(このエントリーの初投稿日時は2015年2月5日、午前7時)
4ヘクタール超も含めて、農地転用の権限を、国から都道府県に移譲(委譲)する、「平成26年の地方からの提案等に関する対応方針」が、平成27年2015年1月30日(金)、閣僚関係会議で決まりました。
民主党政権から始まった第1次~第4次地方分権一括法の流れで、「第5次(?)地方分権一括法案」が今第189通常国会に提出されるはこび。これまでは、衆参とも内閣委員会が審査してきています。また事前の地方6団体と十分な根回しのうえ提出されているため、賛成多数で成立してきています。民主党政権は当初「地域主権」という言葉にこだわりましたが、野党・自民党との修正で、「地域主権」は削除しました。
現在は、4ヘクタール超の農地の転用は、農林水産大臣が許可(法律上禁止されていることを一時的に可能とすること)していますが、 法律施行後は、4ヘクタール超は、都道府県知事が農相と相談のうえ、農地の総量を勘案したうえで、許可することになるようです。4ヘクタール以下はこれまでも知事ができたようです。
「決定」の概要は、下の内閣府ウェブサイトのアドレスで情報を取り出すことができます。
http://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/h-tb26-gaiyou.pdf
内閣府の規制改革担当の小泉進次郎政務官は2月3日(火)の参議院総務委員会(谷合正明委員長)で、「農地転用を総量を勘案のうえ、地方に移譲する」と答弁し、今国会に提案される一連の地方分権改革の目玉であることを示唆しました。
内閣府におかれた部署が執筆する法案のため、議院運営委員会は、内閣委員会に付託すると思います。
すべての農地が、知事の許可により、転用することができるようになりました。農地の貸与をする農地バンク(県農地中間管理機構)が信用されない状況に陥っており、貸与よりも売却による、農地の整理が進むことになりそうです。遅きに失したとはいえ、当然の規制改革です。
【平成27年1月30日(金)衆議院予算委員会】
平成26年度補正予算案が2015年1月30日(金)午後4時過ぎ、衆議院予算委員会で可決しました。
基礎自治体が発行するプレミアム付き商品券の交付金や、地方交付税交付金の1兆円積み増し、東日本大震災復興特別会計への1兆円繰り入れなど、合計3・5兆円増額。そして、国債の低金利による想定利回りとの差額分0・4兆円の歳入を減額補正するので、差し引き3・1兆円。これにより、今次補正後の平成26年度予算は99兆円となります。
締めくくり質疑のなかで、宮澤洋一経産相は、「使い切れるよう頑張るが、繰越明許がついている」と語っており、一般会計の事業も、特別会計も4月1日以降への繰り越しが前提と見られ、経済効果は限定的になります。また、宮澤答弁で繰越明許前提の事業が多いことが明らかになったので、2月中旬からの平成27年度当初予算(案)の審議では、「15か月予算」として、補正と照らし合わせた徹底審議が必要となりました。
討論は、自民党が賛成、民主党が反対、維新の党が賛成、公明党が賛成、日本共産党が反対しました。
法案の採決は本会議が優先されますが、委員会では賛成35(自民党31、公明党4)反対15(民主党8、維新5、共産党2)になるようです。委員長は採決に参加していませんが。
今週初めて気づいたのですが、第47期衆議院は、本会議代表質問も、予算委員会質問も、自民維公共の5会派だけになっており、すっきりした印象です。ただし、共産党は理事小を出していませんから、共産党は民主党の協力があったうえで、第47期衆議院の予算委員会に臨むことになります。この5党だけで、今後数十年間の政治を担っても、十分に、さまざまな民意を吸い上げて、反映することができるように感じます。野党再編は不要に感じました。
この後、衆議院総務委員会で、地方交付税総額を書き直す、「地方交付税法改正法案」(189閣法1号)が審議され、採決。
これらを緊急上程して、衆議院本会議が午後5時設定で、開かれます。
【同日 衆議院総務委員会】
補正予算にもとない、交付税総額を上書きする、「地方交付税法改正法案」(189閣法1号)が審議入り。今国会、法案第1号となりました。高市総務相らがあいさつしましたが、所信表明は後日改めて開かれるようすでした。
法律案は、自民党、公明党、民主党、(おそらく)維新の党の賛成、日本共産党の反対、の賛成多数で可決しました。
【同日 衆議院本会議】
設定時刻より、1時間半遅れで始まりました。なお、町村議長は、多少、ろれつが不明瞭な部分がみられ、2年前の発病のリハビリの経過について、日本の理学療法などの力を衆議院議長みずから見せる、という議会運営になるのかもしれません。
平成26年度補正予算案が緊急上程されました。
討論では、民主党の馬淵澄夫さんが反対。「補正に計上はするが、後はどうなるか分からない、といういびつな粉飾予算だ。これは2015年度にプライマリーバランスの赤字半減目標を達成するためにやっているのではないか」と語りました。
次に公明党の樋口尚也さんが「公明党を代表して賛成討論」をしました。前の期では、公明党議員が「自民党と公明党を代表して賛成討論」をすることが多かったのですが、きょうは自民党が討論の権利を放棄したようです。ただ、与党の樋口さんも「アベノミクスは今年が正念場だ」と指摘しました。
維新の党の吉村洋文さんが反対討論。「もはや年中行事といってもよい補正予算なのではないか」と、3年連続の「15か月予算」を批判しました。
日本共産党の宮本岳志さんも反対討論しました。
今期は、5つの会派だけなので、すっきりしました。
採決の結果、起立多数で、平成26年度補正予算案は可決。参議院では来週月曜日の午前9時からさっそく審議されます。
続いて、地方交付税法改正案(189閣法1号)が緊急上程。起立多数で可決し、参議院に送られました。
先ほどのエントリーにも書きましたが、平成26年度第1次補正予算(案)の基本的質疑が、平成27年2015年1月29日(木)行われました。
この中で、今回の3・1兆円の補正が、財政法29条に違反している疑惑が浮上し、麻生太郎財務相(自民党)は「自分から違法だとは言えない」と語り、事実上違法性を認めました。
財政法29条は、補正予算は(1)国の経費の不足を補う(2)当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限り、歳出の増額補正ができるとしています。
民主党の小川淳也さんは、警察の庁舎の建設や科学警察研究所の機材の更新などがなぜ補正予算で対応する必要があるのかとただしました。
階猛さんは、平成24年度補正で設立した、電気自動車の補助金の基金が使い切れていないのに、今次補正で300億円盛り込まれていると質問。宮澤洋一経産相は「基金だ」と答弁しましたが、「私の間違いで基金ではございません」として、単発の補助金だとしました。階さんは「だったらなおさら問題で、3月31日までに300億円も執行できるのか」 と問うと、宮澤経産相は「電気自動車は普及が遅れていたが、このところ増えたので使えるよう努力する」と答弁しました。
後藤祐一さんは、「現在、基金というものは174あるようだ」としたうえで、今次補正では、14基金が積み増されているとしました。ところが、平成27年度予算(閣議決定済み、印刷中で、国会未提出)には、2基金は廃止されているとして、「ものづくりの基金の1020億円と農地バンク(農地中間管理機構)の基金200億円の積み増しは使い切ってしまえという考えではないか」と問いました。
麻生内閣の平成21年度第1次補正予算で創設された「基金」について、12の基金で積み増していることについて、答弁に詰まり、財務大臣としては異例の、秘書官からレクチャーを受ける場面が長時間見られました。さらに、農地中間管理機構の基金について、「農林中金のことね」と答弁するなど、自ら創設した基金の渡し切りの尻ぬぐいを、安倍内閣の副総理としてとらされる異例の展開となりました。
[画像]長時間にわたり、秘書官からレクチャーを受ける麻生財務相、2015年1月29日(木)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
tag (宮崎信行)
[お知らせ]
この無料ブログ(goo)のほかに、有料版の今後の政治日程by下町の太陽(会員制ブログ版)(レジまぐ)を発行しています。
購読料は、月864円(税込)となります。
自動継続のため、安定した収入源として、こちらの無料ブログを続けられる原動力となっております。
購読方法はシステムを提供している「レジまぐ」(メディア・インデックス社)へお問い合わせください。
「国会傍聴取材支援基金」を設けています。日本唯一の国会傍聴ブログの継続にご協力ください。半年に1回、会計報告もしております。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
どうぞよろしくお願いします。
このブログは次の各ウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)
予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)
民主党ニュース(民主党ウェブサイト)
goo 政治ニュース
インターネット版官報
[お知らせおわり]
【平成27年2015年1月29日(木)衆議院予算委員会 平成26年度補正予算(案)の基本的質疑1日目】
馬淵澄夫さんが、原子力発電のシロアリ、RITE(ライト)こと「公益財団法人地球環境産業技術研究機構」というシロアリを攻撃しました。
馬淵さんは、原子力行政などには、「不作為の連鎖」があり、誰が悪いか分からないことがあるので、閣僚は身を律してほしいと呼びかけました。
これに先立ち、安倍晋三首相(自民党総裁)は、馬淵さんに答弁し、「福島原発の過酷事故は安全神話によりかかっていた」と断定調で語り、東京電力経営者らに安全神話があったことを公言しました。
さて、法務省の東京地方検察庁におかれている特別捜査部の部長が交代したようで、今後は経済事件のみ扱う、という趣旨の記者会見をしたようです。
英国製の「コメット号」という飛行機が連続して墜落事故を起こした時に、チャーチル首相は「中央銀行の金庫が空になるまで徹底的に調査する」と語り、この調査報告書がもとになって、英国製飛行機の信頼性が高まり、その後の米ボーイング社の大躍進にかくれながらも、現在の多国籍企業エアバスの堅調な経営につながっているようです。
韓国の検察は、「ナッツリターン」問題で、大韓航空の副社長を逮捕しました。
ところが、東京地検特捜部は、この1月31日が期限となっている、東京電力福島第一原子力発電所の事故で告発され、検察審査会からも不起訴不当とされた、東京電力の会長だった勝俣、副社長だった武藤栄、取締役技術顧問だった武黒一郎の3人を不起訴にするようです。存在意義が問われる話であり、上川陽子法相は検察庁法にもとづき、捜査し、逮捕するよう、検事総長に指揮権を発動すべきでしょう。
きょう初めて設置根拠を調べたら、「法務省設置法」という法律はないようです。検察庁法の付属文書で、法務省訓示の「検察庁事務章程」というものがあり、この別表が、東京地方検察庁の特別捜査部の設置根拠に過ぎないようです。このような法律上の根拠のない組織が必要なのでしょうか。仮に東電経営陣、勝俣容疑者、武藤容疑者、武黒容疑者を今月中に、逮捕して、東京拘置所のブタ箱にぶち込み、尻の毛をむしり取り、起訴するまで10年でも、100年でも勾留することができないようなら、事務章程を変更し、東京地検特捜部を廃止すべきでしょう。ただ、この事務章程をみると、どの検察支部にも必ず当直者を置かないとされており、このような勤務環境が、検察官の世間ずれにつながっているかもしれません。「不作為の連鎖」を断ち、万事徹底的に調査しないと、日本が貧しくなります。
【平成27年2015年1月28日(水)参議院本会議】
第1ラウンドで、平成26年度補正予算案の財政演説に対する各党代表質問、第2ラウンドで平成25年度決算の全般質疑が行われました。
今通常国会の参議院トップバッターは、民主党の柳田稔さん。
柳田さんは1990年衆議院初当選組の「岡田世代」で、民社党を代表して田原総一朗さんの朝まで生テレビで、政治改革の理想を説きました。
柳田さんは、「民主党は総選挙で党勢回復したが、いまだ道半ばだ。党員・サポーターに開かれた代表選で選ばれた岡田克也代表のもと、政権交代ある二大政党制をめざす」と宣言しました。岡田代表は、まもなく衆議院議員として迎える永年在職表彰=辞退=について、「いずれにしても、志を持ちながら途中で政治生命を絶たれた仲間はたくさんおります。私は幸せだったなと思っています」 と先週の記者会見で語っています。民社党として再選して細川・羽田内閣に参加し、参議院での議席回復した柳田さん。2012年通常国会で、民主党席の委員長が、「岡田国務大臣」と指名することが多い中、柳田・参議院予算委員長だけは、「岡田副総理」「岡田副総理」と呼び続け、同期の背中を押す姿を感じました。
柳田さんは、このほか、広島県選出ということもあり、岡田さんと取り組んできた核の先制不使用や、核不拡散について説明したうえで、「核兵器廃絶に向けての安倍内閣の取り組みと意欲は希薄だ」と指摘しました。今週のNHK日曜討論で、安倍晋三首相の発言を岡田克也代表が批判した「戦後70年談話(安倍談話)」(8月か)については、総理の答弁は一定の範囲内に戻りました。
この後も、世代間格差、子どもの貧困、年金へのマクロ経済スライドの発動。そして、積極平和主義の転換など、「くらし」と「安保」という旧民社党の二大看板を岡田民主党にひきつぐ質問演説を展開しました。柳田さんは20年以上、浪人中もずっと走り続けてきたんだな。民社党らしい勉強家だなということをうかがい知ることができました。
当ブログでは何度も言及していますが、1990年の民社党のポスターは、「暮らし上向き実感したい 生活先進国をめざす 民社党」。
岡田克也さん、増子輝彦さん、金子徳之助さん(金子恵美代議士のお父さん)の3人が初当選した1990年自民党(小沢一郎幹事長)は、「世界のあこがれ 自由な日本」。
仙谷由人さんらが初当選した1990年日本社会党は「激サイティング社会党 やっぱり消費税は廃止だ」。
この3つの党の初当選組が民主党にいるわけです。しかし、選挙の評価は相対的なものに過ぎません。山口那津男さんが初当選した1990年公明党は「福祉と平和の新時代」でしたが、ご存じのとおり、公明党は「平和」の看板を降ろし捨て去り、戦争加担政党に成り下がりました。
◇
このあと、平成25年度決算について、麻生太郎財務相が説明。代表質問が行われました。民主党の相原久美子さんは「通常国会冒頭に審議入りできたことについて、すべての関係各位に感謝します」と語りました。相原さんへの答弁の中で安倍首相は「私たちの政権がめざしているのは、トリクルダウンではなく経済の好循環だ」と答弁しました。また、国の予算決算では「項」までの開示にとどまっている予算書・決算書について、「目」の開示について、麻生財務相は検討しているとしながらも、引き続き慎重な姿勢をみせました。
【同日 衆議院予算委員会】
参議院本会議散会後、平成26年度補正予算案について、麻生財務相から趣旨説明を受けました。あすから、基本的質疑。
【同日 参議院予算委員会】
補正予算案の趣旨説明を受けました。衆議院から送付後に、いきなり基本的質疑からスタートすることになります。
【同日 参議院決算委員会】
平成25年度決算について、麻生財務相と河戸会計検査院長から説明を受けました。質疑は後日。
【同日 参議院国家基本政策委員会】
民主党の小川勝也委員長が開会を宣言。党首討論を衆議院側と合同審査会で開く手続きをとりました。
tag (宮崎信行)
[お知らせ]
この無料ブログ(goo)のほかに、有料版の今後の政治日程by下町の太陽(会員制ブログ版)(レジまぐ)を発行しています。
購読料は、月864円(税込)となります。
自動継続のため、安定した収入源として、こちらの無料ブログを続けられる原動力となっております。
購読方法はシステムを提供している「レジまぐ」(メディア・インデックス社)へお問い合わせください。
「国会傍聴取材支援基金」を設けています。日本唯一の国会傍聴ブログの継続にご協力ください。半年に1回、会計報告もしております。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
どうぞよろしくお願いします。
このブログは次の各ウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)
予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)
民主党ニュース(民主党ウェブサイト)
goo 政治ニュース
インターネット版官報
[お知らせおわり]
NHKの報道の報道によると、政府(内閣府)は、先の臨時国会(第187秋の臨時国会)で、衆議院地方創生に関する特別委員会(鳩山邦夫委員長)で提案理由説明された10日以後に衆議院が解散されたことにより審議未了廃案になった国家戦略特区法改正法案(旧187閣法31号)について、追加して、今国会に提出する方針を固めたようです。
追加されるのは、当ブログが一貫して応援している山中伸弥先生のiPSを血液などに応用しやすくする特区などのようです。
それと、日経によると、27日、官邸で国家戦略特区諮問会議(安倍議長)というものがあったそうです。今国会ではiPSのほか、首都圏の公園を活用した保育所設置特区、そして、自治体のサービス分野の随意契約によるベンチャー支援特区というものができるようです。民主党政権の途中から、私は「なんでも入札にすればいいというものでもないのだな。随契よりも、むしろ、入札して、1者応札の方が問題のことも多いな」という「与党センス」を持ちました。とはいえ、自治体の随契でベンチャー支援特区ってものすごく筋が悪いように思います。
新しいものだけでなく、未成立の、先の臨時国会に提出された法律案に盛り込まれた特区のメニューは次のアドレスをみてください。
http://www.cao.go.jp/houan/doc/187-2gaiyou.pdf
このうち、私は、(4)の公証人が公証人役場外で会社設立の定款の承認ができる特区ーーに大反対しています。これは、この国会に提出しようとして法務省民事局が書いている、民法債権編抜本改正法案(未提出)で、「債務の連帯保証」について、公証人による公正証書が必要だーーという改正案が盛り込まれる見通しだからです。おそらく、金融機関に公証人が出張できるスペースができるのではないでしょうか。内閣府と法務省の連係プレーというのは考えにくいのですが、誰かが操っているように感じます。
安倍晋三首相(自民党総裁)は、先の臨時国会の所信表明演説で「次の国会も、更にその次も、今後、国会が開かれるたびに、特区制度の更なる拡充を、矢継ぎ早に提案させていただきたいと考えております」 と語っていました。この表現について、少し違うのではないか、と思いましたが、たしかにその通りだったようです。
もちろん、全国一律の規制緩和・規制強化が本来あるべき姿でしょうが、日本の現状では特区ということでしかたないでしょう。ただ、おとといのエントリーにも書きましたが、今国会から、参議院で「地方創生」「消費者問題」が一つの特別委員会に再編されており、会期末に近づくと、参議院での出口がきつくなるかけひきもありそうです。
きのう、平成27年2015年1月27日(火)、菅義偉・内閣官房長官は記者会見で、「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて閣議決定を行いました」「先週、与党から内閣官房・内閣府のスリム化に関する提言をいただいており、政府としてもこの提言を尊重し、閣議決定を行ったものであります。今後、今通常国会に関連法案を提出するなど、所要の作業を進めてまいります」と語り、
第189回通常国会に、内閣官房・内閣府スリム化のための国家行政組織法などの改正法案を提出することを明言しました。
閣議決定文書は、次のアドレスで、これに基づき、法律案が執筆され、提出されます。
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/01/27/minaoshi.pdf
上のアドレスのPDF文書が、私が使っている無料のアクロバット・リーダーではコピーアンドペーストできないので、要約のみ書きます。
内閣官房で廃止されるのは、4つで、「郵政民営化委推進室」「社会保障改革担当室」「原子力規制組織等改革推進室」「法曹養成制度改革推進室」。このうち「社会保障~~」に関しては、平成24年社会保障と税の一体改革推進法による時限が来たから廃止になるようです。
内閣官房にある、「知的財産戦略推進事務局」と「総合海洋政策本部事務局」は内閣府に移るようです。この背景には、首相官邸の向かい側、国会記者会館隣の、内閣府本府ビル(旧総理府ビル)の隣に、中央合同庁舎8号館「内閣府」ビルが出来たからでしょう。14階建てのようです。(参考文献「官庁フロア&ダイヤルガイド」国政情報センター編、刊行)。
内閣府ビルが出来たからといって、内閣官房で存在の期限を迎えた、サンセット方式の部署、必要のない部署が何でもかんでも今後、内閣府に移れるわけではありません、ピシャリ。
閣議決定に戻って、「遺棄化学兵器処理対策室」、「道州制特区担当」、「地域活性化担当」、「宇宙開発戦略本部事務局」は、内閣官房の部署は廃止され、内閣府のみとなります。おそらく、これまでも併任辞令が出ている職員が多かったでしょうから、あまり実態に変わりはないのかもしれません。
内閣府から各府省に移すものもいくつかあります。そのうち、「自殺対策」は、これは、4号館の6階にあったと思いますが、新8号館の8階に移っていたようです。これが、厚生労働省に移ることになります。ここは、現在の厚労事務次官がちょっと前まで内閣府の事実上の局長にあたるポストにいたんだろうと思います。
ちなみに、霞が関の局(大臣官房含む)の数は、国家行政組織法の第23条で「97」と決まっているのですが、私は、例えば120とかそのくらいにしていいと考えます。いずれにせよ、設置根拠は法律によることを徹底してほしいところ。
交通安全対策は、内閣府に残したうえで、国家公安委員会と国土交通省に一部機能を移すようです。おそらく、中央省庁再編前は、4号館、旧総務庁にあった部局だと考えますが、けっこう、天下国家を論じる、建設官僚、プロパーも多かったですよ。今はどういう状況か分かりませんが、交通事故死者の減少という政策効果を達成しているわけです。こういうところで、大いに天下国家を論じる時間と機会も各省採用の官僚に与える度量も必要でしょう。
その他詳しいことは、PDFを見てください。私としては、枝葉も含めて、大いに法案に賛同したいところです。いずれにせよ、総理大臣と法律にもとづき、柔軟に内閣官房と内閣府は模様替えをできることが何よりも大事です。
内閣委員長は、衆議院が自民党、参議院が民主党ですが、秋の臨時国会から衆参とも内閣委員会は良好な運営が続いており、法律案のスムーズな審議は確実なところと思われます。
[写真]川端達夫・衆議院副議長、NHK国会中継、2015年1月27日(火)、筆者(宮崎信行)撮影。
【平成27年2015年1月27日(火)衆議院本会議】
川端達夫・第66代衆議院副議長がデビューしました。
前日の召集日の麻生財務大臣の財政演説に対する各党代表質問は、2時間半ほどの所要時間とみられました。川端副議長は、2時20分に町村信孝議長と席を交代しました。
このもようはNHKのテレビやラジオで放送されました。
川端副議長は、「内閣総理大臣 安倍晋三君」ら公明党、共産党の質疑をとりしきり、「散会」を宣言しました。
ただ、運命の皮肉で、川端副議長の第一声は「赤羽一嘉(あかば・かずよし)君」。
あの20年前の、「1・17」、赤羽さんは地元でもある神戸で新進党調査団員として、海部俊樹党首(トゥモロー総理、元総理)とともに、現地を視察。
一方、若気の過ち、川端さんは新進党に離党届を出し、山花リベラル新党の結成届を衆議院に提出しようとした直前、運命により、未提出に終わりました。
政治とは不条理なものです。あの日の過ちを生涯、胸に抱きしめながら、政権交代ある二大政党政治のために、川端副議長は私心を捨てて取り組んでほしい。応援しています。
[写真]左の写真はNHK国会中継、2015年1月27日放送分から、筆者(宮崎信行)撮影。
【2015年平成27年1月27日(火)衆議院本会議 麻生財務大臣の財政演説に対する各党代表質問】
1995年1月17日、神戸(Kobe)を襲った阪神・淡路大震災で、政府(村山社会党、河野自民党、武村さきがけの悪の3党連立政権)よりも先に、被災地を、海部俊樹党首(元首相)とともに視察した、元新進党調査団員で、現在は公明党衆議院議員の赤羽一嘉さんが、代表質問に立ちました。このもようはNHKテレビ、ラジオで全国に放送されました。
新進党調査団は、総理経験のある海部党首、若くてガッツのある赤羽一嘉さんや、大口善徳・現公明党国会対策委員長のほか、建設省技官出身の前田武志さん、国土庁長官経験のある石井一さん、運輸政務次官の経験があった二階俊博さんらが参加し、政府より早く現地の情報を収集しました。このせいかどうか、半年後の参院選では、比例第1党になるなど新進党は圧勝しました。私が十数年前に手元で計算したシミュレーションでは、仮に、新進党による第2次海部内閣が「1・17」を迎えていたら、1000人以上の命が救えました。
きょうの議場に戻って、赤羽さんは、「6400名を超える阪神・淡路大震災から20年。つらくかなしい教訓により、被災者の目線に立った自助・公助・共助の行政となり、防災ボランティアが定着した。避難所となる小学校の耐震化は、この補正にもはいっているが、来年度で100%になる。さらに、だんことして認められなかった被災者への現金の給付も、私も議員立法としてかかわり、改正被災者生活支援法として、だれでも使え、所得制限なく、最大300万円まで、東日本大震災では30万人に使われた。しかし、防災対策に終わりはありません」と胸を張りました。
赤羽さんが、あれから20年間、こうやって走り続けていたことを、違う党になってしまったこともあり、知らなかった不明を恥じました。
あれから20年、ずっと走り続けていたのですね。
(このエントリーの初投稿日時は2015-01-09 18:15:36)
政府は平成27年2015年1月9日(金)、「平成26年度第1次補正予算(案)」を決定しました。
【追記 2015年1月26日(月)午後3時半】
政府は、第189回通常国会の召集日にあたる26日(月)、国会に補正予算案を提出しました。
麻生太郎財務大臣が、衆参本会議で財政演説をしました。このエントリーの末尾に全文をつけます。
補正予算書は、すべて、財務省ウェブサイトには同時に公表されています。
http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh26.html
【追記iいったん終わり】
今年度は1次補正が最終補正となる見込み。1次補正が最終補正になるのは、3年連続。予算技術上は、東日本大震災復興特別態勢から抜け出した格好となります。
一般会計は、当初の歳出入の95・8兆円から増額し、99兆0003億円となります。
最近は、「実質」とか、「名目」とか流行っていますが、予算書は「名目」です。
名目上の税収は、当初の50兆10億円から増額補正(上振れ)し、51兆7260億円となります。これは傑作で、当初比で名目3・4%増になります。ということは、「消費税増税分と異次元の金融緩和による物価上昇目標率」を合わせると、3・4%なので、「実質ゼロ上振れ」とも言えますが、もちろん、当初予算には消費税増税分は含まれていました。一つだけ、財務省主計局に対しては、平成26年度当初予算の税収を、「50兆0010億0000円」という非常に丸い数字を出したことには猛省を促したい。こんなのは、一企業が税引後最終利益をマーケット向けによく見せるために、欠損金を翌年度に繰り越していたら、「49兆9999・・・・」になったかもしれないのですから。
摩訶不思議な出来事があり、解散後、選挙前は「補正は2兆~3兆規模」と言っていて、与党が勝利したら、「3・5兆円規模」と報道がかわりました。選挙が終わってから増えるのも変なのですが、財務省が示したフレームで分かりました。
税収の上振れを活用して、一般会計から復興特会に1・0兆円、一般会計から地方交付税の特別会計に0・9兆円繰り入れを増額補正するようです。来年度に繰り越す前提と思われ、長期的な財政健全化につながります。 単年度では、建設公債の発行(歳入)は増額補正しましたが、赤字公債の発行(すなわち歳入)は0・8兆円減らし、赤字公債の歳出(すなわち償還)はあ1・5兆円減らしました。黒田緩和の中で、市場に出回る国債の残存期間(償還期間)は「あと7年」という風に長くなっており、市場における短期的な品薄もあり、長期金利が下がっていることで実現したものです。短期的には財政ファイナンスとして評価できます、短期的には。
ですから、真水の経済規模は2・5兆~3兆円程度、総事業規模でみると、政策金融が0・1兆円増額補正されているので、多くても3・1兆円程度となります。日本政策金融公庫の融資枠は1000億円増額補正。一般会計から利子分を補給するようですが、まあマクロ経済におけるマネーストックと、ミクロ経済における円安など、諸情勢を考えれば、このくらいいいのではないでしょうか。
細かい歳出では学校耐震化に1700億円が入っていますが、なぜ補正なのか?
平成26年度第1次補正予算案は印刷に回り、26日(月)に国会に提出され、安倍首相の所信表明演説と麻生財務相の財政演説が行われます。衆参本会議で28日~30日(金)に代表質問があり、2月2日(月)ごろから衆・予算委がスタート。早ければ2月13日(金)ごろの参議院本会議で可決し、成立する見通し。第47期衆議院や、民主党第11代代表の論戦の火ぶたが切って落とされます。
【追記再びはじめ】
財務省ウェブサイトから引用
第189回国会における麻生財務大臣の財政演説
平成27年1月26日
先に閣議決定いたしました「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を受けて、今般、平成二十六年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明いたします。
(最近の経済情勢と緊急経済対策)
まず、最近の経済情勢と緊急経済対策について申し述べます。
安倍内閣におきましては、これまで、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」からなる経済政策を一体的に推進してまいりました。こうした政策の下、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準となり、名目雇用者報酬は高い伸びとなるとともに、企業の経常利益は過去最高水準となるなど、前向きの動きが続いております。これらの経済指標の動きは、企業収益の拡大が速やかに賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大に結び付くという、経済の好循環が生まれ始めていることを示しております。
このように景気は緩やかな回復基調が続いているものの、個人消費等に弱さが見られるとともに、地域ごとに景気回復にばらつきが見られ、平成二十六年七―九月期の実質GDP成長率が年率換算でマイナス一・九%と二・四半期連続でマイナスとなりました。こうした足下の景気の状況に対応するため、去る十二月二十七日に「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を閣議決定いたしました。
本対策におきましては、経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感を持って対応を行うことで、経済の好循環を確かなものとするとともに、その成果を地方に広く早く行き渡らせることを目指しております。このため、第一に、地域の実情に配慮しつつ消費を喚起すること、第二に、しごとづくりなど地方が直面する構造的な課題への実効ある取組を通じて地方の活性化を促すこと、第三に、災害復旧等の緊急に対応を要することや復興を加速化すること、という三点に重点を置いております。
(平成二十六年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要)
次に、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」等を実行するために今国会に提出をいたしました平成二十六年度補正予算の大要について、御説明申し上げます。
本対策につきましては、一般会計において、総額で三兆五千五十九億円の財政支出を行うこととしております。その内容としては、「生活者への支援等」に係る経費に一兆千八百五十四億円、「地方の活性化」に係る経費に五千七百八十三億円、「災害・危機等への対応」に係る経費に七千五百七十八億円、東日本大震災復興特別会計への繰入として九千八百四十四億円を計上しております。このほかの歳出としては、地方交付税交付金として九千五百三十八億円、その他の経費として四千四百六十三億円を計上しております。
その財源につきましては、歳出面において、既定経費を一兆七千八百八十億円減額することとしており、歳入面において、税収で一兆七千二百五十億円、税外収入で千百四十八億円の増収を見込むほか、前年度剰余金を二兆三百五十三億円計上しております。その上で、必要な事業に要する財源を超える部分、七千五百七十一億円につきましては、財政健全化の観点から、公債金の減額に充てることとしております。
こうした結果、平成二十六年度一般会計予算の総額は、歳入歳出ともに当初予算から三兆千百八十億円増加し、九十九兆三億円となります。
また、特別会計予算等につきましても所要の補正を行うこととしております。
次に、財政投融資計画につきましては、本経済対策を踏まえ、千百十七億円を追加しております。
(むすび)
以上、平成二十六年度補正予算の大要について御説明いたしました。
長引くデフレ不況からの脱却を確かなものとし、経済の好循環を更に拡大していくためには、本補正予算の一刻も早い成立が必要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
【追記おわり】
tag (宮崎信行)
[お知らせ]
この無料ブログ(goo)のほかに、有料版の今後の政治日程by下町の太陽(会員制ブログ版)(レジまぐ)を発行しています。
購読料は、月864円(税込)となります。
自動継続のため、安定した収入源として、こちらの無料ブログを続けられる原動力となっております。
購読方法はシステムを提供している「レジまぐ」(メディア・インデックス社)へお問い合わせください。
「国会傍聴取材支援基金」を設けています。日本唯一の国会傍聴ブログの継続にご協力ください。半年に1回、会計報告もしております。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
どうぞよろしくお願いします。
このブログは次の各ウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)
予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)
民主党ニュース(民主党ウェブサイト)
goo 政治ニュース
インターネット版官報
[お知らせおわり]
【平成27年(2015年)1月26日(月)衆議院本会議】
召集により、正午から衆議院本会議を開きました。
常任委員長で民主党に唯一割り振られている懲罰委員長は、党国対委員長就任にともなう辞任をうけて、大畠章宏さんが委員長に就任しました。まさに適任と言えるでしょう。
この後、9つの特別委員会が設置されました。
解散前の第187秋の臨時国会での再編を受けて、第189通常国会も継続することになります。
念のためかくと、「災害対策特」「政治倫理・公職選挙法特」「沖縄北方特」「拉致特」「消費者特」「科技特」「復興特」「原子力調査特別委」「地方創生特別委」の9委員会です。
これに先立ち参議院の構成もされましたが、(一つ前のエントリー参照)これを比較すると、次の点が違います。 参議院では、「地方創生」「消費者」が一つの委員会、「復興」と「原子力調査」が一つの委員会となっています。このうち、「原子力調査」は過去に1本も法律案を審査していません。一方、秋の臨時国会では「地方創生」「消費者」はともに多くの法律案を審査しました。ですから、内閣府・内閣官房の地方創生部局と、内閣府消費者庁が書く法律案は、ていねいに、参議院での「出口」を調整してから、衆議院に提出しないと、会期末に、地方創生や消費者庁の法律案をめぐって、参議院で重要法案審査の駆け引きの材料になりそうです。
人事では、衆議院の拉致問題に関する特別委員会だけ、委員長が平沢勝栄さんから竹本直一さんに代わりました。ともに閣僚適齢期なので、第3次内閣組閣をめぐる党内調整があったのかもしれません。
さて、衆議院沖縄および北方問題に関する特別委員長には、民主党の古川元久さんが就任しました。就任あいさつのなかで、「ことしは戦後70年の節目の年です」と入れ込みました。これについては、きのう、召集前日の2015年1月25日放送のNHK日曜討論の中で、安倍首相が、村山談話(50年)、小泉談話(60年)について、表現を見直すとの趣旨の発言をして、後から出演した、公明党の山口那津男、民主党の岡田克也両代表が首相を批判しました。これを受けて、6月から8月にかけて、戦後70年の安倍談話と集団的自衛権の限定容認のための安保法制の再整備法案に向けたかけひきに使われそうです。
かけひきはこれくらいにして、衆議院インターネット審議中継でも、召集日のお楽しみ、和装(kimono)が見られました。
民主党の鈴木貴子さん、維新の党の下地幹郎さん。
民主党の大西健介さん、維新の党の上西小百合さん。
こういった方々の着物(Kimono)を見ることができました。
第189回通常国会は参議院自民党の傲慢からスタートしました。
参議院(山崎正昭議長)は、平成27年2015年1月26日(月)午前10時、召集にともない、院の構成の本会議を開議。
特別委員会は、これまでの「災害特」「沖北特」「倫選特」「拉致特」「ODA特」の5つを設置。この後の各委で秋の臨時国会、特別国会と同じ委員長が互選されました。
前の会ではこのほか、「地方創生」「消費者問題」「東日本大震災復興」「原子力問題調査」の4つの特別委がありました。
きょうの本会議では、
「地方・消費者問題特別委員会」と
「東日本大震災復興および原子力問題調査特別委員会」の2つを設置しました。起立採決となり、日本共産党が反対したようです。
また、「国際経済・外交に関する調査会」が新しく設置され、これで調査会は3つと、以前の体制に戻りました。会長には、柳田稔さんが就任しました。
この後の特別委で、地方・消費者問題特別委員会は、西田昌司委員長を選びました。「復興・原子力」は、復興特別委員長だった櫻井充さんを互選しました。
おごりが見られたのは、ODA特別委員会(政府開発援助等に関する特別委員会)。
年長のゆえをもって、参議院自民党幹事長の伊達忠一幹事長(北海道)が臨時の議長に。ここで、民主党の西村正美さんが動議を出して、選挙ではなく、伊達さんが指名するよう求めました。
ここで、伊達氏は、「それでは委員長に」・・・と語った後に、民主党などの席を見ながら、「いいのかこれで・・・」と語り、委員部員からこれでいいと言われると、「山本順三君を指名します」と語りました。
そこで、自民党議員に爆笑が起こり、「狙いがあったな」とのヤジが飛ぶと、伊達氏はほくそえみながら自席に帰り、山本順三さん(愛媛) が特別委員長席に座りました。
山本特別委員長は委員長席に着き、「なんと短時間で3回目の委員長就任のごあいさつでございます」と、衆議院解散による特別国会があったことも踏まえながら、伊達幹事長による冗談でざわめいた場を取り繕いました。
強大な人事権を持つ、自民党役員会メンバーである、伊達さんが人事権を見せびらかす、後味の悪い初日となりました。伊達さんは年齢的にもう次は出ないからこのようなことをしたのでしょうが、例えば息子さんである元道議会議員(逮捕歴あり)にバトンタッチをするようなこともあるかもしれないのではないでしょうか。
正直、きょう設置された特別委員会は、倫選特を除くと、具体的に法案がかかりそうな特別委が今のところなく、2月の衆議院での予算審査も含めて、参議院自民党にどこかゆるみやおごりがあるように見受けられました。
民主党にとってはチャンスの薄明かりが見えました。150日間しっかりたたかってまいりましょう。
第189常会(第189回通常国会)は、きょう、平成27年2015年1月26日(月)召集となりました。
政治日程について、「今後の政治日程by下町の太陽・宮崎信行」を更新しました。
何度も書いてますが、昨年11月21日の解散日的中(19日ではないと主張)で読者数が増えました。ありがとうございます。
本年もよろしくお願いします。
購読料は、月864円(税込)です。
イスラム国殺害脅迫 菅長官が記者会見へ(産経新聞) - goo ニュース
日本人殺害からのスタートとなりました。
召集週を迎えた、平成27年2015年1月25日(日)午前0時10分、第3次安倍内閣の菅義理・内閣官房長官は、昨年から、「イスラム国」を自称するISISに拘束されていた、自称・民間警備会社経営者、湯川遥菜さん=男性=が殺害されたとする、日本人人質の映像が公開されたのを確認したと発表しました。
筆者(宮崎信行)が確認した映像では、何者かが、「安倍よ、お前は遥菜を殺した」と英語で話しました。映像(画像)では、湯川さんに似た顔をした人物の頭部が、おそらく湯川さんとみられる胴体のおなかの上に載せられた写真が提示されました。湯川さんの死亡は確実。
この両男性は、イスラム国を自称する男により、身代金2億ドルを要求する映像をYouTubeに公開されており、日本政府としても本物だと確認していました。
これを受けて、安倍晋三首相(自民党総裁)は外遊先のイスラエルで記者会見し、釈放を呼びかけました。
[写真]訪問先のイスラエルで解放を呼びかける、安倍晋三首相(自民党総裁)、NHKニュースから写す。
安倍首相は、その後外遊日程を早めて帰国しました。
ISISによる人質殺害は、アメリカ人、イギリス人と続いており、キャメロン首相(保守党党首)も同様に外遊を早めて帰国し、殺害確認後に強い姿勢で批判する対応をしました。
ISISは身代金ではなく、ヨルダン政府が逮捕し、拘置している、女の未執行死刑囚の釈放を要求しているようです。
通常国会召集直前に日本人が人質に取られるのは、第2次安倍内閣発足直後の2年前も同じで、菅長官の地元にある会社「日揮」のアフリカにあるプラント事業所でも集団で人質に取られました。しかし、全員無事解放にこぎつけ、当初民主党新執行部は通常国会での追及を予告していましたが、ほとんど議題になりませんでした。
さて、2015年1月には、フランス・パリで、預言者の顔を描いたうえで風刺する三文雑誌の本社が襲撃され、編集長や漫画家が殺されました。容疑者はフランス政府が射殺しましたが、一部国外に逃亡中。これに対して、「ジュ・シ・シャルリ」とうプラカードを、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ブラジル、オーストラリアなどで掲げる運動が起こりました。
さらに先週、サウジアラビア国王が交代することになり、スイス・ダボス会議でも大きな話題になっています。
まさに冷戦崩壊、インターネット、マネタリズムが生み出したグローバリゼーションによる漂流が始まったのかのようです。
現地本部長を務めた中山泰秀・外務副大臣にとっては、湾岸戦争で逃げ遅れ、フセイン政府の拘束の元、ソフトボールなどをしていた商社マンらの人質が全員釈放され、日本に帰国した際の「中山外務大臣を張り倒したい」という、中山太郎外相が浴びた日本政府に対する暴言、叔父の口惜しさの雪辱をはらせませんでした。同じ大阪府選出の谷川秀善・外務副大臣は、「イラク3馬鹿」の釈放に成功した際に、サウジアラビアで日本人記者団から「身代金は払ったんですか?」との問いに「馬鹿なこと言いなさんな!」と一喝した、政治家らしい、自民党らしい姿とは明暗を分けました。
サミュエル・ハンティントン著、鈴木主税翻訳の「文明の衝突」(集英社)によると、「中等教育を受けた膨大な数の若者たちから力の供給を受けつづけるイスラム復興運動はイスラム教徒の好戦性を高め、各国の軍備をの拡充に動くとともに、国外への移民も増える。その結果、21世紀初頭の世界では非西欧諸国が国力と文化的影響力を増大させつづけ、非西欧文明圏の諸民族がおたがい同士、あるいは政党とのあいだで衝突を繰り返すことになる」(第2部のしめくくり、181ページ)と指摘しています。
イスラム教が悪いわけではありません。
また、日本のキリスト教徒はわずか人口1%以下です。
例えば、首相が8月に発表する「戦後70年談話」にも、この事件への言及も必要になり、国会での事前審査が必須。
岡田克也・民主党代表による、しっかり安定した中長期的論戦も必要になるでしょう。
(このエントリーの初投稿日時は2015年1月24日午後7時)
摩訶不思議なことに、昨年11月21日の衆議院解散のさいに、イブキングこと伊吹文明議長が読み上げた解散詔書がすり替えられていたのではないかと、との疑惑が浮上しました。
議事録として残っている次の伊吹議長の発言の不自然さが指摘されています。
[国会会議録データベースから引用はじめ]
○議長(伊吹文明君) ただいま、憲法第七条により詔書が発せられた旨、内閣総理大臣から伝達されましたので、これを朗読いたします。
〔総員起立〕
日本国憲法第七条により、衆議院を解散する。
御名 御璽
平成二十六年十一月二十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三
〔万歳、拍手〕
午後一時十四分
[引用おわり]
このうち、「御名御璽」と読み上げたことについて、事情通は、「奇妙奇天烈なことだ。陛下がしたためられた詔書ならば、明仁(あきひと)と書いてあるはずだ」と指摘しています。これについてほかの事情通は「ひょっとしたら、内閣総務官は、内閣府でつくった詔書の写しを、衆議院に持ってきたのではないか」との疑惑が浮上しました。「国権の最高機関だから、議長には、本物の陛下の詔書を朗読していただきたいものだ」と話しました。
伊吹議長が読み上げた詔書が、天皇陛下がしたためられたものなのか、内閣総務官室がつくった写しなのかは、不明です。むしろ、安倍晋三首相(第2次内閣)が解散の大義名分をすり替えたことを、伊吹さんが揶揄した可能性もなくはありません。
ただ、衆議院インターネット審議中継では、この後に、伊吹さんが「以上です。万歳はここでやってください。はい。以上をもって散会します」と語っています。これは、上記のように、議事録に載っていません。これについて、関係者は「奇妙奇天烈だ。天皇陛下が衆議院を解散したら、伊吹さんはその時点で議員ですらないのに、なんの立場で散会を宣言しようとしたのだろう」としました。いずれにせよ、摩訶不思議な出来事でした。
その一方で、「まあ終わってしまったものはしかたがない。後任の町村信孝議長は、内閣官房長官経験者なのでそのようなことはないだろう」との期待があがっています。
[画像]町村信孝・新衆議院議長、2014年12月26日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
町村新議長は積極的にきょう(2015年1月24日)付の朝日新聞のインタビューに応じています。この中で、「最近、民主党の岡田克也新代表は安倍首相の憲法改正論は違うという趣旨の発言をした。意見が違うのは当たり前で、「この人が言うから反対だ」などと言えば、国会の自殺行為になる」、特定秘密保護法施行にともなう改正国会法による衆議院情報監視審査会がいまだに発足していないことについて、「議員運営委員会理事会で議論されているが、野党がストップをかけているのはまさに本末転倒だ」と語りました。
町村新議長には、通商産業省勤務歴を含む豊富な政治キャリアで歯に衣着せぬ発信を続けていただきたいと期待しています。例えば、自民党議員が申し合わせの時間を1秒でも過ぎたら、「おい、おれが清和会会長時代にいくら餅食ったんだ。今すぐ止めろ」と議事整理権を発動したり、野党議員が申し合わせの時間を1分ぐらい過ぎても黙った見過ごすやさしさをもつ。それが町村さんの持ち味でしょう。それはさておき。
さあいよいよ、第189回通常国会は、来週月曜日、平成27年2015年1月26日(月)召集です!