百醜千拙草

何とかやっています

ScienceからRandom samples

2010-03-19 | Weblog
3/5号のScienceのRandom samplesの欄から。
 飛行機内のよくおいてある通信販売の雑誌を見ると、普段見慣れないような商品が載せてあって面白いのですけど、そういう商品が広く流通していないのにはそれなりの理由もあることが多いのだと思います。
 東京ののAkita Electronicsという会社が作っている蚊よけのための携帯電気機器(値段17ユーロ)について、その効果がないという理由で、通信販売雑誌から外すようにとオランダの研究者が運動しているそうです。
 蚊が病気を仲介するマラリアは熱帯地方では大きな問題で、この製品は熱帯地方への旅行者を目当てにしているようです。本当に効かないのであれば、効能を信じて買った旅行者の健康を危険にさらすことにも繋がりますから、私も製品は販売中止されるべきだと思います。この製品、MozStopは販売者によると、人間や動物には聞こえないようなオスの蚊の羽音と似た音を出して、血を吸うメスの蚊を遠ざけるのだそうです。オスの蚊はメスとは一回しか交尾をしないので、一回交尾をして、血を吸うようになったメスはオスを避けるようになるらしいです。ここまで聞くと、蚊の生態を賢く利用した機器と思うのですけど、この研究者によると、メスの蚊というのはそもそも聴覚が劣っているようで、羽音は聞こえないのだそうです。2009年の論文では聴覚刺激が蚊に何の効果もないことが示されているそうです。
月間1000個のMozStopを販売しているKLMはこの商品をカタログから外すことにしたとのこと。Akita Electronicsはノーコメント。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」夏の暑さや冬の寒さに文句を言って、勉強をさぼろうとした私に、ウチの親はよく言ったものでした。この言葉は武田信玄に迎えられて甲州塩山恵林寺に来た臨済宗の禅僧、 快川紹喜の辞世の句だそうで、織田信長に敵対した人をかばったために、焼けうちに合い、焼死を遂げた時の言葉だそうです。
 それで、モントリオール大学の研究者が熱した鉄のキューブを使って、禅僧と一般人で、熱さに対する感受性に差があるかどうかを調べたという論文がEmotionという雑誌にでたそうです。簡単には、禅僧の方が熱刺激によって痛みを感じる熱さが2度、一般人より高かったそうで、MRIでは脳で痛み刺激をプロセスするanterior cingulated cortex (ACC)という場所の厚みが増えていたそうです。(ほんまかいな?)
 火事場の馬鹿力(これはクンダリニー覚醒みたいなものでしょうか)とか人間には普段眠っているよくわからない力が備わっていますから、禅の修行などで、そうした力が使えるようになる可能性はもちろんあると思いますけど、この論文では、「2度の差」というあたりが、微妙ですね。本当のようなウソのような。その2度の差に本当に意味があるのか疑問視していまします。そもそも、対象の禅僧の数も少ないし、年齢的や性別にも差があるので、これは、たまたま5%の危険率にヒットした偶然なのかもしれませんし、温度の知覚がそう厳密に測定できるとも思えませんから、この知見が本当に生理的な意味があるのか疑問です。
 個人的には、熱湯の中に浸かったけど、真言を唱えてエイと印を結んだら火傷一つしなかった、とかいうような話を聞きたいと思います。

二年やっているあるプロジェクトが行き詰まって足踏みしていたら、いよいよ対抗グループからのスクープの危機となりました。これは、行き詰まりを口実にのんびりしていたことに対する神様からのおしかりだと思って、心を入れ替えてガンバリ直すことにしました。後一ヶ月で投稿できるレベルにならなければ、長期戦です。しかし、こういうときに焦りは禁物、焦ると判断を誤ります。そう思ってとりあえず、ブログのエントリーでもして気持ちの切り替えを図っておりますが、これからどうも忙しくなりそうな感じです。
コメント
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