ちょっと前に「歴史」についての話題が続いて、私も思う所をと思っていたのですが、そのままになっていました。
2/4/15の東京新聞、本音のコラム(斉藤美奈子さん)から
教科書の歴史を書き換えて「美しい国」に整形したいアベ氏、歴史は解釈ですから、本当のことは分からないものです。しかし、そこにコンセンサスがあるのなら、それを覆そうとするのはリスクが伴う行動です。とくに日本は敗戦国、中国とアメリカは戦勝国、事実はどうあれ戦勝国の歴史観がコンセンサスを作ります。負けた以上、それは飲むしかない。それを覆したのなら、もう一度、戦争して勝つしかありません。そんなことは誰も望んでいないのです(アベ氏はわかりませんが)。ドイツも負けました。ユダヤ人大虐殺が歴史になりました。今日の朝刊では、ナチス・ドイツが強制収容所でユダヤ人らを殺害したホロコースト(大量虐殺)の記録を、関係者の証言のみでつづる映画「SHOAH ショア」(クロード・ランズマン監督)が14日から、ほぼ20年ぶりに東京・渋谷の劇場で3週間限定で公開される、というニュースがありました。しかし、ホロコーストの犠牲者の数は不思議なことによく分からないのです。田中宇さんの記事から。
イスラエルは、欧州に対していくつかの政治的な武器を持っている。その一つは、政界や財界をはじめとした欧州の有力者の中にユダヤ系が多いことだ。
欧州に対するイスラエルのもう一つの強みは「ホロコースト」だ。アウシュビッツ強制収容所の「ガス室」で110万人のユダヤ人が殺されたというのが「正史」だ。以前は殺された人の数が「400万人」だったが、その後明確な理由なしに110万人に「改訂」された。「正史」では、ナチスは「チクロンB」という毒物で大量殺害したことになっているが、研究者(Germer RudolfやJhon Clive Ballら)が、アウシュビッツの「ガス室」とされている部屋の壁を削って調べたところチクロンBの痕跡が見つからなかったと発表した。すると、彼らの中の何人かが独刑法の民衆扇動罪で起訴された。日本では、この件を指摘する記事を出した雑誌マルコポーロが廃刊に追い込まれた。ホロコーストの「正史」の事実性に疑問を持つことは、おおむね世界的に禁じられている。
アウシュビッツで大量虐殺が行われたという話は、ドイツ政府も認める「正史」だが、具体的にどこでいつ何人殺されたか、犯罪捜査に不可欠な確定的な物的証拠がまったくない(証言しかない)。ドイツの86歳の知的な女性ウルスラ・ハーバーベック(Ursula Haverbeck)は、そのように言っている。彼女は昨年、物的証拠があるのなら教えてほしいとドイツの政府や裁判所、ユダヤ人団体など関係各方面に問い合わせ、ウェブサイト http://ursula-haverbeck.info/まで立ち上げたが、どこからも何の返事もなかった。その結果をふまえて彼女は、証拠がない以上、ホロコーストはなかったと考えざるを得ないと述べている。
しかし、重要なのは、アウシュビッツなり南京大虐殺なり慰安婦問題の事実ではなく、それに対する国際社会の認識と解釈でしょう。その解釈に敗戦国が異を唱えるということは、極めて危険で不穏な行動と見なされると思います。少なくとも建前上、日本が民主主義国家であり、政府の見解は国民の意見を代弁すると世界は取ると、アベ氏がちょっとでも考えていたら、彼の度重なる軽卒な行動はなかっただろうと思います。だからこそアベ政権は絶望的に感じるのです。
。
内田樹の研究室、歴史の検閲についてから
日本政府が、事実を隠蔽し歪曲するというのは、福島原発事故や小沢事件の顛末を見てイヤというほど思い知りました。それは政府内部、関連の人間の私利私欲によるものです。しかし、アベ氏が、福島のことでウソを言い、歴史を修正し、外国で虚勢を張ろうとするその動機は、カネとかの大人の事情ではなく、どうも子どもっぽい自己愛から来ているように見えます。いずれにしてもやっかいなことです。
2/4/15の東京新聞、本音のコラム(斉藤美奈子さん)から
大晦日のライブでのふるまいをサザンの桑田佳祐さんがおわびした。会見で審判部を批判した横綱白鵬がおわびした。人質事件で政府を批判した共産党の池内さおり衆議院議員もおわびした。彼らに謝罪を強いたのは世間の非難と彼らが属する「業界」の圧力である。この国では自由な意見を表明すると「謝れ」コールが起きるのだ。
人質事件で拘束されていた湯川遥名菜さんと後藤健二さんのさんの親族も「ご迷惑をおかけして」「世間をお騒がせして」と政府と国民におわびした。痛ましい謝罪だった。
これほど謝罪を重んじる国なのに、謝罪しなくていい人もいる。人質事件の不幸な結末に対し、安倍首相は「誠に無念、痛恨の極みである」とは述べたが、謝罪の言葉は口にしていない。、、、、
戦後70年の談話でも首相は「謝罪と反省」を外したい由。軽微かつ正当な個人の発言には発言には謝罪を強いても、国家の重大な過ちは謝罪しなくていいらしい。(文芸評論家)
人質事件で拘束されていた湯川遥名菜さんと後藤健二さんのさんの親族も「ご迷惑をおかけして」「世間をお騒がせして」と政府と国民におわびした。痛ましい謝罪だった。
これほど謝罪を重んじる国なのに、謝罪しなくていい人もいる。人質事件の不幸な結末に対し、安倍首相は「誠に無念、痛恨の極みである」とは述べたが、謝罪の言葉は口にしていない。、、、、
戦後70年の談話でも首相は「謝罪と反省」を外したい由。軽微かつ正当な個人の発言には発言には謝罪を強いても、国家の重大な過ちは謝罪しなくていいらしい。(文芸評論家)
教科書の歴史を書き換えて「美しい国」に整形したいアベ氏、歴史は解釈ですから、本当のことは分からないものです。しかし、そこにコンセンサスがあるのなら、それを覆そうとするのはリスクが伴う行動です。とくに日本は敗戦国、中国とアメリカは戦勝国、事実はどうあれ戦勝国の歴史観がコンセンサスを作ります。負けた以上、それは飲むしかない。それを覆したのなら、もう一度、戦争して勝つしかありません。そんなことは誰も望んでいないのです(アベ氏はわかりませんが)。ドイツも負けました。ユダヤ人大虐殺が歴史になりました。今日の朝刊では、ナチス・ドイツが強制収容所でユダヤ人らを殺害したホロコースト(大量虐殺)の記録を、関係者の証言のみでつづる映画「SHOAH ショア」(クロード・ランズマン監督)が14日から、ほぼ20年ぶりに東京・渋谷の劇場で3週間限定で公開される、というニュースがありました。しかし、ホロコーストの犠牲者の数は不思議なことによく分からないのです。田中宇さんの記事から。
イスラエルは、欧州に対していくつかの政治的な武器を持っている。その一つは、政界や財界をはじめとした欧州の有力者の中にユダヤ系が多いことだ。
欧州に対するイスラエルのもう一つの強みは「ホロコースト」だ。アウシュビッツ強制収容所の「ガス室」で110万人のユダヤ人が殺されたというのが「正史」だ。以前は殺された人の数が「400万人」だったが、その後明確な理由なしに110万人に「改訂」された。「正史」では、ナチスは「チクロンB」という毒物で大量殺害したことになっているが、研究者(Germer RudolfやJhon Clive Ballら)が、アウシュビッツの「ガス室」とされている部屋の壁を削って調べたところチクロンBの痕跡が見つからなかったと発表した。すると、彼らの中の何人かが独刑法の民衆扇動罪で起訴された。日本では、この件を指摘する記事を出した雑誌マルコポーロが廃刊に追い込まれた。ホロコーストの「正史」の事実性に疑問を持つことは、おおむね世界的に禁じられている。
アウシュビッツで大量虐殺が行われたという話は、ドイツ政府も認める「正史」だが、具体的にどこでいつ何人殺されたか、犯罪捜査に不可欠な確定的な物的証拠がまったくない(証言しかない)。ドイツの86歳の知的な女性ウルスラ・ハーバーベック(Ursula Haverbeck)は、そのように言っている。彼女は昨年、物的証拠があるのなら教えてほしいとドイツの政府や裁判所、ユダヤ人団体など関係各方面に問い合わせ、ウェブサイト http://ursula-haverbeck.info/まで立ち上げたが、どこからも何の返事もなかった。その結果をふまえて彼女は、証拠がない以上、ホロコーストはなかったと考えざるを得ないと述べている。
しかし、重要なのは、アウシュビッツなり南京大虐殺なり慰安婦問題の事実ではなく、それに対する国際社会の認識と解釈でしょう。その解釈に敗戦国が異を唱えるということは、極めて危険で不穏な行動と見なされると思います。少なくとも建前上、日本が民主主義国家であり、政府の見解は国民の意見を代弁すると世界は取ると、アベ氏がちょっとでも考えていたら、彼の度重なる軽卒な行動はなかっただろうと思います。だからこそアベ政権は絶望的に感じるのです。
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内田樹の研究室、歴史の検閲についてから
アメリカの歴史家団体は5日、日本の教科書出版社に対して第二次世界大戦中に日本が行った女性の性奴隷化についての記述を変更するように日本政府が圧力をかけようとしたことに対して強く抗議する共同声明を発表した。
歴史家たちは出版社を支持し、「いかなる政府も歴史を検閲する権利を持つべきではない」とする著者Herbert Zieglermの立場に同意を示している。また第二次世界大戦中のもろもろの非道についての事実を明るみに出そうとしている日本及びその他の国々の多くの歴史家たちと連帯したいとも述べている。
「われわれは過去から学ぶことで歴史を実践し、歴史を創り出す。われわれはそれゆえに出版社や歴史家に圧力をかけて、特定の政治目的のために歴史研究の結果を歪曲しようとする国家や特定の関係者の企てに反対する」と声明は述べている。
歴史家たちは出版社を支持し、「いかなる政府も歴史を検閲する権利を持つべきではない」とする著者Herbert Zieglermの立場に同意を示している。また第二次世界大戦中のもろもろの非道についての事実を明るみに出そうとしている日本及びその他の国々の多くの歴史家たちと連帯したいとも述べている。
「われわれは過去から学ぶことで歴史を実践し、歴史を創り出す。われわれはそれゆえに出版社や歴史家に圧力をかけて、特定の政治目的のために歴史研究の結果を歪曲しようとする国家や特定の関係者の企てに反対する」と声明は述べている。
日本政府が、事実を隠蔽し歪曲するというのは、福島原発事故や小沢事件の顛末を見てイヤというほど思い知りました。それは政府内部、関連の人間の私利私欲によるものです。しかし、アベ氏が、福島のことでウソを言い、歴史を修正し、外国で虚勢を張ろうとするその動機は、カネとかの大人の事情ではなく、どうも子どもっぽい自己愛から来ているように見えます。いずれにしてもやっかいなことです。