百醜千拙草

何とかやっています

スタグフレーション?政府の役割

2008-07-11 | Weblog
5月を一時的なピークとして景気は後退し株価は転落の一途ですが、一方で石油、食料品を始めとした物価は上昇しています。景気後退時におこるインフレはスタグフレーションと呼ばれ、一般国民にとっては、泣き面に蜂です。今回も石油価格の高沸が、前回のオイルショック同様に引き金をひいたようです。石油とか食料原料とか、無しで済ますことのできない物の供給量の不足から、値上がりをおこし、更にそれで儲けようとする投機家がcommodity marketの値をつり上げているということなのでしょう。こういう生活必需品や不動産に関しては、私は各国政府は市場での取引に値段的な制限を加えるべきであろうと思います。今回、前回のオイルショックに比べて悪いのは、発展途上国での需要の増大なのにより石油の供給が需要に追いつかない可能性があるといわれていることでしょうか。石油の値段が下がれば、いずれ物価の上昇は止まり、消費拡大へと転換し、景気の好転を生むか、少なくとも一時的にはインフレは解消すると考えられるのですが、石油の供給量の絶対的不足はどうも当面、解消しそうにありません。石油の値段が十分に上昇し、人々の消費が減少に傾いて、投機的なうまみが無くなれば、石油価格は高めに安定するであろうとは考えられますが、状況が以前のように良くなることはなさそうに思えます。近代世界の経済を牽引してきたものは、工業、科学技術であったわけで、そうしたテクノロジー系はむしろ競争過多で利益は減少傾向にある一方、commodityの供給不足による値段の上昇しているという状況のようで、これまでのように経済活動の拡大によるインフレではなく、むしろ経済縮小時に生活必需品のコストの増大が生んだ物価の上昇なわけで、消費に引っ張られて物の値段が上がっているのではないのですから、インフレという言葉は不適切かもしれません。人々は、「市場は崩れてもいずれは復活する、長期的には経済は拡大し、株価は上がる」という歴史的事実を根拠にいずれ良くなると考えていると思いますが、ちょっと気がめいるのはそれがいつのことになるのか、見えてこないという点でしょうか。前回2000年をピークに2003年ごろ底値を打った景気は2000年レベルに回復するのに2年半かかっています。しかし、ずっと昔を振り返れば、1930年代のアメリカの恐慌では株価の回復に20年ほどかかっているようです。急激な株価の低下は比較的急激な回復を伴うようですが、ちょっと今回ここ一ヶ月ほどの急激な株価の持続的低下は2003年を思い出させるような不吉な感じがあります。経済はカオスシステムですから、長期予測ができない典型的な例なので、あるいは、明日にでも突然景気が回復に向かうかもしれませんが。
 しかしそれにしても、政府や国というものは、税金を通じて富を再配分し、弱者を助け、社会的安定を図るによって、国全体としての繁栄を実現していくためにあるのだと私は考えていましたが、ここ十年、アメリカや日本の政府がやってきたことは全く逆のことばかりです。これでスタグフレーションが進行すれば、弱者の生活はますます圧迫され、日本はますます住みにくい国になってしまうことでしょう。ここずっと増加傾向にある日本の自殺者数も更に上昇するかもしれません。ところで、今回のG8に集った国の多数の首脳の支持率は極めて低かったようで、とりわけ、米、英、日の各首相、大統領の支持率は2割台、中でも日本の首相は最低の支持率だったそうです。このまま景気後退と物価高が進行して国民が苦しい思いをしても、現首相がどんなトボケた反応を示すのか、国民は十分予想がついてしまうということがますます気を滅入らせます。一般国民の幸福を第一に考えない行き当たりばったりのろくでもない政策しか出せない官僚利己主義の政府はさっさと崩壊してもらいたいとさえ思います。
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