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桜と絵本と豆乳と

そのハコもそのマメも

2023年02月06日 | 雑記帳
 いくつになっても知らないことは多い。一応、言語に携わる仕事をしていても、首を傾げることが少なくない。先日もある漢字がよめず…。一月で終了した図書御籤を最後に引いてみたら、下欄に書かれているお薦めブックの書名にある「」という文字。館員に訊いたら、あっさりと答えたので益々えっと思った。



 今年も届けていただいて無事に味わえる幸せを嚙みしめる。立春大吉


 「はこ」だそうである。言われれば部首は「はこがまえ」。その書名は「魔眼の匣の殺人」であった。普通は「箱」だし「函」は知っている。匣には何か特別な意味があるのかと調べたら、「ふたがついてぴったりかぶさるはこ」とあった。なるほどイメージがわく。「甲」は「よろい」だし、硬質な姿が見えてくる。


 定番ながら節分には「豆」の話題を…と思い、豆という字と「まめ」(健康)という意味をかけるつもりでちょっと調べたら…。「まめ」には「忠実」という漢字が当てられることを初めて知った。「真面目、几帳面」という意味に対して、その字を当てるのか。これはやはり封建時代の名残なのか、と少し考え込んだ。


 「あの者はマメじゃのう」と上位者が語る時、それは言われた通りに様々な仕事をこなす、努力を惜しまず尽くす、(そのためには健康であるのが一番の条件!!)といった思考から生まれた語ではないのか。派生した「まめまめしい」という語も決して悪い意味では語られはしないが、字を知るとどこか卑屈に響く。


 「匣」にしても「まめ」にしても、把握も使用も多様で何一つ共感を呼ばないだろう。こんな些事に関心をもって?グタグタ書いたことをネット空間にある小さな匣に入れているオマエはまめだなあと揶揄されるかもしれない。しかしその場合の忠実は自分のための忠実であれば、よいではないか。と、かように思う。