すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

battleにおける責任と権限

2008年08月24日 | 読書
 堀裕嗣先生からメールで薦められた『内側から見た自衛隊』(松島悠佐著 幻冬舎文庫)を読んだ。

 自衛隊の内部のことは、作家浅田次郎のエッセイなどで少し読んだことがあるが、この本は元総監によるものだ。私たちがふだん知りえないこと(明らかにされていないことと言ったほうがいいか)がたくさんあり、実に興味深かった。愚痴っぽい論調になっているところもあるが、冷静に考えて頷ける箇所も多かった。

 飛ばない弾丸

 文中にある言葉で、自衛隊の現状を比喩的に表わせば、上の表現がぴったりだ。
演習場の狭さ、周辺への被害防止のため、開発されたこの「飛ばない弾丸」に、日本の技術力の高さを見るし、同時に悲哀も感じる。
 私にはそれが自衛隊そのものを象徴しているような気がしてならない。

 さて、第一章の第一項には次の表題がある。

 大きすぎる責任と不十分な権限

 これは、そのまま学校現場にもあてはまりそうな言葉である。
 ただ、どの程度具体的に「責任」と「権限」について語れるだろうかと自問したとき、安易に話を進めてはいけない。

 品川区教育長の若月秀夫氏はかつて「私たちはwar、彼ら(教員)はbattleをしている」と表現したことがあった。
 そのどちらにも確かに向かう相手はいるのだが、battle組は自らの権限が制約を受ける中で、責任もまた萎ませているような現状がないか。相手に対する「武器使用制限」「手続きだらけの規定」が多く、緩んだ戦いに疲れきっているのではないか。そんな不安もよぎる。

 火曜日から二学期。
 battleがまた始まるが、自分に何が可能か改めて考えてみたいと思った。