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夏の聞き耳メモ…3

2008年08月08日 | 雑記帳
 所属している研究会の夏恒例の講座で、阿部昇先生をお招きした。
 今回は「活用型学力」をテーマにした内容である。講座およびそれ以外の時間でのお話(時間にすればかなり多い)を含めて、自分自身の学びをメモしておきたい。

1 「活用型学力」のとらえ方
 阿部先生の示した「活用型学力」は非常に広範囲のもの、「学力」そのものと置き換えてもいいほどに大きい。例えば次のような言葉がそれを示している。

 活用を含まない学力は、学力ではない

 具体的には文学作品を読み取る用語やものさしなども含まれている。
 確かに学力が「基礎」と「活用」にはっきり区分できるわけではないし、そう名づけて具体的な指導を進めていくことがねらいならば、「使える力」はみんな活用型学力と言える。そしてそんな力を養いたい、養うべきであると私もまた強く思う。名づけることで範囲を狭め、全体像をつかみ損なうことがないようにしたい。

2 「取捨選択」していくための課題
 本研究会会員による模擬授業も、阿部先生が講座の材料として扱った内容の、新聞記事の比べ読みという形となった。
 ご自身の著書に書かれてあるような「吟味」を実に具体的な方法で、聴衆に示したと言っていいだろう。
 同じ出来事を扱った「語彙・表現」と「『事実』の取捨選択」によって、これほど読者が抱く思い、考えには違いがでることを目の当たりにしたのではないか。
 懇談しているなかで作文の話題がでてきて、以前から考えていた用語の不備、不徹底などを尋ねてみた。賛同をいただき、「集材」「選材」といった言葉の扱いがもっとポピュラーになることを推進していきたい思いがさらに強くなった。

 国語教育界の現状についても興味深いお話を伺った。指導要領改訂に伴って言語技術教育の面では明らかに改善されてきているが、推進していく側の熱はどうだろうか。活発な議論がかわされるために求心力のあるリーダーや人材の出現が今待望されている。