(地形の妙味@津南~越後鹿渡間)
信濃川・中津川の河岸段丘に加え、柱状節理の美しい清津峡の渓谷や秋山郷の景観など「苗場山麓ジオパーク」を標榜する長野県栄村と新潟県津南町。信濃川が刻む典型的な河岸段丘の上を、飯山線の線路が走ります。この河岸段丘は、戸隠、妙高、飯縄が降らせた火山灰の積もったローム層を長い長い年月をかけて信濃川が削り出し、浸食した結果形成されたものです。が、現在の信濃川は上流の西大滝ダムを始めとして発電用のため取水されており、この津南界隈の中流域の流量は極めて低くなっているのだとか…この信濃川の取水問題では、JR東日本も下流の宮中ダム(信濃川発電所)での不正取水がバレまして、地元との補償交渉になったりしているのですがね。
反里の集落の対岸あたり、雪崩除けのスノーセットを越え川沿いの隘路を行く飯山線。河岸段丘の平らな部分は水田や耕地に利用されており、僅かながらでもコメ作りが行われています。さすがにGW過ぎないと水は入って来ないのかな。昼夜の寒暖差が大きい津南のお米は、魚沼コシヒカリと比べても遜色ない食味なんだそうですよ。確かにこっちの方来るとどんな安い宿に泊まってもコメだけは美味いという事がありまして、それこそ大学生の時に木島平のスキー民宿に泊まった時は貧乏バスツアーの粗末な食事で何にも食べるものがなかったので、山と積まれた野沢菜をオカズに白飯ばかり食っていた記憶がw
土市と十日町の間、大黒沢の跨線橋から残雪の北信妻有の山々をバックに。十日町に近付くと平野も開けて来て、米どころ新潟らしい田園風景の縁をなぞるように走る飯山線。圧縮し過ぎて家並みがごちゃごちゃ入ってしまいましたが、田んぼに水が入って田植えが終わった時期あたりにまた来てみたいところです。後ろの山々にも中津川の段丘部分が縞模様に表れているのが分かりますかね…
広い信濃川を真一文字に塞ぐ宮中ダム。ここで取水された水が信濃川の3発電所(千手・小千谷・小千谷第二)に送られて首都圏のJRを動かす電力を作っている。ちなみに前述の不正取水問題のツケとして、JR東日本は補償金として流域の自治体に結構なカネを落とすハメになったのだが、十日町、小千谷、川口町にお詫びで60億即金で払ったのだとか。すげえ。
ちなみにこの補償の中には「飯山線の振興策」も入っているので、おそらくこの先利用者が少なくなっても「地元対策としての飯山線」はそこそこ安泰なのではないかと思ってもいる(笑)。信濃川に絡んだ光と影。政策的な思惑の絡む、オトナのお話です。