田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

コミュニティ・ビジネス起ち上げのレッスン

2016-09-06 18:23:44 | 講演・講義・フォーラム等
 私のようなシニア年代になると、ワークショップはどうしても入って行きずらいところがある。ところが今回のワークショップは、意外や意外、けっこう楽しく、かなり本気になって取り組むことができた楽しいワークショップだった。 

 9月2日・3日の二日間にわたって行われた「課題対応型学習活性化セミナー」の一日目後半と二日目の午前は、参加者同士によるワークショップが行われた。
 テーマは「学んだ成果を活用する仕組みの構築 ~高齢者によるコミュニティ・ビジネスの実践~」ということで、指導者(コーディネーター)として株式会社石塚計画デザイン事務所代表取締役の石塚雅明氏が務め、細内氏が途中までアドバイザーを務めた。

 ワークショップはまず、4人の小グループに分けられた。私のグループは私を含め3人がシニアの男性、それと20代後半と思われる女性のグループだった。
 最初にそれぞれ、「自己紹介:私の趣味、特技」を付箋紙に書き込み、披露し合うところから始まった。皆さんがどんどん書き始めたのを見て、私も負けじと書き始めた。「子どもを教えることができる」、「スキーが得意」、「旅が好き」等々と…。
 書き終えた後で、それぞれが自己紹介を兼ねて、趣味・特技を披露し合ったが、面白い結果が出た。それは、シニア男性の3人が期せずして皆スキーが得意と自己紹介したことだ。私たち北海道のシニア世代にとって、スキーがいかにメジャーなスポーツだったかを図らずも示した事実だった。

          
          ※ ワークショップの途中に開設する細内氏と、その横に立つコーディネーターの石塚氏です。

 続いて 「コミュニティ・ビジネス(CB)の種を探そう」ということで、それぞれの自己紹介の中からCBに結び付きそうなことを話し合った。 
 私たちは三つの種を見つけて、発表した。三つの種全てを記憶できていないので、私が提案したものだけ記すことにすると、私はグループの女性が「クラシックについての知識が豊富」ということを聞いて、次のように構想し、用意されたヒントカードに記入した。

 Q1.地域に眠っているヒト資源~クラシックについて造詣の深いシニア or クラシックを学んだ主婦
 Q2.地域の切実な課題~クラシックに興味があっても敷居が高いと考え、コンサートなどに足が向かない人
 Q3.都市(住民・企業)や現代社会の切実な課題~クラシック愛好者の層が広がらない。クラシック演奏家の演奏機会が少ない。

 こうしたことを受けて、「クラシック音楽を優しく解説しながらコンサートを楽しむツアー」をビジネスとして起ち上げることができるのではないか、と…。
 第一日目は、こうした各グループが見つけたビジネスの種を披露し合うことで終わった。

 こうして、私たちを乗り気にさせたのにはコーディネーターの石塚氏の力によるところも大きいと感じた。そもそも石塚氏の本職そのものがコミュニティ・ビジネス(CB)的なものと思えた。その上、石塚氏は自らのリタイア後の自らが起ち上げようとしているCBの夢を語ってくれて、そのことが私たちに具体的なイメージを与えてくれるのに大いに役立った。

          
          ※ 石塚氏が仮装好きの人たちを集めてビジネスに昇華した例を紹介しているところです。

 第二日目、グループの構成メンバーは前日と入れ替えられ、私たちのグループはシニア男性が2名、20代と思しき女性が1名、さらに主管する道の職員(40代)が1名という構成だった。
 作業は前日、各グループから提出された「ビジネスの種」の中から有望そうな種を見出し、それをさらにビジネスへと結び告げる方途を整理してみよう、という作業だった。
 グループの話し合いは、もう一人のシニアの男性がリードする形で進められた。彼がヒントカードを見ながら、「藻岩山で星を眺めるというのは面白いね」という一言から、「星について詳しい」というカードを取り上げ、ビジネス化を考えることとした。

          
          ※ 私たちのグループがまとめた「大都会札幌で満天の星を味わおう!」のアイデアをまとめた表です。

 商品のアイデア・サービスは 「大都会札幌で満天の星を味わおう!」と決めた。札幌は全国的に見ても稀にみるほど都心と自然とが近い。その象徴が藻岩山である。藻岩山は街に近いため、街の灯りが星の観察を邪魔するのでは、という意見も出たが、そこは藻岩山を踏査することによって観察ポイントを見つけることができるはずだ、ということで乗り切った。つまり場としては、「藻岩山」とした。
 ヒト資源としては、星に詳しいシニア、あるいは学校理科教員OB、また大学等の天民同好会の人たち。
 ビジネスの対象としては、星に興味を抱き、星のことについて詳しく知りたい欲求を持っている人、大都会の生活に疲れ癒しを求めている人、札幌へ観光旅行に来てこれまでと違った観光スポットを求めている人、等々を対象とする。

 そこで私たちとしては、いきなりビジネスを起ち上げるのではなく、まずNPO法人化して、仲間を募り、無償でのモニターツアーを実施することとした。そのモニターツアーを実施することで、ビジネス化の可能性を探るとともに、ビジネス化へ向けて足りない点、補正する点を見出し、商品としての完成を目指すこととした。
 このアイデアを全体の前で発表し、この日の午前の部を終えた。

          
          ※ 私たちのグループを代表して20代の女性に発表してもらいました。右はコーディネーターの石塚氏です。          

 ワークショップは午後も続いたのだが、私は午後に別の講座を受講するために、参加はここまでだった。おそらく午後は、さらにビジネスモデルとしてより整理され、完成されたものを目ざしてコーディネーターとのやりとりが続いたものと想像される。

 ワークショップの途中で、ビジネスとして起業するということは、法的な規制などさまざまなハードルが立ちはだかるのでは、と私は考えその点を質したのだが、コーディネーターはNPO法人の形でもよいし、個人商店の形、あるいは本格的な企業の形とさまざま形態がある、と答えてくれた。
 利益を目的としないNPO法人が市民対象にさまざまな企画を実施していることは見聞きしていた。思っていたよりハードルは低いのかな?というのが率直な印象である。
 グラントワーク西神楽の例を見るように、リタイアした後でもやりがいのある分野が目の前にあるのだな、という印象を持った。その陰には当然のようにさまざまな苦労も内在していることは当然予想されるのだが…。
 昨日のブログの冒頭でも触れたように私がコミュニティ・ビジネスに関わるということは年齢的に言っても難しいと思うが、とても興味深いセミナーだった。