第193回通常国会は、2017年1月20日(金)の召集から、148日が経った、きょう、6月16日(金)をもって、事実上閉会しました。昨年の「保育園落ちた国会」から、今年は「学校法人・森友・加計学園国会」となりました。
【衆議院本会議 平成29年2017年6月16日(金)】
「改正JAS法」(193閣法25号参先議参修正)が共反対、自公民維賛成多数で可決し、成立しました。公布日から1年以内に施行。
「商業捕鯨実施のための鯨類科学調査法」(193参法106号)は全会一致で可決し、成立しました。公布日に施行。
この後、請願合計313件が緊急上程されました。各委員会からの審議未了法案の継続や、一般質疑・委員派遣などの国政調査の閉会中審査申し出が採決。賛成多数や全会一致で決まりました。参側で予算委が開かれており、本会議は夕刻になることもあり、大島理森議長はあいさつなどはせずに、暫時休憩を宣言しました。議長のあいさつはなく、参本散会とともに、衆本も散会しました。
【参議院本会議】
午後5時30分頃から始まりました。
「日本スロバキア社会保障協定の承認」(193条約13号)「日本チェコ社会保障協定の改定の承認」(193条約14号)は、投票総数240、賛成240、反対0の全会一致で両院承認。外務省が今国会に提出した法律・条約はすべて議了しました。
「農業保険法」(193閣法58号衆修正)は、投票総数240、賛成218、反対22で可決し、成立しました。来年4月施行。これで、小泉進次郎・自民党農林部会長がまとめた農業改革アクションプランをもとにしたすべての農水省提出法律が成立しました。
「改正文化芸術基本法」(193衆法18号)は投票総数240、賛成240、反対0の全会一致で可決し、成立しました。
「改正刑法(性犯罪の量刑を引き上げ強制性交等罪とする法律)」(193閣法47号衆修正)は、投票総数239、賛成239、反対0の全会一致で可決し、成立しました。公布の日から起算して20日後の、7月中旬に施行。
「国家戦略特区法及び構造改革特区法を改正する法律」(193閣法54号)は投票総数239、賛成167、反対72の賛成多数で可決し、成立しました。
「改正青少年インターネット利用環境整備法」(193衆法20号)は投票総数238、賛成234、反対4で可決し、成立しました。
この後、会期末処理。
法務省の定員増を求めるなど192の請願が採択されました。
参議院での継続調査の法案はゼロとなったと思います。また、維新が出した法案はすべて廃案になったと思います。秋の第194回臨時国会も波静かなスタートとなりそうです。
参議院側では、議長のあいさつがありました。伊達忠一議長は「今国会は国民生活にかかわる諸課題について熱心な議論が行われました」とし「会期終盤には緊張が高まる場面もありました」と振り返り、午後6時12分頃、散会しました。
【参議院法務委員会 平成29年2017年6月16日(金)】
「刑法を改正して、性犯罪の量刑を引き上げ、強姦罪などを強制性交等罪などに改める法案」(193閣法47号衆修正)。まず参考人質疑。この後、理事会を開き、ただちに採決することで合意しました。討論では、真山勇一さんが賛成討論に立ち、「さらなる改正が必要でこの法律は一里塚だ」と語りました。採決では全会一致で可決すべしとしました。政府原案を、衆議院段階で、自民党・公明党・民進党・共産党・維新の5党修正されました。今第193回国会での、政府提出法案の衆参登壇会派5党による修正はこの法律だけだったと思います。
【参議院内閣委員会】
「国家戦略特区法及び構造改革特区法改正案」(193閣法54号)を採決し、民共維希反対、自公賛成多数で政府原案通りに可決すべし、と決まり、本会議に上程。討論では、共産党の田村智子さんが「参議院で継続調査にすべきだ」としましたが、採決されました。質疑は民進党対案の「国家戦略特区法の一部停止法案」(193参法105号)とならんで審議されました。
この後、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の改正案」(193衆法20号)が、衆側の内閣委員長から趣旨説明されました。賛成多数で可決しました。午後の本会議で成立。
【参議院文教科学委員会】
正常化しました。
「文化芸術基本法改正案」(193衆法18号)が趣旨説明され、質疑。採決では全会一致で可決しました。午後の本会議で成立。他の議員立法も水面下で模索されていましたが、見送られました。
【参議院外交防衛委員会】
請願、陳情を整理して、外交防衛委員会専門員(参議院職員)が説明しました。採決では保留されました。
【その他の参議院第1種常任委員会】
すべて予定通り始まり、請願、陳情の処理、地方議会意見書の紹介、国政調査の継続調査要求がありました。
【参議院の特別委員会・調査会・審査会】
会期途中に設置された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会」のみ設定されず、同特別委は、開催2回で廃止されます。それ以外の特別委員会はすべて設定。3つの調査会も設定。情報監視審査会、政治倫理審査会は開かれませんでした。
【衆議院内閣委員会】
5分遅れで始まりました。会期末処理をしました。「死因」をめぐる時限法を復活させる議員立法を水面下で探っていましたが、見送られました。
【衆議院総務委員会】
地方議会の意見書が合計1177件あったと紹介されましたが、採択はすべて保留しました。
【衆議院厚生労働委員会】
請願のうち、3つを採択し、本会議上程。(1)腎疾患の総合対策樹立を求める請願(2)難病、小児特定疾患の対策充実を求める請願(3)繊維けんつう症の医科と歯科の連係を求める請願の3本です。
この後、「労働基準法改正案」(189閣法69号)「水道法改正案」(193閣法49号)「精神保健福祉法改正案」(193閣法34号参先議参修正)「旅館業法改正案」(193閣法50号)の閉会中審査を議長に求めることを決定しました。前の3つの法案は共反対、後ろの1つの法案は全会一致で閉会中審査にすることが決まりました。
【衆議院決算行政監視委員会】
民進党の玄葉光一郎さんが議事をとり、一般質疑が閉会中審査できるようにするなどの手続きを取りました。
【衆議院東日本大震災復興特別委員会】
委員派遣の報告がありました。自民党の島田佳和理事らが、岩手を訪問したと、鈴木俊一委員長自ら報告しました。
【衆議院予算委員会】
民進党から集中審議の要求がありますが、定刻通り始まり、会期末処理をして、散会しました。
【その他の衆議院常任委員会・特別委員会・審査会】
国家基本政策委員会と懲罰委員会を除く、すべての常任委員会が開かれ、会期末処理をしました。
衆議院特別委員会はすべて開かれました。
憲法審査会も会期末処理をしましたが、情報監視審査会と政治倫理審査会は開かれませんでした。
【参議院予算委員会】
集中審議「安倍内閣の基本姿勢」が4時間コースであり、NHK中継されました。
【官報】
次の8法律が公布されました。
「衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律」が平成29年6月16日法律58号として公布。国会での議案番号は、193閣法65号。2015年国勢調査を反映した、289小選挙区、比例代表176の定数465で、過半数は233になります。
「厚生労働省設置法の一部を改正する法律」(五九)。193閣法16号。次官級ポストの「医務技監」を設ける法律。
「畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律」(六〇)。193閣法40号。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律」(六一)。193閣法62号。
「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律」(六二)。193閣法63号。改正バーゼル法。
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」(六三)。193閣法66号。
「電子委任状の普及の促進に関する法律」(六四)。193閣法46号。
「住宅宿泊事業法」(六五)。193閣法61号。いわゆる民泊新法で国土交通省の観光庁所管。なお、厚労省の規制を強化する法案は成立せず秋の臨時国会に継続調査になりました。
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