柳田先生の数日前のブログでも指摘されていましたが、日本の政府やメディアの北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」に対するヒステリックな態度は異常です。まず第一に、日本のメディアは、北朝鮮の人工衛星打ち上げ用ロケットを「ミサイル」とほとんど断定的に呼んでいます。これは、捏造、偏向報道の典型例ではないでしょうか。アメリカのメディアでさえ、「ロケットであるが、この技術は軍事目的に応用可能である」というように報道しています。日本以外のメディアでは大抵、ロケットと呼んでいて、ミサイルと報道しているのは聞いたことがありません。事実、ロケットです。ただし、この技術はほとんど軍事目的に応用可能であるというだけのことです。しかし、だからといって、「ミサイル」と報道してよいものではありません。それは捏造です。「ロケットの技術はミサイルに転用可能なので、これはミサイルだと推認され、北朝鮮はテロ国家と推認されており、北朝鮮は軍事力強化を進めてきているので、これは諸外国に対する挑発だ、よって有罪」というわけです。下にリンクするデヴィ夫人のブログによると、このロケット打ち上げはずっと前から公に計画されてきたことであり、この打ち上げに際し、北朝鮮は日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も含めて諸外国の関係者を招待しています。それを、辞退したのはJAXAの方です。実際に見もせずに、人工衛星を勝手にミサイルと呼んで、非難するのはおかしいでしょう。
思うに、日本のメディアは、正確な報道よりも、プロパガンダ拡散、煽動を第一の目標とするから、このようなことになるのではないでしょうか。これは、研究で言えば、「結論は正しいと思われるから、都合のよいようにデータをいじっても良いだろう」という態度です。不正です。メディアが恣意的基準で事実を解釈し、客観的、中立的な立場に立ってものごとを見ない態度、すなわち、自分たちの解釈が正しく、それにあわない事実は曲げてしまえ、という幼稚な傲慢さが、日本の社会に及ぼしてきた害悪は測り知れません。研究不正が明らかになると、当事者は論文を撤回し、研究費を返還し、大抵、辞職ということになります。日本のマスコミはこれまで、これだけ不正を働き、事実を捏造し、意図的に個人を陥れ、読者に誤った情報を伝えてきたくせに、一切、その責任を取りません。悪質極まりないです。本当なら、読者に購読料を返し、会社は閉鎖し、責任者は詐欺罪で懲罰を受けるところでしょう。
ロケットの話に戻りますが、マスコミが言うように北朝鮮のロケットがミサイルなのなら、日本の原子力発電所はすぐ核兵器に使えるプルトニウム満載なのだから、核兵器製造工場であり、日本は核武装している、という理屈になるでしょう(この結論が間違いだとは言いませんが)。こういう報道を繰り返されると、北朝鮮がテロ国家で、世界を危険にさらそうとしているという概念を一般国民は容易に受け入れてしまいます。新聞報道や立花某のタワゴトを真に受けて、小沢氏は金権政治家で真っ黒だと信じ込んでいたインテリを私は多く見ました。まして、ふだんの生活に忙しくて、外国のニュースなどテレビと新聞で断片的にしか聞かない人々なら簡単に誘導に乗せられてしまうのではないかと思います。日本の政府やメディアのこの体質、つまり、「ストーリーに合えば、事実を曲げても構わない、拡大解釈してもよい」そう考える傲慢さは、民主主義にとって極めて危険です。日本が北朝鮮やイランの立場におかれたら、と考えてみれば自明でしょう。例えば、将来、アメリカが、日本の原発を核兵器製造工場だと断定して反日本キャンペーンを張ってきたらどうでしょうか。核兵器工場を大量に保有する危険な国だとして、イラクに侵攻したときのように、いくら日本が原発はただの発電所だと言っても、プルトニウムは核兵器だ、と言い張って、日本に侵攻してくるかも知れません。ブッシュがやったように、適当な言いがかりをつけて、メディアでプロパガンダ報道をやれば、事実などどのようにでも曲げられてしまうのです。
思うに、日本のメディアが北朝鮮が危険な国だというプロパガンダを広めるのは、多分、日米同盟でうまい汁を吸い続けたいアメリカとその日本の手先の工作ではないでしょうか。そもそも歴史を振り返れば、戦後の日本の憲法も政治機構もみんなアメリカが決めたものでした。日本の政府、マスコミに多数のCIA工作員(たとえば、岸信介とか読売の正力)がいたことはもはや常識ですし、現在もアメリカに日本の統治機構はコントロールされているのはそうでしょう(アメリカと一言でいっても複数の勢力があるわけですが)多分、鳩山氏のイラン訪問を叩きまくるマスコミも日米同盟利権の対米隷属派の指示を受けているのでしょう。日中国交正常化をアメリカの頭越しにやって、ロッキードを仕掛けられた角栄みたいなものです。かなりの量の石油をイランから輸入している日本にとって、イランは重要な国です。イランと日本の仲が悪くなって困るのは日本です。一方、イランと日本が仲良くなってもらって困るのは、イラン侵攻を企んでいるアメリカでしょう。鳩山氏、育ちの良さゆえの正直さが弱みである一方、行動パターンの読めない宇宙人的鷹揚さが武器でもあります。真っ正面から正直に正論で来られると腹に企みを持つ相手は対処に困ります。一方、その他の大多数の議員のように、権力欲や金銭欲がはっきりしている連中は、扱いやすいわけです。そういうものの乏しい人間は、敵もうまく扱うことができないので、徹底的に攻撃するしかないということです。結果的に鳩山氏の優柔不断は政権交代後マイナスに働いたことの方が多かったので、鳩山氏は意図的にサボタージュを働いているのではないかと考える人も多いようですが、私は、多分、この人はそのような込み入ったことをする人間ではないだろうと思います。育ちの良さゆえのナイーブさを利用され、チンピラの言いがかりに真面目に対応しようとして泥沼に陥った、そのように見えます。政治家をやるにはマトモ過ぎたということではないでしょうか。しかし、表で外交をやるのには、真っ正直な人間は適任だと思います。外国とは敵対するより、仲良くやる方が良いに決まっています。相手の腹を探るのは別の人間にやらせればよいのであって、表面で外交をする人間は、言質をとられない程度の知恵はいるかも知れませんが、ストレートで正直なのが一番です。
話を戻します。私も正確なところ、北朝鮮のスタンスをよく知りませんから、北朝鮮の「ロケット」打ち上げの真意はわかりません。ただ、わかることは、日本の政府とメディアが「北朝鮮は危険」プロパガンダを広めようと努力してきたこと、北朝鮮が適度に危険な国で得をするのは、アメリカ戦争勢力と日本のその手先だということです。将来、もし、アメリカが日米同盟から、カネを引き出すことができなくなり、中国やロシアの脅威がなくなれば、きっと北朝鮮はすぐ、一アジアのただの小国になってしまうだろうと私は思います。
北朝鮮と交流と続けているデヴィ夫人のブログの最近のエントリーを読みました。さすがに肌で彼の国を知っているだけに、正論だと思います。以下、一部転載。
むやみやたらと日本を脅かしているのは、 北朝鮮ではなくアメリカなのではないですか? そして 日本に武装を求め武器を売ろうとしているのではないのですか?アメリカは常に敵が必要なのです。 そうして栄えてきた国なのですから。アメリカは北朝鮮を生かさず殺さずという方針、ないしは、日本や韓国との暗黙の了解、ロケットで栄養補給食糧の援助をとめるというのは、人道に反しますし、 口実にしかすぎません。
日本は 東日本大震災があったこともあり、約 1,000兆円もの赤字を抱えています。 東北の復旧・復興もままならない現状なのに、 どうしてこんな大騒ぎをするのでしょうか。