その巣には何羽かのツバメの雛が孵って、ツバメの両親は忙しげにエサを運んでいた。
車庫の入り口に居るヒメに吠えられようとツバメ返しの如く
素早く巣までたどり着き、顔中口にした雛の口へエサを詰め込むと
また別のエサを探しに飛び立っていた。
昨日の事時は夕方、仕事から帰った夫が何やら騒いでいる。
まぁ~~たく! 忙しいのに何事か…と思えば
ツバメが車にぶつかったのか死んでいると…我が家のツバメか?
そういえば、先ほどから親ツバメの姿が見えない。
巣の中にいる雛が、お腹が空いたと鳴き声をあげていた。
どうしたものかと…。
しばらく様子をみていたが、相変わらず親ツバメが来る様子もない。
やっぱり我が家のツバメだったか!
我が家のツバメの巣の下には、肥料の袋が積まれていて
その上にあがれば、簡単に巣の中は覗けるので
このままでは雛は全滅…そう思って夫が覗いてみると
何だか一羽だけ、妙に元気がないのが居たそうだ。
そのうち夫が、精米した小糠に虫がいたから
その虫でもくれてみるかと言ったが、ツバメには片割れがいるから
もう少し待ってみてはどうかと、私の提案。
だが、頭の中では生きエサをどうしようか?
最悪、手助けせねばなるまいと…釣り道具屋さんへ行けば、何か虫が買えるか?
夕ご飯の仕度はあるが、夫に買いに行ってもらうか?
一瞬のうちに頭で計算する。
ところがしばらくすると一羽のツバメ
何処からともなく飛んできて、エサを与え始めた。
やっぱり片割れが居たんだ…ホッと胸を撫で下ろした。
片割れは居なくなった相方の分まで忙しそうにエサを運んでいる。
二羽でさえ忙しい、5~6羽の雛のエサ。
片親になってしまったが休む事無く
繰り返し繰り返し、何処からか虫を見つけては運んでくる。
昨今幼児虐待の親が多い中、放置も虐待に入ると言う。
そんな人間がいる中で、相方を亡くし悲しみに浸る間もなく
雛の為に死に物狂いでエサを運ぶツバメに熱いものを感じた日だった…。
という事で、今日の磐梯山は一層清々しく見えた。