荒々しく首都東京や日本各地を暴れまわるという印象が強い“ゴジラ”だが、映画として成立させる上では、綿密な計画と細密画のようなデザインや設計図が背景にあることを理解することができた。
北海道立近代美術館において9月9日より「ゴジラ展」が始まった。ゴジラに特別の関心があるわけではないが、公開中の映画「シン・ゴジラ」と美術館の「ゴジラ展」の相乗効果に踊らされて、映画に続いて展覧会も見てみることにした。
※ 展示されていた中で撮影を許された一つ。1995年制作の第22代のゴジラです。
平日だと混雑が少ないだろうと13日(火)の午後に入館してみたが、目論見どおりそれほど混雑しない中でゆっくりと観覧することができた。
ゴジラ映画は1954(昭和29)年に第1作目が登場して以来、公開中の「シン・ゴジラ」が29作目だそうだ。今回の「ゴジラ展」では、1作目から28作目(2004年制作)までの歴代のゴジラの顔と姿を写真により紹介するところから展覧会は始まっていた。
※ こちらはHPから拝借した第20作目に登場したメカゴジラです。
そしてゴジラ誕生の経緯、特にゴジラが生み出されるまでの過程が写真や記録文とともに詳細に紹介されたり、ゴジラ映画の代名詞でもある特撮映画の舞台裏が事細かに紹介されたりしていた。
特に私が感心したのは、怪獣やメカのデザイン画、撮影用ミニュチュアセットの図面などが、非常に緻密に描かれていたことだ。作者の経歴を見ると、それぞれが美大などで学んだ専門家であったことはいうまでもない。
展示されていたゴジラや怪獣のスーツ(ぬいぐるみ、着ぐるみ)が等身大であるのに、映画においては数十メートルもの巨大な怪獣に見せるには、日本が誇る特撮技術に拠るところが大きいことが良く理解できた。
※ こちらも撮影を許されたメカゴジラと戦った第20代のゴジラです。(不確定ですが…)
マニアでない私は全ての展示を事細かに観覧するだけの忍耐力に欠け、十分に観賞できたとはけっして言えない。しかし、「美術館が展示をすると、こうなるのか」というくらい学術的にも貴重な展示だったのではないかと思えた「ゴジラ展」だった。
※ 展示会場の外に「シン・ゴジラ」の撮影に使われた東京駅のミニュチュアセットが展示されていました。