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気球とマスクと

2023年02月15日 | 雑記帳
 ♪ 時にはなぜか 大空に旅してみたく なるものさ 気球に乗って どこまでいこう♪教員になった1970年代後半から90年代頃までずいぶんとこの歌は歌われた。教科書にもあったし、明るい曲調とハミングは当時の小学生にはぴったりだったと思う。何より「気球」の持つイメージが希望とつながっていた。


 空を飛ぶ乗り物といっても飛行機やロケット、まして軍用機とは大きく異なるし、どちらかと言えば平和な世界の象徴のように感じる部分もあったのではないか。それが今はどうだ。「気球」といったときに何を思い浮かべるのか。数多くのニュースが報じる、情報収集のため?の飛行体か、安全を妨げる危険な飛来物か。




 もちろん、宇宙への夢を乗せた人工衛星であっても大型ミサイルとの区別がないこの世界情勢であれば、そうした従来からあった感覚は塗り変えられている。話は一気に縮小するが、現在議論?されている「マスク」の是非もそうだ。そんな遠くない昔、卒業式にあえてマスクをしてくる中学生たちの姿を見た事がある。


 あれは何か理由つけをしながらも一種の「反抗」の姿勢だった。個別的な出来事ではないと思う。マスクをつけること自体が重要な会合等において失礼にあたる雰囲気は確かにあった。コロナ禍前に新型インフルエンザ流行で、その感覚は緩くなったが、3年前からは明らかに逆転現象とも言える状況になっている。


 「マスクを外しますか」と訊かれた女子学生の「恥かしい」という声の多さに「顔は恥部になってしまったか」という気すらする。自分を晒すことの萎縮の進行が止まらない。一方で、空や海は伸びやかで広がりを持つ世界であったはずが、地上同様に支配をせめぎ合う場となっている。人間の夢はどこまで汚れるか。