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映画 レ・ミゼラブル(2012) №298

2021-01-19 16:58:51 | 映画観賞・感想

 数多く存在する「レ・ミゼラブル」の映画であるが、本作は世界中でロングラン公演されたミュージカルを映画化したものである。ミュージカルのためか6月暴動の際の「民衆の歌」の歌声が強く印象に残ったが、主題は主人公ジャン・ヴァルジャンの愛の物語である。

        

 「レ・ミゼラブル」はフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーが1862年に著した大河小説である。その人気の高さ故、世界各国で何度も映画化された作品である。また、ミュージカルとしても各国でロングラン上演されているという。そんな中、2012年にミュージカルの手法を用いた映画として本作はアメリカ・イギリスの合作映画として制作された。

 ストーリーの細部は原作と違っている点もあるが、おおよそにおいて原作をなぞったストーリーとなっている。本作がミュージカルの映画化ということでミュージカルファンにとってはキャストも豪華だったことも併せて評価が高いようである。反対にセリフのほとんどがキャストの歌声ということで抵抗のあるファンもいるようである。私は特別にミュージカルファンということではないが、キャストの歌声が気になるということはなく、自然にストーリーの中に入っていくことができた。

 原作で著されている1810年代のフランスというと、王政が倒され、七月革命は成ったものの世の中は混沌としており、混乱と矛盾が蔓延っていた時代である。そのような中で物語の主人公ジャン・ヴァルジャンは姉の子どもたちのために、たった1本のパンを盗んだ罪で19年間も刑務所に服役された。

 そのことでジャン・ヴァルジャンは人間不信に陥るのだが、教会の司教の崇高な人間性に触れたことによって、人間としての良心に目覚めて一人の少女を救うために全霊を捧げるというストーリーである。

     

 私がリード文で民衆の暴動の際に歌われた「民衆の歌」が印象的だったと記したが、トリコロールカラーのフランス国旗を打ち振りながら群衆が歌う歌は力強く伝わり、人々を鼓舞する力に溢れているように聴こえてきたのだ。しかし、暴動そのものは民衆に支持されることなく失敗に帰してしまう。その暴動を扇動する学生の一人と、ジャン・ヴァルジャンが救った少女が恋仲となり、ジャン・ヴァルジャンにとって複雑な気持ちを抱くものの結局は二人の恋を温かく見守り、彼ら応援するのだった。

     

 レ・ミゼラブルとは、「悲惨な人々」と訳されるようであるが、わが国では「あゝ、無情」と翻訳されて著作が出版されたり、映画化されたりしていた。

 1800年代の混とんとするフランス国内における庶民の生活はまだまだ虐げられた悲惨な生活を送らねばならなかったようだ。その一人がジャン・ヴァルジャンだったのだが、そうした環境下におかれた彼が一人の司教の人間性に触れ、他に愛を捧げられるような人間となっていく様を描いた物語だと理解した。

 映画「レ・ミゼラブル」(フランス映画)は、またまた現代版としてリニューアルされ今春2月28日より全国上映されるという。

 これほど何度も何度も映画化されたり、ミュージカルで上演されたりする理由は何故なのだろうか?主たる要因はもちろん原作の力なのだろうが、矛盾に満ちた世の中は決して過去のものではなく、現代もまた多くの矛盾を抱えていることが背景にあるのではないだろうか?そうした中にあって、「愛」の強さ、尊さが人々の心を打つということなのだろうと私は思ったのだが…。

 なお、映画は1月11日(月)NHK・BSプレミアムで放送(放映?)されたものである。