歴史的建造物(国指定重要文化財)である「豊平館」で聴くクラシックはやはり特別である。重厚な広間に響き渡る弦楽器の調べはとても相応しいと思った。この日は弦楽器のいろいろな編成の楽曲を聴くことができた一夜だった。 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/3e/19ddc1919ecc9e67cb9e767f6e4ff9bb.jpg)
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私にとって今年のPMF第4弾のコンサートである。7月25日(木)夜、午後7時から開演されたPMFアカデミー生による「PMF豊平館コンサート」を聴いた。
この日のコンサートは前述したように弦楽器によるコンサートだったが、その編成をいろいろ変えての演奏だった。その編成とは、まずは基本の「弦楽四重奏」、そして「ヴァイオリン二重奏」、「コントラバス二重奏」というような編成だった。
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※ 国の重要指定文化財の豊平館の外観です。
演奏された曲目は…、
◆ハイドン/弦楽四重奏曲 イ長調 作品20 第6番
◆シュポア/ヴァイオリン二重奏曲 イ長調 作品9 第2番
◆D.アンダーソン/コントラバスのための7つの二重奏曲
◆ラヴェル/弦楽四重奏曲 へ長調
以上4曲だったが、コントラバスの曲を除く他の曲はいずれも四楽章からなるもので演奏時間も20分間から30分間という長め楽曲だった。(コントラバスは題名通りに7つの曲からなっていた)
私はコンサートを聴きながら、プログラムに私なりの感想をメモしながら聴いていた。それによると、1曲目のハイドンの弦楽四重奏曲は「第一ヴァイオリンが良くリードし、まとまりのある音」とある。
2曲目のヴァイオリン二重奏曲は、「二人が目を合わすこともなく、楽しそうな演奏に見えなかった」と記した。二人だけのステージである。できればアイコンタクトを取りながら、表情豊かに演奏してほしかった。
3曲目のコントラバスは、ふだんの演奏では縁の下の力持ち的役割に徹している コントラバスが主役の演奏である。私のメモには「面白い実験的な試み?三曲目が秀逸」とある。その三曲目とは、夜中に家の中を走り回る作曲者の愛猫を描いたという「Custay’s 11 O’clock Dance」という曲だった。あの大きなコントラバス2台で、いかに猫が走り回る様子をコミカルに演奏する様は思わず私の中で笑みがこぼれた。私は過去に札幌交響楽団コントラバス奏者がソロのコンサート(ピアノが伴奏をしたが)を一度聴いたことがあるが、コントラバスが主体の演奏もなかなか興味深く思う。
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※ コンサートが行われた豊平館の大広間です。
最後の4曲目は再び弦楽四重奏だったが、こちらの演奏に対するメモは「不協和音的な不思議な曲。けっして美しい曲ではない。そこが実験的?」と記している。プログラムでは作曲者が「これまでのどの作品よりも、明確に音楽的構成を意図している」と述べているそうだが、クラシック初心者の私にはそのことが理解できなかった。演奏する若者たちはもちろんのことだが誰もが真剣に演奏に取り組んでいた。そこで私は次のように解釈した。音楽家を目指す人たちにとってはあらゆる音楽に通暁していなければならない。だからどんな難曲もこなさなければならないのだろう。このラヴェルの曲もそうした一曲なのではないか。若者たちの意欲が表れた一曲だったようだ。
一緒にコンサートを聴いたS氏とそんな感想を語り合いながら夜道の帰路に就いた。