木管楽器のオーボエ奏者が直接口に触れるリードの部分をプロの奏者の場合は手作りするという。そのリードの制作が思いのほか大変なことだということがお話から伝わってきた。オーボエ奏者の今井敏勝氏のお話を聴いた。
かでる講座 オンライン講座の第8回目講座は11月9日(月)、オーボエ奏者で北翔大学教授の今井敏勝氏が「音が蘇る『リズム』~オーボエの音にのせて」と題して講演された。
今井氏は大学卒業後、山形交響楽団、大阪フィルなどでオーボエ奏者として活躍後、札幌大学吹奏楽団の指揮者などを経て、現在北翔大学で教鞭をとられている先生である。
講演は当初、演奏を中心に考えられていたようだが、オンライン講座に変ったことで内容を変えて、オーボエのリードの制作過程を詳しく説明する内容に変えられたということだった。
オーボエのリードに使われる材料は「ケーン」という細い竹のような素材である。今井氏の場合はフランスから取り寄せているということだった。そのケーンを細く薄く削りだし、二枚を上下に組み合わせ、そこに息を吹き込むことによってリードを震わせ音を出すという仕組みのようだ。したがって、ケーンの削り出し方によって音が微妙に変わるため、細心の注意を払って制作するという。したがってオーボエ奏者にとっては、良い音を出すために大変な労力を払っているという。
※ 各種の用具や工具を前にしてリードを製作中の今井氏です。
そのためのさまざまな専用の工具(全て外国製だという)をみせていただき、実際に制作する工程も実演していただいた。あの繊細な音を紡ぎだす、オーケストラ奏者が影では大変な作業をされていることを初めて知ることができた。
※ 今井氏がこれまで制作し、保管しているリードの数々です。
講演のほとんどはリードの制作過程を説明し、実際に削り出すところを実演してくれることだったが、最後に数曲独奏していただいた。その曲目は…
◇アイルランド民謡/ロンドンデリーの歌
◇ドヴォルザーク/新世界第二楽章 ※ この曲はオーボエより一回り大きいイングリッシュホルンという同種の楽器で演奏された。
◇ブリテン/メタメルフォーゼ
今井氏の素晴らしい演奏をお聴きしていて、気になったことがあった。それは息継ぎが
とても大変そうに思えたことだ。あの細く薄いリードの中に息を吹き込むことは、それもまた大変な労力を必要とすることのように思えた。