2014年1月のブログ記事一覧-渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

責任野党・民主党がパンドラの箱を開け衆・予算委スタート　長妻昭・岡田克也・古川元久・篠原孝・原口一博

2014年01月31日 17時33分43秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

　さあいよいよ、衆議院予算委員会がスタート。
　午前9時から正午までは、自・公。

続いて、午後1時から午後5時過ぎまで、最大野党・民主党が質問しました。

民主党は、長妻昭・筆頭理事、岡田克也さん、古川元久さん、篠原孝さん、原口一博さんの順で質問しました。

　補正予算書の中身に関する質疑はなく、大枠の議論でしたが、やはり、政権を担当し、ことしは選挙がない年のためか、タブーに触れる、パンドラの箱を開く、議論がありました。

【東電が一発で倒産する原発コストのパンドラの箱】

　とくに長妻さんの次のパネルです。

　大串博志さんが持っているこのパネルでは、「原発のコスト　先送りイメージ」として、東電福島第一原発の爆発・放射能漏れ全壊事故により、避難、復旧、汚染水対策などの事故コストがかかり、一度コストが減っても、時間が経つと、使用済み核燃料処理コストが再び増えていくというイメージ図です。

　これについては、最終処分の費用も含まれているでしょうが、自民党政府がプルサーマル計画など国策としての核燃料サイクルの今後について言及してこなかった理由は次の東京電力貸借対照表（http://www.tepco.co.jp/ir/tool/factbook/pdf/p30-j.pdf）にあると考えます。

このように東京電力株式会社の資産は１４・６兆円。このなかに、核燃料が９５33億円、原子力発電設備が７４９１億円の「資産」となっています。つまり、あの東電第一原発4号機にある、使用済み核燃料も、再利用するから「資産」なのです。

仮に国策としての核燃料サイクルを止めると、この核燃料と発電所の１・７兆円が「負債」になります。バランスシートは帳尻を合わせないといけないので、差し引き、３・４兆円の資産を積み増さないと会社は持ちません。しかし、これは帳簿上の操作であり、そのために金融機関は1円たりとも貸さないでしょうし、３・４兆円も増資できない。可能性としては、国から交付国債を３・４兆円もらう手もありますが、これは首相が「核燃料サイクルは止めます」といった瞬間に東電は倒産、即死するでしょう。関電も倒産するでしょう。

　このような大変なタブーにつながるパンドラの箱を、長妻さんは筆頭理事として自ら切り込み隊長として明けたわけです。頼もしい限りです。

【長妻さんのパネルが伏字にされるが、安倍総理が明かす】

　自民党側の筆頭理事は、第1次安倍内閣の塩崎恭久筆頭理事。野党時には、経済産業委筆頭理事としての破壊力を買われたようで予算委次席理事に抜擢されていたようです。

　その塩崎理事らは、さっそく長妻さんのパネルを理事会で伏字にしたようです。

　民主党と自民党の違いを表したパネル。このなかで、民主党の考え方は「国を縛るのが憲法」としていますが、自民党の考え方について「■■■■■のが憲法？」とおそらく５文字分が伏せられていました。
　
ただし、議場で配った資料はそのままだったようです。このため、安倍首相は資料を見ながら、

　「（自民党の考え方は）国民を縛るのが憲法だなんて、こんなのはデマゴーグですよ！こんなことやっているから（民主党は）ダメなんですよ」と答弁しました。期せずして、安倍首相のおかげで、パネルの5文字が「国民を縛る」だったことが分かりました。

【岡田さんの質問では核密約答弁の見解発表を確約】

　岡田克也さんの質問に対して、安倍首相は、核密約答弁に関する自民党歴代首相、外相、官房長官らの虚偽答弁について、「見解」をまとめると確約しました。これについては、先のエントリー（

首相、日米核密約の自民党政権の虚偽国会答弁を謝罪する「安倍談話（仮称）」発表へ　岡田克也さんの質問）

でまとめてあります

【古川元久さん「そもそも、なぜ40年間減反を続けてきたのか」】

　古川元久さんは2005年にダボス会議（世界経済フォーラム）の「ヤング・グローバル・リーダー」に選出されています。ダボス演説で、首相が「４０年来続いてきたコメの減反（生産数量目標）を廃止します」と断言したことを取り上げました。

安倍首相は「農村を基盤とする議員が多い自民党では画期的なことだ」と胸を張りました。そこで、古川さんは「そもそもなぜ、４０年間減反を続けてきたのか」と質問。林農相が「減反をしながら転作支援などで水田をフル活用してきた」とよくわからない答弁をすると、古川さんは「コメの値段を上げようとしてやってきたのではないか」と語りました。

【終戦を知らされないのは特定秘密か　篠原孝さん】

　篠原孝さんは「いつ戦争を止めるか、は特定秘密になるのか」と質問し、森国務大臣は「私は戦争をしたくないからそのような仮定の質問には答えられない」と応じました。ここで、篠原さん、終戦を知らずに集団自決した満蒙開拓団があるとして、１９４５年８月２３日に、他の団と意見が違い、「我々の団はここで戦闘に出て、ダメなら自決しよう」と組織決定し、女性・子供をふくむ５１４名が自決したと指摘。「終戦を知っていたら絶対自決しなかった」という団員の証言があるとして、安倍首相も「私も寡聞にして知らなかった」とていねいに答弁しました。

　このほか、原口一博・総務大臣は、ＮＨＫ新会長の籾井勝人さん（三井物産出身）の就任記者会見での「個人的な意見」と断った不適切発言について質問しました。

　ただし、補正予算に関する質問は一つもありませんでした。実力ある議員が大枠からの質疑に専念した印象でした。

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首相、日米核密約の自民党政権の虚偽国会答弁を謝罪する「安倍談話（仮称）」発表へ　岡田克也さんの質問

2014年01月31日 14時05分23秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

　自民党の安倍首相は、佐藤栄作首相が日米間での核兵器持ち込み密約について、民主党の岡田克也さんが「1990年以降、国民に明らかに違うことを説明してきたことについて、自民党政府は国民に対して見解を出すべきではないか」とただしたところ、安倍首相は「見解をまとめたい」と答弁しました。

見解が閣議決定文書になるかどうかは不明ですが、「安倍談話（仮称）」といった名称で、「戦後レジームからの脱却」の一環として安倍首相がとりまとめる見通し。核密約に関する歴代自民党首相・官房長官では、安倍首相の出身派閥「清和会」はほとんど無関係のため、とりまとめる見通し。

2014年1月31日（金）の衆議院予算委員会、基本的質疑1日目で、民主党の岡田克也さんへの答弁。

　「私が官房長官、首相のときに見ていない。岡田克也外相によって表に出た後に、初めて見た。それはなぜなんだろうな、と考えたら、私が（官僚に）信頼されていないからでなくて、1991年にブッシュ大統領が戦術核を艦船に持ち込まないと決めてからは、（首相らに）説明しなくなったんだろう」と思う、と答弁し、官僚が説明しなかった理由が分からないことを明らかにしました。

　そのうえで、「それはそれで問題だ」と外務官僚を批判しました。

　とはいえ、2006年3月8日の国会で、第1次安倍内閣の麻生太郎外相は

　「沖縄返還国会というのは、昭和四十六年、四十七年ぐらいだったと存じますけれども、そのときの外務大臣はどなただか、ちょっと正確な記憶はありませんけれども、歴代外務大臣がこの種のことに、これに関しましては説明をいたしておるとおりでありまして、沖縄返還の際にいわゆる支払われます日米間のいわゆる合意に関しましては沖縄返還協定がすべてであって、それ以外のいわゆる密約というものはございません。」

　と答弁しており、安倍内閣、麻生太郎国務大臣らは、国会議事録上、現在まで嘘をついている状態が続いています。

　関連エントリー）