百醜千拙草

何とかやっています

増える甲状腺がん

2014-02-11 | Weblog
東京都知事選の結果は、複数の意味で残念な結果となりました。
 一番の問題は、低投票率です。「都知事を誰がしようと、何もかわらない、どうでもいい」そう考える都民の数が増えているような感じです。増加する政治不信、無力感、これは体制側の思うツボなのですが、残念なことにこの傾向は進行していると思わざるを得ません。「都民、国民が代表を選んで、大多数の幸福と安全を実現する」という建前の民主主義ではあっても、間接民主主義では、その国民が選んだ筈の代表が、体制側の利益のために大多数の国民を搾取するために働くのですから、それを見せつけられたら国民もバカバカしくてやってられないと思うのもやむを得ない部分もあります。

ネズミ男、自民党に見切りをつけて自ら離党したくせに、反アベ勢力を都知事にしたくない自民公民の支援を受け、三行半を叩き付けた相手の組織票で当選。そのくせに、勝因については「ひたすら政策を訴え、他のどの候補よりも全域を回り、もっともたくさんの有権者と対話した。それに尽きる」と語ったらしいです。そりゃ、三行半の相手の組織票の支援のおかげです、とは言えんでしょうな。選挙運動中の街頭演説では、万単位で人を集めた細川陣営と違って、多くて百人とかいう閑古鳥状態だったそうですから、集めた二百万票余りから約二百万票弱と見積もられる自民、公明の組織票を引いたらいくら残るのか知りたいものです。
 それにしても、ネズミ男もネズミ男なら、自民党も自民党、こういうデタラメが平気でまかり通るから、国民の政治不信に拍車がかかるのでしょう。
 不思議なのは、この人、高齢者に支持が高かったという話。過去、ネズミ男が、消費税増税に関して、テレビで高齢者を指して「ヤツらはカネを持っている、消費税を上げれば、ジジ、ババからも税金が取れるが、所得税なら取れない」と言った映像を見ましたが、この人にお年寄りはどうして投票したのですかね(組織票だから自分の意思は二の次ということでしょうか)。そして、高齢者を、「ヤツら、あいつら」と呼び、消費税を上げて所得のない高齢者からもカネを巻き上げようとするこの男に、有権者は「福祉と景気」を期待しているそうです。何の冗談でしょうか?

さて、国民、都民が、希望を失い、日々の生活に追われて、無気力になっていく間にも、フクシマからは一日300トンの汚染水が海に流され、着実に日本と地球を破壊していっています。つい数日前には、観測井戸から500万ベクレル/Lの過去最高の汚染水が、なんと去年の7月に見つかった、というニュース。なんで半年も前のすさまじい数字を今頃出すのか、記事を読んでみると、過去の計測に誤りがあって、計測しなおしたらこの数字だった、という噴飯ものの言い訳。そんな筈はないでしょう。この言い訳が本当だったら、放射線の計測などという単純な作業でさえ、東電は満足にできないということですかね。これでは、事故収束などあり得ないでしょう。

それから、福島の子供の甲状腺がん確定例が前回、昨年11月(たった2ヶ月前ですね)の26人から7人増えて、33人になったという先週末のニュース。

毎日新聞:「がん」もしくは「がんの疑い」のある子どもの割合は検査受診者の0.03%と一般的な発症率より高いが、症状のない人も対象にこれだけ大規模な調査をした例はない。検討委は原発事故との因果関係について「考えにくい」としている。

と、大規模に調べたせいで見つかる率が増えたのであり、原発事故は関係ない、と言いたいようです。

サンケイ新聞:「確定」と「疑い」に加え、手術の結果「良性」と判明した1人を含む計75人のうち24人について、原発事故が起きた平成23年3月11日から4カ月間の外部被曝(ひばく)線量も公表。1ミリシーベルト未満が15人、1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満が9人だった。

上と同じく、被曝量が少ないのだから、原発事故が原因ではない、と言いたい様子。

検討委、星北斗(印象的な名前ですね)座長の会見を流した、テレビ朝日のニュースでは、

これまで子どもの甲状腺がんは、極めてまれな病気だとされてきた。今回の調査で、1万人に1人の割合で甲状腺がんが見つかっていることに対し、検討委員会は。
「県民健康管理調査」検討委・星北斗座長:「想定される範囲だというのは申し上げた通りですので、多いとも少ないともいうことにはならないと思います」

下の東京新聞では、子供の甲状腺癌は100万人に1-9人という率であると言っていますから、一万人に一人は、10倍- 100倍の頻度になります。「想定される範囲」をはるかに越えていると私には見えるのですが。

読売新聞:ニュースそのものをスルーした模様。(都知事選前ですからね)

東京新聞は、検討委の見解と事実を伝えた上で、

国立がん研究センターなどによると、十代の甲状腺がんは百万人に一~九人程度とされてきた。

という一文を付け加えています。こういう数字を書いてなければ、今回の調査での甲状腺癌の例が高いのか低いのか、心配すべきなのかどうなのかという判断ができません。他の原発推進メディアは意図的に読者が判断できないような記事にしているのでしょう。

あと、多くの新聞が、このニュースに関連して、「子供の甲状腺がん確定例が増えた」というニュースのかわりに、「福島医大が子供の甲状腺がんの(がん組織の)遺伝子解析をして原因を解明する」というどうでもよい記事をぶつけてきています。明らかに、子供の甲状腺癌確定例が急激に増えているという(原発推進派や政府にとって都合の悪い)ニュースに対する目くらましですね。読者をバカにするのもタイガイにしたらどうか、と毒づいてしまいました。がん細胞の遺伝子解析して、何がわかると考えているのでしょうか?(たぶん何も考えていないのでしょうね)腫瘍遺伝学をかじったことのある人なら、「がん」は遺伝子の異常でおこるというのは常識です。そりゃ、遺伝子解析すれば、どんな「がん」でも、色々な異常が複数、見つかるでしょう。それで何だというのでしょう?われわれが知りたいのは、どうしてその遺伝子異常が起きたのかという「原因」であって、遺伝子の異常そのものの話ではありません。また、仮にもし甲状腺がんになりやすいような遺伝性疾患を疑っているのであれば、がん組織ではなく、血縁者の正常な体細胞の遺伝子解析を比較する解析をするはずです。「がん」になってしまった細胞の遺伝子を解析しても「原因」はわかりません。わかるのはその「結果」としての異常ですから。
 ま、こういう小手先の情報操作で何とかなるのもこの一、二年でしょう。チェルノブイリの先例に学べば、来年には誤魔化せない数の小児甲状腺がん例とその他、様々な疾病が急増すると思われます。
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