[画像]国土交通事務次官昇格が内定した、徳山日出男さん、2013年10月9日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
東日本大震災の東北地方整備局長として「櫛の歯作戦」を立案実行し、自衛隊の輸送路を確保することで、東京電力福島第一原子力発電所爆発という未曽有の国難による被害を軽減した、
徳山日出男さん(昭和54年建設省技官)が、今月末に国土交通事務次官に昇格する人事が内定したようです。
11日付読売新聞など各メディアが報じました。
事務次官は通常国会中には異動しない慣例がありますが、同省は、今週、「建築物の省エネ向上法」(平成27年法律53号)が公布されたことで、同省が今国会に提出した法案がすべて出来上がりました。このため、9月27日の閉会を待たずに、7月末で昇格させ、8月末の平成28年度概算要求の陣頭指揮にあたらせることを、太田昭宏大臣が判断したと考えられます。
旧建設省では、事務系と技術系が交互に事務次官に昇格する慣例でしたが、橋本行革・中央省庁再編法施行にともない、建設省・運輸省・国土庁・北海道開発庁の4省庁合併後はこの慣例が崩れていました。技術系職員を統括する「技監」は、徳山さんの前2代は事務次官に昇格せずに退職しており、徳山さんは3代ぶりの技監から事務次官に昇格することになります。
徳山さんの功績および事務次官昇格の可能性が高いことは、1年前のエントリーにもまとめているところです。
「前へ!東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録」(麻生幾著、新潮文庫)によると、3000人の職員を束ねる東北地方整備局長だった徳山さんは、本省道路局課長補佐として対応した阪神大震災とは違うと直感。3月11日夜、大畠章宏大臣とのテレビ会議で、「阪神淡路大震災とは違います。津波型大災害を想定すべきです」と報告し、大臣から「すべて任す。国の代表としてあらゆることをやってくれ!」と命令を受けます。そこで、徳山局長は部下に「みんな、聴いてくれ。無駄な動きは致命傷となる。内陸部の被害にいちいち対応すべきじゃない。重要な被災地を見誤る。目標は、太平洋沿岸部の都市だ。明日から、人命救助と救援のルートを確保するため、そこへ向かう道を、我々は啓開によって開ける。今からその準備を徹夜でやって欲しい。(夜が明けた)明日からが勝負だ」 と語りました。
徳山さんの言葉のうち、「内陸部の被害にいちいち対応すべきでない」という言葉は、政治家はなかなか言えない言葉です。
「啓開(けいかい)」 とは何とか車両が通れるようにすることを意味し、太平洋沿岸から国道4号へとつながる道路を同時に啓開する「櫛の歯作戦」を部下のアイディアも取り入れて立案、実施。これにより、陸上自衛隊が福島原発に向かうことができました。
正直言って、私は民主党政権時代、各府省庁など行政府の動きは、民主党国会議員である政務三役も含めて、予想外に把握できませんでした。岡田さんが2012年1月に再入閣してくれて、内閣府の行政改革担当と社会保障と税の一体改革担当が少し見えてきた程度です。
霧の中ですが、どうやら民主党政権も、官僚と喧嘩ばかりしていた者だけではないようです。
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