N響メンバーの安定した演奏と、メンバーたちのリラックスしたMCも効果的で、満員のキタラの場内はクリスマスムードに包まれ、誰もが心豊かなひと時を過ごすことができた夜だった。
12月21日(水)夜、札幌コンサートホールKitaraにおいて、(株)ジェイコムとNHKの共催による「NHKクリスマスクラシックコンサート」が開催され、入場券を入手できたので参加した。NHK交響楽団のメンバーによるこの種のコンサートには、これまで友人からチケットを譲っていただいたりして、調べてみるとこの日で6回目のコンサートだった。
このN響コンサートでは、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、オーボエ、ピアノの6人編成がほとんどだったと思うが、この日も6人編成だった。そして驚いたことに私が初めて聴いたのは2013年だったのだが、そのときのメンバーだったヴァイオリンの松田拓之、大宮臨太郎、チェロの山内俊介、ピアノの高橋希の各氏は今回も名を連ねていたのにはちょっとした驚きだった。確認はできないが、彼らのほとんどは10年間ほぼ同じメンバーで演奏されているのではと思われる。だからこそ彼ら自身もリラックスして演奏に臨めているのかもしれない。
この日のコンサートにはサブテーマとして「情熱のブラームス」というテーマが付けられていたが、ブラームスの曲が3曲演奏されたのが一つの特徴だったのかもしれない。例によって演奏された曲目を紹介すると…、
◆チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」より “情景”
◆アメリカの讃美歌/アメージング・グレイス
◆ビバルディ/ヴァイオリン協奏曲「四季」より “冬”
◆ブラームス/ピアノ三重奏曲第1番ロ短調Op.8
◆メンケン/ビューティ・アンド・ザ・ビースト(映画「美女と野獣」より)
◆山下達郎/クリスマス・イブ
( 休 憩 )
◆吉澤友美/クリスマス・キタラ・スペシャル ※吉澤友美は編曲
◆モンティ/チャールダーシュ
◆ブラームス/インテルメッツオOp.117から№1
◆ドボルザーク/母が教えてくれた歌
◆フランセ/イングリッシュホルン四重奏曲
◆ブラームス/ピアノ五重奏曲
(アンコール)◆アンダーソン/そりすべり
お気づきと思うが、2時間という時間の中でこれだけの曲を演奏するのだから一つ一つの曲は演奏の短いものが多かったが、彼らのような一流の演奏家にかかるとどの曲も素晴らしい音色で私の耳に届いた。その中でも私が特に気に入ったのは、最初のチャイコフスキーの「白鳥の湖」のオーボエソロパートの部分、そしてブラームスが晩年に作ったという「インテルメッツォ」のチェロの演奏が自らの人生をしっとりと振り返るようなしみじみした曲想が印象的だった。
※ 写真はパンレットをスキャンしました。ですので左の第一ヴァイオリンは女性ではなく松田拓之さんでした。(他の方は全て当日の方です)
一方でちょっとガッカリしたのが山下達郎の「クリスマス・イブ」である。サビの部分をヴィオラが担当したのだが、あのところは高音のオーボエあたりが担当するとどうだったのかな?と思えたのだが…。そんなことを素人が言うのも詮無いことではあるのだが、ちょっと言ってみたかった…。
いずれにしても、今回もまたN響メンバーの素晴らしい音を堪能することができ、心から満ち足りた夜になった…。