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中庸の否定の否定

2008年08月25日 | 読書
 『人間集団における人望の研究』(山本七平 祥伝社黄金文庫)
 この文庫本に懐かしい名称が載っている。

 革自連

 単行本の発刊が昭和58年であるから、なるほどである。
 もちろんその団体に入っていたわけではないが、支持?はしていた。
 学生だった頃から雑誌「話の特集」を愛読していた自分にとっては、その時期の一つの指針のようにも思えたからである。

 この本では革自連のゴタゴタを巡る批判が具体例として出され、「徳」「人望」ということが語られる。そのいちいちを理解できたわけではないが、ふりかえると結局自分に足りなかったのは何だったか、などということまで思いが及んだ。

 この本のキーワードの一つとも言えるだろう。

 中庸

 若い頃、「革自連」に心がときめいていた頃、そしてそれから結構しばらくの間…この言葉は受け入れがたかった。それは妥協の産物であり、事なかれ主義であり、と心の中で声を荒げていたと思う。
 しかし当時の自分は、今二つの面で真っ向から否定される。

 一つは中庸という言葉そのものの意味の捉えを誤っていること。
 もう一つは、中庸の持つ強さに気づいていないこと。

 いくらか見えてきたとはいえ、この本に書かれている人望のための不可欠の条件「九徳」には程遠い道を歩んでいる。
 たまにはその徳のあり方に思いを寄せて、一時でも中庸の道を歩いてみたいものだ。とりあえずは、その(七)を目指して。

 簡にして廉