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『天皇は宗教とどう向き合ってきたか(潮新書)(電子版)』

 本書は、少なくとも江戸期までは、天皇家の宗教は神道でなかったところから記す。天皇家の私的祭祀はあれ、亡くなれば火葬され、仏教寺院に葬られていたのである。そうした状況から大きく変化したのは明治以降であり、明治政府の国家観がかかわっていたわけである。

昭和天皇の宗教観について、摂政時代からの訪欧時のカトリックとの出会いや神功皇后と自己を重ね合わせる母・貞明皇后との葛藤、宮中祭祀への態度、太平洋戦争末期の宇佐八幡や伊勢神宮への祭文に見られる宗教観、敗戦後の明仁皇太子の教育問題についてバイニング夫人を家庭教師とすることなどにみられる、宗教観の揺らぎについて述べられる。また、上皇となった明仁の天皇時代の皇后をともなう行幸啓についての「仁」をほどこすかのような儒教的意識につても指摘する。最後に、新天皇即位後の新しい皇室のあり方をめぐっての「三重権力構造」の可能性や外国人の増加による天皇観の日本人とのずれ、新天皇と新皇后の宮中祭祀への関与についての変化の可能性などが指摘され、いずれも興味深く読むことができた。

2019-06-30 10:32:24 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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