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桜と絵本と豆乳と

夏の聞き耳メモ…4

2008年08月09日 | 雑記帳
 佐藤康子先生(青森明の星短期大学教授)のお話を聴いた。
 以前、茨城大の大内善一先生より「機会があったらぜひ聴いてみて」と勧められたこともあるので、非常に楽しみに出かけた。

 行政職の経験もおありのようだったが、まさに小学校現場の叩き上げの印象がする実にエネルギッシュな方であった。

 「私はこうして子どもを鍛えた」というテーマのもとに、子どもに力をつけていくための様々な具体的な方法を数多く示された内容だった。
 私なりに受け止めた佐藤実践のキーワードを、次の三点に集約したい。
 
 即時性 

 何回かおっしゃった言葉「すかさずほめる」。
 子どもの発言を「教材」としてその場で繰り返す。または時をおかずに学習のてびきという形で提示し指導していく。こうした手法が徹底されている。

 活用性 

 小学校の教室によく見られる前面掲示(話し方の例など)の否定が、一つの例である。
 「使わないものはいらない」と佐藤先生は言い切った。それはつまり、指導したこと、学んだことを絶えず子どもが使うように仕向けている、という自信である。学年の初めに学習過程や話し合いの仕方を学ばせるという全体計画の仕組みも、学んだことを使う、使うことで学びを深めるという考えが明確に出ている。

 複合性
 
 これは総合的と言い換えてもいいかもしれないが、学習指導の細かい点から学級経営上のことまで、広く意識されている。例えば、物語の読み取りにおける「重ねて考える手法」や「視写と音読を合わせ、暗写とする方法」などがある。また、学習のてびきを家庭との連携として意識していることなどもそうだと言える。
 自分のすることを多面的に見つめて、その効果について考えている、つなげようとする意識が強いと言えるだろう。

 自宅でちゃわんを洗いながら、道を歩きながら、ふと授業のアイデアが浮かんだときの嬉しさを語られた。また忘れないように絶えずメモを準備しておくともおっしゃった。
 それは授業という仕事、教育という仕事に一途に打ち込んできた、まさに「教師」としての真正な姿を見る思いがした。
 さらりと言い切ったこんな言葉がある。

 授業の中で子どもの顔が変わったときほどうれしいことはない