ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

衆・財金委、特例公債法案ようやく審議入り 参院では国家公務員給与削減法成立

2012年02月29日 19時02分00秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 衆議院財務金融委員会(海江田万里委員長)は2012年2月29日(水)、午後4時から会議を開きました。衆院予算委員会の本予算審査の一般的質疑4巡目、両院合同の党首討論の後です。安住淳・財務大臣の所信聴取に対する一般質疑(店開き)を終え、午後5時過ぎから、歳入関連法案の趣旨説明をしました。

 審議入りしたのは「平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)」、「特別会計法改正案(第180閣法3号)」、「国税である租税特別措置法改正案(第180閣法8号)」の3案です。歳入関連法案(日切れ法案)の2月29日審議入りは衆参ねじれ昨年の通常国会よりは早いですが、例年なら採決していてもおかしくない時期。スピード感ある審議が求められます。

 このうち、44兆円の赤字国債を発行する平成24年度特例公債法案。昨年の審議とマーケットの関連。「円ドルレート」という物差しを使えば、「1ドル79円台」だったのが、8月9日の3党合意で成立のメドが立つと、78円~75円台の円高(円が人気で買われている状態)が続きました。これが79円台に戻ったのはことし2月21日の日本銀行によるインフレターゲット導入直後です。震災後でありながら、円が買われたと言うことですが、仮にもっと成立が遅れていたらと考えると、ぞっとします。極めて影響が大きい法案です。

 兵庫10区(加古川市、高砂市など)で自民党の渡海紀三朗さんと3度目の対決を控えている、民主党1期生の岡田康裕さんは、当選以来、財金委員です。今180通常国会から理事に。その思いを、ブログで、「衆議院財務金融委員会の理事(候補)の打診をいただきました。まだ委員会で正式にご承認いただかねばなりませんが。ありがたいことです。税制改正法案、公債特例法案、消費税法案など主戦場になる委員会ですので、雑用から何でも走り回ってがんばりたいと思います」と書いています。この平成24年度特例公債法案については、先行きを考えれば考えるほど、人によっては吐き気がしたり、あるいは胃が痛くなったり、下痢したり、いずれにしろ胃腸に来るでしょう。私はある民主党長老に「先生、政治家は鈍感さも必要ですね」と質問したら、「違うよ、鈍感さを装うんだよ」と教えてもらいました。ホントウかな、という気もしますが、議会政治は与野党、衆参とも相手があるものです。だから、もなんとかなるものです。それに、1期目の3度目の通常国会で、国対から財金委理事に抜擢された充実感をかみしめれば、まあなんとかなるもんです。私はことしも、しっかりと財金委を見ていきたいと考えます。精神力の王様、頼れるアニキ、安住純さんが大臣ですから、何も恐れることはありません。次回は、3月2日(金)の午前9時から委員会を開くとのこと。同日は、予算委が中央公聴会なので、財務大臣の体が空きます。財金委の定例日は水曜日ですが、金曜日にも審議を設定できている。自民党の山本幸三理事らの良識を感じます。

 ところで、暫定予算ですが、私は4月1日から5月20日までの50日間で組んだらいいと考えます。

 さて、2月28日(火)の衆院予算委の本予算審査の一般的質疑3巡目では、内閣府特命担当大臣(防災、男女共同参画、少子化、新しい公共)の中川正春さんが急遽、質問通告を受けて、飛んでくる出来事がありました。これは自民党シャドウ厚労副大臣の阿部俊子さんの質問での出来事。阿部さんは「きょう午前中の記者会見で、中川大臣から、交付国債を取り下げることも与野党での話し合いによってあり得ると発言しました」とし、「内閣の統一見解を示して欲しい」と財務大臣や予算委員長に要請しました。息せき切らしながら第1委員室に飛び込んできた中川さんは「舌足らずをお詫びしたい。与野党の話し合いの中でいろいろな選択肢があるという意味です」と答弁し、所管外でもあり発言を撤回しました。政治家らしい態度だと感じました。

 ただ、中川さんが息せき切らせて走っていた頃なので、本人は気付いていないでしょうが、阿部さんは「中川大臣の発言は筋の通った発言だ」と発言しています。私もそう思います。平成24年度本予算(案)の基礎年金の2分の1国庫負担のために年金交付国債を2・5兆円発行することに、「国民年金法改正案(第180閣法26号)」、「消費増税準備法案(未提出)」の3議案に横串しが刺さってしまっています。報道などは違いますが、私は自民党はその横串を嫌がっているのだと考えています。本予算が衆参予算委、国民年金法改正案が衆院厚労委、特例公債法案と消費増税準備法案が衆院財金委と、戦線が分離してしまい、野党は攻めにくくなります。だから、年金交付国債を取り下げ、赤字国債にすれば、国民年金法は内閣撤回となり、あとの議案は別々に採決できます。中川正春さんは昨年第177通常国会の衆・予算委筆頭理事で、衆参ねじれ後にただ一人の本予算の“現場監督”として仕上げた人です。その責任感から、アドバルーンを上げたのであって、中川発言はむしろ、民主党を良い方向に持っていったと理解しています。そして、撤回した。そこが政治家らしい。

 おそらく自民党の税制調査会幹部、いわゆるインナーのなかでは、予算案、国民年金法改正案、特例公債法案、消費増税準備法案をどさくさまぎれに一括採決してしまうという作戦に賛成してくれる人もいるのではないでしょうか。だから、暫定予算は50日間組んで、一気呵成に成立させてしまうという作戦もあり得ると考えます。

 なお、安住さんは2月28日の予算委では「交付国債は戦前から認められていた制度で、(自民党・公明党が言う)“粉飾”という言葉に当たらないことは長期政権を維持してきた自民党の先生ならご存じのはず」と答弁しました。中期財政フレームと国民の納得。どちらを優先するかの時代になってきました。自民党も中川発言を撤回させないで、年金交付国債を赤字国債に直す議員修正案を発議(ほつぎ)すればいいんですよ。

 さて、2月29日の参議院本会議では、法案が4本通りました。4次補正関連の改正地方交付税法に続き、法律番号は平成24年第2号~第5号になると思います。皇太子殿下が天皇陛下の国事臨時代行として公布なさると思います。官報がどうなるか、楽しみです。

 成立したのは、「国家公務員の給与改定および臨時特例(2年間で7・8%カット)法(第180衆法1号、民自公3党の衆・総務委理事提出)」、「改正国会議員の秘書の給与(人事院勧告にもとづき0・23%カット)法(第180衆法2号、衆・議運委員長提出)」と「改正裁判官報酬法(第177閣法79号)」、「改正検察官俸給法(第177閣法80号)」の4つです。すべて民自公の賛成。ただ、この採決で、参議院自民党から京都選挙区で世襲の西田昌司さん、大分選挙区の礒崎陽輔さん(昭和57年自治省)、全国比例の石井みどりさんが造反しました。私がかねてから指摘していたとおり、参議院自民党が存在意義を問われる中、バラバラのきりもみ状態にあることをうかがわせました。あまり報道されませんけど。

 一方、野田佳彦首相としては2度目の党首討論(QT)がありました。自民党総裁でシャドウ首相の谷垣禎一さんは、迫力がありませんでした。前日に大島理森副総裁らと練習していたそうです。自民党の場合は、総裁周りの議員の発言力があるので、谷垣さんとしても「まとめ」をしてから終わらなければならなかったようです。時間切れで発言を制されながら、まとめをしましたが、後味の悪いものになりました。どうも、谷垣さんは奥さんを亡くされてから元気がないように思います。9月の総裁選に出馬しないのではないかとも感じます。お元気がないのでしたら、前倒し総裁選で、石原伸晃総裁ということで、次の総選挙を闘えば、二大政党政治らしい、活気あるやりとりが期待できそうに感じます。

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“樽床違法状態”に突入

2012年02月29日 05時23分18秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]「ホントウに国民のみなさん申し訳ありません」と謝罪する民主党最高顧問の渡部恒三さん、2012年2月26日のTBS時事放談、テレビ画面から撮影。

 「せっかく苦労して二大政党で政権交代したと思ったらね、まあその後のことを考えると、政権交代したところで、脳梗塞かなんかでパカーッと逝っていたらなあと。残念なことばかり続いて。ホントウに国民のみなさん申し訳ありません」。

 民主党では最年長79歳、14期勤続42年の渡部恒三最高顧問が謝罪しました。2月26日(日)のTBS時事放談です。

 この恒三さんの言動と直接すべて関係するわけではないのですが、2012年2月26日(日)午前0時から、我が国は、“樽床違法状態”に入りました。

 平成23年3月23日(水)に最高裁判所が出した「平成22(行ツ)129 選挙無効請求事件」の判決に対処した「区割り審設置法改正案」を衆参で可決・成立させられなかったからです。最高裁大法廷判決は、第45回衆院選の東京2区(当選人は中山義活さん)、東京5区(同手塚仁雄さん)、東京6区(同小宮山洋子さん)、東京8区(同石原伸晃さん)、東京9区(同木内孝胤さん)、東京11区(同下村博文さん)、東京12区(同青木愛さん)、東京18区(同菅直人さん)の8選挙区で憲法違反だから無効にしろと訴えた裁判。あくまでも裁判としては原告は敗訴しています。この判決は、区割り審設置法の第3条の第2項の「1人別枠方式」について明白に日本国憲法第14条第1項の「法の下の平等」に反しており、1人別枠方式があっても区割り審設置法1条に定める「2倍以内」の区割りが可能であるにもかかわらず違憲状態だったと指摘しています。

 この判決文を読むと、第44回衆院選(平成17年9月11日執行)の選挙無効請求事件(平成19年6月13日判決)と第45回衆院選(平成21年8月30日執行)の判決で踏み込んだ部分があります。区割り審設置法第3条が削除されなかった。それ自体が憲法14条に違反しており、選挙区ごとの当選人が地裁の仮処分や最高裁特別抗告により、無効となる可能性が出てきました。とくにこのなかで東京6区は、最も1人あたり1票が軽い状態です。さらに東京8区、東京12区、東京18区などでは、与野党の党首経験者が第46回総選挙の当選人になる可能性があります。党の勝敗に関係なく、首班指名選挙にのぞめない世論になると、私は考えています。

 この作業は「各党協議会」が設けられていましたが、座長を務めた樽床伸二・民主党幹事長代行がまとめられませんでした。かけひきでは許されない立法府の敗北です。自民党幹事長の石原伸晃さんは2月21日(火)の記者会見で、「座長である民主党の樽床幹事長代行が抜本改革、定数是正を全てやるんだということを言っておきながら、一票の格差と定数是正、抜本改革が何もできなくなって、幹事長にこの会の生い立ちからして報告をしたいと。そこで一体何が出てくるのか。これは言われていることで、まだ私のところに来ていないが、いわゆる区割り審の期限の延長。こんなことは実務者レベルでは一切話し合われていない」と驚くべき発言をしています。選挙博士の異名を持つ自民党の細田博之さんが「0増5減」の私案を出していました。そして、設置法4条の期限の単純延長でも、最終週には、公明党の山口那津男代表が「歳費の恒久2割削減とセットで」という助け船を出しています。おそらくこの山口提案の「勧告期限延長(区割り審設置法)」、「0増5減(公職選挙法改正案)」、「歳費の恒久2割削減(国会議員歳費法改正案)」の3点セットが「中間テストの答え」だったと思いますが、何もせず。

 私は樽床さんの無責任ぶりをなじりたい。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。2010年6月の第174通常国会会期末に「樽床首相候補」として民主党代表選に擁立し、会期末当日に参議院で全法案・全請願廃案という大混乱を招き、第22回参院選での民主党惨敗・ねじれ国会をつくりだした推薦人全員もなじりたい。その辺は、野田佳彦さんは出来た人物で、2010年秋の神奈川での「花斉会」合宿では、このときの推薦人に「イエローカードだ」と述べたうえで、「その未熟さを胸に抱いて、政治家として成長して欲しい」という趣旨のことを言ったそうです。私はそこまで人間ができていないので、過激に思えるでしょうが、本心をそのまましたためております。3月15日(木)までに衆院に欠員が出ると、4月24日(日)に補欠選挙になります。そこで無効決定がでるかもしれません。

 恒三さんは、時事放談で、1986年の第2次中曽根内閣の衆参ダブル(死んだふり解散)について、次のように振り返りました。

 「みなさん忘れているんですけどね、中曽根内閣のときね、やはり最高裁判所から違憲だということで、やはり解散できないということになったとき、たまたま、(早稲田大学雄弁会同級生の)藤波孝生君が(自民党)国会対策委員長で、私が筆頭副委員長だったんだけど、この問題はお前が解決しろ、と言うんで、定数是正の特別委員長を私やって、野党と、私その時自民党ですから、社会党、公明党、民社党のみなさんと相談して、おそらく難しいだろうと言われていたのがね、一ヶ月ぐらいで解決して、ちょうど中曽根さんが参院の選挙にぶつけて、私が解決して、おそらく野党は憲法違反だから解散できないと思っていたのが解散できることになり、大勝利した記憶があるんですがね」と振り返りました。

 その上で恒三さんは「野田君がそのくらいの根性があればね、私のところに特別委員長を頼みにくれば引き受けるんだけど、全然先輩の話を聞こうなんて気がないようだな」とし、樽床氏に代わって座長を引き受ける考えを示しました。恒三さんが公の場で批判したのは、これが初めてだと思われます。野田総理(民主党代表)はこのことを深刻に受け止めるべきです。

 恒三さんは野田さんに限定せず、「急に大臣とか副大臣とか偉くなっちゃったもんですから、先輩の意見を聞くなんていうのもなくなっちゃった。要するに、経験というのも大事なんですよね。しかし、経験のある先輩は邪魔になる。もう俺がやるんだ、という感じなんですよ」としました。これは私もこの2年半、感じていて、やはり相対的に、民主党議員は自民党議員に比べて育ちが良くないことのマイナス面だと思います。

 恒三さんは1993年(平成5年)8月6日、NHKニュースに衆院本会議場裏から生出演したと記憶しています。与党・新生党副党首として、細川護煕首相指名の直後のインタビュー。スタジオから「自民党に何か言いたいことはありますか?」と聞かれ、「そうだ!これから本格的な二大政党時代になるんだから、野党の自民党にも頑張ってもらわなくちゃ!」と目を輝かせたのを、昨日のように覚えています。しかし、自民党は健全野党にならず、10ヶ月後に日本社会党と手を組むという禁じ手で政権をもぎ取りました。そして、小沢一郎氏の新進党解党の暴挙を経て、政権交代は2009年までずれ込みます。すべては有権者がいけなかったのです。

 英国では、境界委員会が設けられ、毎回選挙区区割りが変わっています。新区割りは与党に有利とされ、いわゆるゲリマンダーなのですが、与党の当然の権利だという考えが支配的なようです。実際に、2010年の総選挙結果をみると、選挙区名称が前回より大幅に変わっています。日本やアメリカのように、「○○県(州)第1区」という言い方はせず、「バッキンガム選挙区」という風に名称があります。地域と関係なく、アルファベット順に配列されます。その与党寄りの選挙区割りを当然と受け止めたうえで作戦を立てて、野党・保守党は13年ぶりの第1党に躍進し、連立のうえ政権交代しました。

 2010年総選挙では政権交代となりましたが、選挙区割り変更とは、与党にとっては次の勝利につなげる能動的な作業。与党現職は有利な新選挙区を選び、目の上のたんこぶ的な議員を貴族院に飛ばしてしまうチャンス。例えば、保守党では、ヒース元首相が退陣後も長く庶民院にとどまり、サッチャー首相、メージャー首相のころも議員を続けていました。が、メージャー元首相は現在、貴族院に転出しており、キャメロン首相と庶民院議場で顔を合わせることはないようです。

 そういう老獪な政治は、小選挙区である以上、不可欠。それが政治です。選挙区割り変更は現在最大多数党である与党にとっては能動的に再選のために活かす最大の政治的資源です。どうも輿石東幹事長や樽床さんは理解していないようです。この問題はあまり世論は反応していませんが、国民の権利と政治参加の根本的な問題です。なお、内閣府衆議院選挙区画画定審議会が総理に新区割りを勧告した後には、公職選挙法の改正が必要となります。が、勧告の時点で国民に広く知れ渡るので、改正公職選挙法の周知期間は必要ない、というのが学説のようですので、それも書き添えておきます。

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本予算の年度内成立絶望、暫定予算へ 政府による組み替えでなく、国会による議員修正をめざせ!

2012年02月24日 21時34分58秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

参院自民幹部、暫定予算編成を民主に要請  :日本経済新聞

 自民党の脇雅史参院国会対策委員長は24日午前の参院議員総会で、2012年度予算案の審議について「参院では3月12日の週くらいから始まるだろう」との見通しを示した。そのうえで「審議日数が限られてくるから年度内成立はほとんどあり得ない」と指摘。年度内の不成立を見越し、民主党側に暫定予算を編成すべきだとの考えを伝えたことを明らかにした。

 ◇

〈平成24年度当初予算の年度内成立はほぼ絶望に〉

 衆院予算委員会はゆうべ2月23日(木)、本予算採決の前提となる「(中央)公聴会」を3月2日(金)に設定しました。地方公聴会はきょう2月24日(金)済ませ、来週月曜27日には参考人質疑もやります。しかし、この日程では、3月2日(金)に衆院本会議で採決(可決)し、参院に送るのは絶望的。そもそも3月2日採決でも、日本国憲法第60条の「30日規定」を使うとしたら、3月31日の土曜日に衆本を設定しなければならず、30日規定による年度内成立は完全に消えました。

 きょう2012年2月24日の参院本会議で、平成22年度(2010年度)決算審査のスタートである「総括質疑」がありました。これを前に開かれた、参議院自民党の議員総会で、脇雅史国対委員長が4月1日以降の暫定予算を組むよう民主党側に申し入れたことを明らかにしました。

〈平成10年を振り返る〉

 暫定予算を組むのは、平成10年度(1998年度)の第2次橋本内閣以来。このときの野党第一会派は民友連(民主友愛太陽国民連合)でした。この第142通常国会中に、民主党が結党。それ以降、本予算はすべて3月中に仕上げており、この健全野党ぶりが参院選での連勝(2004年、2007年)につながりました。参院選は常に通常国会閉幕直後に公示されますから。

 平成10年度予算は、政府が1月19日に国会提出し、衆・議運委が予算委に付託。審査開始が2月19日と遅く、衆院での採決(可決)は3月20日までずれ込みました。ただ、この第142通常国会は、自民党が111議席、日本社会党・護憲連合(現在の社民党・護憲連合)が39議席、新党さきがけが3議席で、与党3会派で大きく過半数を持っていましたので、楽観的でした。参院は4月8日に予算審査を終えて、本会議で可決・成立しています。

〈衆参ねじれの平成24年は平成10年よりはるかに深刻な事態〉

 第2院である参議院が与党少数である第180通常国会では、極めて深刻な事態になります。私はこのブログでも、予算は年度内に成立し、特例公債法案の採決・成立と引き換えに話し合い解散になるのではないかと予想してきましたが、参議院自民党が予算そのものを人質にとる可能性が出てきました。参院予算委員会は石井一委員長を除く44人の委員のうち、民主党は19委員、国民新党は0委員、新党大地・真民主は0委員と与党3会派はわずか19人。社民党の1委員、新党改革の1委員が賛成してもまだ2つ足りない。公明党の4委員のほか、ひょっとしたら「審議拒否に反対」として日本共産党の1委員が賛成に回ってくれるかもしれません。

 ただし日本の国会は、委員会で「否決された」と参院本会議で石井一委員長が報告しても、本会議での採決の結果、可決される可能性があります。ただし本会議を開くには、自民党の鶴保庸介・議院運営委員長の承諾が必要。民主党理事が委員長不信任決議案を出しても、鶴保委員長が参議院委員会先例28号に基づき、民主党理事を委員長代理に指名すると、採決は「信任」となります。これは予算委も同様で、石井委員長不信任動議を自民党が提出しても、仮に日本共産党が協力してくれれば、自民党理事を委員長代行にしてしまえば、自公みの3党が協力しても1票差で「信任」できます。

〈東京都国分寺市では9ヶ月間の暫定予算〉

 それはさておき、東京都国分寺市の平成22年度(2010年度)予算は市議会で否決を繰り返され、9ヶ月間にわたって暫定予算を組みました。国も2012年4月6日支給の恩給や、国家公務員給与、自治体に委託している生活保護費の国庫支出分、償還国債の元本と利息の支払いなどの義務的経費は、暫定予算により問題なく執行されますから、心配ありません。ただ、公共事業の執行はかなり遅れてくるでしょう。

〈予算成立のずれ込みは、予算と予算関連法案を一体的に国会が審査する時間をつくるかもしれない〉

 予算関連法案のうち、「国民年金法改正案(第180閣法26号)」がまだ審議入りしていません。この法案の「第14条の3」および「第14条の4」がないと、年金交付国債は発行できず、2・5兆円以上の歳入が確保できなくなります。さらにこの法案の「国債の償還の請求、償還に要する費用の財源その他の償還に係る事項及び当該国債の返還に係る事項については、別に法律で定める」という条文の「別の法律」とは、「消費増税準備法案」だそうです。そのため、野党・自民党は消費増税準備法案も平成24年度予算案の関連法案だという論理立てをしています。そうなると3月下旬(?)以降、予算案、消費増税準備法案、平成24年度の特例公債法案、国民年金法改正案の歳入関連議案をセットにして、国会審議ができます。そのかわり、自民党は歳入関連法案でも「国税である租税特別措置法などの改正法案(第180閣法8号)」や「地方税改正法案(180閣法13号)」は、おそらく年度内に通してあげるという昨年とは反対の手法を衆参自民党はとってくると考えられます。

 前述の通り、平成10年はねじれ国会ではなかったので、楽観的でした。しかし、今年は特例公債法案を媒介にして、予算と消費増税準備法案を一体的に人質にとり、6月21日の会期末を見すえながら、「熟議」の国会になるかもしれません。自民党は衆参バラバラですが、この辺は衆参とも阿吽の呼吸でできるのが自民党でしょう。そして、自民党税調の幹部(インナー)も、予算・特例公債・消費税が一体的に採決の対象となり、最終的に賛成のうえ、話し合い解散ならば、かなり得です。

〈組み替え動議ではなく、憲政史上初の国会による予算修正をすべき時期だ〉

 とくに予算書に関しては、憲政史上例がない、国会発議による議員修正をしてほしいと思います。自民党の前回の与党期最後の第171通常国会では、参議院で福山哲郎さんら提出の議員修正案が可決されましたが、両院協議会では北澤俊美・議長・石井一副議長が頑張りましたが、衆院の勝利、政府原案通りの成立となりました。ただし、これは補正予算(定額給付金補正)のケースです。

 きょう24日(金)の衆院財務金融委員会の大臣所信表明に対する一般質疑(いわゆる店開き)で、自民党の徳田毅さんが安住淳財務大臣の今年度第4次補正予算に「国連分担金」が計上された経緯について質問しました。何でも聞いて良い一般質疑ですが、4次補正はすでに成立済み。2期生の徳田さんがすでに成立済みと分かっていながら、予算審査に参加するチャンスがなかったのできょう聞いたのでしょう。この出来事は、国会新時代の幕開けを予感させました。ただし、予感であって、まだ開いていません。衆参与野党は、幕を明けるべきです。小沢一郎さんは「40年間、予算書を読んだことがない」と語っていますが、きょうの徳田質問は国会が明るい方向に向かっている証しです。こう見えても。

 このほか修正の余地がある議案は、歳出関連法案で、「児童手当=子どものための手当=法改正案(180閣法10号)」などです。

〈内閣官房内閣総務官室作成の「閣法件名・要旨調べ」には欠陥があった〉

 内閣官房がつくっている「第180回国会(常会)内閣提出予定法律案等件名・要旨調(しらべ)」という冊子があります。国会議員は誰でも持っています。この17ページをみると、国民年金法改正案について、「平成24年度以降の基礎年金国庫負担割合を2分の1とするとともに」と当たり前のことは書いてあります。しかし、「年金交付国債を発行する」ということは要旨に一言も書いてありません。持っている人は目で確認してください。9日(木)の基本的質疑では自民党の加藤勝信さんが「年金交付国債の根拠法案は国民年金法改正案」だと指摘しました(加藤指摘)。加藤さんは財務省主計局勤務の経験があります。官僚出身でなくても弁護士でなくてもすべての政府外議員は自分の目で法案を読まないといけません。そうしないといつまでたっても成長しません。民主党部門会議での役人の説明もいいですが、公明党や自民党のベテラン・中堅の国会での気になる発言の意図が何か。当該議員と面識がなくても直撃でズバリ聞いたり、同僚と話し合ってみたらいいかもしれません。

 とにもかくにも、私の願いは、国会が立法府と機能すること。そのためには、予算修正も含めた議員立法を期待しています。暫定予算を組んでおけば心配ありません。

 私たち国民は衆議院、参議院とも1年半以内に構成を変える機会と責任があります。それだけではなく、向こう数十年にわたって日本を支えることができる本物を見つける第180常会になりそうです。

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小沢グループが大活躍 検察官の給与法案、国家公務員給与7・8パーセント削減法案が衆院通過

2012年02月23日 13時00分47秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【2012年2月23日(木) 衆院本会議】

 小沢グループの旧自由党元副党首、山岡賢次さんが衆参通じて勤続25年を迎えて、永年勤続表彰を受けました。山岡先生、おめでとうございます。

 これに先立つ、午前中の衆院総務委員会では、ゆうべ民主党の稲見哲男さん自民党の石田真敏さん公明党の稲津久さんら各党筆頭理事が提出した「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法案」(第180衆法1号)が議題となりました。稲見さんは当選2回。大阪維新の会でおなじみ橋下徹・大阪市長の天敵、大阪市職員労組の出身。いわゆる「小沢自治労」で、小沢グループ。稲見さんは委員会で、「法案提出は唐突だと言われますが、3党の修正協議に基づくものです」とていねいに説明しました。国家公務員給与7・8削減法案は第177通常国会の震災前に閣法として提出されていました。しかし、この中には、人事院を廃止し、内閣府公務員庁とその出先機関をつくるという「たこの八ちゃん」がひそんでいたため、仕上がりませんでした。

 ゆうべ3党協議が整い、法案が各委員に配られました。これについて、日本共産党の塩川鉄也委員は「密室談合の法案の上わずか半日の質疑」、社民党の重野安正さんも「各委員の手に法案が渡ったのはゆうべ。談合だ」と批判しました。

 そのうえで、きのう提出の衆法にきょう修正案が自民党と公明党2党により提出されました。これは法案に「附則12条 地方公務員の給与については自治体が判断する」という文言を追加するものです。結局、関連法案は、人事院廃止(当然、人勧も廃止)や、内閣府たこの八ちゃん条文が、自治労に限らず、おそらく総務省の人事・恩給局辺りの入れ知恵で入ったために、「国家公務員への労働協約締結の権利と義務の付与」という国際的に当然な本質的な手直しが先送りされてしまった格好です。震災後日本ではこのようなことは許されません。速やかな労働協約締結権を付与する法律を公布したうえで、返す刀で、総務省人事・恩給局や行政管理局や行政評価局など行革3局を切り込まねばいけない、と私は考えます。

 3党協議にともなう衆法には、東日本大震災で活躍した自衛官への配慮が盛り込まれました。

 さて、本会議場に戻ります。まず昨日の衆院法務委員会で可決した「検察官俸給法改正案」(第177閣法80号)と「裁判官報酬法改正案」(第177閣法79号)について、小沢グループの小林興起法務委員長が報告。この審議では、小沢グループの階猛さんが質問に立ちました。

 緊急上程された「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法案」は小沢グループの原口一博・総務委員長が報告しました。

〈公設秘書給与は0・23パーセント引き下げ、人事院勧告〉

 さらに、今年度人事院勧告の「平均0・23%引き下げ」の、国会議員公設秘書(特別職の国家公務員)の給与に反映する「国会議員の秘書の給与法の改正案」が緊急上程。趣旨の弁明に立ったのは、父の代から民社協会ながら小沢系でもある小平忠正・議院運営委員長で、「きょうの委員会で起草されたものだ」としました。それはそうと、衆院議員秘書に解散時に2ヶ月分の給与を支払うように法改正すべきだと私はかねがね思っていますが、これは実現しませんでした。

 このようにきょうの本会議は小沢グループづくしで、「独り立ち」が始まっている春の息吹を感じました。それぞれのタンポポの綿帽子は、小沢卒業により、自分の脚でしっかり立つ政治家になることを望みます。自立と共生です。

 これら4法案は、起立多数で可決し、参院に送られました。なお、きょう午後の参院法務委員会(委員長は公明党の西田実仁さん)、参院総務委員会(民主党の藤末健三委員長)で審議入りするようです。ドンドンスピードを上げないといけません。力のない議員は足手まとい。震災後日本では、かまっている余裕はありません。まあもともとそれが世界標準なんですが。

 情熱ダッシュです!

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◎全文公開、これが郵政民営化法改正案の公明党案だ 民自公実務者協議を経て、成立の見通し

2012年02月23日 10時47分18秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 公明党の石井啓一政調会長は2012年2月22日、日本郵政株式会社グループの改革に関する独自の議員立法案を発表しました。これは、1年前の国会に提出された郵政改革関連法案(第177閣法1号|~3号)にかわり、現行の郵政民営化法を改正することで郵政改革を実現する法案です。第45期衆議院の自民党議員は逆風のなか、足腰の強い後援会活動で粘り勝ちしているため、第44回郵政選挙でも「郵政造反組」ながら当選した人が多い傾向があります。そのため、新法である郵政改革法案ではなく、現行法の「郵政民営化法」の改正には、ネガティブな議員が多いようです。しかし新法制定と旧法改正はテクニカルな面ではまったく同じことです。要は中味で、公明党案が自民党、民主党双方の実務者協議のカギとなりそうです。

 民主党1期生で「金融ボーイズ」の石川3区選出の近藤和也さんは2012年2月23日(木)の衆院予算委員会の集中審議「経済(円高・デフレ・第1次産業)」の中で、小学生のころ新聞配達で稼いだオカネを郵貯にしたら、大卒時に2倍になって野村證券社員になったエピソードを披露。近藤後援会は能登半島で全特(郵便局長会)とJP労組の合同集会を開き、おそらく全国初とされています。近藤さんはここ2,3日の与野党の先輩による郵政改革成立の機運に感謝し、ハッパをかけてから質問に入りました。

 公明党案は、全体的に、「ユニバーサルサービスである郵便事業をしっかり全国的に」という前島密の原点に返るという発想が滲み出ています。また「簡易郵便局長」を名乗ることができるようになります。儲けは薄くても、日本列島の津々浦々毛細血管まで、もう一度郵便ネットワークを張り巡らせましょう。ユニバーサルサービスをとことん極めましょう!

 当ブログが独自のルートで全文入手した「法案の概要」では、第1条を郵政民営化とは「株式会社に的確に郵便事業の経営を行わせるための改革」「ととらえ直すこととする」とし、小泉改革でのゆうちょ・かんぽ偏重から軌道修正。日本郵政(株)に2つぶら下がる郵便局会社と郵便事業会社のうち、郵便局(株)を存続し、「日本郵便(株)」に称号を変更し、郵便事業(株)を吸収合併します。そのうえで、政府は親会社である日本郵政(株)の株式の3分の1超を持つことで、外資の乗っ取りを阻止。「残余の株式をできる限り早期に処分する物とする」としており、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式は、おそらく政府に10兆円以上の税外収入をもたらすでしょう。まさに頼もしいばかりの孝行息子。

 そして、親会社「日本郵政(株)」と新会社「日本郵便(株)」は、郵便、ゆうちょ、かんぽの3事業の窓口業務を郵便局において一体的に提供します。また、「日本郵便(株)には、3事業を行う郵便局をあまねく全国に設置する義務を負う」としました。これは行きすぎた小泉郵政改革を一部元に戻すことであり、当時の政権政党だった公明党としては思いきったものですが、公明党だからこそ推進できる案です。公明党を支持する創価学会員は高齢化し、貧しい方が多い傾向があります。田舎の貧しい高齢者の方が郵便局で手紙を出し、貯金の出し入れをする。年金も引き出せる。かんぽは日本生命などでは加入が断られた方でも入れることがありますし、何かあったときは郵便局員が自宅に来て手続きをしてくれることもありました。あるいは、郵便を届けてくれた郵便配達夫に貯金をお願いすることもできます。そういう郵便局の良さが小泉自民党によって根絶やしにされました。しかし、時代は郵便局を必要としています。JAバンクの加入者がついに非農家が農家を上回りました。テレビでは「JAの医療共済」などのCMを見かけますが、それはJAの本来業務ではありません。前島密が郵便事業を始めたのは明治4年。いわば郵政とはすなわち明治維新だと言っても過言ではないでしょう。ガンバレ郵便局。儲けは薄くても、しっかりと毛細血管に血液を流しましょう。ポンプ・アンド・サーカムスタンスです!

 公明党の石井啓一政調会長が2012年2月22日(水)の記者会見で提示した「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案(議員立法)の概要の全文は次の通り。転載自由。なお、最終的に公布にいたるまでに若干の修正が入ると思われますので、各々でご確認下さい。

1.郵政民営化法の一部改正(第1条)

 ①目的 株式会社に的確に郵政事業の経営を行わせるための改革を郵政民営化ととらえ直すこととする。 
 ②郵便事業株式会社と郵便局株式会社の合併 郵便局株式会社を存続会社とし、商号を「日本郵便株式会社」に変更し、郵便事業株式会社を吸収合併する。
 ③日本郵政株式会社の株式 政府は、日本郵政株式会社の株式の3分の1超を、常時、保有するものとし、残余の株式をできる限り早期に処分するものとする。
 ④郵便貯金銀行・郵便保険会社の株式処分 日本郵政株式会社は、早期に、郵便貯金銀行・郵便保険会社の株式をできる限り多く処分するものとする。
 ⑤ユニバーサルサービス 日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、郵便の業務及び貯金・保険の窓口業務を、郵便局において一体的に提供する義務を負う。また、日本郵便株式会社は、三事業を行う郵便局をあまねく全国に設置する義務を負う。
 ⑥日本郵便株式会社の上乗せ規制 日本郵便株式会社の任意業務については、現行の郵便局株式会社と同様の規制をかけるものとする。(届け出制とし、配慮義務及び民営化委員会への通知あり)
 ⑦郵便貯金銀行・郵便保険会社の上乗せ規制 郵便貯金銀行・郵便保険会社の新規業務及び預入限度額等に係る規制の内容は、現行どおりとする。(新規業務は、郵政民営化委員会の意見を聴取した上で、内閣総理大臣(金融庁)及び総務大臣が認可。預入限度額等は、政令で規定。)
 ⑧郵便貯金銀行・郵便保険会社の新規業務規制の緩和 日本郵政株式会社による郵便貯金銀行・郵便保険会社の総株式の2分の1以上の処分後、郵便貯金銀行・郵便保険会社の新規業務規制は届出制に緩和する。(配慮義務及び民営化委員会への通知あり)
 ⑨郵便貯金銀行及び郵便保険会社の上乗せ規制の解除 日本郵政株式会社による郵便貯金銀行・郵便保険会社の全株式の処分、又は、内閣総理大臣及び総務大臣の決定により、金融2社の新規業務規制及び限度額規制は解除する。
 ⑩郵政民営化推進本部(郵政民営化委員会を含む。)の設置期限 郵政民営化推進本部(郵政民営化委員会を含む。)は、郵便貯金銀行・郵便保険会社に係る上乗せ規制の解除の日以後の最初の3月31日(移行期間の末日)に廃止する。日本郵便株式会社に係る上乗せ規制のうち、配慮義務及び民営化委員会への通知は、本部の廃止にあわせて解除する。
 ⑪その他 郵政民営化委員会による3年ごとの郵政民営化の進捗状況の「総合的な「見直し」」を「総合的な「検証」」に改める。日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、その経営の状況に関する情報を公表するものとする。

2.日本郵政株式会社法の一部改正(第2条)

 ①業務 日本郵政株式会社は必須業務として、日本郵便株式会社の経営管理を行う。(関連銀行・関連保険会社の株式保有及び株主としての権利の行使は、総務大臣の認可を受けて行う目的達成業務と位置づける)

 ②ユニバーサルサービス 郵便の業務及び貯金・保険の窓口業務を、郵便局において一体的に提供することを確保する責務を負う。
 ③日本郵便株式会社の株式 日本郵政株式会社は、常時、日本郵便株式会社の株式の総数を保有していなければならないものとする。
 ④社会・地域貢献基金 金融ユニバーサルサービスの責務を課すこと等から、資金に関する規定を削除する。
 ⑤業務の特例 当分の間、かんぽの宿等の運営及び管理の業務を行うことができる。

3.郵便局株式会社法の一部改正(→日本郵便株式会社法に題名改正)(第3条)

 ①業務 郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を必須業務とするほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を行うことができ、また、本来業務の遂行に支障のない範囲内で届出により任意業務を行うことができることとする。また、貯金・保険の民営化前の旧契約も、ユニバーサルサービスとして提供する。

 ②ユニバーサルサービス 郵便の業務及び貯金・保険の窓口業務を、郵便局において一体的に提供する責務を負う。また、三事業を行う郵便局をあまねく全国に設置する義務を負う。
 ③収支の状況 郵便・貯金・保険・その他の区分ごとに収支の状況を総務大臣に提供しなければならない。

4.独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部改正(第4条)

 貯金・保険の民営化前の旧契約の管理業務は、ユニバーサルサービスとして提供されるよう、常に日本郵便株式会社に窓口業務が再委託されるものとする。


5.関係法律の廃止(第5条)

 ①郵便事業株式会社法

 ②日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律(郵政株式処分凍結法)(公布の日に廃止)

6.関係法律の改正(附則)

 いわゆる簡易郵便局について定めた「郵便窓口業務の委託等に関する法律」について、題名を「簡易郵便局法」に改め、委託業務を行う施設を「簡易郵便局」とするほか、窓口業務受託者は「簡易郵便局長」と称することができる等の改正をする。このほか、27法を改正する。


7.施行期日

 公布の日から起算して1年以内で政令で定める日から施行する。ただし、1①(郵政民営化法の目的)等の基本方針、2⑤(かんぽの宿)及び5②(郵政株式処分凍結法の廃止)等は、公布の日から施行する。


 以上。

 

【関連エントリー】

内閣が郵政改革法案を撤回し、3党合意で郵政民営化法改正へ 全特、小選挙区で公明党支援も

2011年12月17日 13時14分29秒 | 第180通常国会(2012年1月)


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自民党1期生の橘慶一郎さん、「内閣府はたこの八ちゃんだ」と批判 予算審査進む

2012年02月22日 19時42分19秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革


 平成24年度当初予算書の審査は、一般的質疑が3巡。集中審議が2日間。

 書きたいことは山ほどあります。

 イギリスの庶民院では毎週水曜日の昼に、首相(保守党党首)と政権準備党の党首(労働党党首)および若手が党首討論(Prime Minister's Question)をやります。庶民院事務局は事前にツイッターで、テレビを見てくださいと告知し、終了直後には、議事録を3時間後にアップしますとツイートします。庶民院事務局記録部(速記者)の存在意義を感じます。これには、トニー・ブレアさんも「1週間で最も憂鬱な時間」で「なぜかアメリカ人も日本人もよく見ている」という複雑な感情を持っていたようですが、野党と若手議員とマスコミと国民と庶民院事務局にとっては楽しみの一つ。現時点で、衆議院事務局の会議録には、いまだに当初予算審議の会議録は1件も上がっていません。このような組織なら、記録部は廃止して、何十もの地方議会の議事録作成の実績をもつ数多ある議事録会社に入札した方がいいのではないかと感じます。

 そのため、本人の正確な発言とは違いますが、2月9日(木)からの衆院予算委員会での本予算審査。現在ほとんど全部聞いていますが、その中から興味ある点をご紹介します。

 まずきょう22日の集中審議で国民新党幹事長の下地幹郎さんが予算審査の改革を提言しました。この2月の国会について「衆参722人のうち、何人東京にいますか?」とし、政務三役と衆院予算委員、党幹部しかいない状況を皮肉りました。例えば今の時期、参議院自民党の議員はリラックス。これまでこういった事実は衆参与野党とも隠していた“議員特権”。こういうのを積極的にバラしていた河村たかしさんはいじめられて名古屋市長に転出しました。下地さんは「12月に(政府が)予算案を出したら、1月から各委員会を開いて、予算を審議すべきだ」と述べました。我が国は、アメリカの2012会計年度の予算案により、沖縄などの米軍基地に関して右往左往されています。ただ、上院の軍事委員会なんですね。上院歳出委員長は最年長でハワイ選出の日系2世、ダニエル・イノウエ(民主党)ですが、かならずしも知日派だからといって親日派ではありません。上院軍事委員会の若手でやり手のウェッブ議員(民主党)が、レビン委員長(同)や大統領選に出たマケイン議員(共和党)と組んでよろしくやっているのを見て、そう感じる面もあるのかもしれません。ちなみに、衆議院では本予算審査の最終局面で分科会が7つ設置されますが、参議院では予算委員会が各常任委員会に「委嘱審査」をしていますから、この委嘱審査のしくみを歳出面では衆院予算委員会も活用すればいいのではないでしょうか。

 22日の集中審議では政権交代後初めて、民主党の長妻昭さんが登場。「消えた年金はその後どうなった?と聞かれます。記録が戻った人は1274万人。生涯で戻る年金は1・5兆円です」と語りました。野党から与党へ。長妻さんの仕事はすばらしい。歴史に残ります。そして、このような大規模な公文書改竄事件を最後にするために、政権交代ある政治を根付かせなければなりません。元厚労副大臣の鴨下一郎さんは同日の審議で、「私たちは消えた年金で政権を失った」と語りました。

 本予算審査である以上は、予算書の中味を審査すべきだと思います。しかし、やはり少なく、16日(木)に自民党の坂本哲志(さかもと・てつし)さんが農業の土地改良事業について詳しく聞きました。801億円の灌漑施設の事業に関して、民主党が「予算をつけるぞ」と言って選挙運動(日常活動)をしていると訴えました。真偽は分かりませんが、この選挙区は農相が自殺したこともある選挙区ですから、紳士的にやってほしいものです。このなかで、玄葉光一郎外相が「省庁再編のやり方について私は調べたことがある。ドイツでは首相に権限があり、アメリカではレーガン大統領まであったが今は大統領にない」という意外な見識を披露しました。ちなみに私は2010年7月の玄葉政調会長就任会見で質問した際、玄葉さんから「イギリスでは政府外議員は完全にバックベンチャーです。日本の場合は党組織に加えて個人後援会の力もあって当選しているから政府外議員も政策プロセスへの参加について一定の配慮をする必要がある」と聞きました。こういった玄葉さんの見識がさらに生きるときがいずれ来ます。もちろん当面は外相として全力投球です。

 玄葉さんの未来予想図が徐々に現実になりつつあるのが、自民党シャドウ・キャビネットと野田リアル内閣の大臣対決がいくつかありました。もちろん衆院議員のシャドウ大臣しか衆予算委では質問できませんので、この辺が自民党・民主党双方の課題になります。20日の一般質疑では小野寺五典シャドウ外相玄葉外相の対決で、辺野古崎沖の埋め立てについて、小野寺さんが名護市のリゾート地「カヌチャベイの地主が危機感を抱いている。30分前に会ったときも心配していた」と生々しく迫りました。「新年会に数百件出た」と切り出した菅原一秀シャドウ経産大臣枝野幸男リアル経産大臣の対決は、これは批判された持論を堂々と朗々と述べた枝野さんの勝ち。菅原さんは新年会に出るのもいいですが、理論面ももっと磨いてほしいです。次のNHK日曜討論に出るようです。ぜひ肩書きは「シャドウ経産相」ということでNHKも国家国民に貢献して欲しい。

 下村博文シャドウ文科相平井卓也シャドウ総務相も質問しました。対決が一番面白かったのは、21日(火)の柴山昌彦シャドウ法相小川敏夫リアル法相の対決。小川さんは参院議員ですが与党ですので、衆院予算委員会での対決が実現しました。柴山さんの質問に答えて、小沢一郎さんの裁判で東京地裁が東京地検がつくった調書や捜査報告書の多くを採用せず、裁判長が地検の捜査を批判したことについて、特捜部を配下に持つ法務大臣として遺憾の意を表明しました。ちなみに小川さんは2010年6月の民主党役員会で鳩山由紀夫代表・小沢一郎幹事長コンビの“抱き合い心中”につながる執行部批判の皮切りをした党広報委員長でした。その後、ともに弁護士でもある柴山さんと小川さんは「130人の死刑囚の未執行」に関して自民党内の議論も紹介しながら、かなり生々しい迫力ある議論が展開されました。

 このほか、再度になりますが、9日(木)の審議で茂木敏充・ネクスト官房長官が「平成24年度予算案(政府原案)の5つの間違い」を発表。10日(金)の西村康稔・ネクスト財務相が登場し、とくに西村さんがBOJの白川方明総裁から「BOEのターゲット(target)と思うところは同じ」という大きな答弁を引き出し、翌週のBOJ初のインフレターゲット導入への大きな圧力になりました。

 与党では、13日(月)の基本的質疑最終日(テレビなし)で若泉征三・元福井県旧今立町長逢坂誠二・元北海道ニセコ町長の首長経験者コンビが登場。若泉さんは原発と自治体について質問し、細野豪志・環境大臣が「福井県は長年、日本のエネルギー政策の根幹を担って頂いています」と重みのある答弁。逢坂さんは2009年の第171通常国会の本予算審議で当時1期生ながら唯一予算委員になり、締めくくり総括質疑や本会議での討論に抜擢されました。それ以来の予算委登場だと思います。実は逢坂さんは初体験の予算審査をしめくくり、予算審査のあり方について、国会図書館につくってもらった他国の事例を示しながら、問題点を指摘しました。世論調査に関する質疑では、野田佳彦首相はこの週の金曜日のNHK「ニュースウォッチ9」に出演した際、内閣支持率のことを聞かれましたが、その答えは逢坂質問で学んだ内容だったように思えました。逢坂さんは3党合意の政策効果の検証に関連して、「高校無償化では経済的理由による高校中退者は減ってきている」「農業者戸別所得補償では平成23年度の施行者は大幅に増えている」と語りました。

 15日(水)の一般的質疑では、YAMACHANが応援している岐阜4区の1期生、今井雅人さんが前日のBOJのインフレターゲット導入について「夕べ海外マーケット関係者数人と会話したが歓迎する声が多かった」とキャリアをいかした上で、「昨年12月の日中首脳会談ではあまり注目されていないがクリーンヒットがあった。ドル円、ドル円とみんな言うが、日本の最大の貿易相手国は中国だ。円-ドル-円による日中貿易では、為替リスクもあるし、手数料は二重になる」として、円と人民元取引の拡大を促しました。私はまったく賛成で、YAMACHANは良い代議士が地元に居て幸せです。ぜひみんなの力を結集して、第46回衆院選では「パジェロ金子」こと金子一義・元産業再生担当大臣と対決します。標高も高いが見識も高い飛騨高山の有権者の答えは、マット今井か?はたまたパジェロ金子か? 金子さんは野党になってみて意外と野党向きな攻撃的な予算委員ということが分かっていろいろ面白かったですが、最近はお見かけしません。そろそろでしょうか。

 20日(月)の一般的質疑2巡目では、岡山5区の1期生、花咲宏基さんが登場。中井委員長から「ハナサヒロキ君!」と呼ばれとっさに「委員長、ハナサキです、ハナサカではありません」と訂正を促した度胸満点の花咲(はなさき)さんは、予算書の中味を質問。目から鱗が落ちたのは、国家公務員人件費のうち1500億円が超過勤務手当なんだそうです。与党の花咲さんは「質問通告は早めにすませて超過勤務手当を削減したい」と生産的な指摘をしました。少子化対策にもなりますしね。最近では自民党が質問主意書を連発しているようで、困ったものです。連中は暇ですからね。民主党も次に下野したときには、官僚は野党にもしっかり情報提供をしてほしいと思います。第171通常国会では、「国交省、農水省などが野党・民主党に資料を提出する際は、自民党の村田吉隆国対委員長代理に事前に許可を取るように」という部内資料が通達されました。私はこのペーパーを現在も保存しています。このような振る舞いは民主の敵であり、村田さんの行為は断じて許すわけにはいきません。花咲さんは岡山5区で、村田吉隆さんと対決します。ここはコスタリカなので、比例単独に回る加藤勝信後援会も応援しますから、極めて厳しい闘いです。その状況で、予算委員になっている花咲さん。ぜひ頑張っていただきたいものです。

 前置きがかなり長くなりましたが、橘慶一郎さん(富山3区)の16日(木)の一般的質疑がとても良かったです。第45回衆院選の逆風で当選した自民党猛者1期生4人組の一人。すでに、斎藤健さん、小泉進次郎さん、伊東良孝さんはテレビデビューしていて、橘さんだけテレビデビューしていないように思いますが、良心的で力のある人です。4人は正午から始まる衆議院議院運営委員をやり、その後午後1時からの本会議では、議長の真ん前の議席番号47~50の4人席にお行儀良く腰掛け、よく議事を聞いています。

 橘さんの質問はいつも万葉集から始まりますが、この日は万葉集巻8の1426番の山部赤人の歌を詠みました。以前は、総務委員会などで「委員長のご承諾をいただいていますので~~」と言っていましたが、いまや与野党に定着し、第1委員室でも、登場するや、サッと。ぜひテレビ入りでも披露していただきたい。

 橘さんは野党一回生として驚くべきことに、「第180通常国会での閣法の一覧を見ていると多い」と指摘し、間に合うのかと質問します。藤村修官房長官は「前国会の継続案件が多いから」などとします。橘さんは「委員会の定例日は決まっているわけですから、この時期からそろそろ日程をコントロールしていかないといけない」とし、誰が国会日程を調整しているのかと質問します。これについて官房長官は「内閣総務官室が国会日程について各府省を調整している」と本質から逸れた答弁。野党からこんなこと言われていたらおしまいですよ。官邸と民主党国対はもっとしっかりしてほしいです。御輿の担ぎ手でばれないと思って手を抜いている人が多いように感じます。

 口の悪い新聞記者は、「橘慶一郎って橘康太郎の息子だろう。二世でも出来の良い二世っているもんだな」と評しています。ちなみに先代からは間を置いていますので、当ブログの定義では「橘さんは二世議員だけど、世襲議員ではない」ということになります。橘さんら4人は、自民党の「国会対策委員」をしています。ちなみに委員長でも代理でも副委員長でもなく「委員」はこの4人だけ。自民党の人材育成メソッドは参考にしたいところです。

 【橘慶一郎さん「内閣府はたこの八ちゃんだ」と質問し、岡田副総理兼内閣府特命大臣「委員と認識は共有している」】

 橘慶一郎さんは2012年2月16日(木)の衆院予算委員会で、内閣官房の組織図、内閣府の組織図、各庁舎の地図を配布し、「国民のみなさんは内閣官房と内閣府と言うと、ピシッと一つのビルになっていると思われるだろうが、現実にはたこの八ちゃんのようになっている。仙谷由人官房長官(当時)は『温泉の旅館の離れのようだ』と表現していたし、『スパゲッティ』と呼ぶ人もいる」としました。そして、内閣府がたこの八ちゃんのようになる背景として、パーキンソンの法則を紹介しました。パーキンソンの法則は「役人はライバルではなく部下が増えることを望む」「役人は相互に仕事を作りあうという2つの要因により、官僚制内部の総職員数はなすべき仕事の量に関係なく、毎年5~7%増加したと突き止めました。

 このようにして膨張するたこの八ちゃんである内閣府の問題点については、藤村官房長官は「私も併任が多くて嘆き節。簡素でシンプルな組織にしたい」、川端達夫・内閣府特命担当大臣(地域主権、沖縄北方など)は、「役目が終わったら、(部局の存在も)終わるようにしたい」、岡田克也副総理・内閣府特命担当大臣は「(橘)委員と認識は共有している」と答弁しました。

 ちなみに橘さんは昭和59年、旧北海道開発庁入庁の元官僚です。北海道開発庁は総理府の組織で、今の中央合同庁舎4号館にありました。総理府は現在内閣府になっています。しかし、北海道開発庁は、現在は国土交通省北海道局になっています。ですから、橘さんとしては古巣は国交省にあるということもあって、内閣府の批判をしやすい面はあると考えられますが、それは別にいいんです。橘さんは、行革の話についても、行革実行本部について「なぜ組織を減らさなかったのか」として、「総務省の行革を担当する職員にも併任事例がでている。ホントウは整理して欲しかった」としました。総務省には、行政管理局、行政評価局、人事・恩給局という3つの“行革官僚”の部局があります。

 ところで、興味深いことに、公務員庁設置法案(177閣法76号)が継続審査になっていますが、この法案に付随した承諾案件として「地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、管区国家公務員局及び沖縄国家公務員事務所の設置に関し承認を求めるの件」(177承認6号)が出ています。摩訶不思議なことに、この新しい出先機関のブロック割りが総務省の管区行政監察局とまったく同じ区割りになっています。もちろん、衆院総務委員ならそのことに気付くでしょう。しかし、この承認案件は、衆院内閣委員会に付託されています。内閣委員はこの区割りが行政監察局とまったく同じ区割りだということに気付いているでしょうか。ひょっとしてひょっとしたら、公務員庁をつくったら、その出先機関である管区国家公務員局に行政監察局職員を付け替えるつもりではないでしょうか。この法案をめぐっては、総務省の田中順一人事・恩給局長ががんばっているようです。この人事院と総務省の争い、私は人事院を応援したいと思います。労働協約権の締結で、責任ある労働環境の確立を国家公務員は先陣を切るべきです。内閣法制局職場の労働協約は、労働界の注目を浴びるでしょう。

 岡田行革は、私に言わせれば行革ではありません。公務員制度改革です。たこの八ちゃんから、省益より国益へ。やや給料は下がり、官舎に入りづらくなっても人間らしい生活をし、子を作り、育てる。国益に資し歴史に殉じる。果てしない水平線のかなたにひろがる官僚たちの夏を実現するために今こそ岡田公務員制度改革にすべての国家公務員の力を結集すべきです。

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◎平成24年度の特例公債法案が審議入り 退陣か解散か2者択一 野田首相はばく進あるのみ!【追記あり】

2012年02月21日 19時57分13秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【2012年2月21日(火) 衆院本会議】

 平成24年度の特例公債法案(180閣2号)安住淳・財務大臣の趣旨説明で審議入りしました。各党の質疑もありました。

 衆参ねじれ後の特例公債法案の審議は、2度目で、昨年の第177通常国会では、2月15日の衆本で審議入りしています。すでに6日間遅れとなっており、年度内成立は微妙な情勢。それ以上に問題なのは、政権交代後、採決では賛成している自民党と公明党が現時点で「反対」の意向を示しています。当然、参議院では過半数を大きく割り込む状況で、法案は廃案になる可能性があります。その場合は、野田佳彦総理は「内閣総辞職」か「衆議院解散か」の2者択一を迫られることは絶対的に確実です。まさにハムレットです。

 それほどの重大法案なので、全文引用します。

[法案全文引用はじめ]
第一八〇回閣第二号
   平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案
 (目的)
第一条 この法律は、平成二十四年度における国の財政収支の状況に鑑み、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めることにより、同年度の適切な財政運営に資することを目的とする。
 (特例公債の発行等)
第二条 政府は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項ただし書の規定により発行する公債のほか、平成二十四年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。
2 前項の規定による公債の発行は、平成二十五年六月三十日までの間、行うことができる。この場合において、同年四月一日以後発行される同項の公債に係る収入は、平成二十四年度所属の歳入とする。
3 政府は、第一項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。
4 政府は、第一項の規定により発行した公債については、その速やかな減債に努めるものとする。
   附 則
 この法律は、平成二十四年四月一日から施行する。
 
     理 由
 平成二十四年度における国の財政収支の状況に鑑み、同年度の適切な財政運営に資するため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
[法案全文引用おわり]

 これだけ!

 第45期衆議院の解散にかかわる重大法案なのに、文字数はたったの458文字(提案理由除く)。原稿用紙1枚ちょっとです。しかし、これがないと予算委員会(中井洽委員長)が審査中の平成24年度予算書の予算総則第6条の「財政法第4 条第1 項但し書きの規定により平成24年度において公債を発行することができる限度額は、5・9兆円とする。平成24年度における公債の発行の特例に関する法律(仮称)の規定により公債を発行することができる限度額は、38・3兆円とする」という規定を裏付ける法律ができなくなります。つまり、44兆円の国債(建設国債5・9兆円、赤字国債38・3兆円)発行にともなう現金収入(歳入)を国は得られなくなりますので、44兆円の歳入欠陥が生じます。そうすると、一般会計の執行は50兆円ほどになります。この場合は、地方交付税交付金もカットせざるを得なくなります。

 円高が問題となっていますが、円高とは私たちの円(Yen)が国際的評価が強い状態でもあり、円の健全性が保たれていることにもなります。平成23年度の特例公債法案の採決・可決・成立に自民党と公明党がサインしてくれたのが、昨年8月9日(火)の3党合意です。この直前の8月4日(木)に円は対ドルで「79円06銭」でした。そして、3党合意による特例公債法案の衆院通過(民自公賛成なので参院での可決成立は確実)後、円高が続きました。ふたたび79円台に戻ったのは、先週の金曜日(2月17日)が初めて。火曜日(2012年2月14日)に、BOJ(日本銀行)が「中長期的な物価安定の目途(めど)」を発表し、初めてインフレターゲット(物価安定目標)を導入しました。これで79円台の円安になりました。ですから、3党合意からインフレターゲット導入までの期間、79円を超えた円高状態だったことになります。この数字でハッキリ示された歴史的事実を、口の悪い人や小沢グループは、「岡田克也さんが3党合意に成功したから円高になって迷惑だ」とか、「岡田さんの父と兄が経営するイオンは輸入だから円高で助かるが、日本を支えたものづくり輸出業者は、岡田のせいで円高になって損した」と批判するかもしれません。しかし、タイの洪水被害や、欧州債務危機は岡田さんがしかけたわけではありません。また3党合意がなければ長期金利は急上昇した可能性があります。円の健全性が保たれながら、国際基軸通貨としてドルは中長期的に壊れていっている。いわば「1ドル50円時代の到来」(浜矩子・同志社大学教授)に対応できなければ、震災後の日本で生きていけません。これは絶対的な真理です。日銀による震災後の円の健全性の確保による混乱回避は評価されるべきです。そして、そろそろ私たちは我慢してきた配当を少しずつですが受け取っていい時期に来ています。

 このように特例公債法案は、為替相場を大きく左右します。長期金利も大きく左右します。また、解散につながるかもしれません。国債の価格(長期金利)が大きく変動するかもしれません。小沢グループが後ろから鉄砲を撃ってくるかもしれません。凄まじいばかりの各方面からのプレッシャーに、私たち民主党政権は挑んでいかなければなりません。その、夏休みの重い重い宿題がきょう、目の前に積まれました。

 きょうの本会議では、安住淳財務大臣が「平成24年度の特例公債法案(180閣法2号)」、「特別会計法改正案(180閣法3号)」、「国税である租税特別措置法などの改正案(180閣法8号)」を趣旨説明しました。


[画像]衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 川端達夫・総務大臣が「平成24年度の地方財政計画(地財計画)」、「地方税法改正案および国有資産所在市町村への交付金改正案(180閣法13号)」、「地方交付税法の平成24年度当初予算における改正案(180閣法14号)」を趣旨説明しました。


[画像]衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 この6議案が審議入りし、おのおの、衆院財務金融委員会(海江田万里委員長)や、衆院総務委員会(原口一博委員長)で審議します。

 きょうは、今年度最終補正予算を仕上げた2月3日(金)以来、18日ぶりに開かれた本会議でした。しかし、冒頭に残念なことがありました。横路孝弘議長が「もうちょっと座ってからですね」と開議を遅らす旨を鬼塚誠・事務総長に話す声がマイクを通じてインターネットで流れました。どうやら、集中力に欠いた衆院議員が少なからずいたようです。いったいどこの党でしょうか。本予算審議にかかわる政務三役、与野党予算委員は大忙し。これに対して、与野党衆参の政府外議員が暇なのは当たり前。なんら批判されるいわれはありません。小選挙区で劣勢な人は地元活動に集中し、優勢な人はリラックスタイム。土日がない分、こういうときに政治家は自由な時間の過ごし方をするメリハリが重要だし、そうできる人ほど優秀です。党幹部や党の各政策分野のまとめ役は、一般法案が内閣から提出されているし、3月前後から審議が始まるので、ていねいに「弾込め」をしていきます。ただ、小選挙区で劣勢の与党議員が部門会議で、提出法案の予習をする以外に、何か発言をしたり、政策に口出ししたりするのはおかしなことです。大局観を持たねばいけないのは、衆参与野党とも、最も高く宿題が積まれた厚生労働部門会議・部会の議員です。テキパキと短い時間で多くのタスクを仕上げなければなりませんから、足手まといは排除すべきです。それが震災後日本の厳しさであり、やさしさです。

 第180通常国会には、年金交付国債2兆円を発行するために必要な「国民年金法改正案(180閣法26号)と、3党合意によるマニフェスト修正を盛り込んだ「児童手当法改正案」(180閣法10号)が提出されています。しかし、きょう、小宮山洋子厚労大臣による両案の趣旨説明はありませんでした。この法案を通せなければ国民生活は混乱するし、そもそも歳出金額があわせて5兆円以上になる法案です。これをしっかりと勉強してからでないと、部門会議で偉いことを言う権利はありません。

 最終的には、公明党や自民党は特例公債法案の採決に応じてくれるとは思いますが、さまざまな精緻な議論が必要です。なるべく、国民の目に見える場で議論して欲しいですが、時には議員会館や議員宿舎の個室で、ひそひそと話し合うこともあっていいでしょう。そのためには、党派を越えた信頼。そして国家国民に報じる姿勢が必要です。ねばり強く、辛抱強く。

 まあなんとかなるものです。総理である野田さんが最終的な場面で極めて高度な政治判断ができるように、雑草をとり、心の備え、整理整頓、防災訓練、イメージトレーニングをしっかり毎日やっておかないといけないです。

 なお、民主党国会対策委員会(城島光力委員長)は、衆院財務金融委員会、衆院総務委員会の理事を見直し、第180通常国会時点でベストと思われる理事を配置し直しました。昨秋の第178・第179臨時国会では党内外から一部キャリア不足を指摘された理事がいました。交代した理事も一生懸命やりました。ただ、自民党理事、公明党理事はベテラン中堅なので、カウンターパートナーとしては器量不足は否めませんでした。それはさておき、新しい理事をみんなで支えていきましょう。

【追記 2012年2月22日 午後8時半】

 ふと思いつき、平成24年度特例公債法案が審議入りした2012年2月21日(火)の経済指標を書いておきます。

 10年物の第320回国債の長期金利(日本相互証券)は0・960%。
 日経平均株価(Nikkei 225)の終値は9463円02銭。
 出来高は23億8000万株ですから商いは最近では多いほうでしょう。
 そして、最近は影が薄かった東証2部ですが、東証2部の平均的な株価が26日間連続で高値を付けたそうです。
 ニューヨークダウ(NY Dow Jones)工業株30種平均は取引中で1万2992ドル14セント。
 円ドル相場(東京市場)は、79円79銭~80銭。
 円ユーロ相場(東京市場)は、105円75銭~79銭。
 ドバイ原油の現物4月渡しは1バレル117ドル70セント~80セント。

 となっています。

【追記おわり】

 ところで、3党合意での政策効果の検証について、農水分野の農業者戸別所得補償では行われたのに、文科分野の高校無償化について行われなかった理由が月曜日(2012年2月20日)の衆院予算委の一般的質疑の2巡目での自民党の下村博文シャドウ文科相の質問で分かりました。昨年の第177通常国会の衆院文部科学委員会の民主党側筆頭理事だった小沢グループの松宮勲議員(福井3区で落選し比例復活)が筆頭理事を投げ出してしまったことから、引き継ぎができなかったのが要因のようです。参法の「福島における私学復旧助成特例法案(橋本聖子さんら提出)」の対応について、松宮議員が「党から一任を受けて野党と協議して合意したのに、安住国会対策委員長(当時)からストップをかけられてしまった」ことに反発し、筆頭理事を辞任した、と下村さんは説明しました。しかし、こんな理由で役職を辞めていたら、サラリーマンは毎日辞任です。まさに小沢グループの常識は世間の非常識。小沢グループは難しいことが分からないなら、体を使うべきです。野田おろしより雪おろし。もっと地元に根を張ってください。

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恒三さんは衆院議員をやめないでほしい 福島4区 

2012年02月20日 16時30分00秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗


 民主党最高顧問の渡部恒三さんが2012年2月18日(土)の会津若松ワシントンホテルでの後援会新年会で「若い政治家を育てることを考えてほしい。いい政治家が見つかればいつでも辞める」と述べ、引退の意向を示唆したものだと報じられています。福島民報の取材には「任期は全うするが、来年の新年会までには若い人を見つけたい」と応えたようです。後援会としては、ニューヨークのコロンビア大学ジェラルド・カーチス研究室で古川元久・国家戦略大臣、小泉進次郎自民党青年局長と同窓で、歯科医でもある渡部恒雄・東京財団上席研究員を後継者としたいのでしょうが、私は恒三さんに衆院議員を続けて欲しいと思います。恒三さんは福島4区だけの政治家ではありません。

 恒三さんは早稲田大学大学院政治学研究科で二大政党制を研究。その後、「20歳代で県議、30歳代で国会議員、40歳代で大臣、50歳代で総理」を合言葉に出馬。20代から40代までは公約を達成し、憲政史上最長の衆議院副議長となりました。連続当選14回ですが、実は辛い経験もされています。その点の経緯もあり、引退示唆になったのかもしれませんが、例えば比例東北ブロック単独第1位になってもらうなどして、民主党の重しとなってほしいと考えます。尾崎行雄・衆議院名誉議員は、95歳まで現職でした。

 第45期衆議院の任期は来年8月29日まで。

 恒三さんはアメリカの有名なケネディさん(ロバート・ケネディ)と対面したこともあり、誰からともなく「会津のケネディ」と呼ばれています。日本のバブル期には通商産業大臣として、アメリカの通商代表、カーラ・ヒルズ女史と会津磐梯で4極通商会談に臨み、恒三さんの後援会の「歓迎ヒルズさん」の横断幕を見て、「コーゾー、私はあなたがうらやましい。私にはこのような故郷はない」と涙したと言われています。恒三さんのメッセージは年齢も、国籍も、大陸も超えます。

 渡部恒三衆議院副議長は「私の帰る家をつくってくれ」と叫びました。小沢一郎氏による新進党解党です。恒三さんは無所属を経て遅れて民主党に参加しました。これ以降、小選挙区で公明党推薦候補と対立することになったことも、不本意だったようです。

 自民党は福島4区支部長として前の会津若松市長の菅家一郎(かんけ・いちろう)さんを公認しています。この人は東京で見ましたが、かなり良い候補者です。

 恒三さんは政界風見鶏として発言がフラフラしているように思えるときがあります。しかし、「政権交代ある二大政党政治)を日本に定着させる」という政治信念ではただの一回もぶれたことがありません。今こそ人物の本質をしっかりと見極めなければいけません。民主党の礎、渡部恒三。長老がいなければ、政党は機能しません。

福島民報:福島県の新聞社:ニュース|トップニュース

 民主党最高顧問で衆院議員の渡部恒三氏(79)=本県4区=は18日、会津若松市の会津若松ワシントンホテルで開かれた新春の集いで「若い政治家を育てることを考えてほしい。いい政治家が見つかればいつでも辞める」と述べ、今任期限りで一線を退く考えを示した。既に後援会幹部には次期衆院選に立候補しない意向を伝えたもようだ。
 
 渡部氏は新春の集いで「これからの会津を背負う若い政治家を育てないといけない。会津を託せる30代、40代の若い政治家を探してほしい」と語った。5月に80歳になることから高齢が理由の一つとみられる。福島民報社の取材に対し「任期は全うするが、来年の新年会(新春の集い)までには若い人を見つけたい」とも述べた。
 
 ただ、渡部氏は年内の衆院解散はないとみており、早期に衆院が解散した場合には再度立候補することへの含みも持たせた。

 渡部氏は南会津町出身。会津高、早稲田大第一文学部卒。県議を二期務めた後、昭和44年の衆院選で旧本県2区から立候補して初当選。以降14回連続当選している。

 昭和58年に厚生相として初入閣を果たし、自治相・国家公安委員長、通商産業相を歴任。衆院副議長も務めた。平成5年には自民党から新生党に移り、二大政党制の実現を目指した。超党派国会議員の日韓議員連盟会長などを務める。
 
 民主党の重鎮として野田佳彦首相の誕生などに関わり、「政界のご意見番」として、中央政界でも影響力がある。

【写真】新春の集いで「若い政治家を育てたい」と述べる渡部氏

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小沢グループよ、岡田をうつなら俺をうて

2012年02月20日 10時11分34秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 「掃溜の草も弥生のけしきかな」(はきだめの くさもやよいの けしきかな)。

 内藤鳴雪。

 「掃き溜め」といっても小沢グループのことではありません。

 天皇陛下が2012年2月18日、東京文京区本郷の東大病院で心臓バイパス手術を受けられました。皇室医務主管によると、「生活の質を向上するための手術」だそうです。2週間ほどご入院なさるようです。弥生3月とは、「いやおひ」という大和言葉から派生したそうです。「弥生」とは「多くの草木が生い出る時候」という意味です。

 昨年から、3月の意味が変わりました。3月上旬と、3月中旬では意味が違います。陛下も3月中旬からご公務に復帰されたいと思っていらっしゃるでしょうが、ぜひ、掃き溜めの草木が生い出るように、生活の質を向上されるように、リハビリでどんどん歩いて頂きたく存じます。

 東大病院からは、上野公園の不忍池がきれいに見えるそうですが、東大病院の道路1本隔てたところは、「文京区弥生」です。弥生にある東大農学部キャンパスから出土した土器が弥生式土器。言うまでもなく「弥生時代」の由来です。

 
[写真]道路の左側が東大農学部(文京区弥生)、手前は文京区立第六中学校(文京区向丘)=筆者撮影。

 狩猟民族だった大和民族は、ユーラシア大陸から稲を持って渡ってきた人のおかげで、定住生活をはじめ、ムラ、クニが生まれました。すなわち日本誕生です。稲によって文明を得た私たち。弥生時代の自治体のリーダーは一部は朝鮮半島から来た人ですが、大和民族もいます。陛下も百済への「ゆかり発言」をなさったことがあります。それは我が国の成り立ちにおいては些事です。弥生は、いわば日本誕生を発見した場所です。というわけで、鳴雪の「弥生のけしき」の弥生は3月という意味ですが、時間と空間の両方の意味を含めて、陛下には「弥生のけしき」に思いを馳せて頂きたい。生まれながらにして皇太子殿下でいらっしゃった陛下に、「公務をお控えください」というのは、かえって酷です。時間と空間のせわしない現代においてのご公務のあり方を本質的に考えるときです。

 【鳩山由紀夫氏が消費税増税に関して重大な事実誤認か】

 昭和63年12月30日、日本国憲法第7条により公布された法律が「消費税法」です。昭和はこの後、8日間あまりしかありませんでした。憲法第5条による摂政(摂政の宮さま)を置くことができますが、この法律は昭和天皇が皇太子殿下の国事臨時代行により公布された法律です。

 鳩山由紀夫さんは昭和61年1986年の衆参ダブル(死んだふり解散)の第38回総選挙で初当選し、連続8回当選しています。ここから7年間、経世会(自民党竹下派)の竹下系で活動します。総裁派閥として竹下内閣を支える上で、消費税法案の可決・成立をめざして「直間比率の是正」という言葉をくりかえしくりかえし会議で聞いて、聡明な鳩山先生のことですから、鸚鵡のようにくりかえしくりかえし「直間比率の是正のためにも消費税導入をお願いしたい」と選挙区で言っていたのではないでしょうか。

 一方、岡田克也さんは平成2年の1990年第39回総選挙で初当選。経世会(自民党竹下派)金丸・小沢系でしたが、消費税法が施行されてから初めて衆議院議員になっています。

 ここで、ぜひご紹介したいのが、2009年5月の民主党代表選。これは任期満了まで4ヶ月、実際の総選挙まで100日間というまさに「日本の総理大臣」を選ぶ選挙でした。


[画像]テレビ朝日さんニュース映像から。

[画像]テレビ朝日さんニュース映像から。

[画像]TBSさんニュース映像から。

 鳩山さんは「今日の格差社会の中で消費税アップの議論すらすべきでない」と発言しています。「現状は格差社会(経済)である」→だから「消費税アップについて議論すべきでない」というのが鳩山さんの論法です。

 公平を期すため、岡田さんの発言も見てみましょう。

 
[画像]中川正春さん(右)の司会で代表選の公約を述べる岡田克也さん、2009年5月。


[画像]TBSさんニュース映像から。

[画像]TBSさんニュース映像から。

[画像]TBSさんニュース映像から。

[画像]テレビ朝日さんニュース映像から。

 岡田さんは「年金制度を抜本改革する1階部分つまり基礎年金については今の保険料方式から税方式に変えるそのために将来消費税を3ポイント上げさせていただきたい」としています。これは先週金曜日の閣議で決定した「社会保障・税一体改革大綱」とまったく同じことを言っています。

 で、これは竹下内閣時代の議論を覚えている方は、この2人の認識が根本から違っていることに気付くでしょう。

 鳩山さんは、高所得者により多く課税される所得税などの直接税の負担を減らし、その代わりに所得階層に関係なく広く課税する消費税の増税は、「格差社会」では認められないという趣旨を言っています。すなわちこれは「直間比率の是正は格差社会では認められない」ということだと考えられます。つまり鳩山さんは直接税と間接税のバランスを考えていて、国庫の歳入の増減は念頭に置いていないのだと思います。

 岡田さんは「基礎年金を保険料方式から税方式に変えるための抜本改革の前提として、将来消費税を3ポイント上げさせていただきたい」としています。すなわち年金の最低保障機能を高めるための財源として8%にしたいと言っています。これは言うまでもなく、社会保障と税の一体改革であって、2014年4月に8%に上げるという段取りが「大綱」として閣議決定されています。

 ちなみに平成24年度予算案では国債整理基金特別会計の利払い費(手数料含む)は13・3兆円を見込んでいます。1年間で13・3兆円です。消費税の歳入は10・4兆円を見積もっています。ちなみに消費税5%のうち国庫に入るのは4%分です。すなわち消費税は累積800兆円の国債や政府短期証券・借入金の利払いだけですべて消えている計算になります。だから日本中の商店街が息詰まる重苦しい雰囲気になっているのです。そこを年金の最低保障機能の強化と、医療、介護、子育ての4経費に充てることと引き換えに消費税を増税するというのが今の構想です。

 つまり鳩山さんは昭和63年の財政構造・人口構造と平成24年の財政構造・人口構造の違いを認識していないのではないか。そうでなければ消費税増税反対などという結論が出てくることはゼッタイにあり得ません。政治家というのは時間による状況(シチュエーション)の変化によって言動をふらつかせるのが仕事です。だからこそ、ぶれないしっかりとした本質的な知恵が必要とされることは言うまでもありません。

 人口1億2000万人(うち高齢者は1400万人)で赤字公債残高060兆円(建設公債とあわせて150兆円)が昭和63年の日本です。
 人口1億2800万人(うち高齢者は2500万人)で赤字公債残高420兆円(建設公債とあわせて680兆円)が平成24年の日本です。

 この認識の違いが鳩山さんにはないのでしょう。おそらく鳩山さんは国会議員になってからの四半世紀、予算書を読んだことがないのだと考えます。

 公平を期すために、鳩山さんの推薦人と岡田さんの推薦人の一覧をつけます。

[資料]2009年5月の民主党代表選の結果。

民主党代表選 開票結果 鳩山由紀夫 124票 岡田克也 95票
http://www.eda-jp.com/dpj/2009/suisen.html

鳩山由紀夫候補の推薦人は次の通り。
衆議院
赤松広隆さん、石関貴史さん、太田 和美さん、北神圭朗さん、楠田大蔵さん、小平忠正さん、小宮山泰子さん、筒井信隆さん、仲野博子さん、原口一博さん、福田昭夫さん、松原仁さん、山口壯さん。
参議院
犬塚直史さん(第22回参院選で落選)、
植松恵美子さん、大久保潔重さん、加藤敏幸さん、川崎稔さん、行田邦子さん、小林正夫さん、谷岡郁子さん、広中和歌子さん(第22回参院選で落選)、藤田幸久さん、牧山弘恵さん、水岡俊一さん。

岡田克也候補の推薦人は次の通り。
衆議院
大串博志さん、小川淳也さん、川端達夫さん、菊田真紀子さん、高井美穂さん、田嶋要さん、長妻昭さん、鉢呂吉雄さん、平岡秀夫さん、藤村修さん、細川律夫さん、松本大輔さん。
参議院
足立信也さん、大河原雅子さん、岡崎トミ子さん、金子恵美さん、郡司彰さん、高橋千秋さん、徳永久志さん、中谷智司さん、長浜博行さん、藤本祐司さん、松浦大悟さん、松野信夫さん、水戸将史さん。

[資料終わり]

 2009マニフェストをよく読むと、現時点の消費税増税法案の提出は理論上可能です。藤井裕久さんはインデックスがどうしたとか面倒なことを言い出していますが、マニフェストには矛盾はしていません。ただ、2009マニフェストは、2010年7月11日の第22回参院選で有権者から否定されました。だから修正が必要であり、それが政治を国民の手に取り戻すことになります。

 子どものための手当の3党協議も先週から再開しました。ぜひ、責任ある野党、公明党、自民党の協力も得て、消費税増税法案の審議を電車道のようにばく進すべきです。後ろから鉄砲をうつような奴もいますが、前をのみ見てばく進あるのみ。小沢グループよ、岡田をうつなら、俺をうて。私が「松尾伝蔵」になります。

 さて、衆院予算委員会は一般的質疑の2巡目に入っています。そして、地方公聴会の設定に成功しました。後は、一般的質疑の回数を重ね、中央公聴会、分科会の設定です。そして、2月29日(水)に党首討論があるようですので、ここで3月2日(金)の予算衆院通過、年度内成立が見えてきました。一方、予算歳入関連法案はあす2月21日(火)に審議入りできるようです。時間はギリギリですが、あくまでも予算案と同日に本会議を通すのが基本であり、口うるさい参議院に対する礼儀だと考えます。いずれにしろ、自民党は平成24年度特例公債法案を「人質」にとるでしょうから、今通常国会内の解散は避けられません。それまでに少しでも多くの一般法案を通して欲しいと考えます。

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国会正常化。山口代表「岡田幹事長の副総理としての答弁があまりにも責任感を欠いている」とたしなめる

2012年02月15日 09時12分26秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]記者会見する山口那津男代表、2012年2月14日(火)、公明党YouTubeチャンネルから。

 国会は2012年2月15日(水)、衆院予算委員会の基本的質疑最終日の審議が午前9時からスタートし、1日半ぶりに正常化しました。自民党の下村博文影の文科大臣は「1日半も空転するような話ではないですよ」としながら、3党合意の政策効果の検証をやるべきだとしました。下村さんは「岡田さんから輿石東さんへ民主党幹事長として3党合意の引き継ぎができていないんじゃないか」と批判しました。野田佳彦首相(民主党代表)は「政党間協議をしっかりやっていきます」と確約しました。

 空転国会の経緯の確認です。13日(月)の下村質問で、「3党合意による高校無償化の3党合意による政策効果の検証の実務者協議がなかったので、議題である平成24年度予算に反映されていない」という指摘に対する答弁が「不誠実だ」とされたことです。これは55年体制で見られた「国会の止め男」の役割を下村さんがやったのではなく、突発的なストップに感じられました。正確には、午前の審議が終わり、委員長が休憩を宣言して、昼の理事会の協議の後、休憩のまま散会した、という流れです。そして翌日も午前9時に委員会が設定されていました。これを理事会が設定したのか、委員長が職権で設定したのかはよく分かりませんが、いずれにそり開会にいたらず夕方に流会(りゅうかい)しました。本予算の基本的質疑が「2月14日」に終わっていないということには、今の時代、与野党とも危機感の共有が必要です。

 3党合意による政策効果の検証は、農業者戸別所得補償では実務者協議が昨秋(予算編成期)にありました。民主党から郡司彰・参院議員、自民党から宮越光寛さん、公明党から(おそらく)石田祝稔さん。3人とも「農水副大臣経験者」という政権交代ある政治にふさわしい布陣でした。最終的には民主党が具体的な数字の資料を投げて、「以上で終わります!」という顛末だったように聞いています。

 一方で、高校無償化の方はどうなったのかな?と昨秋から思っていましたが、報道がありませんでした。下村質問でようやく分かりましたが、3党実務者協議は開かれていなかったのです。そして、昨年末に平成24年度予算(案)の政府原案を決定し、召集日(1月24日)に国会に提出しました。もちろん、なぜ下村さんは2月の予算委基本的質疑まで言わなかったのかということもありますが、民主党側に不十分な対応があったのは事実。

 公明党の山口那津男代表は14日午前での記者会見で、「ではよろしいでしょうか? 私からは冒頭一点申し上げます」として、「今(衆院)予算委員会がストップをして正常化をしておりません」と切り出しました。そのうえで、3党合意を誠実に履行すべきだとして、「その当事者であった岡田幹事長(発言ママ)の副総理としての答弁があまりにも責任感を欠いている」と批判しました。



 ちなみに、山口さんは1993年の細川内閣が防衛政務次官として政務三役の重責を担いましたが、岡田さんは2009年9月まで政務三役の経験がありませんでした。そのうえで、「民主党に一義的に責任があり、政党としての取り組みが一貫性を欠いているところから生じた問題だ」とし、輿石東幹事長・樽床伸二幹事長代行ら現執行部を批判しました。記者からの「公明党も高校無償化に賛成のはずだが」との質問には、山口さんは「まずは政策効果の検証をしてからでないと予算の見直しもできない」ともっともな意見を述べました。

 民主党、自民党、公明党が3党合意による政策効果の検証のための実務者協議に急速に復帰した背景には、2月14日時点で本予算の基本的質疑が終わっていないことに対して共通の危機感があると思われます。橋下徹・大阪市長が党首を務める「大阪維新の会」が「参議院廃止につながる日本国憲法改正」を打ち出し、一定の支持を得ています。このため、本予算の審議が遅れれば、与党・民主党だけでなく、自民党や公明党への批判があるとの考えがあるでしょう。

 政策効果の検証によって、本予算案の組み替え(政府が撤回のうえ、編成替え)を求める声があります。ただ組み替えもいいですが、国会による修正も考えて欲しい。昨年の第177通常国会(震災国会)では様々な内閣提出の議案が民自公の議員発案による修正で仕上げました。参院では3年前の通常国会(第171麻生政権交代解散国会)で野党・民主党参院政審会長の福山哲郎さんが提出した第2次補正予算(麻生定額給付金補正)を修正可決しています。両院協議会で否決されました。

 大日本帝国憲法では「帝国議会による予算の協賛」が日本国憲法では「国会による予算の審議」に改正されました。しかし、国会による予算の修正議決の例はありません。「憲政史上初」のことをやらないと、ますます国会支持率が下がってしまいます。フェースブック社の上場が話題になっていますが、創業者のザッカーバーグ社長は「リスクをとらないのが最大のリスクだ」が口癖だそうです。国難の折りだからこそ、勇気を持った対応に期待しています。

【日本銀行がインフレ目標を初めて導入】

 2012年2月13日14日の両日、日本銀行(ニッポンギンコウ、BOJ)は金融政策決定会合を開き、これまでの「中長期的な物価安定の理解」から「中長期的な物価安定の目途(Price Stability Goal」として、インフレターゲットをBOJとして初めて導入しました。朝日新聞は2012年2月14日付夕刊の1面トップの前文(リード)で「事実上の「インフレ目標」を日銀として初めて導入したことになる。」と報じました。

 先月のアメリカ中央銀行FRBのベン・バーナンキ議長が「Long-run Goal」として2%を設定したことから、BOJもインフレターゲットに追従しました。中長期的な消費者物価の上昇率を2%以内として、当面は1%を目途とする、ということで、これは2%~0.1%という意味にもとれます。今後も政府・国会による注視が必要です。

 BOJは長期国債の買い入れ基金を10兆円増額しました。これは特別会計総則第5条によるBOJ所有の長期国債の財務省への償還のときに、買い入れる「日銀乗り換え」で対応するものとみられます。仮にBOJが枠を最大限に活用すれば、国民1人当たり10万円の現金が市中に流れることになります。震災後経済は一息つけそうです。とはいえ、バラ色ではありません。先週の国会では、日銀乗り換えについて自民党政調会長の茂木敏充さん、インフレ目標では西村康稔・影の財務大臣の圧力が功を奏した格好です。そして、閣内から、古川元久・経財相も同調し、今週のNHK日曜討論でダメ押ししたのが決定打になったように私には感じられます。


[写真]古川元久・経財相。

 民主党有志議員は政権交代直後から「デフレ脱却議連」をつくり、松原仁会長、宮崎岳志事務局長のほか、経済企画庁出身の金子洋一参院議員らがこの問題に取り組んできた背景があります。ぜひ、これで調子に乗らず、これからも「物価の番人」の番人をしてほしいと考えます。FRBの設置根拠には、「雇用の最大化」が盛り込まれていますが、現行日銀法は物価の安定にとどまっています。「物価の安定」と「雇用の最大化」は車の両輪であり、物価だけでなく、雇用の最大化につながっているか、しっかりチェックいただきたいと存じます。

 白川方明総裁も任期を折り返しました。白川日銀の下、国際的な相対評価のなかで、円(Yen)の健全性が高まったのは事実です。関東大震災・昭和恐慌のときのように震災手形の整理に手間取るという政策リスクもありません。しかし、そろそろ円(Yen)に働いてもらわないといけません。バラ色ではありませんが、半歩前進しました。

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解散へさざ波 下村博文影の文科相が3党合意の政策効果の検証糾す 中井予算委員長で初の審議ストップ

2012年02月13日 20時22分43秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

(未定稿)

[画像]「政策効果の検証は省内でやっています」と不可解な答弁をした前民主党国対委員長の平野博文さん、現文部科学大臣、2012年2月6日、衆院予算委、衆議院インターネット審議中継から。

【衆院予算委員会 平成24年度本予算案の基本的質疑3日目 2012年2月6日(月)】

 平成24年度の本予算(案)の基本的質疑の3日目となりました。以前はNHKは本予算の基本的質疑は3日間とも中継していましたが、NHK側の要請で2日間となりました。既に与党第1会派から、野党の最少会派まで質問は一巡しましたが、きょうは与党・第1党民主党から再びNHKなしで基本的質疑の最終日の審議がありました。民主党は予算委理事でもある若泉征三・元福井県今立町長(現在は越前市に合併)、逢坂誠二・元北海道ニセコ町長という町長コンビが登場し、内容の濃い議論が展開されました。

 この後、自民党に移り、吉野正芳さんが原子力災害について。何度も書いていますが、「3・11」以降、国会においてもまさに「正念場」で、人間というものが「仕分け」されていますが、私はこの1年間の、第一委員室(予算委、東日本大震災復興特別委)で、吉野さんはステイツマンだと感じることがたびたびありました。

 そして、この後、自民党の武闘派である、下村博文・影の文科大臣が登場しました。

 ところで、中井洽さんは平成22年10月の第176臨時国会冒頭から予算委員長を務めています。5会期連続で、とくに通常国会2会期連続で予算委員長を務めるのは珍しいことです。この間、平成22年度1次補正、平成23年度当初予算、「3・11」を経て、同1次補正、2次補正、3次補正をやって、この国会で4次補正を通過させ、平成24年度本予算審議に臨んでいます。合計7回目の予算審議ということで、「余人をもってかえがたい」状況になっています。とくに昨年2月の本予算審議では、ノンストップに成功し、安住淳・民主党国対委員長(当時)は、たしか三十数年ぶりだとかそのくらいぶりの快挙だと讃えていました。これは中井さんもかなり意識しているようで、下村質問で審議がストップした後、お昼の休憩前に、「下村さん、さっき時計は1分ちょっと止まりましたけど、答弁に繰り返し部分が多かったこともありますから、自民党の持ち時間を10分あげます・・・ということも含めて昼の理事会で協議します」と語りました。しかし、午後の委員会は開かれないまま、午後5時過ぎに散会しました。これで中井さんの記録はとまってしまいました。また、あすは一般質疑といって、財務大臣以外は、質問者から指定された大臣だけの出席で良かったのですが、このままだと野田佳彦首相も出席しなければいけなくなります。

 国会というのは相手がありますから、誰が悪い、ということではありません。仮にNHK中継があったら、審議は続行していたでしょう。その366日間でたった1日だけの「テレビ無しの本予算の基本的質疑」をまさに自民党が突いたわけで、いずれにしろ、第45期衆議院も解散に近づいてきたということになるでしょう。

 で、ここまで書いて、何が審議されていたか書いていませんでしたので、書きます。

 下村影の文科大臣は、8月9日の「3党合意」に、バラマキ4kのうち、高校授業料無償化(と農業者戸別所得補償)の「平成24年度以降の政策効果の検証にもとづく予算計上の見直し」について、昨秋に民主党側に協議を持ちかけたのに、「梨の礫だった」と指摘します。これは、このブログをお読み頂いている方には、何度も繰り返しの説明になりますが、菅直人首相の平成23年度特例公債法成立と引き換えの退陣は第22回参院選(おととし7月11日)の選挙結果判明時から予想されていたこと。それが「3・11」で国政が大混乱になったわけですが、岡田克也・民主党幹事長(当時)は、本質をしっかり見すえ、直近の民意である第22回参院選で国民に否定された第45回衆院選マニフェストのバラマキ4k(高校無償化、戸別所得補償、子ども手当、高速道路無料化)の見直しを条件に平成23年度特例公債法案の採決・成立を自民党と公明党に約束してもらいました。この政治状況の変化を小沢グループは理解していなくて、例えば、三宅雪子議員のツイッターなど見なければいいのですが、たまに見てしまうと腹が立ちます。なぜ、参議院で民主党と国民新党の議席が110議席で、過半数の121議席に足りないのに、09マニフェストを法律化できるのでしょうか。これを理解できない民主党の一部の議員は、脳みそが足りない。

 この8月9日の3党合意は、民主党では、岡田幹事長、玄葉光一郎政調会長、城島光力幹事長代理(ともに当時)がサインしました。ただ、岡田さんが、小沢グループで自治労の皆吉稲生衆院議員や三宅議員らに激しく辞任要求されたこともあり、8月末の野田内閣発足で、無役になりました。城島さんは入閣説がありましたが、3党合意の経緯を知る人物が必要なので党に残り、現在は国対委員長となっています。

 下村さんから、なぜ「平成24年度以降の(予算の)政策効果の検証に基づき所要の見直し」をしないか。この質問は、昨秋(予算原案編成期の)文科大臣だった中川正春・内閣府特命大臣でも、今の文科大臣である平野博文さん、どちらが答えてもいいですよ~と下村さんは質問します。これは見事なひっかけ質問でした。やはり現文科大臣としてのメンツがあるのか、平野さんが答弁に立ってしまい、「政策効果の検証は文科省内でやってきました」と述べ、縷々答弁してしまいました。これにより、平野さんが国対委員長在任中の4ヶ月間「政策効果の検証による予算の見直し」の意味を理解していなかったことが確実になりました。つまり、「政策効果の検証」を平成24年度以降も続ければ、自民党ないし公明党は本格的に倒閣しない、というヒントが3党合意に潜んでいたんです。それを、輿石東幹事長、平野国対委員長らが不誠実な対応をとったので、自民党は怒っているんです。

 岡田さんは「政策効果の検証時は私は幹事長ではなく党の役職を離れていた」「予算の編成時は政府にいなかった」と答弁します。忸怩たるものはあるでしょうが、かみしめました。このとき、松本剛明・国対委員長代理が第一委員室にいたようで、自民党から「松本ゴーメーに聞けよ!」との大きな野次が飛びました。輿石執行部は、わざとすっとぼけて、政策効果の検証をやっていないのかな、と思っていましたが、どうやら文脈を理解できない無知が最大の理由だったようです。

 下村さんは「誠実に対処するのを確認する」という3党合意に書かれたことは何だったのかと問い、「次の幹事長(輿石東氏)に申し送りするなり、引き継ぐなりすべきであって、3党合意はその場限りの確認事項に過ぎなかったのか」と糾しました。

 ここで、上でふれたように、政権交代後では珍しく、審議がストップしました。この後、場内協議の後、民主党の鉢呂吉雄筆頭理事、武正公一理事、西村智奈美理事らが委員室から走って飛び出す、という珍しい光景がありました。民主党国会対策委員会や政策調査会に確認に走った、と岡田さんらが答弁しました。中井委員長は下村さんに「質問通告していたのか」と聞きました。中井委員長は「事項だけ通告したのではないか」という風に言いましたが、下村さんはそれも含めてちゃんと通告しているとしました。

 平野さんは閣僚席にいますが、後は、輿石さん、樽床さん、城島さん、前原さんに参考人として出席して答弁して貰った方がいいのではないか。半分冗談ですが、そう感じます。やはり英国のように、幹事長は閣僚兼務で答弁に出席しなければいけない。戦後初めて与党第1党の幹事長に参議院議員で就任した輿石さんですが、このような稚拙な与野党協議では、参議院は廃院にした方がいいのではないでしょうか。橋下徹市長はこのやりとりをみてどう思うでしょうか。

 来年7月に参院選があるので、来年は「平成25年度の特例公債法案」を自民党は人質にできないでしょう。だから、ことし平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)を人質にとるんですよね。だから、民主党はもうちょっと3党合意をすすめて、解散の直前に壊してしまうという作戦をとると思われましたが、どうやらもっと早く壊れてしまいそうな気配です。それが戦術ではなく、どうやら無知によるものとなりそうなのは、何とも残念な限りです。しかたがありません、これが政治です。民主党はそれほど未熟だったということです。

 とはいえ、責任与党として、本予算を仕上げる前の解散はゼッタイにできません。しっかりと緊張感をもって、歯を食いしばって、本予算を通さなければいけません。

 それとどうでもいいことですが、平野博文(ひろふみ)リアル文科大臣も、下村博文(はくぶん)影の文科大臣もともに博文ですね。別にどうでもいいのですが、あくまでもこのブログが個人として書きたくてしょうがないことを書いているだけに過ぎませんので、書いておきます。お休みなさい。

3党合意の関連エントリーのご紹介)
◎小沢一郎氏、また岡田幹事長に負ける 16人「自称・新会派」から半年・・・衆参過半数で特例公債法成立へ

山口那津男さん、「大連立否定しない」「3党協議の実績を」「大連立そのものを代表選の争点にしないで」

「3党合意」が最大の争点に急浮上 きょう民主党代表選

第178臨時国会召集 野田内閣スタート、3党合意が道しるべ

まあ、なんとかなるものだ。

「早期解散」から「3党合意」へ 野田代表の「岡田副総理・城島国対委員長」構想

野田首相、参院答弁は「ことしも3党協議」と「お詫び倒し」でスタート 君子豹変す?

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「現行制度」自公案vs「一体改革の素案(民主党案)」の対立軸設定 24年度本予算審査の基本的質疑

2012年02月11日 15時50分19秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 平成24年度本予算の衆院での基本的質疑は、9日(木)10日(金)で与野党が一巡しました。基本的質疑3日間はNHKは以前は3日とも放送していましたが、視聴率が低かったらしく、数年前から2日間のみの放送となっています。これにあわせて衆院予算委も最初の2日間で与野党が一巡する時間割を組んでいます。

 それはそうと、本予算の審議がスタートすると、書くことがありすぎるので、私も書いて書いて書きまくらないといけません。

 一体改革では、自民党の元厚労副大臣で日本医師会員の鴨下一郎さんが、「岡田さんは答弁の中で、“旧制度”という言い方をしているが、それはおかしい。(自民党・公明党政権が2004年に改正した)現行制度と呼ぶべきだ」とし、「最低保障年金は民主党案と呼ぶ」と議論を整理しました。この後に質問に立った、公明党前政調会長の人柄の斉藤鉄夫さんは「素案というのは現行制度の改革案そのものです。旗を降ろして素案を撤回すれば、明日にでも協議が始まる」と述べました。

 自民党の鴨下さんと公明党の斉藤さんは相互の連携にはふれませんでしたが、

 「素案・民主党案」vs「自公案・現行制度」

 という構図が出来上がりました。これは必ずしも野田政権が思い描いていた構図ではありません。しかし、安住淳財務相によると、「大綱の決定から消費増税法案の提出まで内閣法制局の作業も入れると1ヶ月間かかる」(火曜日のBSフジ・プライムニュース)とのことで、2月末には大綱の決定が必要となります。ということは、今から与野党協議ないしは3党協議での大綱は日程的に難しくなってきました。9日の加藤勝信さん(自民党)の「年金交付国債の償還財源は消費税増税が前提だから消費増税法案も平成24年度予算の関連法案だ」という趣旨の発言は、クセ球でしょうが、大綱を民主党・国民新党・新党大地真民主の与党3党だけで決定しなければいけない可能性が高まってきました。総理は突撃するしかない、と私は考えています。

 前政調会長の斉藤さんは、一体改革についての発言はかなり慎重な話しぶりで、紙に目を落としてはいませんでしたが、ある程度党で決まったペーパーのようなものが事前にあるような雰囲気でした。これはやはり、公明党の支持者、とくに創価学会員の生活ぶりが影響していると考えます。まず、やはり消費税率が上がるとサイフに直結するという人は多いはず。そのうえで、最低保障機能を高めた年金の方が助かる、という人も多い。自営業者も多く、ある程度稼いでいる人には国民年金保険料が高くなるのはイヤだ。支持者の中でも賛否が拮抗するでしょうが、おそらく否の方がやや多いか。2004年改正は初代厚労大臣を4年間務めた坂口力さんの功績であり、「100年安心」は批判されましたが、公明党としては協議には応じたくないのが本音でしょう。ここをどう突破するか。新進党解党に最後まで抵抗し、3党協議を進めたことで、公明党支持者にも一定の信頼があるとされる岡田克也副総理・一体改革相は「過去に自公与党案に厳しく言い過ぎたのは事実である」としながら、スウェーデンのように、超党派で政権交代しても変わらない年金制度の構築への理解を求めました。

 茂木敏充政調会長は「最低保障年金の不都合な真実」と発信し、「民主党は公助があってから自助、だからうまくいかない。自民党は自助があってから公助だ。政権をとったら生活保護(の制度)は変えさせていただく」とずいぶんハッキリと述べました。これに先立ち、小宮山洋子厚労相は「生活保護受給者も働ける人はなるべく働いていただく。長く生活保護を受けるほど、働けなくなる傾向がある」と答弁しました。

 茂木質問に対して安住財務大臣は「交付国債でやることはけっして良い方法ではないが、年金の国庫負担2分の1を何とか維持するために発行させていただく」としました。3党合意による子どものための手当見直し(坂口修正)に関して、茂木さんは「3党合意がなければ、24年度予算の(赤字国債発行の)44兆円枠はどうなっていたか」と質問。安住財務大臣は「半額支給で年間2・7兆円、(マニフェスト通りの)全額(支給)なら4・5兆円。44兆円の枠だったら収まらなかったと思います」と認めると、茂木さんは「渡りに船だったんですよ」と3党合意の恩を強調しました。

 このほか、鴨下質問に対して、岡田さんは2007年11月の野党内野党(民主党副代表)時代の、「自民党の野田毅先生と勉強させていただいたときのように超党派での議論が必要だ」とし、「スウェーデンのように超党派で年金制度を変えて、政権交代しても安定した制度が必要だ」と答弁しました。斉藤さんにも同様の答弁をしました。このときの超党派勉強会は民主党代表の小沢一郎さんと自民党総裁の福田康夫首相の「大連立騒動」のなかで、さらに火に油を注ぐ格好のニュースとして捉えられ、それで終わりました。岡田さんはマスコミに恨み節も言いたいところでしょう。ただ、マスコミも記者の人数が限られているので、そのときの経緯は、お互いに恨みっこなしかな、という気がします。

 ここからは私の意見です。この日、岡田さんがスウェーデンのことをふれたので、私も10年近く「積ん読」だったスウェーデンの福祉と財政に関する専門書を2冊ほどナナメに目を通しました。この中で、スウェーデンでは「最低保障年金」に当たる年金には、住宅手当があるようです。わが国では生活保護には住宅加算があり、持ち家の人は生活保護は受給資格がありません。一方で国民年金が「例えば月7万円の単身者が家賃で数万円引かれると、食費だけでギリギリ」というシーンをテレビ報道でも見ることができるようになりました。最低保障年金に住んでいる街の相場の家賃を一定額補助するような手当を組み込むという考えもあるのではないかと感じました。とはいえ、「試算」ができなくなりますし、議論を混乱させるので、この一段落でふれるだけですが、そういう考え方も必要では。世論が「年金と生活保護」に思いを馳せることになっています。これは、「年金の最低保障機能」にフォーカスがあたるチャンスです。保険料納付額と年金受給額の「公平性」に関しては、理解が進んでいると考えます。高度に発展したわが国の自由主義経済。そこで大いに成功した人は、やはり成功しなかった人のおかげで今の自分があるという「負い目」があると思うんです。もともと農耕社会の島国で、アメリカのようなことをしてきたわけですから。そこで、罪滅ぼしというわけでもありませんが、年金は最低保障だ、という共通の理解がほしい。私は今、その説得の手応えを感じつつあります。「40年間保険料を納めてきたのに納得がいかない」という人には、「65歳から受給して105歳以上までドンドン長生きして取り返してください」と言って最後は笑って収まる。そういう日本国、日本社会であってほしい。

 ところで、みんなの党政調会長の浅尾慶一郎さんから再び歳入庁構想が出ました。よく調べてみると、民主党の09マニフェストには、歳入庁が入っていますが、10マニフェストでは消えています。今通常国会で、みんなの党や新党きづなから指摘が出てきました。そして、10日付で、民主党政調内にこのプロジェクトチームができたように聞きます。しかし、これはいただけません。安住さん、岡田さん、小宮山さんというところが、歳入庁構想に前向きでない気配があるのですから、党が推進するのならいただけません。身代わりになって、閣僚に「今党が議論していますから」と答弁してもらうのだったらいいです。しかし、橋本行革でなぜ大蔵省から国税庁が分離できなかったのか。前原誠司政調会長もよく抑えて欲しい。2正面作戦はいけません。年金の手直しと公務員制度改革です。歳入庁はもう忘れましょう。 

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さあいよいよ当初予算審議がスタート 与党「新党大地・真民主」も質問

2012年02月09日 18時54分16秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]平成24年度当初予算案の基本的質疑1日目、衆院予算委、2012年2月9日、首相官邸ホームページから。

【2012年2月9日(木) 衆院予算委員会】

 さあいよいよ、来年度本予算(案)の審議がスタートです。国会がイチバン凛とした緊張感に包まれる1ヶ月弱が始まりました。

 野田内閣初めての当初予算審議です。失敗は許されません。

 野田内閣は、1月24日(火)の召集日に4次補正予算案と同時に来年度予算案を提出し、同日中に衆参本会議で、安住財務大臣が補正と当初予算を併せた財政演説をしていました。野田佳彦首相らの政府4演説の代表質問が終わった1月30日(月)の夕方に衆院予算委員会で、当初予算3案(平成24年度一般会計予算案、特別会計予算案、政府関係機関予算案」)の提案理由説明を済ませました。とはいえ、2月9日にスタートし、3月2日(金)までの衆院通過を考えると、例年以上にキツイ日程です。

 委員長は昨年に続き、中井洽さん、与党側筆頭理事は鉢呂吉雄さん、次席理事は武正公一さん、自民党の筆頭理事は石破茂さん、次席は小池百合子さん、公明党理事は高木陽介幹事長代理。50人の会派構成は、
 民主党・無所属クラブ(29、中井委員長除く)
 自民党・無所属の会(12)
 公明党(2)
 日本共産党(1)
 新党きづな(1)
 社民党(1)
 みんなの党(1)
 国民新党(1)
 新党大地・真民主(1)

 です。

 このうち、新しくできた「新党大地・真民主」は与党会派です。きょうのNHK入り基本的質疑1日目は、10分間の持ち時間を割り振られて、松木けんこうさんが質問に立ちました。新党大地・真民主は参議院で虎の子の2議席を持っていますから、くれぐれも軽視することがないようにしていただきたいものです。民主党(の一部議員)お得意の小馬鹿にした態度はゼッタイにいけません。

 トップバッターは民主党政調会長の前原誠司さんでしたが、政調会長というよりも個人的な政策が多かったように思います。

 参考人の白川方明(しらかわ・まさあき)日本銀行総裁は、「日銀は21・6兆円の大量の国債買い入れをしている」としました。特別会予算総則第5条の「日銀乗り換え」のことだと思いますが、白川さんはいつもに比べて自信がなさそうでした。来週月曜日と火曜日に日銀金融政策決定会合があります。インフレターゲット(物価誘導目標)の設定による金融の若干の緩和がある得るように感じました。

 午前中は前原さんに続き、民主党の武正公一さん、国民新党幹事長の下地幹郎さん、新党大地・真民主の松木けんこうさん。

 午後は自民党幹事長の石原伸晃さんから。「マニフェストの見直しは岡田さんが幹事長を辞めてから連絡がない」として、昨年8月9日の3党合意の「政策効果の検証」が必要だとしました。これが予算関連法案で、召集日(1月24日)提出済みの平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)の採決に応じるかけひきに使われることになりそうです。与党の農水部門、文科部門の議員は改めて3党合意を読み直すべきです。

 加藤勝信さんは第45回衆院選では岡山5区で、民主党の花咲宏基さんと闘いましたが、次はコスタリカで村田吉隆さんが自民党公認で出ます。加藤さんは比例単独に回るので、時間的余裕もあるでしょうが、ていねいに予算書を読み込んだ質問をしました。

 基礎年金の国庫負担分の財源として盛り込んだ「年金交付国債」の償還について。厚労大臣の小宮山洋子さんの答弁によると、2兆円で、利息の総額は4000億円くらいになる見積もりで、けっこうな額です。これは国民負担になりますが、加藤さんは、一般会計の予算総則に「地方公務員共済組合」が入っていないと指摘。総務大臣の川端達夫さんが認めました。加藤さんは「国民負担になるのに、地方公務員は恵まれている。民主党が連合(自治労、日教組、都市交、全水道)に応援されているからだ」という趣旨の批判をしました。

 これについて、平成24年度一般会計予算総則を読んでみたら、次の第11条のことのようです。

平成24年度一般会計予算(当初)から引用はじめ]

平成24 年度一般会計予算
予算総則
(歳入歳出予算)
第1 条平成24 年度歳入歳出予算は、歳入歳出それぞれ90,333,931,511 千円とし、「甲号歳入歳出予算」に掲げるとおりとする。

(略)

(国債の発行及び交付による基礎年金国庫負担等の差額相当額)
第11 条「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」による改正後の「国民年金法等の一部を改正する法律」(平成16 年法律第104 号)に基づ
く国債の発行及び交付により国庫が負担する平成24 年度における基礎年金の給付に要する費用等の2 分の1 に相当する額と3 分の1 に1,000 分の32 を加え
た率を乗じて得た額との差額に相当する額は、2,487,905,624 千円とする。
2 「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」による改正後の「国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律」(平成16 年法律第130 号)
に基づく国債の発行及び交付により国が負担する平成24 年度における基礎年金拠出金の納付に要する費用の2 分の1 に相当する額と3 分の1 に1,000 分の
32 を加えた率を乗じて得た額との差額に相当する額は、67,219,650 千円とする。
3 「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」による改正後の「私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律」(平成16 年法律第131 号)
に基づく国債の発行及び交付により国が補助する平成24 年度における基礎年金拠出金の額の2 分の1 に相当する額と3 分の1 に1,000 分の32 を加えた率を
乗じて得た額との差額に相当する額は、29,040,839 千円とする。

[引用おわり]

 これを読むと、年金交付国債の対象は、国民年金、国家公務員共済組合、私立学校教職員共済組合であって、加藤指摘のように、地方公務員共済組合は対象外のようです。ということは、税金で基礎年金をまかなう。ということは償還利息は、国民年金、国家公務員共済組合、私立学校教職員共済組合の負担となり、地方公務員共済組合は利息を負担しなくていいことになります。

 これは納得がいかないところです。ぜひ、こういったところも、与野党問わず大胆な議員修正も含めて活発な議論を期待したいところです。

 また、消費増税準備法案(3月提出)は予算関連法案であり、これがないと予算審議ができない、という変化球を投げ込みました。中井委員長も理事会で協議する方針を示しました。安住財務大臣がBSフジ番組で明かしたところでは、「大綱」ができてから内閣法制局の審査を経て法案化するまで1ヶ月かかりそう。ということは既に2月9日になっており、小沢グループがまとまらないほか、与野党協議が始まらない現状では、極めて厳しい日程となってしまっています。加藤さんは分かっていてかけひきで言っているわけですが、年金交付国債は消費税増税とセットです。3党合意の「2012年度以降の政策効果の検証」と「年金交付国債償還の裏付けとなる消費増税準備法案の提出」がことしの特例公債法案人質の口実となりそうです。最終的には公明党の動き次第ですが、野田内閣がとるべき道は、退陣ではなく解散であることは言うまでもありません。

 自民党はこの後、赤澤亮正さん、稲田朋美さんの「小泉チルドレン生き残り小選挙区勝ち上がりコンビ」の猛者が登場。

 赤澤さんがあす(2012年2月10日)発足の「復興庁」について、本部を東京ではなく、仙台に置くべきだと強調。そのうえで、併任辞令だと「(出先機関である)復興局には、(東京での)仕事が忙しくなったり、(地元で)吊し上げを食ったらイヤになって行かなくなりますよ」として常駐職員を増やすように要望すると、東日本大震災復興担当大臣の平野達男さんが「つるし上げを食ったら行かなくなるような人はいませんよ」と気色ばむという、政治家同士らしい頼もしい答弁がありました。

 稲田さんが、最低保障年金で、民主党の2009年マニフェストは「(保険料が)タダで最低保障年金を7万円と思っている人が多い」と批判すると、税・社会保障一体改革担当大臣の岡田克也さんが「きょうはNHKの生中継も入っている。まったく委員の言っていることは事実と反します。訂正してください」と強い口調で諭し、稲田さんがやや弱いトーンになる場面がありました。

 いずれにしろ、きょうから予算審議が始まったわけです。衆院予算審議中に解散された例は現行憲法下1度もありません。第15回国会中の1953年3月14日には参院で予算審議中にもかかわらず、第4次吉田茂内閣が解散しています。これは与党内鳩山グループの裏切りによる、内閣不信任案可決に対抗して日本国憲法69条の規定に基づき解散しました。世に言うバカヤロー解散です。名称のため、実態を誤解している方が多いです。あるいは、鳩山グループがバカヤロウだったのかもしれません。鳩山グループに加担した広川弘禅議員ら半数の議員が落選。広川は農相まで出世したのにこれで政治生命を事実上絶たれ、鳩山一郎、三木武吉、河野一郎らは少数で復党しました。

 きょうは鹿野道彦農相に関するスキャンダル狙いの質問が自民党から出て、鹿野さんが浮ついた言動をしてしまいました。ぜひ緊張感を持って臨みたいものです。国会日程がキツイ場合は、意外と与党にはうまく行くことがあります。政府外議員や衆院予算委員以外の衆参議員は、本会議はないのですから、地元に居るべきです。きょうのNHK中継では、だいたいそこに居ていい議員が多かったですが、応援傍聴も含めて「あれこの人ここに居ていいのかな?」という人も見かけました。またおととしの第174通常国会の衆院内閣委員会の不正常採決や、会期末間際の「樽床首相候補擁立」のようなことが起きると、ホントウに取り返しがつきません。こういうことをしていた人は震災後は誰からも相手にされない状況になっています。これはいじめ体質ではなく、国益・国民益に前向きな人からすれば後ろを振り向く余裕がないからであり、振り向く必要もありません。緊張感が必要です。しっかりと気を引き締めていきましょう。

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参加しませんか? 岡田副総理「明日の安心」対話集会、18日(土)長野市 インターネット申し込み開始

2012年02月09日 07時12分19秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]りんご畑をみる岡田克也さん(この写真は長野ではない)、民主党ホームページから。

 社会保障と税の一体改革の説得を進めるため、野田内閣は「明日(あした)の安心」対話集会を2012年2月18日(土)スタートします。

 副総理(兼)社会保障・税一体改革担当大臣の岡田克也さんが長野県長野市で第一声をあげます。

 私は両親の生まれが長野市で、私は東京の生まれですが、生まれて以来本籍地は長野市(旧篠ノ井市)です。親戚は半数が長野市ないし千曲市、半数が長野新幹線でつながる東京都内、わずかに中央線でつながる名古屋圏内に住んでいます。親戚はかなりこのブログを読んでいます。北澤俊美さんが入閣したときは、父方からも母方からもこちらの家に電話が殺到しました。私はFaceBookもやっているのですが、こちらは親戚とはつながっていないし、電話代も高いので、このブログを通じて、ぜひ参加して、ハッキリした意見を言ってみてほしいと思います。長野駅東口から歩いて5分の「メルパルク長野」なので、十数分でいける親戚もいます。ただ、時間が午後5時から午後6時と短いのですが、ぜひ第一声ということで、粋に感じて欲しいと思います。

 このほか、同日は長崎県に厚労相の小宮山洋子さん、滋賀県に財務大臣の安住淳さん、富山県に総務大臣の川端達夫さんら民主党良識派がでかけます。

 岡田さんの長野市会場は、先着200人で、来週月曜日しめきり(13日)なので、これを見た親戚はすばやく申し込んで欲しいと思います。

 案内文は↓
http://www.gov-online.go.jp/spt/szs/index.html

 申し込みフォームは↓
https://www.gov-online.go.jp/mailform/szs/20120218_t_nagano.html

 長野県は平均寿命が男性が全国1位、女性が全国5位。それでありながら高齢者1人当たりの医療費が47都道府県で1番安いことで知られます。最近は気候変動で雪が減った地域が多いですが、あれだけ雪深く寒いのに平均寿命が長いのは驚異的だと感じます。また男性が1位なのに女性が5位というところは何となくリアルですが、女性も5位と高位であることには変わりありません。そもそも長野の女性は強いし、弁が立ちます。ややかげりがみえるとはいえ「教育県・信州」が身心ともに良い影響を与えているのでしょう。その辺が、やはり代議士とは地域性の象徴だなと感じるのが以下のブログ記事。長野市のある長野1区選出の篠原孝さんが昨年10月に次のようにブログに書いています。篠原さんの出身は長野市の隣の中野市という発音がよく似た自治体で、実家はリンゴ農家で1歳違いの弟さんが継いでいます。

[篠原孝さんのブログから引用はじめ]

ダイヤモンド婚の父母が仲良く天寿を全う

6月11日、父・保が91才の生涯を閉じた。それから約百日後の9月20日、母・登美子が後を追うように88才で逝った。(略)父母の、喪主は農業の跡を取り、ずっと一緒に暮らした弟であり、国会議員仲間にも連絡せず、地元中野で質素な葬儀を行った。(略)父は、若い頃も農業を手伝わずにすみ、肺結核を患ったため重労働はほとんどせずにいた。その代わりに我が家の農業を担ったのは母である。母は、(略)農村では珍しく女学校に行かせてもらっていた。いずこも同じ嫁勤めが厳しく、嫁にきたばかりの頃は何度も泣かされたという。しかし、祖父に言うべきことは言っていた。(略)
父は、文芸春秋を隅から隅まで読み、あれこれと論ずる、長野県人らしい(?)人であった。
(略)
父の死を知らずに、「じいちゃん最近来ないなぁ」と言っていた母も、父を追うようにして旅立った。不思議に死に顔は似ていた。ほぼ天寿を全うしたからだろう。近所の友人の母が、「たかっちゃん(私のこと)の父ちゃんと母ちゃんは仲が良かったから、すぐ呼んでくれたけど、俺と父ちゃんはケンカばかりして仲悪かったから、ちっとも呼んでくれない」と嘆いたという。今とは違い、父母とも一度も事前に会ったこともなく、父が一枚の写真をみたことがあるだけで、親同士が決めた結婚だった。それを60年のダイヤモンド婚を越えて仲良く68年も添い遂げており、古きよき時代をそのまま体現してきた夫婦だったのかもしれない。父は幸運にも2度の死線を乗り越え、91才まで生き、母も父のあとを追うように逝った。幸せな一生だったと言えよう。
私は知らなかったが、大叔父と二人で、「孝が国会議員やっているあと10年間くらいは、死ねない。俺は100歳まで、われは80歳までは頑張ろう」と酒を酌み交わしていたという。そうした父の供養のためにも、そして自ら病床にありながら、やせっぽちの私の体のことを心配していた母のためにも、もう少し政治家をやらせてもらい、皆が父母のような幸せな最期を迎えられる社会にしなければならない

[引用終わり]


[写真]篠原孝さん。

 最近では長野県のJR長野新幹線「佐久平」駅近くの「ぴんころ地蔵」が人気のようですが、この「ぴんころ」思想は広く浸透しています。ある民主党長野県連関係者に「ぴんころはぴんぴんころころの略ですよね」と言ったら、「違うわよ、ぴんぴんころの略よ」と言われた。この「ぴんぴん」そして「ころ」というのが大事です。


[写真]長野選挙区参院議員の北澤俊美さん、地元は長野市内。

 何事もはじめが肝腎。「議論から説得へ」。一体改革の説得を長野からスタートする。で、先着200人ですから、あれこれ論じるより先に、とりあえずインターネットで申し込んでください!今日の心配を明日の安心に変えるために。

 ◇





「明日の安心」対話集会 社会保障と税の一体改革を考える | スケジュール

 子育て、介護、医療、年金、消費税、……どれも身近な心配事。
 そこで政府は、これらのテーマを大臣と話し合う「明日の安心」対話集会を、全国で開催します。
 岡田副総理をはじめ担当各大臣などが、皆さんのもとへ直接お訪ねし、「社会保障と税の一体改革」について、丁寧にご説明し、率直なご意見を伺います。
 少子高齢化や貧困・格差の拡大などの課題に直面している、日本の社会保障制度。
 皆が安心して生活できる社会をどうやって確かなものにしてゆくか、ぜひ一緒に考えていきましょう。
 スケジュールを確認のうえ、応募フォームのページからご応募ください。
 ―「今日の心配」を「明日の安心」に変えるために。

 当日ご参加いただける方にはメールで期日までにご連絡をさせていただきます。
 当日は、メールで送られた参加票と身分証明書をご持参ください。
 ご入力いただいた個人情報は、「明日の安心」対話集会の運営以外の目的には利用しません。
 個人情報につきましては情報を暗号化処理しています。なお、対話集会終了後、個人情報はすべて消却します。
 出席大臣等が、事前のご連絡なしに変更になる場合があります。
 全会場・全内容とも報道機関に公開するとともに、動画をインターネットに掲載します。そのため、発言者・参加者の写真・映像がニュース等を通じて報道・配信されることをあらかじめご了承下さい。

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4次補正成立 生活保護費の国庫負担1300億円増額補正 

2012年02月08日 19時43分14秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]生活保護国庫負担金など4次補正について質問する民主党の梅村聡参院議員、2012年2月6日、NHK国会中継から。

 生活保護費の国庫負担分を1300億円追加するなどした平成23年度4次補正予算は、2012年2月8日の参院本会議で政府原案通り、可決・成立しました。今平成23年度(2011年度)の一般会計は107・5兆円となりました。

 戦後の昭和22年度予算は、片山哲社会党内閣が14次補正後に倒れ、芦田均日本民主党内閣が最終15次補正を仕上げました。民主党は菅直人さんから野田佳彦さんへ総理が交代しましたが、震災後の苦しい平成23年度予算を最終補正まで仕上げることができました。

 4次補正と来年度本予算を同時に提出しました。4次補正の委員会での趣旨説明は衆参同日に行われました。衆院では鉢呂吉雄・与党側筆頭理事、参院では石井一予算委員長がぐいぐい引っ張りました。既に2月8日まで食い込んでいますが、あすから衆院予算委で本予算審議に入れるようです。切れ目ない予算編成・執行の流れができてきました。あとはぜひ国会での修正審議というものを見たい気がします。

 とはいえ、何よりもイチバンうれしいのは、これで1ヶ月近く、参議院自民党の顔を見なくてすむことです。冒頭の写真では、質問者の後ろで、参議院自民党の山本一太理事(群馬)と西田昌司委員(京都)の世襲コンビが緊張感なく談笑する姿がみられます。

 参院予算委員会での4次補正審議では、第21回参院選(逆転の夏)の大阪選挙区で当選した梅村聡(うめむら・さとし)さんが、生活保護費の国庫負担金について質問しました。

 梅村さんは「大阪市に限れば13人に1人が(生活保護)受給者という、そういう街になっています」としました。40年間基礎年金(国民年金)保険料を納めた人の月額が6万円台なのに、生活保護は10万円以上だと指摘しました。厚労大臣の小宮山洋子さんは「国民の間で、生活保護制度は理解はできても納得できない、という声がある」と応じました。梅村さんは、「日本の社会保障は自助・公助・共助が原則で、どうしても支えなければいけない人が生活保護になる」と述べたうえで、厚労省の縦割りを批判。「生活保護は社会・援護局、最低賃金は労働基準局、最低保障年金は年金局に分かれている」とし、「そこをセットで議論しないといけない」と指摘しました。

 梅村さんは「医療は限られた資源であり、タダ(無料)だからということで、これは医療機関の問題ですが、頻回受診が行われている」と指摘しました。また生活保護を受け付ける際、「現在は生活保護者の資産の調査は銀行の支店に照会しているが、全員でなくても、本店に一括して照会すべきだ」としました。岡田克也・一体改革大臣は、「年金生活者なら多少の資産がある人もいるかもしれないが、生活保護の方はギリギリの生活をしている。問題意識は共有している」として、医師であり大阪選出である梅村さんに一層の情報提供を求めました。

 梅村さんは「前の平松市長、橋下現市長はしっかりやっていきたいというメッセージを発していますが、何より頑張っているのは大阪市の職員のみなさん。個別の政策ではなく、その政策を決めるプロセスをもう一度見直すべき時期が来ている」として、「ホントウに時代にマッチしているかどうか、それも一体改革のテーマだ」と強調しました。

 これに先立ち、同じく第21回参院選で当選した秋田選挙区の民主党の松浦大悟さんは、「GKB47」と題する自殺対策のポスターの撤回を求めました。これについては、岡田さんは翌日の記者会見で25万枚・300万円のポスターを刷ってしまったが「ゲートキーパー」として刷り直すことを発表しました。

 この審議で、石井一委員長が政府参考人の村木厚子・内閣府政策統括官(局長級、共生社会担当)を指名しました。玄葉光一郎外相が村木さんが挙手しているのを目ざとく見つけ、石井委員長に伝えました。ピンさんが村木さんを指名しました。


[写真]挙手をして答弁を求める村木厚子・政府参考人(内閣府政策統括官・共生社会担当)、NHK国会中継から。


[写真]参議院自民党の野次にたじろぐ村木政府参考人、NHK国会中継から。

 村木さんはかなりていねいに経緯を説明したため、参議院自民党から激しく野次られ、たじろぐ場面がありました。この次に答弁に立った岡田さんは「まず委員のみなさんに申し上げたいのは私たち政務三役は野次に慣れているが、政府の人間への野次はやめてください。私にはいくら言ってもいいです」とたしなめました。これには石井委員長も「まず今議論しているのは、自殺という人間として極めて厳粛な問題であり、そのことで激しく野次るのは国会としての権威にかかわる」と参議院自民党を注意しました。なお、村木さんはこの翌日(7日付)で、厚生労働省局長時代の部下である上村勉氏が税金による障害者団体向け郵便割引制度を悪用した罪で有罪判決を受けたことの監督責任を問われ、(厚労省の要請により内閣府が)処分を受けました。

 松浦さんはこの自殺対策の審議の中で、故・山本孝史さんの名前を出し、「あしなが育英会出身・日本新党同期・大阪府連」の藤村修官房長官らに答弁を求めました。また山本孝史さんの奥さんの手紙を読み上げました。この後に質問に立った梅村さんも山本さんの名前を出しました。山本さんは健康上の理由で、第21回参院選で全国比例に転出したため、梅村さんが選挙区候補になりました。山本さんは有権者の混同を招かないため「大阪府内で選挙運動してはいけない」という条件を受け入れて出馬。梅村さんは大阪選挙区で128万票(得票率33・2%)でトップ当選。山本さんは全国比例で6万7000票、民主党としては最下位、全体でも個人名では下から2番目で奇跡の当選を果たしました。梅村さんは「私の参院大阪選挙区の議席は山本孝史先生の議席を受け継いだ」と、バトンを受け継いだとしました。

 ところで、今回の4次補正審議では衆院段階で、もっと大きな課題で、山本孝史さんに関する質疑がありました。

 これは自公政権の年金のマクロ経済スライド(物価スライド)について民主党の反対方針を、当時の代表で、現在は副総理の岡田さんが「今思えば、キツイ制度だったが、マクロ経済スライドを高く評価すべきだった」とした答弁。2月2日の公明党の遠山清彦衆院議員は「今方針展開された。まったく異論がない」としました。同様の答弁について、2月6日の参院でも、「オーッ」という声が上がり、現行の自民党案について、「岡田さんが褒めてくださった」と林芳正参院議員が述べています。この2月2日の質疑で、遠山さんは「当時は私は参院議員で厚生労働委員会の理事だったが、民主党議員にこっぴどくやられたんですよ」と述べました。実は、この「与党・公明党の遠山参院厚労委員をこっぴどくやった野党・民主党議員」とは、元祖ミスター年金こと山本孝史さんのことです。

 例えば第159通常国会(2004年の年金国会)で山本さんは自民党・公明党政権提出の国民年金法改正案の審議で次のような議事録を残しています。

国会議事録データベースから引用はじめ]

(前略)こんな状態で法案通して、国民の皆さん方に14年間連続の保険料引上げをお願いすると。それで何か、よりによって与党の皆さん方は、国会議員もこれからまだ追納できるようにしようとかとおっしゃっているわけでしょう。何か、やっぱり立場というか、自分たちの立っている場所を忘れているんじゃないかと思うんですよ。そういう意味において、自分の年金額も知らない、自分の年金どうなっているかも分からないままに年金の審議に参加するというのはどうかなと私は思うわけ。だから、私は、あなたたち2人には、申し訳ないけれども、ここにいてほしくないので、済みません、退席してください。森副大臣と谷畑副大臣、退席してください。私はあなたにもう質問しないんです。あなたたち、ここにいる必要性ないんだから、出ていってください。申し訳ないけれども。委員長、あの二人に退席を私は求めます。質問者が呼んでないんだから、もう終わったから、あなたたち、仕事が忙しいから出ていっていいよ
○委員長(国井正幸君) いや、これにつきましては、大臣を補佐してこれまでも両副大臣、国会に出席をしていただいておりますので、このまま質問、続行してください。(発言する者あり)
 じゃ、速記止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(国井正幸君) 速記を起こして。
○山本孝史君 では、失礼をいたしました。御答弁はいただきましたので、私はもうお二人に質問をいたしませんので、御退席いただいて結構でございます。
○委員長(国井正幸君) 公務御多用ですから、山本委員の質問は両副大臣にないようでございますから、御退席していただいて結構でございます。
○山本孝史君 それぐらいに私、腹を立てているということです、本当に。悲しい思いがします、この国会は。未納で騒いでいるのではありません。みんなに未納は起きたと思います。しかしながら、それに対してきっちりと対応して国会という権威をみんなで守っていかないと、本当に国民が投票に行かないし、政治というものに対して信頼しないし、年金法案というものに対してみんながこれで納得して保険料を払うということに私はならないと思うんです。その意味で、やっぱりきちっとしたことをやらなきゃいけない。それは一つ一つ節目を付けて、公表するとか謝罪するとか、あるいはきちっとした大臣の指示を受けてやるとか、そういうことをやってほしいと思います。
 本論です。給付水準の低下の問題について、大臣とここで会話を交わさせていただきたいと思います。
 もう既に明らかになっていますように、給付水準の五〇%維持という問題ですけれども、これは六十五歳の支給開始時だけだという話はもう御承知のとおりでございます。最初のころ、今の早い人たち、早く受ける人たちはマクロ経済スライドが余り掛かってきませんので、五〇%台をずっと維持していくことができますけれども、これから先、若い人、将来受ける人、確かに受け始めのときは五〇%ではありますけれども、そこから先はこの賃金スライドが掛かっておりませんので、物価スライドでその価値は維持をされますけれども、賃金の方の、いわゆる働いている人たちの賃金は上がっていくものを、年金生活者の方にはそれを反映させないという仕組みを取っていますから、当然のごとくに給付水準は下がっていくわけです。 

[引用おわり]

 これは2004年5月20日の山本さん。「みんなに未納は起きたと思います」。この国会では、閣僚3人に年金保険料の未納が発覚し、野党・民主党代表の菅直人さんが「未納3兄弟」と批判します。しかし、菅さんにも厚生大臣時代の切り替えミスによる未納問題が起きました。後に役所のミスと発覚しますが、菅さんのはしゃぎぶりによるブーメランで、世論は大混乱し、この審議の2日前に岡田幹事長が無投票で代表に就任し、菅さんはお遍路に出かけます。そして、7月11日の参院選を迎えます。しかし、ナント民主党は改選50議席を獲得し、結党以来初めて国政選挙第1党となります。土井社会党のおたかさんブーム以来の快挙となります。このような大逆転は国政選挙、まして政権に直結しない参院選ではよくあることですが、この山本さんの「出ていっていいよ」という魂の叫びが勝利につながった面もあるでしょう。この後にも、山本さんは何度もマクロ経済スライドが、ホントウに厳しい生活の人を苦しめる制度だと徹底的に批判しながら逝かれました。

 岡田さんはその物価スライド批判を「今思えば(自公を)高く評価すべきだった」と述べました。山本さんは衆院時代に、岡田さんと第140回通常国会(1997年)の厚生委員会で、岡田筆頭理事、山本次席理事でコンビを組みました。オリミンは枝野幸男理事。自民党は小泉純一郎厚相、町村信孝・厚生委員長、津島雄二・筆頭理事で、健康保険法改正案で審議時間100時間超えという伝説の国会となりました。

 新進党はなくなりましたが、岡田さんは山本さんのバトンを受け継いで、野党第1党の案から与党の案・政府の案へとこねて、日本の法律に持ち上げようとしています。山本さんを偶像化せず、その思いを受け継ぐ。心は原理主義、政策は現実主義。岡田代表にまさかの大逆転勝利を実現した山本さんの魂を受け継いで、岡田さんのダッシュが続きます。ぜひ、遠山さんや当時の厚労大臣、坂口力さんらの力添えをいただきたいものです。

 岡田さんと梅村さんは高校の同窓生になります。大阪教育大学附属池田高校です。恵まれた境遇ともいえる2人が命にまっすぐな政治に今、ひたむきです。世の中には、学歴を妬む人がいます。ある程度はしょうがありませんが、国が総崩れになりかねません。最近はだいぶ変わってきたでしょう。ところで、梅村さんの母方の5代前に、関寛斎さんという人がいます。72歳まで徳島で医師を開業していて、それから北海道の十勝・陸別町に入植しました。日露戦争前のことです。十勝ではタイヘン尊敬されていると以前から私は聞いていました。4年前の「96回忌(白里忌)」に梅村さんは十勝に駆け付けています。ところで長年、私は関寛斎さんは十勝で医師をしていたのだと思っていましたが、これは勘違いで、72歳から酪農を始めて農場を拓いたそうです。wikipediaで知りました。さらに驚いたのは、広大な関農場を開き、自作農創設に挑んだそうです。すなわち農地解放です。しかしその理想は果たせず大正元年に自殺したそうです。日露戦争後で、日本が坂の上の雲から落ちだした時代。明治維新による殖産興業のなか、徳島から、フロンティア北海道に渡り、農地解放という理想を追いかけながら、早すぎる理想を実現できずに、命を絶ってしまった。農地解放が実現したのは、それから35年後、米国GHQの命令。35年後ですから、一世代後に実現したわけです。いつの日も理想を追いかける人は、現実がついてこないという隔靴掻痒にさいなまれるものです。

 そういった様々な命にまっすぐな政治を実現する。そのためには、やはり、国というものは、自分が死んだあとにもずっと生き続けるものなんだ、という意識を国民が持たなければならない。1人1人がりんごの木を植えているんだという自覚を持つべき。自分の植えたりんごの木に、りんごの実がなり、それを喜ぶ人々を想像する。そうやって日々を生きる。そこに自分がいなくてもいい。明日への責任を少しずつ果たしていく。それが「明日(あした)の安心」につながります。山本さんも彼岸にいるだけであって、この日本という社会の一員だ、と私は認識しています。

 岡田副総理は7日の定例記者会見で、2012年2月18日(土)に「明日(あした)の安心対話集会」の全国行脚のスタート地点を長野県長野市、と発表しました。「長野県のどこでも、長野市でも松本市でも良かったのですが長野市にしました」と秘書官6人の優秀さも同時にうかがわせました。前を見て、先を見ていると、人間は不安にならないものです。今日を嘆くより明日の笑顔を想像しましょう。人生をあきらめない。日本をあきらめない。

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