tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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東大寺ミュージアムが10/10(月)に開館!(2011Topic)

2011年10月09日 | お知らせ
東大寺総合文化センター内に、東大寺の歴史を寺宝とともに紹介する「東大寺ミュージアム」が、いよいよ10/10(月)に開館する。日本経済新聞(10/4付)「東大寺ミュージアム報道陣に公開 10日に開館」によると《東大寺(奈良市)は3日、宝物を総合展示する初の施設として境内に10日オープンする「東大寺ミュージアム」を報道陣に公開した。当初は寺が建立された天平期を中心に、国宝、重要文化財など三十数点を展示する》。
※トップ写真は、東大寺総合文化センター総長の森本公誠氏(同寺長老)。08.5.11撮影

《ミュージアムは広さ約600平方メートルで、免震装置を備えた5つの展示室で構成。中央の展示室には法華堂(三月堂)の内部をモチーフにした高さ7.5メートル、横12メートル、奥行き約3メートルのスペースを設け、国宝の不空羂索(ふくうけんさく)観音立像、日光・月光両菩薩(ぼさつ)立像を安置した》。

《原則無休で入場料は中学生以上500円。団体向けの夜間特別拝観も計画。僧侶が映像を使って寺の歴史などを修学旅行生らに説明する試みも始める。森本公誠長老は「人間は破壊と創造を繰り返す愚かな一面を持つが、また復興への力強さも心に持っているということを展示を通じて発信できれば」と話している》。

ミュージアムの開館に伴い、特別記念展が行われる。朝日新聞(9/30付)の社告(お知らせ)によると

奈良・東大寺の境内に完成する東大寺ミュージアムの開館記念特別展「奈良時代の東大寺」が開催されます。同寺法華堂の須弥壇(しゅみだん)が解体修理されたのに伴い、本尊の不空羂索観音菩薩立像(ふくうけんさくかんのんぼさつりゅうぞう・国宝)をはじめ、日光・月光菩薩立像(にっこう・がっこうぼさつりゅうぞう・同)など、46件が公開されます。

◇10月10日(祝)~来年4月1日(日)午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)。閉館時間は時期によって変わります。無休
◇中学生以上500円、小学生300円
◇問い合わせ 東大寺総合文化センター(0742・20・5511)
主催 東大寺
後援 朝日新聞社ほか


この特別記念展では、「聖武天皇の歯か?」という熟年男性の臼歯も公開される。読売新聞(10/5付)の1面「東大寺に聖武天皇の歯? 大仏殿で遺愛品と出土」によると《奈良市の東大寺大仏殿で、明治時代に鎮壇具(ちんだんぐ)(8世紀、国宝)と一緒に出土した人の歯を奈良国立博物館(奈良市)が調査したところ、熟年男性のものとみられることが分かった。鎮壇具には、正倉院から持ち出された聖武天皇(701~756年)の遺愛品「陰寶劔(いんのほうけん)」「陽寶劔(ようのほうけん)」が含まれていたことが昨年判明しており、50歳代半ばで亡くなった聖武天皇の歯である可能性も指摘されている》。

《歯は1907~08年、大仏殿修理に伴い、大仏を安置する須弥壇(しゅみだん)を掘った際、敷地を清めるために地下に埋めた仏具である鎮壇具とともに発見された。最近の分析の結果、右下あごの第1大臼歯(長さ約2センチ、幅1・2センチ)で、大きさや摩耗の具合などから、熟年男性の歯の可能性が高いことが判明した》。

《歯の年代の特定などはなされていないが、遺愛品と一緒に葬られていたことについて、東野治之・奈良大教授(古代史)は「光明皇后が聖武天皇の没後、冥福を祈って分骨のように埋葬したのだろう。刀剣などの『鎮壇具』は、その副葬品と言えるのではないか」と話している。歯は、奈良市の東大寺ミュージアムで10日開幕する開館記念特別展「奈良時代の東大寺」(読売新聞社など後援)で公開される。2013年1月14日まで。金銀荘大刀2本は修理中のため展示されない》。

同紙(10/5付)文化面には、森本公誠・同寺長老(東大寺総合文化センター総長)のコメントが紹介されている。《ミュージアムは、一種のお堂として位置づけています。仏様は美術品ではなく、信仰の対象であり、その前で手を合わす気持ちになってもらうのが大切です。不空絹索観音菩薩立像と日光、月光両菩薩立像も、お堂をイメージした雰囲気の中で展示してあります。僧侶によるお勤めも毎日行う予定です》。

《センターはすでにあった寺史研究所と図書館に、宗派の教えである華厳学の研究所を加えた複合施設。東大寺は、八つの宗派を学ぶ「八宗兼学」の学問寺でしたが、その精神を現代によみがえらせるものです。大仏様は、聖武天皇が広く参加を呼びかけて、みんなで造ったつながりの象徴です。今こそ、人のつながりが大事です。見ず知らずも人とも、広い意味でつながっているからこそ、お互い生きていけるのです。そうした精神を、ここから発信してまいります》。

東大寺ミュージアムは、美術館ではなくお堂であり、毎日お坊さんがお勤めをされているのだ。森本総長の「仏様は美術品ではなく、信仰の対象であり、その前で手を合わす気持ちになってもらうのが大切です」という言葉は重い。仏像ブームのなかで仏さまは、まるで美術品のように「見る」対象のように誤解されてきた(「お堂で見る阿修羅」のような奇妙なネーミングもされてきた)。仏さまには「手を合わせる」「拝む」「祈る」ものだ。

皆さん、ぜひその気持ちを忘れずに、東大寺ミュージアムにお参りください。
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