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語り合いへの成長ということ

2008年08月29日 | 読書
 『子どもが語り合い、聴き合う国語の授業』(佐藤康子・大内善一著 明治図書)
 夏休み中に聴いた講話を思い出しながら読み終えた。
 聞き耳メモという形で三点にしぼった感想を記したが、それ以外にも大いに頷けることがたくさんある。その中でも以前国語教育誌に紹介された点が特に共感できる。以前も書いたことがあった
 著書の中で、「語り合い」を目指すステップの重要なポイントとされている箇所である。

 前置きの言葉を使って話す

 「比べて」「でもね」「例えばね」「似ていて」「付け足して」などの言葉を、言って挙手させるという約束をしているという。この前置きは思考のためのスキルであり、「考える武器」である。
 他人の話を聴くためのポイントになっていて、そうした場を繰り返し経験することで鍛えられるものは多い。しかも国語に限らず全教科・領域に場が設定される。それをどの程度徹底できるかが、力量といえる。
 そして、それはこんなふうに進んでいくという。

 前置きの言葉を使った「話し合い」は、次第に影を潜めていきます。「語り合い」に成長していくのです。

 考える武器が内面化していく姿とも言えるだろう。きっと教えられたパターンはもっと多面的になり、幅を持って他者の語りに自然に反応していける子どもが出てくる。
 もちろん個人差はあるのだろうが、自然に周囲の子どもたちが言葉を補ってあげたりする様子に、学級全体の成長が見てとれる。素晴らしい。

 今は大人になった当時の子どもたちの感想が、終章にほん一言二言書かれてある。そこにある「結束力」「励まし合えた」という言葉は、重みを持ってこの著書を締めている。