ソルジェニーツィンの故郷、コーカサス地方で、ロシアとグルジアとが戦闘状態となって数日、一旦、停戦となりましたが、ロシアはグルジア大統領の罷免を要求しているという話を聞きました。グルジアはスターリンの生誕地、同じコーカサス地方出身の民族主義者ソルジェニーツィンはスターリン批判のためにシベリア送りとなりました。本来、ノンポリの私に国際情勢を語る資格はないのですが、アメリカおよび日本のメディアが、ほぼ一方的にロシアが悪いというような書き方をしているので、そういうものではないだろうと思ったので、一言。
表面上の成り行きを追っていけば、あの評判の悪いグルジアの大統領が領土上はグルジアの一部とはいえ、自治区であった南オセチアに軍事侵攻し、2000人の一般市民を殺害し、南オセチアに平和維持の名目で駐留中のロシア軍に攻撃をしかけたことが発端ということだと思います。先に攻撃をしかけ、一般市民を多数殺害したグルジアの行為は、人道的立場から、まず責められるべきだというのが筋だと思います。南オセチアはグルジアの領土内とはいえ、自治区であり、そこに軍事侵攻し市民を殺害するという、人権を無視した野蛮な行為そのものに対する批判が殆ど聞こえてきません。
確かに政治的には、他国に駐屯するロシア軍がその国を攻撃したわけですから、ロシアに非があると非難するのは易しいです。しかし、実際にはなかった大量殺人兵器があると言いがかりをつけて、イラクに攻め入ったようなアメリカが(というかブッシュが)ロシアをその点において非難する資格があるのでしょうか。政治的な建前ばかりを重視して、もっと大切な人権の立場からの報道がメディアから聞こえてこないのは、まずいことだと思います。もちろん、欧米諸国は、ロシアが地理的な利益を求め、グルジアを支配権に置きたいという気持ちを持っていて、今回はこの地域の支配力を強める絶好の機会とばかりにグルジアへ侵攻したことに危機感を持ち、人道的問題をとりあえず棚上げし、まずロシアを止めねばならぬと思ったであろうと思います。また、グルジアが欧米寄りで、NATO加盟が近いということで、アメリカやヨーローッパ諸国は自然とグルジア側に立つこととなり、グルジア寄りの報道になっているのでしょう。
しかし、グルジアの一部となってはいるが自治区である南オセチアは民族的には、グルジアとは違うし、ロシアの一部である北オセチアと同民族です。同じ民族がロシアとグルジアに別れ離れになっていることがそもそもまずいことです。その南オセチア自治区を完全にグルジアのものにすべく民族殲滅を狙うグルジアの進攻を牽制するために、少なくとも建前上は、南オセチアにロシア軍は駐屯していたわけで(実際、今回、2000人の住人を殺したということは、グルジアはオセチア人を追い出そうとの意図があった証拠でしょう)、今回のグルジアの進攻に対してロシア軍が反撃するのは、正当なことと思われます。
しかし、ロシア軍とグルジア軍の規模を比べれば、戦闘が長期化すれば、グルジア軍に勝ち目がないのははっきりしています。それをおしてわざわざ、南オセチアに進攻したグルジアの意図は何なのでしょうか。グルジア大統領は、単純にオリンピックで注意が東に向いている間にゲリラ的短期決戦で、南オセチアを征服できると思ったのでしょうか。欧米をバックにつけているので、いったん南オセチアを力づくで取れば、少なくとも領土的にはグルジアの一部なのだから、ロシアは文句を言うまいと踏んだのでしょうか。そうなら結局、ロシアを甘く見過ぎました。これによってロシアは正式にグルジアを攻撃する口実を与えられ、実際グルジア内の軍事施設を中心に攻撃を進め、大きなダメージを与えました。結果はロシアの一人勝ちでした。穿った見方をすると、軍事的に戦争となった場合にグルジアがロシアに勝つ見込みはないのだから、この戦争はむしろロシアにとって、南オセチアを民族主義を建前に北オセチアと合併し、ともにロシア領内に取り込むための格好の機会であったと考えられます。とすると、実は、ロシア側が、グルジアが南オセチアに軍事侵攻をしかけるようにうまく操作したのかも知れません。確かにグルジアを欧米から引き離し、再びロシア圏に取り込むことは、ロシアにとって大きなメリットがあります。今回の戦争を人道的立場から見ると、まずグルジアが非難されるべきで、ロシア軍はオセチア人を守るために戦った正義の見方であったという解釈もできます。一方、政治的には、理由はどうあれ他国へ駐屯、侵攻したロシア軍が悪いのだと見れます。アメリカや日本での比較的一方的なロシア非難というのは、実際にロシアのその政治的意図を抑えるための欧米の利己主義に基づく世論操作なのかも知れません。結局、戦争は勝てば官軍ですから、勝った方に義があることになります。現在のように世界の国々のお互いの利益が複雑に絡みあっている状態では、今日、グルジアに勝っても、明日には欧米に負けるかも知れませんから、「正義」はオセロゲームのようにあっちを向いたりこっちを向いたりするいい加減なものです。しかし、われわれ一般人は人類が仲良く幸福に暮らしていく権利を阻むものは絶対的に「悪」であるという立場をもって、この両国の行為を考えるべきではないでしょうか。その点から言えば、グルジアもロシアも悪です。南オセチア人、巻き添えになったグルジア人が被害者で、今回の戦争では、誰も幸福になりませんでした。
日本の首相は、例によって、人ごとのように「憂慮している」と言っただけです。政治的な発言がないのはやむを得ないとしても、南オセチア人の人権や民族が蹂躙されているという事実に対し、唯一の被爆国の代表として人権と民族擁護に関してのコメントぐらいはあってもよいのではないかと思うのは私だけでしょうか。
表面上の成り行きを追っていけば、あの評判の悪いグルジアの大統領が領土上はグルジアの一部とはいえ、自治区であった南オセチアに軍事侵攻し、2000人の一般市民を殺害し、南オセチアに平和維持の名目で駐留中のロシア軍に攻撃をしかけたことが発端ということだと思います。先に攻撃をしかけ、一般市民を多数殺害したグルジアの行為は、人道的立場から、まず責められるべきだというのが筋だと思います。南オセチアはグルジアの領土内とはいえ、自治区であり、そこに軍事侵攻し市民を殺害するという、人権を無視した野蛮な行為そのものに対する批判が殆ど聞こえてきません。
確かに政治的には、他国に駐屯するロシア軍がその国を攻撃したわけですから、ロシアに非があると非難するのは易しいです。しかし、実際にはなかった大量殺人兵器があると言いがかりをつけて、イラクに攻め入ったようなアメリカが(というかブッシュが)ロシアをその点において非難する資格があるのでしょうか。政治的な建前ばかりを重視して、もっと大切な人権の立場からの報道がメディアから聞こえてこないのは、まずいことだと思います。もちろん、欧米諸国は、ロシアが地理的な利益を求め、グルジアを支配権に置きたいという気持ちを持っていて、今回はこの地域の支配力を強める絶好の機会とばかりにグルジアへ侵攻したことに危機感を持ち、人道的問題をとりあえず棚上げし、まずロシアを止めねばならぬと思ったであろうと思います。また、グルジアが欧米寄りで、NATO加盟が近いということで、アメリカやヨーローッパ諸国は自然とグルジア側に立つこととなり、グルジア寄りの報道になっているのでしょう。
しかし、グルジアの一部となってはいるが自治区である南オセチアは民族的には、グルジアとは違うし、ロシアの一部である北オセチアと同民族です。同じ民族がロシアとグルジアに別れ離れになっていることがそもそもまずいことです。その南オセチア自治区を完全にグルジアのものにすべく民族殲滅を狙うグルジアの進攻を牽制するために、少なくとも建前上は、南オセチアにロシア軍は駐屯していたわけで(実際、今回、2000人の住人を殺したということは、グルジアはオセチア人を追い出そうとの意図があった証拠でしょう)、今回のグルジアの進攻に対してロシア軍が反撃するのは、正当なことと思われます。
しかし、ロシア軍とグルジア軍の規模を比べれば、戦闘が長期化すれば、グルジア軍に勝ち目がないのははっきりしています。それをおしてわざわざ、南オセチアに進攻したグルジアの意図は何なのでしょうか。グルジア大統領は、単純にオリンピックで注意が東に向いている間にゲリラ的短期決戦で、南オセチアを征服できると思ったのでしょうか。欧米をバックにつけているので、いったん南オセチアを力づくで取れば、少なくとも領土的にはグルジアの一部なのだから、ロシアは文句を言うまいと踏んだのでしょうか。そうなら結局、ロシアを甘く見過ぎました。これによってロシアは正式にグルジアを攻撃する口実を与えられ、実際グルジア内の軍事施設を中心に攻撃を進め、大きなダメージを与えました。結果はロシアの一人勝ちでした。穿った見方をすると、軍事的に戦争となった場合にグルジアがロシアに勝つ見込みはないのだから、この戦争はむしろロシアにとって、南オセチアを民族主義を建前に北オセチアと合併し、ともにロシア領内に取り込むための格好の機会であったと考えられます。とすると、実は、ロシア側が、グルジアが南オセチアに軍事侵攻をしかけるようにうまく操作したのかも知れません。確かにグルジアを欧米から引き離し、再びロシア圏に取り込むことは、ロシアにとって大きなメリットがあります。今回の戦争を人道的立場から見ると、まずグルジアが非難されるべきで、ロシア軍はオセチア人を守るために戦った正義の見方であったという解釈もできます。一方、政治的には、理由はどうあれ他国へ駐屯、侵攻したロシア軍が悪いのだと見れます。アメリカや日本での比較的一方的なロシア非難というのは、実際にロシアのその政治的意図を抑えるための欧米の利己主義に基づく世論操作なのかも知れません。結局、戦争は勝てば官軍ですから、勝った方に義があることになります。現在のように世界の国々のお互いの利益が複雑に絡みあっている状態では、今日、グルジアに勝っても、明日には欧米に負けるかも知れませんから、「正義」はオセロゲームのようにあっちを向いたりこっちを向いたりするいい加減なものです。しかし、われわれ一般人は人類が仲良く幸福に暮らしていく権利を阻むものは絶対的に「悪」であるという立場をもって、この両国の行為を考えるべきではないでしょうか。その点から言えば、グルジアもロシアも悪です。南オセチア人、巻き添えになったグルジア人が被害者で、今回の戦争では、誰も幸福になりませんでした。
日本の首相は、例によって、人ごとのように「憂慮している」と言っただけです。政治的な発言がないのはやむを得ないとしても、南オセチア人の人権や民族が蹂躙されているという事実に対し、唯一の被爆国の代表として人権と民族擁護に関してのコメントぐらいはあってもよいのではないかと思うのは私だけでしょうか。