能舞台を楽しんだといっても “能” そのものを楽しんだのではない。能舞台で「日本舞踊」と「演劇」を楽しんだのだ。それでもそれぞれの道のプロたちは十分に私たちを楽しませてくれた。
このような機会でないと、私が道内唯一という小樽市の能楽堂を訪れる機会はなかったろう。新聞紙上に「小樽市能楽堂」招待公演プログラムという記事が掲載されたのを目にし、早速申し込んだところ幸いにも100名招待の中の一人に選ばれ、招待券が舞い込んだ。
その招待公演が昨夜(8月20日)、公演が行われたので観賞してきたというわけです。
※ 建物の入口は「能楽堂」の玄関というよりは、「公会堂」の玄関と称した方が正解かもしれません。
能楽堂は「小樽市公会堂」に付属する形で設けられていたが、その公会堂は小樽の中心に位置する「小樽公園」の一角にあった。
※ 開演前、まだ夜のとばりが降りる前の能舞台の様子です。
※ 私の席とは直角の位置から能舞台を観覧する席です。
公演は(株)KITARO Cells Powerという再生医療・細胞療法の開発・製造を手掛ける会社が主催するもので、プログラムは
◇第一部 日本舞踊 長唄「連獅子」
◇第二部 演劇「金太郎のヒカリ 未来のチカラ」~当世足柄山再生医療縁起~
の二部制で実施された。
夜のとばりが降り始めた午後6時、第一部日本舞踊から舞台は始まった。踊り手は親獅子が花柳克昴、子獅子が花柳昴美胡という国内的に見てもかなり高名な方の舞踊だった。獅子の話では我が子を谷底に突き落とし、這い上がってきた強い子だけを育てるという伝説があるが、舞踊にまったく造詣のない私にもその模様が演じられているらしいことが分かった。二人の舞踊からは確かな踊り手であることが私にも伝わってくるような踊りだった。
※ 夜のとばりが降り、ライトアップされた能舞台です。
休憩を挟んで第二部の演劇が始まった。私は能舞台での演劇ということで、セリフは昔言葉で話されるのだろうか?少し心配していたのだが、そうではなく現代言葉で話されたので内容が良く理解できた。ごく粗いあらすじを紹介すると、母の病をどうすることもできなかった金太郎が、時空を超えて現代によみがえり、再生医療の手法を獲得し、余命短い老人を助けようとする話だった。どうも演劇全体を通してみると、主催した(株)KITARO Cells Powerの事業のPR的な匂いを感じるところがあったが、無料招待の公演とあってそれは致し方のないことかもしれない。
※ 休憩時間に東京公演の様子が紹介されていました。左は主催者の社長、右が主演の金太郎ですが、小樽公演で金太郎は頭の被り物は付けていませんでした。
ただ、出演陣は劇団前進座、東京芸術座、民族劇団荒馬座、などといった演劇集団に属する俳優さんばかりで、その演技は確かなものだった。
昼間は暑いほどの気温だったが、夜間になるとやや肌寒いくらいの気温となったが、私にとって異空間の中での日本舞踊と演劇を観賞するという貴重な体験ができたと思っている。
ただ一つ気になったのは、私の席からは能楽堂の傍を通る車のライトが垣間見られたこ
とである。そのライトが目に入るたびに鼻白む思いになったのは事実だった。できれば植樹などをして車から謝絶された空間で、能楽堂の舞台を楽しみたいと思ったのだが…。
※ なお、舞台の公演中の写真撮影はNGだった。よって、公演以外の様子の写真を掲載することにします。