百醜千拙草

何とかやっています

国の将来

2013-06-07 | Weblog
研究室に新しい人が来てくれました。イランからの若い女性医師の人です。私はこれまで、イラン人の知り合いはいませんでしたので、イランの情勢を内部の人から聞くのは興味深いです。私は、イランも北朝鮮も欧米諸国の利己的な理由から、不当な非難や制裁を受けていると思っていますが、彼女によると、イラン政府は独裁主義が強くて、民衆は必ずしも幸せではないのだそうです。北朝鮮もそんな感じですね。かつて、独裁であったリビアのガダフィは、それでも国の石油資産を使って、世界一豊かな国と呼ばれるほどの福祉国家を運営していました。ヒトラーも民衆から熱狂的な支持を受けていました。だから、独裁だから悪いということは必ずしもないし、民主主義が絶対よいということもありません(チャーチルは民主主義は最悪だが、他の政治形態よりは多少ましだ、と言っていますね)。結局、多数の国民にとって満足できるものであれば、国の政治形態などは大きな問題ではないということでしょう。

イラク、イランと言えば、世界4大文明のうちのメソポタミア文明発祥の地であり、その歴史遺産の豊穣さには子供のころから多少の憧れがあります。ペルシャといえば、絨毯、猫、千夜一夜物語、とてもエキゾティックなイメージがあります。日本は何を誇れるのでしょうか?イランの電化製品は殆ど日本製だと言っていましたから、日本のテクノロジーでしょうか。かつて、日本人は親切で思いやり深く勤勉で礼儀正しい人々が多かったように思います。今でも、外国と比べたら「よい人」の率は、多分、有意に高いと思います。今後はどうなるかわかりませんけど、日本人に多いこれらの性質、気質は間違いなく世界に誇れるものだろうと私は思っています。外国では、こういった思いやり、礼儀正しさ、勤勉さは、それなりの教育を受けた裕福な人々は身につけていますが、日本のように誰でもが持っているというものではないように思います。そして、教養の無い外国人やずる賢い人々は、これらの「人のよさ」を自己利益が計算できないのだと思って逆にバカにしたり、利用価値があると思って利用してやろうとします。それをわかって、あえてバカにされたり、利用させてやったりする「できた人」も多いのが日本人だと思います。(もちろん、陰湿で利己的で厚かましい日本人も大勢おりますから、総じての印象ということです)

同じイスラム圏では、以前はエジプトとシリアからの人の知り合いがいました。そのうちの数人はいまでも学会で顔を合わせます。みんな良い人々でした。私は、国籍や人種や文化背景よりも、個人個人のばらつきの方が大きいと思うので、国籍や文化背景でステレオタイプな発言はすべきではないと思いますが、やはり、総じて、合わない人が多い国はあります。なぜか、第二次大戦の戦勝国の人は合わない人が多いような気がします。つまり、中国、アメリカ、フランス、イギリス、といった国出身の人ですね。全く知らない人でこれらの国々の出身だとちょっと身構えてしまいます。(個人的に良く知っている人々は、これらの国の出身でも、合う合わないというのはあまりありません)一方、第二次大戦の敗戦国の人は、初対面の時から、総じて親切でつき合いやすい印象があります。(大戦時の同盟国か敵国かという過去からの集合意識が影響しているのでしょうか?不思議です)

話かわって、フクシマはいよいよ、ヤバいことになってきていますね。事故後二年が過ぎて、恐れていたことが現実になりつつあります。共同ニュースでは「甲状腺がん「確定」12人に 福島18歳以下、疑いは15人」と子供の甲状腺癌が増えていることを伝えています。例数は少ないものの母集団が17万人で、疑い例を含めると、一万人に1.6人の発生率。これはチェルノブイリで4-5年後にピークを迎えた時の甲状腺癌の発症率、一万人に一人を越えていることになるそうです(木下黄太のブログ)。この調子でいけば、チェルノブイリを数倍越える規模の健康被害がでるのではないでしょうか。加えて、フクシマ原発での原発作業員の確保がどんどん難しくなってきているという話も聞きました。フクシマ原発は、根本的な解決策を人間がとれるような状況ではないようですから、とにかく、放射性物質の飛散を可能な限り抑制する方法を考えて、できるだけ少ない作業員で長期的にもっとも安定性の高いやりかたをとるしかありません。一番ダメなのが政府です。東電には自力で何とかするような体力はないのですから、政府があらゆるリソースをつぎ込んででも押さえ込まないといけません。東電は未だに原発事故対応の方針をコストベースで決めているようなところがあります。安かろう悪かろうですね。とりあえず数年先のことしか考えていない、そう思います。東電が倒産して、もう原発は知らないとと言って放置したら、どうなりますか。これは営利企業に任せておけるような問題ではなく、国の滅亡の危機であって、政府が東電を解体して、仕えるリソースを全てつぎ込んで、収束に全力を尽くさないといけないはずです。にもかかわrず、この二年間、それをしなかったために、被害がここまで拡大してしまいました。空きカンがこの間、反原発集会で演説したそうですが、正直、この人の無神経さにはハラが立ちますね。本人は真面目なのかも知れませんけど、この人とその後のドジョウが、問題を過小評価し、情報を隠蔽し、ウソ丸わかりの事故収束宣言までし、すべきことをせず、せざるべきことをして、ここまで状況を悪くした当事者だという意識が全くみえません。加えて、今のアベ氏はそもそも常識と判断力に相当な問題があり、この原発事故の対応を誤れば、日本が滅亡するということを想像するだけの能力もなさそうです。このままでは、傲慢経済学者、ラリー サマーズの「日本は大変、貧しい国になる」という予言は、悔しいですが、多分、現実化するでしょう。国の将来は労働者で納税者となる未来の子供たちにかかっています。その子供たちに健康被害がすでに出ています。5年後は誤摩化しようのない規模になっているでしょう。その健康被害を抱えた子供たちがやがて成人して、国を背負っていかねばなりません。
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