百醜千拙草

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研究者の評価

2012-06-05 | Weblog

研究者、教官評価についてのブログを読んだので一言、感想。

スタンフォード大化学科のテニュアを与えるときの評価基準が興味深いです。下記の参考にあげましたが、すなわち、「学科の共通利益のために協力できること」、「よき教師であること」、「模範的な研究者であること」だそうです。さらに、「判断のポイントは、候補者が今後の研究を通じて、化学の発展に対して顕著な貢献をできそうかどうかというところに置かれます。一方、候補者の研究補助金獲得額、論文数、論文が載った雑誌のインパクトファクターなどは、考慮の対象としないそうです。

「研究補助金獲得額、論文数、論文が載った雑誌のインパクトファクターなどは、考慮の対象としない」とありますが、考慮の対象としない、ということは考慮する必要がない、という意味であって、重要ではないという意味ではないと思ったので、念のため。

普通、アメリカの大学でのテニュア応募はテニュアトラックに乗ってから5-6年後で、一回限りだと思います。そこに達するまえに3年目ぐらいに中間評価があると思います。大学によってシステムは違うとは思いますが、大体、そんな感じでしょう。スタンフォードは私立です。教員の給料や研究費の一部は大学が授業料や寄付などのカネから出ているでしょうが、授業料の収入は教員の数で割れば知れたもので、私立大では、教員は自らの給料の少なくとも一部と研究費の大部分を自分が取って来たグラントから出していると思います。とすると、テニュアトラックの最初の3年ほどは、教官はグラントを持っていないことが多いわけですから、大学側はやり繰りして貯めた限りあるカネを使って、教官をサポートし、教官が独り立ちして自分でカネを取って来れることを期待するワケです。3年目の中間評価は、その教官が無事、グラントが獲得できたか、あるいはグラントが獲得できそうなスゴい研究を展開しているか、つまりはカネになるかどうか、を判断する機会であると思います。その時点でグラントがとれていない、もしくはとれそうにない人は追い出されるわけです。とすると、テニュア応募の時点で、応募者は既に、カネを取ってくるという条件は曲がりなりにもクリアしていることになります。そのカネがとれるかどうかはある程度の質の論文が出ていないと難しいわけですから、論文出版もある程度のレベルはクリアしていることになります。だから、テニュア応募の時点では、研究費獲得額や論文数などは考慮の対象とする必要はないということではないでしょうか。つまり、研究費をとってこれない人、論文が出ていない人は、そもそも、テニュア応募資格を得るまでに、システムから追い出されてしまっているということす。テニュア審査は、その条件を満たした者の中から、今後もその条件を維持し、かつ長期的にその大学に在籍して大学にプラスの貢献をしてくれるかどうかという点を中心に、審査するということです。となれば、論文の数やインパクトファクターなどのレトロスペクティブな基準よりも、継続性、即ち、将来性のある分野で長くインパクトが期待できるような研究をしているかどうか、研究費は獲得額よりも、グラントの継続が見込める息の長い研究をしているかどうか、(つまり一回限りのグラントを複数とるよりは、1ー2本のグラントを5年ごとにリニューアルしていく方が望ましい)、そして、その人の人柄や他の研究者の分野との適合性はどうか、などを中心に評価するのは当然であろうと思います。大学でのテニュア審査は、例えてみれば、外国人移民の審査のようなものではないでしょうか。まずは自分自身で自分の面倒が見れること(グラントを取ってきて、論文を出版できること)は必要最低条件です。加えて、その移民が他の国民と面倒を起こさず仲良くやっていけること(人柄や協調性)、移民がその国の国益に貢献できること(大学や研究所の使命達成に向かって協力できること)などが審査の対象でしょう。移民(新規テニュア教官)を受け入れる側(大学)の立場になってみれば当然で、いくらスゴい論文を量産し沢山カネをもっていても、大学の使命達成や大学の共同体構成メンバーのプラスにならない人は要らないということです。一方、テニュアトラックを雇う場合も基準は同じだと思いますが、この場合はまず、カネをとってこれるという必要最低条件が満たせるかどうか、が最も重視されるのではないでしょうか。最初の数年はグラントを取るための研究に集中させないといけないので、大学側も教育とか大学のその他の仕事とかに貢献してもらうことは余り期待していないと思います。最初の3年でグラントを取ってきて生き残る能力があるかをテストし、それをクリアしたら次の数年で、その大学の住人として永住権を与えるににふさわしい人間かどうかを評価する、そういうシステムだと思います。

なので、研究者の評価法はコンテクストに応じて異なってしかるべきであると思います。テニュアトラックを雇用する場合の研究者の評価基準、テニュア応募の評価基準、ナショナルアカデミー会員の選考基準、それらは違っていて当然です。人が人を評価するのですから、ユニバーサルな研究者メトリックスなどあるわけがないし、そんなものはない方が私は健全だと思います。仮にそういうユニバーサルな客観的評価法というものがあって、その数字で研究者の待遇などが変るとなれば、少なからぬ研究者が、その数字を上げることを目標に研究をすることになるでしょう。それは益よりも害の方が多いでしょう。優れた研究をすることよりもメトリックスパラメータを上げることが研究の目的になってしまうと、研究不正はますます増えるでしょう。研究の中身よりも有名雑誌に出版することの方が優先されるのなら、「有名雑誌に載せる」という至上命題が研究活動を支配することになってしまいます。日本に限りませんが、研究不正の動機は、研究の中身より論文出版の方が大事と思う本末転倒によるものでしょう。研究不正が、テストで高得点をとる技術、即ちあらかじめ分っている解答というゴールへの道筋を人よりも早く見つけ出す技術、に長けた人が集まっている大学でより頻発しているように見えますが、それは、偶然ではないと思います。

 

ところで、悪智恵の働く人間が利己的な動機で不善を働くのも困りものですが、頭が弱いのに権力を握っている人間も始末におえません。いうまでもなく、前者は、阿波の赤い狸、aka、悪徳弁護士、後者は民主党執行部に複数いますけど、代表としてドジョウのことです。最近、二度、小沢氏に会って、諭されたようですけど、いちいち頭が弱いと書くのも面倒なので、ストレートに言わせてもらいますと、本当にアホにしか見えません。ドジョウが消費税増税を言い出した瞬間から、法案は通らない、と普通の脳みそのある人は何ヶ月も前から言っていました。そして、頭の弱い人間がどうしても法案を通したいと思ったらやるであろうと想像されることを、ドジョウは、予想を一つも違えることなくやりました。ドジョウが今、こういう立場にいることは、数ヶ月も前から、普通の頭の持ち主には見えていて、今後は、ドジョウがいくら自民などの野党に「お話し」しても、ドジョウ内閣は放っておいても崩壊して、次の選挙で民主党は大敗することになるのだから、誰も本気で助けようとするお人好しはいない、つまり今月中に立ち往生して総辞職するであろう、ことも見えているというわけです。にもかかわらず、「命をかけ」たり「乾坤一擲」とか不自然で大げさな見得を切るから、失笑を買うのではないでしょうか。しかし、ここまで余りに稚拙すぎるやり方を見ていると、ドジョウは頭が弱い、という結論に疑念が涌いてきます。頭が単に弱いのではなく、弱過ぎるところが逆に怪しく感じます。これまでの稚拙すぎるアホ丸出しのやり方は、ひょっとしたら全部芝居だったのではないか、とさえ思えてくるのです。ただ、そうだとしたら、ドジョウの目的は何なのか、それが私にはよくわかりません。ただのうつけ者なのか、あるいはひょっとしてうつけ者を装った織田信長なのか。後者の可能性はおそらく低いとは思いますが、万が一、もしそうだったら、私は今後、床屋政談はキッパリ止めます。

とここまで書いたところで、ドジョウの内閣改造のニュース。法相が変えられていて、やはりドジョウは根性の悪いただのうつけ者であったか、と思った瞬間、その小川前法相の爆弾発言。つまり、陸山会でっち上げ事件の捏造調書問題で、検察が問題をうやむやにしてもみ消そうとしたことに対し、指揮権発動しようとしたが、ドジョウに止められた、という発言です。なぜドジョウは法相を変えないといけなかったのか、もちろん日本が健全な法治国家になってもらっては困る連中に「変えろ」と指示されたからでしょう。ここまで丸見えなら、ドジョウは間違いなく単なるうつけ者ですね。普通、悪事を働くなら、もっとうまくやる者です。「暗愚」という言葉がありました。アホでは響きが悪いから、これで行きましょう。

官房長官、早速、小川前法相の爆弾発言を否定。そりゃそうでしょう。検察が犯罪をもみ消そうとするのを咎めようとした法相を政権にとって都合がわるいから止めさせた、と正直には言えません。

その小川法相の後任者に関して、岩上さんは、

岩上安身‏@iwakamiyasumi
今度の滝実新法相は、陸山会事件の「黒幕」と言われる黒川官房長と親しいそうです。 RT @crusing21: 小川前法相が本気を出したら首を切る野田首相。RT @tomoyakitada: 小川前法相:「野田佳彦首相に指揮権の発動を相談したが了承されなかった」

とツイート。

コメント
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