百醜千拙草

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マレーシア機撃墜とBRICS開発銀行

2014-07-22 | Weblog
マレーシア航空墜落、どうも親ロシア派ウクライナがロシアから供与されたミサイルを使って撃ち落としたらしいという形の報道がされていますが、どうなのでしょう。事件当初の西側通信社のロイターの発表によると、ロシアの関与と親ロシア派ウクライナ勢力を犯人と決めつけている様子。
一方、同日、ロシアの声で紹介されているルガンスク人民共和国報道部の発表では、ウクライナ空軍スホーイ25型機が撃墜したとのこと。
「旅客機ボーイング777の飛行を見守っていた現地の人達は、同機をウクライナ空軍機が攻撃する様を目撃した。攻撃を受けた後、同機は空中で真っ二つになり、ドネツク人民共和国領内に落下した。攻撃後、ウクライナ空軍機は撃墜され、こちらはルガンスク人民共和国領内のクラスヌィ・ルーチ地区に落下した。」

真相は、そして、その動機は何なのでしょうか。前回のマレーシア航空行方不明事件は、おそらく火災事故によるコントロール喪失ではないか、という説が最も信憑性があったのですが、それでも、様々な陰謀論的憶測を呼びました。今回、親ロシアウクライナの「犯行」らしいということを受けて、早速、オバマは声明を発表、ロシアが親ロシアウクライナに強い影響力を持っているはずなのに、プーチンがその勢力をコントロールしようとしていない、とロシアを批判したという話。ケリーに至っては、ロシアがやらせたと決めつけて(ロシアにとっては痛くも痒くもない)経済制裁を示唆したしたそうです。これを聞いて、マレーシア機撃墜は、ロシアに罪をなすりつけたいアメリカとEUの陰謀だという意見がチラホラ。

この欧米の陰謀説が出てくる背景には、15日に最終合意に達した「BRICS開発銀行」設立のことがあるのではないか、という気がします。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの諸国が国際基金を作り、非親欧米諸国の経済的補助を行うための国際銀行です。これがうまく稼働すると、ドル、IMFを通じてアメリカが行ってきた世界の金融支配に対する強大な対抗勢力となるだろうと思われます。何しろ、BRICSだけで世界人口の半分以上を占めます。アメリカの世界支配に対する大きな抑止力となると考えられます。アメリカはドルが基軸通貨として国際的に使用されることを背景にした金融力、それから最大の軍事力を使って、戦争とカネによって世界支配を続けてきました。戦争によって資源を奪い、カネによって人間をコントロールする、この二つを組み合わせることで、覇権を維持してきました。ところが、既に、大多数のアメリカ人は、戦争には反対しており、そんなことより目の前の生活の方を良くしてもらいたい、世界支配などどうでもよい、と考えているわけで、もうブッシュがやったような子供騙しのレトリックは通用しなくなってきました。アメリカの支配者層にとっては、BRICS銀行は脅威であっても、一般国民にはどうでもいい話です。

今回のマレーシア航空機撃墜事件が、仮にBRICSの中核にいるロシアをframe-upするための陰謀であったとしても(違うのではないかなと、実は私は感じているのですが)、それによってアメリカと日本を含む親欧米諸国の世論が激しく動くようなならないでしょう。むしろ、それよりも現在再び激しくなってきたパレスティナ問題、つまり、ガザへ執拗な攻撃を加えるイスラエル、そのイスラエルの背後を固めるアメリカという連想から、アメリカ戦争勢力に対する反感はむしろ高まっているのではないだろうかと思います。アメリカ国内外で、イスラエルに対する反感は高まっています。そしてアメリカでその支配者層と一般アメリカ人との考え方にかなりの乖離が(むしろ対立さえ)あるのと同様、イスラエルも一般イスラエル人とイスラエルのシオニスト政権との間の乖離は大きいと思われます。あの孤立したガザに密集した200万人ほどの大した武器も持たないパレスティナ人に強大な武力で攻撃するイスラエル、それによって既に数百名の犠牲者が出ているという話を聞くと、これは別に判官贔屓でなくても、ガザのパレスティナ人に同情してしまいます。

それはともかく、BRICSが非ドル圏の大国を集めての経済協力機構を作ろうとしていることの意義は大きいです。これで少なくともドルの基軸通貨としての影響力はますます低下するでしょう。あと、第三の勢力、つまりインドネシア、アラブ、アフリカにまたがるイスラム圏が、欧米に殺されたガダフィが描いたような共通通貨による独立経済圏を作れば、世界の経済は欧米、BRICS、イスラム圏と大きく3分割されることになると思います。勢力の多極化、分散は、それが一極集中することよりは総じてよい結果を生むだろうと想像します。

と、ここまで書き終わってから、しばらく前の別の情報があることを知りました。マレーシア機の撃墜からわずか30数分後に、プーチンを乗せたロシアの航空機が、マレーシア機とほぼ同じ航路をたどってロシアに向かっていたことが確認されている。ということで、実際、ロシアの大統領機の模様とマレーシア機の模様はよく似ています。これはオッチョコチョイなら間違えます。プーチン暗殺をしようとして、うっかりマレーシア機を撃ち落としてしまったというのはあり得ると思います。というか、この説ならなぜマレーシア機がウクライナで撃ち落とされたのかという理由が腑に落ちます。これが真相だとすると、もちろんプーチンが犯人であるはずはないでしょう。親ロシア派を援護するプーチンに恨みを抱くウクライナ空軍が撃ち落としたという説が信憑性を帯びてきます。
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