flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

南方貨物線

2006-01-12 00:24:26 | RODEN-哀愁のRailway-
(名古屋市南区・熱田区・港区)
 昭和42年(1967)東海道線の貨物輸送力を増強するため、貨物用バイパス線として着工された、大府駅から名古屋貨物ターミナル駅までを結ぶ約26kmの未完成且つ、廃止貨物線である。
 大府駅から笠寺駅の間は東海道線と平行する線路として建設、笠寺駅からは独立高架となり、東海道線と分かれて東海道新幹線に平行して北西に進み、その後新幹線と分かれて西進、西名古屋港線(あおなみ線)と合流して名古屋貨物ターミナルに至る路線である。
 東海道線や新幹線の車窓から、使われていない高架を目にした人も多いだろう。
数百億単位の資金を投じて高架橋の大部分を建設しながらも、結局開業に至ることなく平成14年(2002)に廃線と決定されたこの貨物線である。

 名古屋地区の貨物は、名古屋駅南方の笹島貨物ターミナル駅で取り扱っていた。笹島から東京方面への列車は一度、稲沢操車場まで送り、折り返して東京に向かう非効率的なルートであったため、これを解消するべく国鉄は約345億円を投じて、12.7kmの高架を建設、然し昭和56年(1981)国鉄再建法により地方の赤字ローカル線が切り捨ての対象となり、これによって、名古屋貨物ターミナル駅まで残り約1.3kmを残し工事が中断した。
 平成4年(1992)交通渋滞による配送遅れや、排ガスに含まれる窒素酸化物削減等により、運送業界から南方貨物線の完成の要望が出された。 JR貨物がJR東海から賃借している東海道線のダイヤは、JR発足により列車本数が増発し、貨物線の運行が難しくなり、関係機関への働きかけがより強まった。それにより同年、運輸政策審議会答申で、鉄道として引き続き検討すると改定された。然し、貨物線を完成させ、列車を運行させるには更に約300億円が必要とされ、JR貨物は負担できず、国鉄清算事業本部も、資産を処分する役割が、建設主体になることはありえないという回答をした。日本鉄道建設公団はJR東海に旅客との共用線とするなどの活用策を打診し続けたが、平成14年3月、JR東海が沿線利用価値が低く採算性が見込めないと、同線の移管開業を正式に断ったことによって、日本鉄道建設公団は計画を断念、全面取り壊しを決定した。

 国鉄清算事業本部は平成15年4月から高架撤去作業を開始し、売却をするための更地化を進めているが、全ての区間を更地化するには更に約300億円が必要という。 高架下には一部にテナントも入っており、今後の動向も不透明となっている。

コメント (4)
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