まさにお腹の底にズシンと響いてくる重低音だった。コントラバスがメインとなるコンサートは初めての体験だったが、コントラバスの魅力を堪能できた素晴らしい一夜だった。
2月17日(月)夜、メディカルシステムネットワーク提供の「ふれあいコンサート」がウィステリアホールで開催され、参加する機会を得た。
この日のコンサートは、コントラバスの吉田聖也、ピアノの新堀聡子のデュオのコンサートだったが、メインはあくまでコントラバスの吉田聖也であった。
コンサートはいきなりピアソラのタンゴの曲「キーチョ」で始まった。この曲がコントラバスでも最低音に近い音階から入ったのだが、その一音一音がまさに私のお腹にズシンと響いてくるような音だった。この曲を聴いただけで私はコントラバスの魅力にはまってしまった。
吉田氏もお話されていたが、コントラバスはオーケストラや、アンサンブルなどでは楽曲全体を下支えする存在で、他のコンサートでは低音過ぎてほとんど私の耳に届いていない場合が多い。それがこの日のコンサートでは主役をはってその存在を十二分に主張したのだ。「キーチョ」の後には次のような曲が演奏された。
◇ラフマニノフ/ヴォカリーズ
◇ギュットラー/グリーンスリーブスの主題による変奏曲
◇デザンクロ/アリアとロンド
◇いずみたく/見上げてごらん夜の星を
◇モンティ/チャルダッシュ
〔アンコール〕サン・サーンス/「動物の謝肉祭」より象
わずか1時間のコンサートの中にクラシックはもちろんのこと、最初の曲タンゴや、民謡(イングランド)、ジャズ、歌謡曲etc.と選曲も多彩で、コントラバスの魅力を十分に味わわせてくれる内容だった。
特にチャルダッシュは超絶技巧を要する曲で、ヴァイオリンの奏者が弾く曲として有名であるが、吉田氏はあの大きなコントラバスで見事に演奏しきった。それもそのはず、吉田氏は札幌交響楽団の一員であるということだから、腕前も超一流の奏者だったのである。
ウィステリアホールは新しくできたホールだが、キャパ180名の小さなホールであるが、満員の聴衆が私同様に感動したらしく大きな拍手に包まれたコンサートだった。
吉田氏はまだまだ若く(30代前半?)いろいろと新しい試みをされているようである。例えばコントラバス奏者4人のアンサンブルや、コントラバスとヴァイオリンのデュオなどのユニットを組んでの活動もされているようだ。
4月に札幌交響楽団のコンサートに行く予定であるが、吉田氏を知ったことで楽しみが一つ増えた思いである。
お腹に響く重低音の魅力、これからも追求してみてください。
オーケストラやバンド演奏をお聴きになるときも、コントラバス(ベース)に注目というか注意してみると面白いですよ。
ぼくはブラスバンド部で(一年だけですが)チューバを吹いていたこともあり、低音パートには惹かれます。
ロックでもジャズでも、演奏のテンポを始めとしたコントロールはベースだともいいますので、機会があれば是非!
ちなみに、奏者の吉田聖也さんはけっこう大柄なのかしら?コントラバスが小さく見えるような……。
そうですね。手始めにトリオ、クァルテットなどを聴くときに耳をそばだててみようと思います。
人とコントラバスとの比較、指摘されて再度見てみると、そのように見えますね。大柄だったようには思いますが、特別大きな人でもなかったように記憶していますが…。