青少年禁酒法案を出していたとは、古き良き良識の府を感じさせます。

 きょうは、佐藤法案の採決で、好敵手の北澤俊美防衛大臣が、賛成票を投じるシーンが見られました。


[画像]佐藤法案に賛成票を投じる民主党・新緑風会の北澤俊美さん、2011年7月29日の参院本会議、参議院インターネット審議中継から。

 佐藤正久・参議院議員をもっとも鍛えたのは、自民党ではなく、反対党の民主党の北澤俊美・参議院議員だったと思います。シビリアン・コントロールとの関係で、佐藤さんが防衛省政務三役になるのは難しいかもしれませんが、政権交代後は責任あるポジションを占めることになるのは確実だと考えます。

 この法案の提出者は、非世襲グループ(佐藤正久さん、森雅子さん、公明党・浜田昌良さん、みんなの党・小熊慎司さん、新党改革幹事長・荒井広幸さん)らが手がけました。
 
 佐藤法が成立した背景には、佐藤さんが故郷を愛する気持ちが強く、隊員の命を預かった責任感の強い人物で、仲間(共同提出者の森雅子さん、小熊慎司さん、荒井広幸さんや、岩城光英さんら、衆院側の吉野正芳さんら)を大事にするからだと思います。wikipediaによると、佐藤さんは医者を志していたそうですが、家計を助けるために、防衛大学校に進学したそうです。福島県出身の医師というと野口英世が村の支援で医学校に進んだのが有名ですが、野口さんはガーナ、佐藤さんはイラクと海外で活躍し、故郷の遠き落日に思いを馳せる。その心意気を他の日本人も心の一隅に持ち続けたいものです。


既成政党おわびの夏 自民党・吉野さん「原発、わが党は真摯に反省」

2011年07月29日 10時53分06秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]自民党の吉野正芳さん、2011年7月28日(木)、衆院本会議、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 衆参与野党が修正した「原子力災害の賠償機構法案」(閣法84号)と、「原子力災害の国による仮払い法案」(参法9号、佐藤正久さんら野党5党提出)がきのう28日の衆本で一括して採決されました。「機構法案」には社民党、日本共産党が反対、「仮払い法案」は日本共産党が反対しましたが、起立多数で可決しました。「機構法案」は参院に送付され、参院で可決し、衆院で修正議決した「仮払い法案」は参院に「回付」されました。

 まさに「正念場(性根場)国会」「信なくば立たず国会」となった第177通常国会ですが、

 民主党幹事長の岡田克也さんが2009年マニフェストの一部が予算化できないことを、7月21日の記者会見で、国民に謝罪し、翌22日に自民党幹事長の石原伸晃さんと公明党幹事長の井上義久さんに謝罪文を提出しました

 一方、自民党もおわびです。

 28日の本会議で、自民党議員が「原子力推進」について次のような発言をしました。

 両案の賛成討論に立った福島県選出の吉野正芳さんは、「自由民主党は1970年の石油ショック以来、国内に有力な天然資源を持たず、そのほとんどを海外からの輸入に依存するともに、島国で他国から電力の供給をうけることができない我が国が、国民生活の向上と安定的な成長を維持していくために、必要な手段として原子力発電を基盤エネルギーの一つとして推進して参りました」としながら、「しかしながら今回の原発事故は、

 安全を大前提として推進し着てきた原子力政策が安全を確保できない結果を招いてしまいました。このことについて、

 我が党は真摯に反省し、国民のみなさま、とりわけ避難を余儀なくされている福島のみなさまに心からお詫びします」と述べました。

 まさに二大政党おわびの夏。ついでに、公明党は選挙をめぐり一部誤解を招いたこと、社民党は細川・羽田内閣、村山・橋本内閣、鳩山・菅内閣と3回連続で連立政権を離脱したことをおわび良い機会ではないでしょうか。選挙は再来年ですから、各党おわび倒しの夏にしたらいいと思います。スッキリしましょう。

 ◇

 話は変わりますが、特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)をめぐる子ども手当の3党修正協議がまとまっていませんが、きょう29日(金)の午前9時から、衆院財務金融委員会で特例公債法案が議題となりました。財務大臣の野田佳彦さんは「野党の理事のみなさまのご協力に感謝する」として、「バラマキ4kは~~」と自民党用語も使いながら答弁しています。ただ、修正協議ができていないので、先物取引や原発に関する質疑答弁がされていますが、アクセルをふかしながらエンジンを温めている状態です。なお、野田さんは「8月31日(水)までの会期末までに成立しないと、予算の執行を抑制することになる」と述べたのに対して、自民党の齋藤健さんは「よく分かりました。その点を踏まえて国会も対応しないといけない」と応じました。

 自民党の底力が出てきました。やはり、“個人事業主”商店街・町内会型”政党である自民党の総裁には、谷垣禎一さんが適任なんだろうと考えます。それに比べて、きのうの衆院本会議では、小沢グループがまさに本会議場を“徘徊”しながら、肩を叩いて、本会議場の外に悪い話をしに連れ出したり、議員連盟の案内でも配るのか、まったく演説を聞いてなかったり。記者仲間や地方議員らが、「あの人は次はアブナイ」と言われている人ほど、演説を聞いていません。一方、議員本人は「ヤバイヤバイ」と良いながら、他の秘書さんからも「ああいう先生は次も受かっていくんでしょうね」といわれる議員は、ずっと前を向いて、2時間聞き入っている。ないしは、代議士会でもらった原稿をずっと見ている。ハッキリしています。門前の小僧習わぬ経を読むというやつで、本会議はよく聞くべきでしょう。昨日の委員長報告なんかはあれだけの複雑な審議手続きを、スッキリとした原稿でコンパクトに説明していました。

 小沢グループがやたら本会議場を“徘徊”したり、連れだって出ていくのは、代表選が近いという認識からでしょう。しかし、議席数とは別に昨日の衆院本会議はすでに政権交代している状態に思えました。ですから、本当に政権交代したら困るので、民主党は意地でも2年間解散しないと思います。それが政権交代ある政治で、悪いのは、有権者が過半数の241議席、絶対安定多数の269議席をはるかにこえる議席(308議席=開票日時点の公認者)を与えたことの身から出た錆です。ちなみに当ブログの500本を超えるエントリーがある第45回衆院選カテゴリーのどこにも、「300議席以上欲しい」とは書いていないはずです。逆に与党時代の自民党について「私の考えでは、政権政党は(郵政造反組が復党したことにより)300議席を超えたことで自壊が始まる」という趣旨のことを書いていると思います。これは小選挙区を超える議員数を抱えたとたんに、党としての一体感を失うからです。本会議場から出ていく小沢グループは、すでに本会議場では政権交代しているというターニングポイントを迎えたことにまったく気付いていない風情でした。残り2年間の任期の主導権を持つために、代表選をやるのか、それとも2年後に、さらに4年間の与党の任期を得るのか。これがトレードオフの関係になりつつあるように思えます。ただ、ちょっと演説そのものが分かっていないようですから、どうにもなりません。小沢グループではないのですが、私の当選前からの友人3人ほども、まったく議事を聞いておらず、選挙区情勢は分かっているだけに、まあ、どうにもならないのかな、という感じもしました。冷たいですかね?


「総理大臣、誰がやっても使い捨て」岡田克也さん、地元後援会に吐露

2011年07月28日 21時50分22秒 | 岡田克也、旅の途中

 58年間のアナログテレビ放送のニュースでは、「街の声」なるものがつきものでしたが、「総理大臣は誰がいいか?」とのアナウンサーの問いに有権者のおばちゃんが「誰がやっても同じ(おんなじ)」という答えるのが「お約束」でした。ホントウにイヤな言葉でした。有権者としての権利を放棄しているし、有権者として選択眼がないことをはずかしげもなくさらしている。「歌手1年、総理2年の使い捨て」ーーこれは竹下登さんの言葉です。竹下内閣は1年7ヶ月弱(576日間)でしたから、残念ながら2年より早く使い捨てになってしまいました。「誰がやっても同じ」「総理2年の使い捨て」は官僚が優秀だった時代の話です。今の霞が関は、組織である以上例外はありますが、全体的に能力は落ちてきています。

 岡田克也さんは22歳で通産省に入ったときは、政治家になるつもりはまったくなかったようですが、大臣・政務次官のだらしなさや、商工族議員のいばり方を見て、政治家と官僚の関係に疑問を持ちました。そのころ、四日市を地盤とする山本幸雄・元自治大臣の後継者を探していた経世会(自民党竹下派)領袖の竹下首相が、早大商学部の2年後輩にあたる地元の名士である経済人、岡田卓也さんに「通産省にいる息子を出さないか」と持ちかけたのが、岡田さんが非世襲議員なのに、自民党公認新人として中選挙区に出られたきっかけです。しかし、そういった力関係が少しずつずれてきたのか、15年間の野党暮らしが長すぎたのか。「竹下さんの皮肉」が四半世紀の歳月を経て、「岡田さんの苦悩」となって、地元支援者に吐露されました。

 これは「衆議院議員 岡田かつや後援会会報 2011年夏号(通巻30号)」の巻末のコラム「憂楽帳 KATSUYA'S NOTE」に寄せた文章です。

[全文引用はじめ]

 総理大臣を支える仕組み作りを

 菅総理を間近で見ていてつくづく感じることは、日本は、もっと総理大臣を支える仕組みを作らなければならないということです。東日本大震災、福島第1原発事故という戦後最大の危機に直面して、誰が総理をやっても難しいということは、皆がわかっているはずです。しかし、すべての責任を総理のせいだということにして、国会、メディア、あるいはそれに影響された国民の皆さんからの批判が、菅総理に対して寄せられました。

 もちろん、総理大臣である限り最善を尽くさなければいけないし、個々の対応について批判されるべき点はいろいろとあるでしょう。しかし、何でもかんでも批判的に見て、総理にその責任を問うというやり方を続けることが、果たしていいのでしょうか。

 菅総理を間近に見ていて、幹事長として徹底的に支えきろうとしてきました。それが十分できなかったことを本当に申し訳ないと思いながら、このままでは誰がやっても同じように使い捨てになってしまい、そして、そのことが、日本の国益や国民の利益を大きく損なうということを強く思わずにはいられません。

[全文引用おわり]

 民主党だろうが、自民党だろうが、政権は4~12年くらいで使い捨て(政権交代ある政治)すればいいのですが、総選挙まで総理である与党党首を使い捨てにしてはいけません。そうすると、政治は国民の手から離れ、与党党首の投票権を持つ与党国会議員だけの物になっていまいます。

 早く震災関連法と特例公債法を仕上げて、そろそろ、仕組み(システム)作りの議論を与野党でして欲しいと考えます。10年間政権を担った自民党、公明党のほかにも、みんなの党の江田憲司、小野次郎両元総理秘書官などもノウハウを知っているはずです。

 昨年6月4日の代表選で、岡田さんは菅直人候補の筆頭推薦人となった責任があります。一方、私も菅直人候補がふさわしいと6月の代表選(対樽床伸二候補)、9月の代表選(対小沢一郎候補)とも主張しました。これは脱小沢の民主党をつくるとともに、菅さんの精神力の強さならば、石にかじりついてでも、任期満了近くまで辞めないだろうと考えたからです。それは今もかわりません。つまり、菅さんの政策ではなく、選挙の度に首相候補をそれぞれ抱えた与党陣営と野党陣営のうち、どちらがいいかを国民が選択する総選挙という仕組み(システム)をつくるべきだと考えたのです。英国の首相も、タイの首相も40歳代ですが、これは野党時代に党首になり、総選挙で党を勝たせて首相になっていますので、国民の信認というロケットエンジン付きの40代首相です。ですから、自民党が来年の総裁選で40代前半の首相候補を選ぶことはあっても、民主党では、より党全体の力を引き出せる人を選ぶべきです。もちろん、自民党規約と違い、民主党規約には多選規制がないので、菅さんが再び代表選挙に出てもいいでしょう。

 総理大臣、誰がやっても使い捨て。

 そのうち、日本も使い捨て。

 そうならないためには、国会法改正、内閣法改正もいいですが、まずは国民の意識の変化による、先例の積み重ねが必要でしょう。まずは、民主党内の意識改革いうことになりそうです。 


柿沼正明さん(衆民主党)、森雅子さん(参自民党)が初答弁。「原賠機構」「仮払い」2法案が修正議決 

2011年07月26日 20時18分51秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]衆院第1委員室の答弁席で答弁する民主党1期生の柿沼正明・衆院議員(群馬3区)、2011年7月26日、衆議院東日本大震災復興特別委員会

(速報版)

【2011年7月26日(火) 衆院・東日本大震災復興特別委員会】

(1)与党・民主党内閣が提出した
「原子力賠償スキーム法案(原子力賠償支援機構法案)177閣法84号」と、 

(2)佐藤正久さんら参院自民党・公明党・みんなの党・たちあがれ・新党改革共同提出で、参院可決済みの
「原子力被災者への国費による仮払い法案(平成23年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案)」177参法9号

 がともに、民自公などの修正協議のうえ、修正議決しました。

 自民党の佐藤正久さん、森雅子さん、みんなの党の小熊慎司さん、新党改革の荒井広幸さんんら福島出身の参院議員の努力が法律になります。ときに「ヒゲの隊長」佐藤正久さん、人気の森まさこさんは衆院第一委員室の答弁席は初めてということになりました。おそらく次の政権交代後には、イヤと言うほど答弁席に立つことになりそうな2人ですが、政治生活で初めてとなりました。勤続1年を超えたばかりの小熊慎司・元福島県議は熱い物を感じました。

 
[画像]初めて答弁席に立った、参院自民党の森雅子さん、2011年7月26日、衆院東日本大震災復興特別委員会、衆議院インターネット審議中継から。

 政権交代チルドレン140人から柿沼正明さんも花舞台・衆院第1委員室の答弁席に立ちました。政権交代チルドレンの衆院第1委員室での答弁は、6月9日の「復興基本法」に関する後藤祐一さん以来2人目。「NPO促進法改正案」の審議では、岸本周平さんが参院の内閣委員会で答弁しており、合計では3人目。後藤祐一さんは経産官僚、岸本さんは大蔵官僚出身ですが、官僚出身以外の党人派では、柿沼さんが初の答弁となりました。柿沼さんは1965年生まれの46歳。群馬3区で54・0%の優秀な得票率で初当選しましたが、第43回衆院選では広島から、第44回郵政選挙では群馬3区に国替えして出たのに落選と苦労しています。しかし「遅れた来た実力ルーキー」として、経産委理事、財金委理事、そして特別委員会(定員50人)理事と確実にステップアップしてきました。国会内でこれ以上は、予算委理事、議運委理事、そして各委員会の筆頭理事ぐらいなもんです。柿沼さんは日本興業銀行の総務部にいたことがあったそうで、バブル経済期の金融機関の総務部で「いろいろな人」と交渉する仕事をしていたようです。こういったねばり強い修正協議はお手の物なのでしょう。官僚出身ではない党人派でトップランナーに立ちました。小泉チルドレン80人は、当選1ヶ月後に猪口邦子・内閣府特命担当大臣が第3次小泉内閣に入っています。その一方、政権交代チルドレン140人は2年経っても、だれ一人、政務三役に起用されていません。第46回衆院選で野党に転落する可能性もありますから、そろそろ政務三役を経験させるための内閣改造というのも、菅首相は考えてもいいかもしれません。その場合は、人気よりも、こういった国会での実績で判断すべきでしょう。

 実務者による修正協議というものはインターネット中継がないので、中身が見えないのですが、再開後の委員会で、後藤斎(ごとう・ひとし)理事さんが質問のかっこうで説明したところでは、先週の金曜日に民自公の修正案の合意があり、3党の党内手続きをすませて、週明けのきょうの午前中もやっていたということです。また閣法の「機構法」と、参法の「それに先立つ国の仮払い法」ですが、後藤理事は「(両法が)補完し、セットになることで(関係者の)不安を払拭できる」と答弁しました。また、自民党の修正者の西村康稔さんが不在の時に、後藤理事がかわりに答弁する“呉越同舟”がありました。後藤さんと西村さんは、経産委員会の与野党筆頭理事どうしでもあるはずですから、再生エネルギーの全量固定価格買い取り法案(177閣法51号)の修正協議も期待できそうです。

 自民党衆院議員の吉野正芳さんによると、「参院自民党の佐藤正久さん、森雅子さん、岩城光英さん、そして私(吉野正芳衆院議員)の4人が毎週水曜日の昼にご飯を食べながら情報交換をして、仮払いが必要だということになった」と自ら明かしました。このように実務者による修正協議の経緯はしめくくり決議や討論でしゃべって、ぜひ議事録に残すように心がけてほしいと願います。この吉野さんの質問の中での経緯の説明については、大臣の海江田万里さんも「今のお話で経緯がよく分かりました。ありがとうございました」と答弁しました。

 そして、最終的に、「原賠機構」と「仮払い」はともに与野党の修正のうえ議決しました。


[画像]「仮払い法案」の衆院での修正議決でお礼をする佐藤正久さんら提出者の参院議員ら5人、右は海江田経産相、2011年7月26日、衆院東日本大震災復興特別委員会、衆議院インターネット審議中継から。

 みんなの党が単独で機構法案の修正案を出し、否決されました。また、「原賠機構」も「仮払い」も民自公による付帯決議がつきました。非常に複雑な審議で、衆院事務局議事課のみなさんも腕の見せ所だったと考えます。

 テレビではほとんど報道されませんが、国会はきょうも面白かったです。

 参院の厚生労働委員会では、冒頭に、民主党で元厚労政務官の足立信也さんが「歯科口腔保健の推進に関する法律案」を提出し、津田弥太郎・厚労委員長の名前で起草することになりました。その後、昨年の174通常国会で参院で廃案になっていた「国民年金法の(事後納付を2年間から10年間可能にする)改正案」について、衆院から牧義夫・厚労委員長が登場して、衆院における修正を説明しました。

 さらに参院内閣委員会では、「障害者基本法の改正案(177閣法59号)」では民主党衆院議員(新潟1区)の西村智奈美さんが衆院での修正について説明しました。西村さんは政権交代後、岡田克也外相のもと、西村外務政務官として何度も答弁していますが、今度は、障害者基本法の改正案の修正者としての答弁で幅を広げています。

 きょうはこのように複雑な国会審議、衆参とも事務局の委員部は知識と経験がフル回転で大変だったでしょう。

 もうちょっとマスコミはこういった国会の動きを報じたらどうなんでしょうか。

 なお、前回のねじれ国会では、野党・参院民主党・国民新党・社民党・共産党が提出し、参院で可決し、衆院に送付した法案が、可決・成立した例はなかったと思います。それが今回のねじれ国会では、野党・参院自民党ら5党提出が、衆院では与党民主党、野党自民党、公明党、たちあがれ日本の修正協議もあり、可決しました。次の衆院本会議で可決後、修正部分が参院に回付され、参院委員会で可決、本会議に上程され、可決・成立するでしょう。これは参院自民党が力をつけてきたこともありますが、仮に衆院で政権交代(与野党逆転)があった場合でも、野党・参院民主党の提出した法案が可決する前例が出来たと思います。

 民主党は1998年の結党以来、通常国会で、本予算を3月31日までに成立(採決)させなかったことは一度もありません。ですから、政権交代後、2010年3月24日、2011年3月29日と年度内成立に成功しており、細川・羽田内閣のトラウマ(第129通常国会で1994年6月23日成立までずれ込んだことがありました。

 これからは、衆院民主党は野党転落時を想定し、参院自民党は与党返り咲き時を想定して国会を運営して欲しいと考えます。蝸牛の歩みのようにも思えますが、国会は前に進んでいます。時間がかかるのは民主政治のコストです。

 それにしても、マスコミはもうちょっと報道したらどうなんでしょうか。

 なお、このエントリーは速報版です。というのは、私は「原賠機構法案」と「仮払い法案」がどう修正されたのか、現時点でよく分かりません。けっこう、そういうときには隙ができやすいのですが、まだプロセスは残っています。あすの新聞でじっくり深掘りして読むのを楽しみにしています。


岡田幹事長、09マニフェスト「作成当時から見通しが甘かった」「国民の皆さんにお詫びする」

2011年07月26日 17時05分19秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]岡田克也さん、第44回衆院選の05マニフェストの表紙から。

 民主党幹事長の岡田克也さんは、2011年7月21日(木)の定例記者会見で「マニフェストに掲げた政策の多くは実現している。しかし、実現していないものもある。実現していないものについて、なぜ実現していないのかを考えると、それはマニフェストの作成当時から、前提に置いた様々なことについて見通しが甘かった部分もある。そういったことについては、国民の皆さんにお詫びをする」と述べました。同日は、麻生太郎首相が衆議院を解散してから、ちょうど2年後で、衆院の4年任期のほぼ折り返し点でした。

 09マニフェストは、小沢一郎代表・鳩山由紀夫幹事長・直嶋正行政調会長の体制でつくられたもので、2009年5月16日に、鳩山代表・岡田幹事長の体制になり、7月29日に発表、8月30日の第45回総選挙で政権交代につながった政権公約です。

 これについて、26日付朝日新聞4面に、「民主・岡田幹事長が自公両党に渡した文書(全文)」というものが載っていました。朝日の特ダネだと思います。これは「謝罪表明」の翌日(22日)の自民党幹事長の石原伸晃さん、公明党幹事長の井上義久さんとの会談で手渡したペーパーのようです。真心込めて、キーボードを叩いて、ご紹介させていただきます。

 [引用はじめ]

 民主党マニフェスト2009において国民と約束した施策に関して、現在検証作業を行っている。概ね実現したものが多数あるなかで、残念ながら、いまだ実現できていないものがあることも事実。この点について、なぜ実現できていないのか、国民に対し説明責任を果たすことが必要である。

 実現できていない政策がある理由として、政策の必要性やその実現の見通しについて、マニフェスト作成において検討不十分なところがあったことが挙げられる。政権交代実現によって大きな政策転換を一気に実現するとの意気込みが歳出の増大につながり、他方でその裏付けとなる歳入増について、補助金の見直しなどが十分に実現していない。この点、その見通しの甘さについて国民の皆様に率直にお詫び申し上げる。

 今後、埋蔵金の活用や補助金の削減などにより、必要な財源をまず確保したうえで、マニフェストに掲げた政策の実現を図ることが重要である。その際にも、マニフェストに掲げたからというだけでその実現を目指すのではなく、再度その必要性を検討する必要がある。また、3月11日の東日本大震災によって、被災地の復旧・復興が極めて重要となったが、震災復興のため必要とされる予算措置と比べ、マニフェストに掲げた政策がより重要性が高いかどうかという視点からの検討も必要である。

 次期総選挙においては、社会保障と税の一体改革に関し確認されたように、2010年代半ばに国民に負担増をお願いすることになる。それだけに、次期総選挙におけるマニフェストの作成にあたっては、政策の優先順位についてより真剣に検討し、明確化するなど、より実現性が高く、充実したものとすることが、民主党の責任である。

[引用おわり]

 民主党マニフェスト2009は現在も有効であり、撤回したわけではありません。修正もしません。一部が具体化(予算化)できないことを謝罪したものです。第46回衆院選マニフェストはつくりますが、与党として再選をお願いするマニフェストになるので、今の任期の実績との継続性が求められることになります。あまりワクワクしたものではなく、過去→現在→未来の継続性をストーリーとして語ることが必要になるでしょう。自民党もホントウに与党になる可能性が高いので、あまり大風呂敷を広げたマニフェストもつくれないでしょう。

 09マニフェストを改めてよく読んでみました。例えば、子ども手当を全額実施するとします。マニフェストにはこれを全額国費でやるのか、自治体負担分があるのか定かではありませんが、仮に全額国費だとすると、所要額は国庫の歳出の政策的経費の15%ほどになってしまいます。そうしたら基礎年金の国庫補助部分はどこから工面するのでしょうか。

 「マニフェストの実現により、家計で使えるお金を増やし、生活不安を解消します」と書いてありますが、そのメニューとして、「子ども手当」、「農業の戸別所得補償」という国庫から見て歳出増の政策と並んで、「ガソリン税などの暫定税率の廃止・減税」、「高速道路の無料化」という国庫から見て歳入減の政策が並んで書いています。分かりにくいです。さらに「年金制度の改革」という歳出入の増減とは関係ないことが書かれ、その説明として「(消えた年金)記録問題への集中対応期間(0・2兆円)」ということが書かれています。

 「予算の全面組み替え」と称しながら、「川辺川ダム、八ッ場ダムの中止」などの歳出減と、「埋蔵金の活用」という歳入増が並立しており、さらに「租税特別措置(粗特)の見直し」という歳入の増加と減税が入り交じる政策まで同じ表に並んでいて、そもそも予算の組み方への理解が足りないように感じます。

 実現性以前に、マニフェストの作り方に「与党らしさ」がなかったのは否めません。これは今見ると、かなりチグハグしていておかしい。マニフェストを肉付けした予算を組めない代物で、これでは真の意味では、政権公約とは言えない。

 07マニフェスト-09マニフェストは、小沢一郎さん、鳩山由紀夫さん、松本剛明さん、直嶋正行さん、長妻昭さん、福山哲郎さん、細野豪志さん、大塚耕平さんらが作成を担ったと、私は認識しています。そこで、その期間、副代表だった岡田さんが党を代表して謝罪したことになります。それなのに、鳩山グループ、小沢グループから批判が出ています。

 それに思いを馳せると、以前読んだ本のこの画像を思い出しました。

 
[画像]岡田屋が戦後初めて新聞に出したチラシ、『岡田卓也 私の履歴書』(日本経済新聞社)36ページから。赤線は当ブログ筆者が引いたもの。

 これは1946年(昭和21年)7月2日朝から、三重県四日市の「岡田屋」が戦後初めての「大売り出し」のために、新聞に挟み込んだチラシです。「焦土に開く」というキャッチコピーの下、冒頭2行目に「戦災者優先販売」と書いてあります。そして、おそらく活字原稿を組んだ後に、岡田屋の若き社長、岡田卓也さんが思いを抑えきれずに、左隅に「天下分け目の大売り出し」と手書きで書き込んだであろうようすがうかがえます。当時のようすを、岡田卓也さんは次のように書いています。

[引用はじめ]

 一人の婦人がチラシを手に涙して私に話しかけてきた。「やっと平和が来ましたね」。小売業は平和の象徴だ!小売業のフィロソフィー(哲学)は平和であることを感じた。私の運命は決まった。小売業を一生涯の仕事にしよう。

[引用終わり]

 岡田克也さんが生まれたのはこの7年後になります。ただ、「偉大すぎる父」はあまり遊んでくれなかったようで反発していたようですが、仕事が公益に直結しているというDNAは引き継がれています。それに比べると、世襲グループは、「政治は私物だ」という意識が潜在的にあるような気がしてなりません。

 
[写真]被災地を訪れた輿石東・参院議員会長と岡田克也幹事長、宮城・東松島市内、民主党ホームページから(一部トリミング)。

 この写真は、被災地である東松島市を訪れた岡田さんと輿石さんの真剣なまなざしです。マニフェストの一部の実現(予算化)ができないことを謝罪し、被災者の予算にオカネを回そうとする岡田さん、輿石さん。岡田屋には「大黒柱に車をつけよ」という家訓があり、「お客の変化に柔軟に対応すべし」という意味だそうです。だから、イオンショッピングセンターの再編が多い傾向があるのはこの家訓のためのようです。それは、お父さんに反発して、公の仕事に転じた岡田克也さんにも引き継がれていて、国民の税金(歳入)と国の歳出という国家予算という大黒柱に車をつけて、お客(国民)の変化に柔軟に対応すべしということのようです。イオンという会社も敵が多いのですが、岡田幹事長にも党内外に敵がいます。だからこそ、旺盛に働けるのだと思います。

 菅直人首相も、22日の参院予算委員会で公明党に対して、「岡田幹事長から一定の方向性が示された。岡田幹事長の言うとおり、歳入面で検討が不十分だった。岡田幹事長と私の考えは一致している」と答弁しました。安住淳・国対委員長も24日のNHK日曜討論で「私も同意見だ」としており、非世襲グループでつくる民主党7首脳の意見は一致しています。

 まずは3次補正をしっかり組み上げられるかどうかが試金石となりそうです。


2次補正成立、予算の執行の目詰まりを取り除き、3次補正の編成スタートを優先すべし

2011年07月26日 11時09分46秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]平成23年度第2次補正予算成立で、おじぎをする菅首相、野田財務相ら、2011年7月25日、参院本会議=首相官邸ホームページから。

 平成23年度第2次補正予算が2011年7月25日(月)夕方の参院本会議で成立しました。

 ただ、審議のなかでいろいろ明らかになりました。

 自民党の茂木敏充さんの指摘によると、環境省から自治体へのがれき処理の交付金が、すでに1次補正後の金額を超えている可能性があるにもかかわらず、2次補正では環境省の予算はまったくいじくられていないということ。茂木さんの質疑から手もとで計算したところ、環境省の予算は、当初予算に比べて1次補正後に2・9倍にまでふくれあがっていますが、茂木質問からすると、現時点で当初比3・5倍の予算が必要と思われます。東日本大震災復興予備費の0・8兆円を振り向けたら、他の府省が不足するでしょう。江田環境相の個人としてのホームページでは、職員を被災地に常駐させているということですが、環境省は「自治体に交付する」という作業になれていないのかも。橋本行革のときに、産業廃棄物と災害廃棄物に関してそこまで設計されていなかったと考えます。もちろん今回の復興のさいちゅうに変えるのは、安全保障上ありえませんが、野党が出している「がれきの国の代行ができる法案」の審議によっては、自治体に交付するのは総務省に任せるなどの制度見直しがあってもいいと考えます。

 農水省が「海のがれき処理」の事業を盛り込んでいないことが分かりました。

 小池百合子さんの質問では、総務省が、消防団員への弔慰金の共済の基金が底をついているのに、対応していないとの指摘がありました。

 鉄道の復旧・復興の費用がついていないことについては、大畠国交相が「3次補正で対応する」と答弁しましたが、遅いです。

 「復興の基本方針」というものの閣議決定があるようですが、3次補正の編成はすぐにでも取りかかるべきです。「復興債」は赤字国債だということですが、これは特例法案でも対応できるでしょう。”復興債の償還の特例勘定”を設けるための特別会計法の改正が必要かもしれません。特例公債法案は、自民党と公明党が足元をみるような発言が出てきており、「所得制限と同時に控除の一部復活を組み合わせよう」というヒドイ話をしている議員がいると新聞記事で読みました。これは菅内閣を引き延ばして、民主党の支持率を下げようという下心がみえみえです。

 再生エネルギーの全量固定価格買い取り法案では、共同通信の調査報道で、自民党の献金の受け皿である「国民政治協会」への個人献金額の7割以上が、電力会社の役員だということが分かりました。正直、私もかなり驚きです。これからすると、再生エネ法案について、自民党内での置き石があるし、民主党内も電力総連よりもむしろ電力多消費型産業である素材産業の労使の抵抗もあるようです。施行日や期間などの修正をしっかりしていくことが必要でしょう。私は、特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)、再生エネ法案よりも、第3次補正予算(案)を優先すべきではないかと考えます。ただ、それ以上に今年度予算の執行の目詰まりを取り除くことが必要です。このブログを始めてから、当初予算を4本見てきましたし、麻生さんの「14・5兆円」の補正、鳩山内閣の「政権交代による年度途中での補正」も見てきました。しかし、「編成と執行は違う」というのをこれだけ実感したのは初めてです。

 被災地に視察する国会議員も、「予算を付けろ」ではなく、予算書をアタマに入れて、「予算を流せ」という観点で視察し、帰京して欲しいです。

 野田財務相によると、3次補正→中期財政フレームの修正→概算要求→来年度当初予算(案)編成という流れになるそうです。この流れのなかで、菅総理がどのように進退を判断するか。極めて高度な政治判断であり、それを判断するのは、憲法からしても、統治論からしても、憲政の常道からしても、菅直人内閣総理大臣一人の漆黒の孤独のなかの判断です。与野党問わず、きょう時点での私たちの政府の総理の判断を見守りましょう。


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tags http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65 今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行 http://regimag.jp/ 国政を理解する上では、「日程感」が大事です。このブログでは今後予想される政治日程のうち、政局に影響を与えるものに絞って紹介していきます。 http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/c/ab78ecfa278b4f9b6b098844ae153516
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「どっちもどっち」とは言いたくないが・・・参院自民党の抵抗で2次補正が3日(?)遅れる

2011年07月24日 21時33分02秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]林芳正シャドウ財務大臣と、菅直人首相

[2011年7月21日(木)22日(金) 参院予算委員会 第2次補正予算案]

 「どっちもどっち」という言葉は好きではありません。広辞苑によると、「どっちもどっち」は「双方とも大した違いはなく、どちらも良くない」という意味です。日々のくらしのなかで、何か判断すべき機会に、白黒ハッキリ付けてこなかったから、そのとき権力を持っている方(自民党など)が増長してしまい、結果として原発が爆発しました。

 「金権腐敗の自民党」か、はたまた「マルクスレーニン主義の社会党」かーーその二者択一はまさに「どっちもどっち」。とはいえ、私たちは1996年の総選挙から、政権担当能力がある2つの政党(新進党 vs 自民党)の選択肢を得ながら、13年間も「新しい自民党(小泉自民党)」に投票してしまいました。その間に、新進党は解党し、閣僚経験者が次々と引退したり、この世を去ったりして、政権担当能力を損ねてしまいました。いわゆる「小沢信者」はその自己正当化をしている痛々しい人に思えます。

 2011年7月21日(木)の参院予算委員会の第2次補正予算(案)の質疑のトップバッターは、林芳正シャドウ財務大臣(山口)でした。林大臣は、防衛相、経財相を経験していますが、傾聴に値するさすがは、フロントベンチ(政権党とバックアップ政党の2つの政党)の中央(谷垣禎一シャドウ首相=京都6区=の隣り)に座っている人物だと感じました。

 林さんが徹底的に調べたことで、驚くべき事実が明らかになりました。

 ご存じの通り、1次補正審議中の4月29日(金・祝日)の3党政調会長合意で、特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)の成立に前進したように思えましたが、今年度予算が3分の1近く執行した現在でも成立しておらず、財務省は国庫短期証券(むかしの蔵券)で自転車操業しています。

 これについて、林さんによると、菅直人首相(東京18区)が6月14日(火)に「総理指示」を出して、「2次補正(予算案)は本格的な復興予算に先行して編成する」としました。これについて、林さんは「財務大臣の野田佳彦さん(千葉4区)や、政調会長大臣の玄葉光一郎さん(福島3区)に事前に相談したのか?」とただし、菅さんは苦しい答弁。事実上、菅さんの独断だった可能性が高まりました。林さんは、玄葉さんをおもんばかり、「総理ねえ、それで、3党合意をしていた玄葉さんの立場が、(石破茂さん=鳥取1区、石井啓一さん=北関東ブロックとの民自公政調会長の間で)悪くなったんですよ」と指摘し、「3党政調会長合意は破られたと私は思っている」と辛辣なパンチがきました。私はこの「6月14日の総理指示」の話を知らなかったので、驚きました。

 この後、自民党の山谷えり子さん(全国比例)が登場。在日韓国人献金問題の領収書を提出するように求めました。これは3月11日(金)の参・決算委員会で菅さんが追及されたのですが、委員会中の東日本大震災発生で、うやむやになりました。そして、延長国会が参院で正常化した7月7日(木)の参・予算委の集中審議で、自民党理事の礒崎陽輔さん(大分)の質問に対して、菅さんは「3月14日(月)に現金で返金し、弁護士が領収書を受け取っている」としました。ここで、礒崎理事が「領収書を提出するよう、参・予・理事会で協議したい」として、前田武志・予算委員長(民主党、全国比例)も認めました。この後、礒崎さんは「信頼できる筋からの情報」として、「報道で事件が発覚する前日の3月10日(木)に神奈川県の保土ヶ谷パーキングエリアで返金したという情報がある」としました。ですから、“3月10日情報”が正しければ、菅さんが虚偽答弁をした可能性があり、参院自民党は攻撃を強めています。

 これに対して、菅さんは21日の答弁で、「領収書は、(返金処理を反映した平成23年の草志会の政治資金収支報告書の提出=来年3月めど=のために必要だ」、「領収書の提出に関して、これが先例となる可能性があるので、慎重にしたい」として、提出を拒みました。領収書の提出に関しては、参・予・理事会での協議で決定していて、森ゆう子・与党側筆頭理事(新潟)が菅総理に伝えていた、と報じられています。

 そのため、審議はストップし、委員会を中継して、理事懇談会に入ってしまいました。この混乱で、当時は参院自民党と民主党の基本的質疑だけで終わってしまい、翌日に公明党、みんなの党、日本共産党、たちあがれ日本(新党改革と統一会派)、社民党の質問がずれ込みました。ここで散会してしまい、しめくくり質疑、討論、委員会採決、財金委・復興特での2つの予算関連法案の趣旨説明→審議→採決、本会議での委員長報告、討論、採決がすべて、週をまたぐ結果となりました。現時点では、あす25日(月)の午後4時半~午後5時過ぎには成立するのではないかと思われます。

 このように2次補正の成立が3日以上遅れてしまいました。もちろん、原賠スキームは法案が間に合いませんが、被災者生活再建支援金の国庫補助率かさ上げは3日遅れたといっていいでしょう。「政治とカネ」を人質にとった参院自民党のせいだ、と言いたいところですが、菅さんの答弁にも誠意が無く、また他の閣僚に答弁にもキレがありませんでした。

 まさに「どっちもどっち」です。

 たちあがれ日本の初代総務大臣、片山虎之助さん(比例)が、補正額2兆円のうち、予備費が0・8兆円を占めることについて、「3次補正で予備費の組み替えで財源をつくるつもりではないか?」と問い、財務相の野田さんは「ない」と断言しました。片山さんが「国会をバカにしないで欲しい」というと、野田さんは「日本国憲法第87条に基づき、事後に承諾を得る」と堂々としていました。

 公明党の渡辺孝男さん(比例)は、22日の質疑で、「質問通告していないが・・・」として、前日の記者会見での民主党幹事長の岡田克也さん(三重3区)の発言に触れ、「09マニフェストについて、岡田幹事長が“国民にお詫びしたい”と述べたのは評価したい。総理も謝罪しますか?」と問い、菅さんは「09マニフェストは党の方で検証している。岡田幹事長から、一定の方向性が示された。岡田さんの言うとおり、歳入面で不足があり、歳出面でのマニフェスト実行が不可能になった面もある。実現した施策も多いが。岡田幹事長と私は考え方は一致している」と述べました。公明党学生局長の石川博崇さん(大阪)も初めて、TV入り質疑に立ちました。

 ただ、この2次補正は「遅すぎ、小さすぎ」と言われますが、ここまでの予算の執行で目詰まりや滞りがあることが分かりました。予算は組んで終わり、成立して終わりだけでなく、執行までしっかり見届けないといけません。その点では総務省管区行政評価局が「地方年金第三者委員会」の兼務を終えますので、すべて、会計検査院の出先機関に衣替えし、年度初めから、検査院がチェックできるように制度改正すべきでしょう。

 明治憲法は、イギリスの「三読会」システムを取り入れ、本会議中心主義だったので、1日の議事日程が30本ぐらいあることもざらでした。現在は多くても7本、会期末の参院でも15本以内でしょう。その後、日本国憲法で、アメリカの「委員会中心主義」のシステムが入りました。これにより、本会議の審議とは異なり、委員会には審議および調査の権限が加わりました。来週辺りにもいろいろな常任委員会、特別委員会が委員派遣をして、さまざまな「調査」をするようですが、視察し、陳情を聞くだけでなく、2次補正後の予算書がちゃんと執行されているかをチェックするという観点から現地を見て、帰京後に計数を調べたり、衆参スタッフや役所に確かめるという作業も必要でしょう。「3次補正で国が手当てしろ、来年度当初で予算を付けろ」ばかりでやっていくと、日本の終わりは近いです。


楢崎弥之助さんが最後の“爆弾” 「菅君、直ちに辞めなさい」 91歳、元社民連同僚

2011年07月21日 20時34分18秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]2011年7月18日の海の日の祝日に、イッパイやりながら、懇談する法相(兼)環境相の江田五月さんと楢崎弥之助さん(右)の旧社民連の代表・書記長(幹事長)コンビ=江田さんのホームページ

 「国会の爆弾男」と呼ばれた元社民連衆院議員(当選11回)の楢崎弥之助さんが「菅直人総理の即時退陣を求める」と題する5枚つづり(あいさつ文含む)の意見書を、民主党国会議員に配布しました。

 楢崎さんは現在91歳。勲一等旭大綬章を受章し、衆院を引退。すでに世襲した息子さんも政界を引退しています。

 ペーパーによると、「私も今91歳、一人で行動するのも大変面倒な歳になってしまったが、この国難の時期にこそ菅直人君に猛省を促したくて上京した」ものの、「数分間でも菅君に意見を具申するつもりでした。しかしながら、菅君から多忙を理由に面会を断られましたので、ここに私見を申し述べ」るために、ペーパー配布となったようです。

 ここで楢崎さんが菅さんと会えなかったのは、首相官邸で秘書官が取り次がなかったのかもしれないですね。つねに時の首相の権力の下にある官邸官僚が、衆参あわせて4~6議員しかいなかった少数野党で17年前に解散した「社民連(社会民主連合)」の歴史とか知るわけないです。別に菅総理がわざと断ったわけではないと思いますが、こういう経緯が不明なところが、官邸の主の孤独というところでしょうか。

 江田五月さんのホームページ「江田五月 新たな出発」の活動日誌によると、「18時から1時間半ほど、博多から上京された楢崎弥之助さんと、夕食懇談。91歳ですが矍鑠とされ、来し方を振り返りながら、いろいろとアドバイスをいただきました」とのことです。1994年の社民連解党後は、江田さんは日本新党副代表、菅さんは新党さきがけ政調会長、楢崎さんは無所属となってしまいましたが、今は3人とも民主党員です。なぜ、江田大臣とは会えて、菅総理とは会えないのでしょうか。

 楢崎さんは意見書を6つの柱で構成しており、6つめで「即時退陣」を主張しました。

 ペーパーの書き出しは「菅直人君はご存じの通り市民運動の出身で、労働組合などの応援する組織が全くなかったが」「私は最初の立候補の時からその選挙運動を付ききりで応援してきた」として、初当選のときは「私も感極まって涙したものである」ーー若干、恩着せがましい書き出し。実に政治家らしい。「その昔、社民連に結集した同志たちは1978年の結成当時国会議員わずか6名、菅直人君が参加した時点でも国会議員5名の極小政党であったけれども、その政治理念は、『何よりも国民の安寧と幸福を第一義とし、そのための正義を政治的に実現する』ことであった」としました。ここは、菅さんの「最少不幸社会」と重なるものがあります。

 三つ子の魂百まで、といいますが、やはり政治家の志というのは、91歳になっても変わらぬようで、「ほとんどすべての政治家やマスコミも災害の復旧・復興と声高に叫んでいる。しかし現在最も肝要なことは被災者の方々の一日も早い救済である」として、復旧・復興よりも、被災者の救済を優先すべきだとして、いくつかの政策を提言しています。

 
[写真]野党時代の民主党福岡県連所属議員のパーティーに顔を見せた楢崎弥之助さんと菅直人さんら。

 楢崎さんはほとんど与党経験がなく、細川・羽田内閣の1年弱、政府外議員を務めただけです。とはいえ、55年体制において、「国会の爆弾男」として自民党長期政権の腐敗を暴いた日本を代表する政治家です。

 「2009年9月、戦後、長期間にわたる自民党の堕落、腐敗した政治体制を打ち破った」「日本の国民にもやっと明るい展望が切り開かれてきたと私も心から喜んだものであった」。

 「初めての与党の経験から学んだ足らざるところ、改めるべきところは率直に反省し、国民の利益を優先する政治を実現すべきである。次の衆議院選挙までにはまだ2年の歳月がある。すべての党員、支持者が結束して必死の努力をすれば必ずや国民に支持される政党に生まれ変わるだろう」としていてます。

 そして、6つめの柱で、「最後にもっとも重要なことは“菅直人総理は直ちに辞任すべきである”」とし、「政治は国民のためのものであって、菅直人君の権力欲を満足させるためにあるのではない。古くからの同志である私だからこそ、あえて断腸の思いで、日本国民のために辞任せよと言いたいのである。これは私の遺言である」。

 「人間引き際が肝心である。遅きに失したとはいえ君の即刻の辞任こそが多くの国民に安堵感と少なからぬ希望の光を与えるであろう。菅直人君、直ちに辞めなさい」と結んでいます。

 なお、国政の現状として、①第2次補正予算②特例公債法案③再生可能エネルギー法案の3つが成立すれば、首相が辞任するという、「岡田勧進帳」(6月21日に民自公幹事長合意、22日に首相修正を自公幹事長が拒否して白紙の状態)に基づいて、国政は動いていますが、楢崎さんはペーパーで、「二次補正などいくつかの法案が通ったら菅総理は辞職すると聞いている。しかしそれらの法案は菅総理がいなくても十分に対応可能である。むしろ菅内閣のもとでは必要な法案さえ通すことが出来ないと思う」と憤懣やるかたないようす。楢崎さん、まさに即日辞任を求めての上京だったようです。

 ちなみに、社民連の衆院議員だった江田五月さんは法相(兼)環境相で、書記長や国対委員長を務めた旧山形2区の阿部昭吾さんもご健在なんですね。ですから創設者の江田三郎さん(江田法相の父)が亡くなった後、衆院議員だった人は、みんな、お元気ということで、小政党ながら選挙に強いスター軍団だったゆえんを感じます。

 このほか、民主党の県連顧問や、後援会長、総支部顧問などでは、日本社会党の田辺誠元委員長、政治改革派の堀込征雄さん、自民党・新生党では中島衛・元科学技術庁長官らがいます。どうしても、民主党は若い組織なので、こういった引退したベテランをうるさ型として、煙たがっている気がします。それでいて、現時点での実力者にはひれ伏して、ヘコヘコしている感じがします。サラリーマン議員ならそれでいいけど、せめて植木等さんのような「気楽で表現上手なサラリーマン」がいてほしい。民主党は400人以上の議員がいるんだから、政府は動きます。私の言う「自民党55年長期政権の後ろ半分(40日抗争以降)はハマコーのおかげ」、「与党・民主党には河村たかし議員が必要だった」というところです。

 
[画像]麻生内閣による第171国会での衆議院解散のもよう、左端が、民主党幹事長の岡田克也さん、代表の鳩山由紀夫さん、代表代行の菅直人さん、代表代行の小沢一郎さん(背中)、最高顧問で元首相の羽田孜さんら(肩書きはすべて当時)=2009年7月21日、NHKニュースの映像からキャプチャ。

 ところで、ちょうど2年前、2009年7月21日、麻生自民党内閣は衆議院を解散しました。「政権選択解散」といっていいでしょう。このとき、民主党の鳩山代表、岡田幹事長がバンザイをしなかったことが話題になりました。その理由について明確な返答は、鳩山・岡田コンビからはありませんでした。鳩山さんは官房副長官の経験がありますが、2人とも、政府外議員を中心に2~3期、4年~9年ほどの与党の経験があります。このとき、バンザイをしなかったことは、2年後の現状への予感があったことは間違いありません。ちなみに、官房副長官・自治相経験者の小沢一郎代表代行(当時)はすでに本会議場から去ろうとしています。ところが、菅直人代表代行は、「いよいよ政権交代選挙だ」と笑いを隠しきれないようすです。この辺の個性がうまく、まとまれば魅力的なのですが、まとまらなくなると、なかなかゴタゴタします。ですから、自民党以上に、民主党には大黒柱の存在が不可欠です。

 昨年9月から民主党幹事長に復帰している岡田克也さんは2011年7月21日の定例記者会見で、マニフェストについて「見通しの甘さを国民に素直におわびする」と述べました。残り2年で建て直せるかどうか。これは私はもちろんあきらめては居ませんが、今回の任期(第45回衆院選)ではかなり難しいのかな、という気もします。国民が政治家を鍛え、国民が政治を学ぶ「訓政期」です。政治は退屈なものであり、100%完璧な政治家はいません。

 楢崎弥之助さんは、初当選前に、松本治一郎さんの秘書をしていたことがある、と「議会制度百年史」にはあり、松本龍さんとは同じ中選挙区の選出でした。少し物言いが似ている面もあるようですが、楢崎さんは「いまや歴史的な国難の時期です」との認識を示しながら、「政府と与党民主党が国民の期待に真に応えることができるような存在になっていただきたいと思っております」ということで、民主党愛を感じます。

 どこか政治家を突き放すのはもうやめて、民主党ないし自民党を、国民として自分が育てていくんだ、という意識を持ちたいものです。












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2次補正予算が衆院を通過 浮き彫りになった環境省「3・5倍補正」の荷の重さ

2011年07月20日 17時43分17秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 衆院本会議は2011年7月20日(水)、平成23年度第2次補正予算(案)を採決しました。民主党、自民党、公明党、社民党、みんなの党が賛成し、日本共産党が反対しました。みんなの党が予算委で組みかえ動議(予算を撤回のうえ編成替えを(政府に)求める動議)を提出しましたが、同党だけの賛成にとどまり否決されました。なお、自民党が「17兆円規模」の組みかえ動議を提出するという報道がありましたが、自民党は動議を提出しませんでした。

 また、2次補正予算関連法案の2本も可決しました。

 衆院財務金融委員会と同災害対策特別委員会がきょう午後、審議した「平成22年度の決算剰余金の処理の(財政法6条の)特例に関する法案」(177閣87号)と「被災者生活再建支援金の補助率のかさ上げ法案」(177閣86号)で、それぞれ、賛成多数と全会一致で本会議で可決し、参院に送られました。

 2次補正の審議で3つのことが明らかになったと考えます。1つは19日の基本的質疑の自民党のトップバッターだった、小池百合子さんが指摘した、消防団員の殉職者への補償金の財源となる共済が底をついているのに、2次補正で手当てされていないと言うこと。もう1つは、一般会計で1兆9988億円の増額補正(その他に原子力賠償機構=仮称=にあげる交付国債2兆円)でありながら、予備費の積み増しが8000億円で、これに関して、「財政民主主義に反するおそれがある」「政府が被災状況を把握できていない証拠だ」という批判が各党から出ました。

 そして、もう一つは19日の基本的質疑で自民党の茂木敏充さん、20日のしめくくり総括質疑で齋藤健さんが指摘した、環境省の災害廃棄物(がれき)の自治体の処理事業に要する経費の一部補助事業について。これは当初予算が763億円だったのが、1次補正後3595億円になり、2次補正では措置されていません。しかし、茂木さんによると、すでに5000億円以上の概算払い請求が自治体から環境省に寄せられているそうですが、現時点では、5000万円しか支払っていないという話です。これでは進捗率は0・1%以下という、驚くべき仕事の遅れです。

 これについて改めて、当初予算からの3つの予算書の環境省所管事業をみると、驚くことがありました。環境省全体の予算は当初では1955億円で、1次補正で一気に5641億円に膨れています。そして2次補正では、環境省は何も補正されていません。現時点で、当初予算の2・9倍となった平成23年度の環境省ですが、茂木さんの話からすると、すでに当初比3・5倍以上の予算が必要な状況になっています。おそらく各自治体が業者に立て替えて払ったり、業者への支払いを猶予している状態だと考えます。おそらく業者の選定では、入札している時間的余裕が無く、随意契約だと思います。もしも、業者が震災で足元を見ていたら、トンでもないことですが、契約した以上は払わなければいけません。足元を見た業者は別のところで、天罰があたるでしょう。

 廃棄物行政は元々厚生省の仕事で、環境庁の仕事ではありませんでしたが、橋本行革で、環境省に移管されています。

 まず、橋本行革が、大震災による災害廃棄物の大量発生を想定していなかった可能性があると思います。それと、環境省は、自治体に「交付」する事務に慣れていないのではないでしょうか。「廃棄物・リサイクル対策の推進に必要な経費」という予算コードは「自治体が行う災害廃棄物処理事業に要する経費の一部補助」の事業だ、と予算書に書いてあります。ですから、環境省が自ら手がけるものではないようです。がれき処理の遅れに対応して、自民党の小里泰弘衆院議員や公明党などが議員立法で「東日本大震災で生じた災害廃棄物(がれき)の処理の特別措置法」(177国会衆法19号)を提出しました。この法案を見ましたが、これも「国による代行ができる」としているだけで、環境省から移管するという考えはないようです。もちろん現在進行形ですから、担当府省を変えるべきではありません。しかし、毎年度の予算額の2・9倍が手当てされているものの、予算規模が3・5倍以上になるのは確実な情勢なのに、2次補正ではまったく盛り込まれていない。これは環境省も混乱しているだろうし、官僚統治機構の総称として「霞が関」の力が落ちてきているような感じがします。辞任した松本龍・環境大臣(兼)防災担当大臣もストレスがたまっていたでしょう。

 このほか、農水省が担当する「海のがれき」の処理事業についても、2次補正に入っていないことが、日本共産党の塩川鉄也さんの質問に対する鹿野道彦農相の答弁で分かりました。また、鉄道の再建事業についても、大畠章宏・国土交通相が「3次補正に先送りする」と茂木敏充さんの19日の質問に答えました。これも、法律と現実がちぐはぐしています。公共交通機関である以上、事業主がJR東日本でも、第三セクターの三陸鉄道という相対的に小さい企業体であっても、国の補助率が違うというのは、違和感を感じます。鉄道利用者にとって、企業体が大きいか、小さいかは関係ない話です。私は、むしろ、国の補助率100%で全額を建設国債でまかなっても、鉄道再建は復興のスタートになると考えます。

 どうにも、霞が関の力が落ちてきているような気がします。

 これとは別に、20日の基本的質疑の中で、みんなの党幹事長の江田憲司さんが、首相官邸の内閣参事官室(内閣総務官室に改称)に通産省から出向していた頃、海部俊樹首相からすべての閣僚を罷免して、衆議院を解散することができるかどうか調べるよう指示されたことがあり、その結果「できる」と報告したことがあると明かしました。これについて、『政治とカネ 海部俊樹回顧録』の150ページには、1991年9月30日に、金丸信・自民党副総裁と竹下登元首相に解散の了解をとり、「閣僚を罷免して解散する方法を衆議院事務局に問い合わせることもした」と書いています。これは、官邸内の内閣参事官室を通じて、詔書が来たときの、本会議の開催について、衆議院事務局に問い合わせたという意味合いだと思われ、江田さんの発言を裏付けているといえそうです。

 きょうは衆議院第1委員室が珍しく、2つの委員会に使われました。午前9時~午後0時半まで衆院予算委員会、そして午後5時~午後8時ごろまで、衆院東日本大震災復興特別委員会です。復興特では、参院を通過した、参院自民党・公明党・みんなの党・新党改革・たちあがれ日本の野党5党提出の「原子力災害被害の(東京電力ではなく)国による仮払い法案」(177参法9号)が議題となり、参議院の佐藤正久さんが趣旨説明をしました。前回のねじれ国会では、参院で可決し衆院に送られた「郵政民営化一時凍結法案」(自見庄三郎さんら国民新党・民主党共同提出)が衆院で、ナント1年間も委員会に付託されなかったことがあります。しかし、今回のねじれ国会では、参法が衆院で審議入りし、実務者による修正協議が行われます。国会の力は少しだけ、パワーアップしてきました。しかし夏休みの宿題がたまって、午後8時までやっているわけですが、それは国民全員の責任でもありますから、与野党どこをとがめても、どうにもなりません。メリハリをつけてスピードアップした国会審議を願います。

 なお、177国会としては3度目の予算審議となりますが、本会議では民主党からは賛成討論は立ちませんでした。委員会での賛成討論には、“ベテラン1年生”の金森正さん(東海ブロック比例単独)が起用されました。自民党は小泉進次郎さんでした。組みかえ動議と政府原案の討論(賛成)ではみんなの党国対委員長の山内康一さんがしゃべりましたが、予算の2兆円弱について「しょぼい」「しょぼい」と述べたのは、いかがなものかと。予算関連法案は、衆院本会議も迫っており、ミスが許されないところです。衆財金委の「決算剰余金繰り入れ法案」では、民主党は今井雅人さん(岐阜4区比例)が起用されました。災害特の「被災者生活再建支援金の補助率のかさ上げ法案」には、小山展弘さん(静岡3区)が起用されました。小山さんは先週7月13日(水)の衆財金委での一般質疑でも質問に立っています。延長国会になって、とてもめまぐるしい状態になっているので、実力のある人が起用される「正念場」になっています。暑いですが、国会への関心を一日5分でも持つようにしていただきたいと思います。


中野寛成・国家公安委員長「最後の一人まで」捜索を明言 予算は9月末まで手当て済みと答弁

2011年07月20日 11時39分04秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]中野寛成・国家公安委員長、2011年7月20日、衆院予算委、衆議院インターネット審議中継から。

【2011年7月20日(水) 衆院予算委員会 第2次補正予算案 しめくくり質疑】

 2次補正審議は、衆院予算委でしめくくり質疑に入っています。

 公明党理事の富田茂之さんは、大震災によるご遺体について、安藤隆春・警察庁長官(次官級)が現地を視察した際に、地元の方から「最後の一人まで捜索してください」と言われたことを紹介しました。安藤長官の上司にあたる、中野寛成・国家公安委員長に「阪神・淡路大震災では、(災害発生の1月17日から)54日後に、最後の(行方不明の)ご遺体が発見された」として、「どのような姿勢で臨むのか、また財政は大丈夫か」と富田さんは質問しました。

 中野さんは答弁で「たいへん厳しい状況ですが、最後のご遺体まで捜索したい」と述べました。そして、昨日の捜索結果として、「7人のご遺体を発見しました」とし、そのうち、6遺体は海上を浮遊していたものを収容し、1遺体は海岸に打ち上げられていたものだと説明しました。そのうえで「警察はあまり重機を持っていないので、手作業で“思い出の品物”を探している」として、「今後ともあきらめることなく、全力を尽くす」と語りました。そのうえで、「予算面については、1次補正で9月までは確保していただいている」とし、その後も、予備費や3次補正などで予算を確保したい考えを示しました。

 菅内閣の対応が遅いという批判があるのは当然です。しかし、阪神のときとは、様々な違いがあることを意識しながら、ステップを踏んでいかなければなりません。「3・11」の本質から外れないようにすれば、国政に関する議論からイライラを排することができるのではないでしょうか。

 富田さんは、警察庁の資料を引用するかっこうで、「ここ20日間で2000体を発見している」と評価しました。47都道府県から派遣されている警察官のみなさんは、「なでしこジャパン」のように輝かしい冠はありませんが、公僕の鑑です。ずっと、各警察本部の後輩たちに語り継がれると思います。

 第2次補正予算(案)の審議は、日程上は滞りなく進んでいます。


リハビリの金田勝年さんが登場 衆議院、地上波アナログTVフィナーレ

2011年07月19日 09時04分01秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]自民党衆院議員の金田勝年さん

 自民党らしいな、という感じがします。

 きょう2011年7月19日(火)は、衆議院の第1委員室で予算委員会「第2次補正予算の基本的質疑」が行われます。

 議題の「第2次補正予算(案)」については、すでに15日付でエントリーにしていますのでご覧下さい。

第2次補正予算案が審議入り 「復旧から復興へ間断なく」

 半世紀前、「オヤジ」にかわってお茶の間の上座を占めるようになったテレビ。その地上波アナログ放送ですが、被災3県を除けば、来週2011年7月24日(日)の正午で停波します。

 ですから、衆議院ではこれが最後の国会中継になります。参院はあさって21日(木)の基本的質疑がラストとなりそうです。

 衆議院本会議としては2011年6月2日(木)の「菅内閣不信任決議案採決」がラストだったことになります。

 自民党にとって厳しい第45回衆院選で初当選したのは4人ですが、もう1人、参院2期で、衆院では1期生がいます。これは金田勝年(かねだ・かつとし)さんで秋田2区で比例復活当選しました。先日の予算委員会で少しお見受けしたのですが、きょうの午後2時35分~午後3時5分の30分間、質問に立ちます。金田さんは、今国会中の3月10日朝、「軽微な脳出血」で「入院治療」「リハビリ」をしていました。

 金田さんの4月18日付ホームページによると、「思考、言語には何ら支障はないものの、左半身に感覚障害があり、入院治療が必要となりました」、「時おりしも、統一地方選挙の直前であり、また翌日には東日本大震災が発生し、一線を離れることは断腸の思いでありましたが、病床から電話での対応に止め、懸命にリハビリを続けています」、「リハビリ生活では、時にはくじけそうになりながらも、県民の皆様、同志の皆様のお顔を思い浮かべながら、また、大震災で被災された多くの方々の悲しみやご苦労に思いを致しながら、一刻も早く皆様の元に戻って仕事をしなければと、励んでいます」とのことです。

 金田さんの姿は、延長国会が正常化した7月6日(水)の予算委集中審議で、私はネット上で見つけました。以前と比べて、雰囲気は変わったように思えました。昭和24年(1949年)10月4日生まれということで「61歳」というのはまさに、脳卒中(脳出血など)が多い年頃。金田さん本人も、「秋田県・東北地方は、脳卒中・脳梗塞患者の多い地域です。私の父も兄も脳梗塞で倒れました。その痛みは、軽いとはいえ経験してみて初めて分かるところもありました」と書いています。

 その金田さん、間に合いました。衆議院最後の地上波アナログ放送で、地元のみなさんに健在ぶりをアピールしますが、どんな言葉になるのでしょうか。

 人も党も試される正念場国会。

 140人を超える民主党1期生衆議院議員では、これまでTV入り中継で質問に立ったのは、打越明司さんと畑浩治さん。ともに地元の災害に関して、予算委員会で起用されました。そして、東日本大震災復興特別委員会で、復興基本法の与野党修正案の提出者として、後藤祐一さんが答弁に立ちました。それを考えると、後藤さんは飛び抜けて優秀な1期生ということになります。ひがみややっかみがなければいいですが。このほか、衆院総務委員会のNHK決算の深夜の録画中継には、永江孝子さん、小原舞さんら何人かの一年生議員が登場しました。

 そして、自民党の1期生では、最初の国会で齋藤健さんが「自民党では新人でも質問の機会がいただける」と2大政党の時代の到来を感じさせる発言で登場。そして、「箇所付け問題」で国交委で頑張っていた、伊東良孝さんが予算委に起用されましたが、さすがにキンチョーしていたようです。質疑の冒頭に万葉集を詠む橘慶一郎さん、人気の小泉進次郎さんは、テレビ入りでは登場の機会がなかったように思えます。

●7月中の2次補正ははじめて

 きょうから平成23年度第2次補正予算(復旧テコ入れ補正)が実質審議入りします。7月の補正審議は1999年以来で、このときも歳入は前年度決算剰余金で賄いました。ただ、7月という早い段階での2次補正というのは、現行憲法で国会が予算を審議できるようになってから初めてのようです。村山内閣のときは、1月17日に災害が起き、1月20日の翌年度当初予算の提出に合わせて当年度の第2次補正案を提出し、さらに年度内に第3次補正。当初予算成立後、5月に1次補正、10月に2次補正、1月に3次補正となっています。ですから、菅民主党内閣の補正予算(案)の提出のペースは遅いとは言えません。予備費も使っています。問題はむしろ、予算の執行の方でしょう。

●農水省はもっと想像力を

 放射性物質(セシウム)を含んだ牛肉が発見されました。これは、稲作農家がつくった稲ワラが、屋外で被爆していて、それを畜産農家が餌として牛に与えたことによって、起きたようです。私は、農水省らしいなと感じました。やはり、想像力が足りない。霞が関のなかでも、財務省などは逆に想像力がたくましくて、困りますが、農水省は想像力が弱い。とはいえ、「農水省」は固有名詞というよりも一般名詞であって、国に一つしかないから困ったものです。農水省が入っている建物は「合同庁舎1号館」と、その名にふさわしい建物ですが、こういうことがあるから、地方主権が危機管理の第一歩だと感じます。この辺、鹿野道彦農相の答弁が今回の補正審議で問われることになります。

[引用はじめ]

自民党衆院議員の金田勝年さんのホームページから

http://www.kaneda-k.com/k-column/?m=20110418

2011年 4月 18日
ご支援頂いております皆様へ
去る3月10日朝、体調に異変を感じました。受診の結果「軽微な脳出血」とのことでありました。思考、言語には何ら支障はないものの、左半身に感覚障害があり、入院治療が必要となりました。

時おりしも、統一地方選挙の直前であり、また翌日には東日本大震災が発生し、一線を離れることは断腸の思いでありましたが、病床から電話での対応に止め、懸命にリハビリを続けています。

時節柄、皆様に具体的に復帰の時期を示せるまでは、私事を公にすることで、ご心配をお掛けすることは適切ではないとの考えで、公表は控えておりました。無理がたたったとはいえ、改めて、この間私がやるべきことを十分に果たせなかったことを心からお詫び申し上げます。

入院から1か月が経ち、医師団からは、病状を軽いこと経過が良いことから、リハビリを十分に行うことにより、6月半ばを目途に活動を再開できるとの説明を受けています。

リハビリ生活では、時にはくじけそうになりながらも、県民の皆様、同志の皆様のお顔を思い浮かべながら、また、大震災で被災された多くの方々の悲しみやご苦労に思いを致しながら、一刻も早く皆様の元に戻って仕事をしなければと、励んでいます。

秋田県・東北地方は、脳卒中・脳梗塞患者の多い地域です。私の父も兄も脳梗塞で倒れました。その痛みは、軽いとはいえ経験してみて初めて分かるところもありました。これまで、厚生労働分野の仕事も多く担当してきましたが、今後の政治活動においては、この経験を元にお役にたてることがさらに増えると考えています。

今しばらく、リハビリに専念するために地元に帰ることができませんが、皆様とは心一つに頑張って参ります。どうぞ、ご理解、ご支援賜りますようお願い申し上げます。

衆議院議員 金 田 勝 年 拝

2011年 4月 18日

[引用おわり]


なでしこジャパン「日本は女性の方が活躍しているな」 岡田克也さん

2011年07月18日 08時13分41秒 | 岡田克也、旅の途中


 なでしこJAPANことサッカー日本女子代表優勝やりましたね! 

 なによりすごいのは、PKのときの、あの(TVで見る限りは)リラックスしているところ。PKに関しては、「ミスした方が負け」という要素がより強いですが、アメリカはけっこう力が入った表情だったようにTVでは見られましたが、実際にミスがありました。

 サッカーのFIFA女子ワールドカップ(W杯)2011年ドイツ大会。日本時間の2011年7月18日(現地時刻は17日)、日本女子サッカー30年目にして、ついに初の頂点です。

 岡田克也さんは14日、なでしこJAPANの決勝進出について、語りました。

 岡田さんは「なでしこJAPANが決勝戦に進んだことはヒジョーに喜ばしいことだと思います。体力的にも(欧米などの参加国の選手と比べて)ハンディキャップを抱えながらも、すばらしい成績をあげていることは国民の一人としてうれしく思います。

 やはりスポーツの世界でも、日本は女性の方が活躍しているな、と改めて感じております」と語りました。

 その一方で、岡田さんは「私も準決勝を見ようかなと思いましたが、さすがに時間が深夜ですので、断念して寝てしまいました」と相も変わらぬマイペース。

 実は、岡田さんが「やはり日本は女性の方が活躍しているな」と感じるのは、岡田家はいわゆる“女系家族”なんですね。岡田さんのお父さん岡田卓也さんがイオンの創業者ということで、男系のように思われるかもしれませんが、岡田さんのお母さんである岡田保子さんは、三重県三重郡最大の旧家である高田家の出身です。


[写真]岡田さんの母、岡田保子さん=岡田卓也著『私の履歴書』日経新聞から

 保子さんのおじいさんが自宅に孫文を泊めたことは有名ですが、保子さんのお父さんは若くしてなくなっています。保子さんのお母さんである高田ちゑさんは、女手一つで3人の娘を育てました。いくら旧家とはいえタイヘンです。とはいっても旧家ということで、半世紀にわたり、菰野町母子福祉会の会長を務め、全国組織の「全国母子寡婦福祉団体協議会(全母子協)」の副会長も10年以上務めました。

 また、岡田さんの奥さんの多津子さんも日本最初の「女医学校」である東京女子医科大学を卒業した神経内科医です。「女医学校」というのは世界的にも珍しい組織のようです。


[写真]岡田さんの奥さん、岡田多津子さん=民主党ホームページから。

 
[写真]東京女子医科大学の創立者、吉岡彌生さん、「国立科学博物館の「科学技術の偉人たち」のレリーフ=筆者撮影。

 ちなみに、吉岡彌生さんの「弥生」とは3月の意味ですが、私は新暦の3月1日生まれで、生まれた場所は、東京女子医科大学の第二病院(現在の東医療センターに改称)ということで、ご縁を感じます。

 このように、岡田さんは“女系家族”なので、日本は女性の方が活躍しているということに前々から気付いていたようです。私もなでしこジャパンの、とくにPKの落ち着きぶり。これは僕には無理です。今の日本には、じゃっかん、派手な振るまい(金銭、外食)の女性も多いですが、バブルを忘れれば、はるかに女性の方が活躍できるので、日本も十分に復興できると考えます。

 それにしても、あのPKのときの落ち着きぶり。「スゴイ」という表現しか見つからないのが悔しい(^^;)


第2次補正予算案が審議入り 「復旧から復興へ間断なく」

2011年07月15日 17時37分50秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]財政演説にのぞむ財務大臣の野田佳彦さん、衆院本会議、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 政府は平成23年度第2次補正予算(案)「復旧テコ入れ補正」を2011年7月15日(金)国会に提出しました。衆参本会議で財政演説と代表質問があり、財務大臣の野田佳彦さんは「復旧から復興へ間断なく」震災対策をする補正だとして、「被災地のためにも関連法案とともに一刻も早くご審議をお願いします」としました。

 平成23年度第2次補正予算書はすでにpdfで公開されています。
 一般会計書は http://www.bb.mof.go.jp/server/2011/pdfhdocs/201121002Main.html
 特別会計書は http://www.bb.mof.go.jp/server/2011/pdfhdocs/201122002Main.html

 です。政府関係機関予算書への補正は今回はないようです。

【歳出は復旧テコ入れの大幅増額】

 歳出の増額補正としては、被災者支援関係経費が3774億円(中小企業、水産業関係施設、医療福祉施設の経営者などへの二重債務対策で774億円、被災者生活再建支援金補助金のかさ上げ(補助率の引き上げ)のために3000億円)を計上しました。また、今年度の予備費は、閣議決定による予算執行でほとんど底を尽きかけていると思いますが、「東日本大震災復旧・復興予備費」として、0・8兆円が追加されました。原賠法による関係経費が2754億円(政府補償契約にもとづく補償金支払いに1200億円、放射能モニタリングの強化に235億円など)盛り込まれています。この中には、現在衆議院で審議中の閣法83号「原子力賠償スキーム法案」の成立の見切り発車として、「原子力損害賠償支援機構(仮称)への出資金」が70億円盛り込まれています。予算というのは、国会が政府に対して歳出の限度額を定めるものですから、予算という「見積もり書」が法案よりも早く成立する運びとなります。この「機構」には交付国債2兆円分を渡します。交付国債とは、「機構」が現金に変えたいときに現金化できるものですので、この2兆円は予算総額には含まれていません。しかし複数年度で見ると、この2兆円は国庫から現金で支出することになりますから、国民負担です。こういった点にもご注意いただきたい。交付国債の償還財源のための利子負担として、今次補正にはとりあえず200億円が計上されています。

[追記 2011年7月19日午前8時]
 「被災者生活再建支援金」の補助率の引き上げのために、政府は15日、「特別の財政援助及び助成に関する法律の改正案」(177国会閣法86号)を提出しました。[追記おわり]

 なお、「機構」への出資金70億円と「利子負担」200億円の合計270億円は、一般会計から繰り出して、特別会計書の「エネルギー対策特別会計(経産省と文科省と環境省の共管)」に繰り入れています。これも含めて「交付国債2兆円」の「それから」は、毎年の特別会計書の「エネルギー対策特会」をみていくとチェックできるしくみになりそうです。私は財務省の、こういう担当府省に“押しつける”やり方は好きですが、こういうところから、財務省の悪口を言う他省庁の官僚も多いようです。

【1次補正につづき、2次補正も国債発行は無し】

 1次補正(5月2日成立)では、歳出を3・7兆円分を減額補正(議員歳費の減額22億円、当初予算では基礎年金財源に充てることになっていた税外収入=旧鉄建公団の溜まり金の国庫への返納など=の転用1・2兆円など)することで、4・0兆円の東日本大震災関係経費をつくりだし、それを増額補正しました。よって、歳入では、国債の追加発行はなく、当初予算の赤字国債充当事業1・2兆円を建設国債に振り代えただけ(予算の歳出入総額は変わらない)でした。

【前年度決算剰余金を活用、いわば内部留保を取り崩し】

 2次補正の歳入は前年度決算の剰余金を活用します。すでに財務省は7月1日に平成22年度決算概要を発表しました。歳入ではリーマンショックの反動で、法人税収が1・5兆円上ブレし、所得税も0・2兆円上ブレしました。これに伴い、赤字国債の発行を2兆円取り止めたので、良し悪しは別として単年度予算としてはあくまでも歳入減となります。が、歳出で不用額が2・1兆円(天下り凍結に伴う退職手当の余りを含む)出ましたので、さしひき、2兆円の剰余金がでました。このうち、0・5兆円は地方交付税のさだめで地方交付税交付金財源としなければならないのですが、これがそのまま今次補正の地方交付税交付金の増額補正に使われています。ちなみに参本での菅直人首相の答弁によると、900億円が普通交付税でそれ以外の0・4兆円が特別交付税だそうです。そして、交付税0・5兆円を除いた、平成22年度決算の純剰余金の1・5兆円がまるまる今次補正の歳入の増額補正に使われます。このため、今次補正の歳出入総額は1兆9988億円になります。これは企業会計の複式簿記でいえば、前年度に積み増した内部留保を、非常時ということで、とりあえず崩して運転資金に充てているというイメージです。言葉は悪いですが、“自転車操業”ともいえますので、底打ち感がようやく出てきた日本経済の成長と、それにともなう国庫の安定した収入増(まずは課税ベースの拡大、そして税率上げ)が必要不可欠となってきました。

【一般会計総額は当初の92・3兆円から補正後94・7兆円と健全性を保つ】

 そして、歳出の減額補正による財源捻出がないため、今次補正では、歳入の増額補正は当初予算にまるまる増額補正したことになりますから、これで平成23年度一般会計の歳出入総額は94兆7155億円となりました。当初予算は92・3兆円→1次補正後92・7兆円→2次補正後94・7兆円ということになります。これについては、財政の健全性が保たれながら、歳出を確保しており、評価できます。

【予算の思想は「信無くば立たず」「まずは身を切る」】

 この民主党政権や財務省主計局の「予算の思想」は「信なくば立たず・まずは身を切る予算」といえます。1次補正での国会議員の歳費の削減は総額で見ると、たったの22億円です。そして、2次補正でも、国債発行(建設国債と赤字国債)も増税もありません。それでいて、交付金を含めて6兆円、交付国債を含めれば8兆円を震災復旧・原子力災害補償に振り向けたという風に見て取れます。もちろん3次補正は大幅な復興事業が盛り込まれますし、復興基本法(施行済み)にもとづき、復興債も発行されるでしょう。藤井裕久さんの口癖を、野田佳彦さんが体現しているという気もします。

【財政法6条の特例と、財政法4条の特例】

 なお、決算剰余金を丸々使っていますが、財政法6条では、半額を国債償還にあてなければならないことになっています。そのため財政法6条の特例としての法的措置が必要になってきます。そもそも当初予算(3月29日)の歳入を確保する「特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)」(177国会閣法1号)が衆院委員会段階に留め置かれたままです。こちらは財政法4条の「特例」です。この置き石をなんとかどけないといけないのですが、審議日程としては、来週22日(金)と想定されている第2次補正予算成立後に持ち越されそうです。

 [追記 2011年7月19日 午前8時]
 政府は15日、「平成22年度決算剰余金の処理の特例に関する法律案」(177国会閣法87号)を国会に提出しました。[追記おわり]

 また当ブログは最近のエントリーで「日本国憲法83条の財政民主主義を尊重しよう」と主張していますが、15日の参本ではみんなの党を代表して質問した柴田巧(しばた・たくみ)さん=比例代表(元富山県議)が、今次補正の予備費の0・8兆円積み増しについて、「予備費は当初予期していなかったことに対応するため、国会での承諾は、事後承諾でいいことになっている」として、「(発災から4ヶ月以上経った今では)震災対策はけっして予期していないことではない」として、財政民主主義の観点から異論を唱えました。私としても同感で、3次補正以降は、もう少しその辺の配慮をもって、編成して欲しいと考えます。


[画像]財政演説に対する代表質問に立つ、柴田巧さん(みんなの党)、2011年7月15日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 最後にひとつだけ付けくわえると、昨年度決算で、赤字国債の発行を2兆円取り止めたことは前述しましたが、おそらくこの影響で国庫から日銀への納付金が2841億円余りました。昨年度は野田佳彦財務相も為替介入に踏み切っていますから、この納付金のあまりは、赤字国債の発行を2兆円取り止めたことによって生じたのではないかと勘ぐっています。オンライン、ペーパレスの時代に、日銀納付金は高過ぎやしないかという気がします。これでは「日銀貴族」ではないでしょうか。私は国債の日銀引き受けには反対していますが、こういった日銀貴族の実態を透明化する動きが与野党内にあれば、応援したいと思います。

 補正予算案は、3連休明けの7月19日(火)に衆院予算委員会で基本的質疑、7月20日(水)に締めくくり質疑と採決を経て、衆本で可決。7月21日(木)に参院予算委員会で基本的質疑、7月22日(金)に締めくくり質疑と採決を経て、参本で可決・成立するものと思われます。この後の日曜日(7月24日)の正午に地上波アナログテレビ放送が終了しますので、この衆参予算委の基本的質疑が最後の地上波アナログでのNHK国会中継になるものと考えられます。

 平成23年度第2次補正予算書(一般会計、特別会計とも)は、すでに財務省のホームページから、PDFファイルですべて手に取ることが出来ます。これは与野党衆参議員の全室に配布されたものとまったく同じ物です。とくに補正審議はあっという間に終わってしまいますから、一般会計、特会ともその日のうちにインターネットに上げる財務省を大いに評価したいし、政権交代後の財務省政務三役の姿勢はもっと知られて良いと考えます。

http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh23.html

 また、平成22年度決算概要(見込み)については、
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/account/fy2010/index.htm で情報をとることができます。

【追記 2011年7月15日 午後9時】

 最初に更新したときに、旧鉄建公団の溜まり金について、「2・4兆円」としていましたが、「1・2兆円」に訂正しました。また、1次補正後の一般会計の歳出入総額を「94・7兆円」としていましたが、「92・7兆円」でした。とくに1次補正後の歳出入総額については、文章の前後の文脈がつながらなくなるミスで、失礼しました。【追記おわり】


それでも問責を出せるのか? 参院、野党6党賛成も薄氷の可決 原災の仮払い法案

2011年07月15日 17時23分39秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]仮払い法案の賛成票(白票)と反対票(青票)を計算する参議院参事。見た目には賛否は拮抗しています。参議院インターネット審議中継から。

【参議院本会議 2011年7月15日(金)】

 延長国会で初めて、参院本会議が開かれました。

 参院自民党(佐藤正久さんら)、公明党(浜田昌良さん)、みんなの党(小熊慎司さん)、新党改革(荒井広幸さん)、たちあがれ日本の野党5党が提出した「原子力災害の仮払い法案(177国会参法9号)が採決されました。

 提出した5党に加えて、社民党が賛成しました。

 反対は、衆院で審議中の「原子力賠償スキーム法案」(177国会閣法84号)を優先すべきだとする民主党と国民新党。これに加えて、「東京電力に賠償の責任をトコトン果たさせるべきだ」と前日の委員会で山下芳生(やました・よしき)さんが反対討論した日本共産党が反対しました。

 参本にしては珍しく、押しボタン式ではなく、記名投票(堂々巡り)で採決されました。これは野党5党の79議員から申し出がありました。参議院規則の第138条によると、「出席議員の5分の1以上の要求」があると、記名投票にしないといけないようです。

 投票総数 233

 賛成 123

 反対 110

 の賛成多数で、「仮払い法案」は衆院に送付されました。欠席者が8人いたようです。全員出席した場合、過半数は121ですから、それを「2」上回っただけになります。無所属から尾辻秀久副議長を含めて2人以上が賛成に回ったんだと推測します。電子投票でないので、ホームページに載るのは遅れますが、議事録が仕上がれば、議員ごとの投票行動が載ります。

 ここで一つ指摘したいのが、マスコミなどで、菅首相の問責決議案が出てくれば参議院で確実に可決されるような報道がありますが、はたしてそうでしょうか? ということです。

 自民党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本、新党改革、社民党が揃ってちょうど121議席です。衆院での内閣不信案に欠席した社民党が抜ければ、117議席です。日本共産党も衆院での不信案には欠席しています。参院での首相問責決議案は、衆院の不信任案と違って、法的拘束力が弱く、首相出席の重要法案の審議が参院でできなくなると言う“返り血”を浴びることになります。

 この辺で、政局絡みでおもしろがる、マスコミなり、与党内野党なりのあおり行為には、慎重に判断して欲しいと思います。あと、今週から来週にかけて、さまざまな修正協議が与野党の「実務者」によってされています。実務者は交渉能力に長けていなければならず、閣僚経験者も多いです。そういうなかで、上京しながら居場所がない議員が政局をしかけてマスコミ露出をねらう可能性がありますが、ホントウにそっれは止めてほしいです。余裕のない平成23年夏、それは歴史に対する反逆だ、といっても言い過ぎではないでしょう。

 参本は、改正鉱業法(第177国会閣法53号)改正新型インフルエンザ予防接種特別措置法(第174国会閣法54号)を押しボタン式投票で採決し、可決・成立しました。この後、いったん休憩になり、午後1時からの衆院本会議で、野田佳彦財務大臣の平成23年度2次補正予算案に関する財政演説とそれに対する各党代表質問に続いて、参本も再開し、財政演説と各党代表質問がありました。

 来週は補正予算案の審議。衆院予算委員会と参院予算委員会が中心の国会審議になるので、予算委員でない現場の実務者たちは1週間の余暇を活用して、さまざまな法案の修正協議にのぞむことになります。 仮払い法案」は、このままの衆院可決はあり得ません。参院自民党はそれを見越して修正協議を求める意向で、衆院民主党は原賠スキーム法案とすりあわせる修正協議に応じる見通しです。内閣・与党・野党、衆参が入り交じった“立体的な議論”になります。予算を伴う法案ですから、タイヘンです。

 ただ、佐藤さん、小熊さん、荒井さんら福島県出身者が議員立法した法案なので、そういった魂の法案への反映というのは、ぜひ実現させて欲しいところです。


再生エネ法案がやっと審議入り 立体的な議論を期待したい

2011年07月14日 19時36分41秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]エネルギー白書2010

【衆院本会議 2011年7月14日(木)】

 再生可能エネルギー(自然エネルギー)の全量固定価格買い取り法案(177閣法51号)が14日の衆院本会議での趣旨説明と代表質問でやっと審議入りしました。

 これに先立つ、13日午後6時、菅直人首相が記者会見し、3・11以後の「稀な体験」をした総理大臣として、「3月11日のこの大きな原子力事故を私自身体験をする中で、そのリスクの大きさ」「これまで考えていた安全確保という考え方だけではもはや律することができない。そうした技術であるということを痛感をいたしました」「そういった中で、私としてはこれからの日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至りました。つまり計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく。これがこれから我が国が目指すべき方向だと、このように考えるに至りました」と語りました。

 衆院本会議で、公明党の稲津久さんは「公明党は与党時代に固定価格買い取り法を成立・施行させた」として、「(全量買い取り)法案は、公明党の構築した制度を拡充させたものだ」との認識を示しました。これにより、自民党の申し出による修正協議はあるかもしれませんが、衆参とも、過半数の賛成が見通され、今国会中に衆参で採決まで行けば、成立することがほぼ間違いなくなりました。

 3月11日午前に閣議決定されながら、審議入りが4ヶ月後の延長国会になりました。しかし、怪我の功名とはよく言ったもので、いろいろなことが見えてきました。

 きょうの代表質問でも、経済産業大臣の海江田万里さんが「電力多消費産業の省エネ設備投資と研究に配慮する」、国土交通大臣の大畠章宏さんが「全国のダム(の発電設備などを)を点検する」、農林水産大臣の鹿野道彦さんが「耕作放棄地はあくまでも農地だが、発電設備への利用はあり得る」と答弁しました。これだけでも、文字数は少ないこの法案が一つの川の流れとして、流域に大きな変化をあたることが分かります。

 国会の内外ではいろいろな情報が出てきています。「先行したドイツでは電力料金が高くなりすぎた」(自民党の西村康稔シャドウ経産大臣)、「自然エネルギー産業は、世界で20兆円産業だが、いずれ200兆円産業になりそうだ」(公明党の稲津さん)、「今年度予算では自然エネルギー促進に関連する予算が前の年度から288億円削減された。これは行政刷新会議の事業仕分けで『効果が必ずしも明らかではない』とされたからだ」(公明党参院議員の浜田昌良さんの質問主意書に対する12日付の政府答弁書)といった多様な情報がいろいろ出てきます。

 他にも、
 ・日本の風力発電設備のメーカーの技術は高く、内需が少ないので輸出が好調だ
 ・昭和シェル石油(の100%子会社)が宮崎県に太陽光パネルの世界最大の工場を建設し、中東にも進出する
 ・もっと早く制度が出来ていれば、(シャープ、京セラに次ぎ)国内第3位の太陽光パネルメーカーの三洋電機は生き残れた
 ・高付加価値型の半導体メーカーでは、(自然エネによる電力を電力会社から購入している場合は)周波数がほんのわずかでもずれてしまうとラインがストップする

 などなど、いろいろなことを知りました。法案審議が遅れた怪我の功名です。この法案だけでなく、エネルギー基本計画の見直しに向けて、議論を深化させていきましょう。

 さらに「太陽光、風力、小水力、バイオマスなら地域ブロック域内での地方分権につながる」といった意見まで出てきました。安全保障にもかかわります。実に奥深いのが、エネルギー問題ということになります。

 ぜひ、冒頭にあげた図をごらんいただき、まかり間違っても「原発推進か?それとも自然エネルギーか?」という二元論での議論は排しましょう。

 なお、参院の東日本大震災復興特別委員会では、参院野党5党共同提出の「原発賠償仮払い法案」が可決しました。あす朝の参院本会議で可決し、衆院に送られる見通しです。これは、衆院側にある、「原発賠償スキーム法案」の「対案」ではなく、その前に、(東京電力ではなく)国費で仮払いするという法案です。衆参ねじれ、閣法と議員立法、さまざまにねじれています。また、きょうの衆院・災害対策特別委員会では、「災害弔慰金の支給法(の対象者を死亡者の兄弟姉妹にも拡充する)改正案」が、各党の意見を聞き取った上で委員長が起草し、全会一致で可決しました。

 さまざまな法案が各党で修正協議をしています。かなり二次元・三次元・四次元(?)の立体的な議論が国会の議事堂内・議員会館内で繰り広げられています。民主党国対委員長代理の齋藤勁(さいとう・つよし、比例南関東ブロック)さんは昨夜のブログで「原賠スキーム・仮払い・再生可能エネルギー・ガレキ処理等々の法案を、修正協議や参議院審議での衆参の大臣の振り分け等々、国対の働きどころにしても、あまりにも多忙。この他に、郵政改革法案・特例公債・他の委員会審議など、第一戦の理事の奮闘に敬意を表す」としています。

 正念場(性根場)ということを今国会で何度も書いています。けさの衆院農水委では、民主党の網屋信介さん(鹿児島5区比例)は1期生とは言え53歳の社長経験者ですが、「震災後に塩釜市に行き、人生観が変わりました」。そして、答弁に立った篠原孝・農水副大臣が「海に近い漁協が損壊しました」と答弁していたのを、次の自民党議員の質疑中に、「漁協が損壊したのではなく、漁協の“店舗”が損壊したでした」と修正するなど、「緊張の夏・日本の夏2011」という風情です。

 衆院総務委員会ではNHKの財産目録・バランスシート・損益計算書・キャッシュフロー計算書などについて、平成19年度分(おととしの麻生内閣の第171通常国会に提出)、平成20年度分(昨年の鳩山内閣の第174通常国会で提出)、平成21年度分(今国会提出)の3年分をいっぺんに議題にしました。一体どれだけ宿題溜めてるんだよ!という感じです。ただ、国会の制度改革よりもまず、心がけで国会が動いているという感じがします。乗りに乗っている状態です。

 そして、あすは衆参本会議で野田佳彦財務大臣の財政演説と代表質問で、第2次補正予算案の審議がスタートします。3連休明けの来週中にも成立し、その後も各法案が修正協議でドンドン成立する運びとなりそうです。

 まあ、こういった中で、居場所がなくなっている議員もけっこういるとは思いますが。ちょっとそこまでフォローしている余裕はありませんから、ドンドン力のある政治家の背中を押していきましょう。

 きょうも夕方だけ、国会周辺に行きましたが、海側(皇居と反対側)に入道雲が見えました。夏の東京の青空はとてもきれいです。私が子供だった30年前、2日に1回は光化学スモッグ注意報が出ていました。それに比べると、私には、東京の空はきれいに見えました。日本人の智恵と叡智を集めて、前に進む道を探して、拓いていきましょう。Japan.Endless Discovery.