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何かを生み出す人へ

2017年08月16日 | 雑記帳
 最近若い人の発言に触れ、心揺さぶられることが多い。先日傍聴したフォーラムでも、隣市醸造元の後継者と本町地域おこし協力隊の方の意見や提案には聴き入ってしまった。現役当時より入り込んでくるのは、自分の心の自由度が拡がっていることを意味しているかもしれない。凝り固まった部分がほぐれるようだ。




 昨日は町の成人式が行われ参列した。昨年同様に記念講演を拝聴し、ここでも刺激を受けた。講師は両親が羽後町出身という矢野智美氏(株式会社秋田ことづくり社長)。東京出身で野村総研という華やかなキャリアを捨てて、縁のある秋田で起業した。30代の若き女性が新成人に対して「伝えたい5つのこと」を語った。


 提案された「①自分の頭で考える ②捨てる ③行動する ④人のために頑張ってみる ⑤今を全力で生きる」は、言葉としては平凡で目新しく感じられないが、実は「VUCA(ブーカ)」の時代と称される現在に必要な点を網羅している。この時代の動きを実際の場でとらえている者ならば、大いに触発されただろう。


 不透明感、閉塞感に覆われた社会というのが、我々中高年の常套句になっているが、矢野氏は「やりやすい時代」と言い切った。昔と比べて様々な規制が緩和されていることを把握し、自分の強み、資源を生かして一歩踏み出すことを強調する。聞きながら先日あるインタビューで糸井重里が語ったこととリンクする。

 ~モノやお金の価値が相対的に下がっているのとは逆に、人の価値はどんどん上がっています。モノを作るための労働力としてよりも、イノベーションを生み出すような人材だとか、(略)具体的に何かを生み出す人の価値はどんどん上がっています「週刊エコノミスト」インタビューより


 思いを口にする大切さを語り、周囲とのトークを入れ聴衆の声を求めるスタイルが取られた。終末に発言した二人の内容が対照的だったことが印象深い。「技能を高めて、稼ぎたい」「自分の思いをしっかり伝えたい」…誰しも抱えるこの二つの方向性が偏ったり萎んだりしないことを願う。その糧は講演に詰まっていた。