百醜千拙草

何とかやっています

雪の日、見守り見送る

2009-01-08 | Weblog
Wakeというのは、日本の通夜に当たるのでしょうが、葬儀に先立って、夕方ぐらいから親族、知人が集まって、故人についての思い出話をしたりします。英語のwakeとwatchはどうも語源を同じくするらしく、通夜をwakeというのは、葬儀の前に死者を見守る(watch)という所からきているらしいです。また俗説では、通夜は死者が万が一生き返って目をさました場合に備えて行うからだという説があるようです。中国や日本でも死人に魔がさして動き出す「走屍」という現象が語り継がれています。(故杉浦日向子さんの漫画で知りました)走屍を起こした死人はそれを見た人と同じように動き、見た人を追いかけてくると言われています。ほうき草でつくったほうきで死人を打つと走屍は解けるそうです。(杉浦日向子さんの漫画で、主人公の葛飾北斎が、頼まれて死人の絵を描いている間に走屍にあう、という話は、どうも中国の古い言い伝えを題材にしているようです)走屍とは、もともと中国のゾンビのキョンシー(キョウシ)の走るものをいうのだそうです。死んだ後、故人の肉体に魔がささないように、そして無事あの世へ渡れるようにと「見守る」儀式がwake、通夜ということのようです。
 遺族にとっては、通夜を行うことで、弔問に訪れる人々への対応の忙しさにしばらく気を紛らわせることができます。そして最後にお別れに来てくれた人々の思いやりに触れる機会を得て、続いてやってくる深い喪失感を乗り越えていこうとするのだと思います。

先日、急逝した子の通夜は教会で行われることになりました。教会には長い列が出来て、その子を知る人が順番に、遺体を前に別れを告げ、遺族の人にお悔やみを述べました。教会には生前の写真やビデオなどが飾られていて、訪れた人は、それらを見てあらためて故人の思い出を噛みしめるのでした。
葬儀はその翌日、行われました。夜通し降って白く積もった雪の上に、雪は昼前からは雨となって夕方まで降り続けました。
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