高校生の演劇はいつ観ても感動する。今日もまた札幌市立啓北商業高校の演劇を観て感動を与えてもらった。演題「ラフ・ライフ」は高校生の身近な問題を取り上げた笑いと涙に包まれた佳作だった。
毎年、年の初めに行われる「北海道高校演劇 Special Day」は、その年度に行われた高校演劇大会において最も優秀だった作品を称えて「札幌演劇シーズン実行委員会」と「(公財)北海道文化財団」が主催して、札幌市民に公開しているイベントである。
私はこれまで過去3回観劇しているが、毎回高校生の若々しい演技に感動を与えてもらっている。これまで会場はかでるホールだったが、今回はかでるホールが改修中のためカナモトホール(市民ホール)が会場となった。
当初は最優秀賞を受賞した富良野高校と、優秀賞の啓北商業高校の二つの作品が公開予定だったようだ。しかし、事情はよく分からないが富良野高校が辞退したようで、結局は啓北商業高校演劇部だけの舞台となった。
啓北商業の演題「ラフ・ライフ」は「笑いのある生活」とでも訳されるが、主題は両親が不仲のために離婚が目前に迫っている時、両親の趣味である漫才を学校祭で披露して両親に笑いを取り戻してほしいと願う女子高生の姿を描いたものである。
僅か1時間の中で、ストーリーはどんどん変化し、観ている者の予想を裏切る展開が楽しい。結局、女子高生の願いや努力は徒労に終わるのだが、それにもめげず最後に漫才を披露して幕が下りるという展開だったが、その中に笑いあり、涙あり、でやはり脚本の良さが際立っていたように思った。また、出演した高校生たちも熱演していて優秀賞に相応しい舞台だった。
いつも私は思うのだが、このSpecial Dayで披露される舞台に感動してしまう。その第一の要因は脚本の素晴らしさにあるのだが、それにプラスして高校生が熱演しているというところにあるのかもしれない。
あまり多くの体験はないのだが、一般の方の舞台でそうした感動をあまり感ずることが出来ないのはなぜか?きっとそれは、私の観る目、脚本の解釈力が熟成されていないからなのかな?と思っているのだが…。しかし、それでもいいやとも思っている。今さら演劇に精通する気もないし、何せ一般の舞台はけっこうな観覧料を必要とする。私はこれからも高校演劇を追い続けようと思う。
なお、啓北商業高校演劇部は3月に福岡市で開催される「春季全国高等学校演劇研究大会」に出場予定だそうだ。健闘を祈りたいと思う。