田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

札幌ラーメンの雄、札幌ラーメンを語る

2017-09-29 18:29:01 | 講演・講義・フォーラム等
 “札幌ラーメン”を牽引し続ける(?)西山製麺社長の西山隆司氏は意気軒高だった。札幌ラーメンの歴史を語る中で、西山製麺の成長を語り、今ではメイド イン サッポロの麺が26の国・地域にまで輸出するまでになったと雄弁に語った。

 本年度第7回目となる「ほっかいどう学 かでる講座」が9月27日(水)午後、かでる2・7で開催され、受講した。
 今回の講座は「札幌ラーメン誕生の秘話と未来への飛躍」と題して、西山製麺株式会社社長の西山隆司氏がお話された。

                
                ※ 講演する西山製麺株式会社社長の西山隆司氏です。

 西山氏は西山製麺の二代目であるが、札幌ラーメンが誕生したのは戦後外地から引き上げてきた人たちが主流となって出来上がっていったという歴史を語った。
 そのようなラーメン店主たちと、製麺メーカーとして共に“札幌ラーメン”の誕生に奮闘した歴史を語った。その辺りは西山氏自身の物語ではなく先代の孝之氏の時代である。
 その孝之氏やラーメン店主たち、さらにはそこに通う客たちとの対話から“札幌ラーメン”が誕生したという。西山氏は、札幌ラーメンの店主たちには、師匠・弟子という関係はなく、店主たちが客との対話を通して創意工夫を重ねたうえで誕生したところが札幌ラーメンの特長だとした。

           
           ※ 西山製麺が海外輸出用に使用している段ボールの外装です。

 その“札幌ラーメン”の特徴は次のような点にあるという。
 ①スープ ~ こってりとした清湯
 ②調理方法 ~ 中華鍋を使う、野菜を煽りラーメンの上に載せる。
 ③たれ ~ 味噌ラーメンの研究と完成
 ④麺 ~ 黄色、縮れ、アシコシの強い麺の研究
 ⑤食文化 ~ 気候風土、店主とお客様との対話から誕生
としたが、これらすべてが完成したのは昭和30(1955)年頃と言われているそうだ。

           

 西山隆司氏が社長に就任したのは1989(平成元年)年だから、札幌ラーメンの誕生にはまったく関わっていない。むしろ札幌ラーメンはすでにブランドとして確立し、西山製麺の社業も軌道に乗っていた時期と思われる。
 隆司氏は先代の意志を引継ぎ、製麺メーカーとしてラーメン店の開業を目指す人たちをサポートするために社内の研修施設(厨房設備)を整備したり、チャーシューを製造する会社を設立したりと、社業を拡大していったそうだ。
 さらには、日本食が海外において人気がでてきたことに伴い、海外進出を積極的に進めっていったという。今では26の国や地域にメイド イン サッポロの麺を輸出するまでになり、さらに拡大を目指していると語った。

          

 西山製麺の海外進出の特徴は、麺を現地生産するのではなく、あくまで札幌で生産した麺をコンテナで運ぶという方法を取っていることだ。これは、ラーメン製造には欠かせない軟水を海外では入手できないということ、さらに現地に工場を建設するコストを考慮すると、コンテナ輸送代は痛手ではないという計算からだそうだ。

                   

 すでに海外ではラーメンは中華料理ではなく、日本料理の一つとして認知され、“RAMEN”文化が定着しつつあるという。全米では1,000店以上のラーメン店があるが、ほとんどは現地の食材を使用したラーメン店だそうだ。それを西山氏は「なんちゃってラーメン」と呼称していたが、西山氏としては日本の食材を使用した本物ラーメンが今後世界各地でなんちゃってラーメンを凌駕していくとの自信をもっているように見えた。
 札幌ラーメンの躍進を期待したい。

          

※ 「札幌ラーメンの雄」とか、「札幌ラーメンを牽引する」という言葉は、あくまで私が西山氏に対して抱いた印象であり、おおやけにそのように称されているかどうかは定かではないことをお断りしておきます。