tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

大安寺ささ酒祭り(光仁会)

2011年01月26日 | 奈良検定
1/23(日)、大安寺(奈良市大安寺2-18-1)にお参りした。「癌封じ笹酒祭り」の名で知られる「光仁会(こうにんえ)」が営まれていたからである。お寺のHPによると《桓武天皇が文武百官を伴い、先帝光仁天皇の一周忌の齋会を大安寺で営まれたという『続日本紀』の故事により、毎年一月二十三日に光仁会が行われます。この法会は風雅な青竹づくしの祭儀で光仁天皇ゆかりの、「笹酒」の接待が行われます。「がん封じの笹酒」として、広く知られています》。



《光仁天皇は不遇な白壁王時代に、しばしば大安寺の竹林にて浄竹を伐り、酒を注いでお召しになり、中国の故事にいう「林間酒をあたためる」風流を催されて無病息災を保たれました。実に六十二歳という当時破格の高齢で帝位につかれ、七十三歳まで在位されたのです。この帝にあやかって悪病難病を封じ、健康に過ごそうと催されるのが笹酒祭りです。この日はがん封じの御祈祷と、笹酒の薬効が相俟って、御利益あらたかであり、遠近からの参詣者で境内はあふれます。古都奈良の新春の風物詩となる行事です》。



このお寺、今は境内敷地も狭くなり、伽藍も大半が失われたが、かつてはメガ大寺であった。Wikipedia「大安寺」によると《奈良市中心部にある高野山真言宗の仏教寺院。本尊は十一面観音。開基(創立者)は聖徳太子と伝える。南都七大寺の1つで、奈良時代(平城京)から平安時代前半は東大寺、興福寺と並ぶ大寺であった》《奈良時代の大安寺は東西2基の七重塔をはじめとする大伽藍を有し、東大寺、興福寺と並ぶ大寺院で、「南大寺」の別称があった。南都七大寺のなかでも、七重塔が建っていたのは東大寺と大安寺のみである》。



《奈良時代の大安寺には、東大寺大仏開眼の導師を務めたインド僧・菩提僊那をはじめ歴史上著名な僧が在籍し、日本仏教史上重要な役割を果たした寺院であった。しかし、平安時代以後は徐々に衰退し、寛仁元年(1017年)の火災で主要堂塔を焼失して以後は、かつての隆盛を回復することはなかった。現存する大安寺の堂宇はいずれも近世末~近代の再建であり、規模も著しく縮小している。奈良時代にさかのぼる遺品としては、8世紀末頃の制作と思われる木彫仏9体が残る》。



この日は正午頃にお寺に入ろうと、自宅から車を走らせたが、県道754号線(旧国道24号線)に入った途端、渋滞に巻き込まれた。特に754号から西に入る交差点付近が大混雑していた。自家用車に加え、近鉄・JR奈良駅から門前に向かう臨時バス、それに観光バスが加わって、車が動かないのだ。交差点からわずか500mほどの距離に、30分もかかってしまった(参拝の時間を朝早くにズラすか、路線バスに乗った「大安寺バス停」で降り、そこから約500m歩くのが最善の策だろう)。

ささ酒祭りには、約1万5000人が訪れたという。何しろ1/23という日が固定されているので、今年のように日曜日と重なると、大入りとなるのだ。1/23配信の奈良経済新聞《笹酒で無病息災祈願-大安寺で笹酒祭り》によると《大安寺(奈良市大安寺)で1月23日、がん封じに御利益があるとされる竹筒で温めた笹酒(ささざけ)を振る舞う「光仁会(こうにんえ)・笹酒祭り」が営まれ、無病息災を祈願する多くの参拝者でにぎわった》。



《奈良時代に光仁天皇が、同寺の竹で酒を飲み、長寿を保ったことに由来する新春恒例行事で、光仁天皇の命日に行われている。あでやかな晴れ着姿で酒を注ぐ「笹娘」は、藤影きもの専門学校(西大寺新田町)の生徒20人。長さ約1メートルの竹筒をたき火で温ため、竹の香りがほのかに漂う酒を口にして参拝者は頬を赤らめた。20年ほど前から毎年訪れているという東大阪市の女性(84)は「おいしかった。(笹酒で)健康を保っている」と笑顔を見せた》。ささ酒は、1升瓶換算で400本以上の地酒なのだそうだ。



500円を納めて竹の器をいただき、そこにささ酒を注いでもらう。私は車なので、アルコールの入っていない「ささ水」の方をいただいた。ほのかに青竹の香りがついていて、薬効がありそうだった。何しろ《竹は漢方薬にも竹瀝・竹茹・竹黄などにみられるように多様に使われ、現代薬学からみてもビタミンC・K・Eをはじめ、クロロフィルやカルシウムを含有しており、健康によいとされています》(お寺のHP)ということなので、お水でも大丈夫なのだ。お酒は、境内で販売されていたカップ酒(大安寺 長寿ささ酒)を買い、家でいただいた。



毎年参拝されている人も多い。例えば《20年近く、毎年参拝しているという京都府城陽市の長宗慶典さん(82)は、6年前に大腸がんの手術を受けたが、術後の経過は順調。「転移もなく元気で暮らせているのは大安寺さんのおかげです」と話した》(朝日新聞奈良版1/24付)。 通常、本堂や宝物館(収蔵庫)にお参りするには、通常400円の拝観料が必要だが、この日は無料で開放されていた。本堂ではお坊さん、宝物館では南都銀行OBがガイド役になって説明までしてくれた。

カレンダーを見ると、来年(12年)の1/23は月曜日なので、今年ほどの混雑はなさそうである。健康長寿のご利益のある「癌封じ笹酒祭り」、ぜひお参りいただきたい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

結崎ネブカが、メディアに続々登場!

2011年01月25日 | 奈良にこだわる
「JAならけん結崎(ゆうざき)ネブカ生産部会」(奈良県磯城郡川西町結崎)が発行する「結崎ネブカだより」第2号(11年1月発行)を拝読した。創刊号(=トップ写真)は10年11月の発行だったから、隔月刊だ。これは力が入っている。創刊号の目次は「第1話 『結崎ネブカ』とは」「第2話 伝説」「第3話 『結崎ネブカ』農家訪問」「第4話 『結崎ネブカうどん』」だった(創刊号は川西町のHPでも読める)。この第4話に登場するのが、先日当ブログで紹介した「手づくりうどん 実ノ吉」の結崎ネブカうどんであった。

第2号には、特集記事「メディアの取材増加中!」が掲載されている。読売新聞、奈良日日新聞、あかい奈良、NHKラジオ、日経グローカルなどに取り上げられたのだ。読売新聞は、奈良版(10.12.19付)の《大和野菜売り込め…奈良 ネット販売/直売所/食べ方発信》で、他の大和野菜とともに紹介されている。

《川西町吐田の農業宇野正増さん(81)らは今が旬のネギ「結崎ネブカ」による「町おこし」に取り組む。煮炊きに使うと柔らかさと甘みが際立つが、折れやすく日持ちしないことから、元々は自宅用に細々と栽培していた。宇野さんらが02年から、「地域の味をもっと多くの人に伝えたい」とPRし、最近は毎年約15トンを出荷するまでに急成長。各地のスーパーや直売店でも販売されており、宇野さんは「こんなに広がるとは驚いている。一度食べると必ずまた買ってもらえる」と喜ぶ》。

写真は大和野菜のHPより拝借

日経グローカルでは「ブランドのつくり方」欄(10.11.15号)に取り上げられた。なお日経グローカルとは《日本経済新聞社の調査研究部門、産業地域研究所が月2回発行している地域情報の専門誌です。日経の独自調査による自治体・地域の動向分析や国内外の先進事例、また、議会・議員活動をサポートする実戦的なノウハウやヒントなど、自治体経営、議会・議員活動に役立つ情報を提供しています》(同誌のHP)というニューズレターである(「日経地域情報」を改題)。

早速、同僚から同誌を借りて読んでみたが、これまでの経緯から現在の取り組みまで、うまくまとめて紹介されている(執筆者は、日経新聞奈良支局長の竹内義治氏)。その一部を引用させていただく。タイトルは《戦後姿を消した「幻のネギ」 商工会・JAの連携で復活》だ。味は良いが市場流通に適さないことから姿を消していたこのネギ。《復活の端緒は、2002年に同町商工会が町おこしにむけて、国の助成を受けて取り組んだ「地域資源調査事業」だった》。

《行政やJAなどと設置した委員会では、地域活性化の主役候補に3案が挙がった。地場産業の「貝ボタン」、町内にある古墳などの「歴史遺産」、そして結崎ネブカ。その中でネブカが選抜され重責を担うことになったのは「何より物語性にあふれているから」と、コーディネーターを務めた梅屋則夫・梅屋プロジェクト代表が説明する》《梅屋さんは「ベッドタウン化が進む都市近郊の農業地帯で、新旧の住民が1つになる仕掛けはないか探した。ロマンあふれるネブカはぴったりだった」と選択の理由を明らかにする》。

川西町は、日本一の貝ボタンの生産地で、同町の(株)トモイは、国内最大の貝ボタンメーカーである。「三原康裕的日本モノづくり」によると《貝ボタンは、洋装とともに明治初期の日本に伝えられた。その製造技術はまずドイツから神戸に渡り、大阪河内を経て奈良に伝わったという。農作地だった川西町の集落である唐院では農閑期の収入源として広まり、戦後から10年あまりの最盛期にはじつに全300世帯中200世帯が貝ボタン製造に携わっていたそうだ。安価な中国製やポリエステルボタンに逼迫され、現在では工場も減ってしまったが、なかでもいまだ国内シェア約7割を誇っているのが、こんかい三原さんが訪れた大正2年(1913年)創業の老舗貝ボタン工場「トモイ」だ》とある。

町内の歴史的遺産としては、 島ノ山古墳(周濠の中に浮かんだ島のような大型前方後円墳。130点余りの石製品が出土し被葬者は巫女とも)、糸井神社(機織り技術集団の神)、比売久波(ひめくわ)神社(ご神体は桑葉で、糸井神社に縁故)、面塚、富貴寺などがある。

「ブランドのつくり方」に戻る。《宇野さんから提供を受けた種子を栽培したところ、それはまさにネブカ。03年9月、記者発表すると「幻のネギ復活」と大きな反響があった。「各地の飲食店や流通業者から問い合わせや引き合いが相次いだ」と、同町商工会でプロジェクトに取り組んだ吉岡清訓さん(現在は中和地区商工会広域協議会の経営指導員)は振り返る》《「地元向けに開いた試食会でも好評で、『売れる』との声が強く、本格生産を目指すことになった」(吉岡さん)》。

ロゴマークとマスコットキャラクター「ネッピー」をデザインし、早々に商標登録した。08年には町内各種団体による「結崎ネブカブランド化実行委員会」が発足。特許庁の「地域団体商標」にも登録を果たした。《販売戦略では「飲食店への供給を拡大すべきだ。価格安定やコスト削減、PRの面で有利になる」との意見もある。ブランド管理体制の構築も急務だ。ただ、こうした声は期待の大きさの裏返しでもある。「21品目ある大和野菜でも優等生。例えば日持ちしない欠点も、逆手にとれば『奈良に来ないと食べられない特産品』として観光振興の武器になる」。奈良県中部農林振興事務所の岡本彩子主査は強調する》。

面白いことに、この「ブランドのつくり方」の書き手の竹内氏に、「結崎ネブカだより」の編集者が「逆」インタビューしている。《Q.今回の取材で特に印象的なことは?》《“天から降ってきた能面と一束のネギが発祥”というのはインパクトが強く、発掘の発端が「商工会」だったという意外性などもおもしろい。いまの「農商工連携」の先駆け》。


写真は大和野菜のHPより拝借

《Q.今後の課題は?》《一定量は流通させないと。そのためには“必ずここへ行けば購入出来る”という場の確保は絶対的な条件。そしてブランド管理、流通チャネルを含め産地として徹底的に取り組む。例えば生産量が問題になるなら、ほ場を磯城郡一帯など町外に広げたり、販路拡大を図ることにより生産者に刺激を与え、生産量の増加を狙う仕組みが必要でしょう》。竹内氏はこのほか、《地域に眠っている素材はいっぱいある。その土地に根ざした食べ物を『結崎ネブカ』のように発掘できれば、とも話しておられました》。

やはり最大の課題は「流通」なのだ。生産体制も、町内だけでは限界があるのは見えているのだから、今から手を打っておかなければならない。最後の、「地域に眠っている素材はいっぱいある」との言葉にも、納得できる。大和野菜だけでも、21品目あるのだから。

結崎ネブカを含む「大和野菜」、最近は躍進が著しい。09年2月、私は県農林部の「食」に関する講演会に招かれて、こんな話をした。「大和野菜は京野菜のルーツといわれている。それなのに、つい先日Googleで検索すると、京野菜のヒット件数728,000件に対し、大和野菜は7,200件。わずか101分の1という情けない状態だ。大和野菜、もっとガンバレ」。ところが、それから約2年が経過し、先日、再検索をかけてみると、京野菜1,200,000件に対し、大和野菜は1,210,000件と、逆に0.8%上回っていたのだ、これはスゴい。たった2年で167倍(!)に増えた計算になる。

「結崎ネブカだより」から、ずいぶん話が広がってしまった。次号も楽しみにしている。そういえば「結崎ネブカ」がNHKテレビの「おはよう関西」で取り上げられると聞いた(生出演)。2月3日(木)の午前7時45分からの放送である。皆さん、こちらも、ぜひご覧下さい!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

観光地奈良の勝ち残り戦略(44)奈良の将来ビジョン(第一次提案)

2011年01月24日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
『奈良の将来ビジョン(第一次提案)』という冊子を読んだ。朝日新聞奈良版「奈良の将来ビジョンを一冊に 市民らの76提案盛る」(1/6付)に概要が紹介されている。《市民や企業家、研究者らでつくる「奈良の将来ビジョンをつくるフォーラム実行委員会」(委員長=村田武一郎・県立大教授)が昨年6~11月に計13回の討議を重ねた成果を、「奈良の将来ビジョン(第一次提案)」という冊子にまとめた。「ネットワーク型シンクタンク」「新商品づくり支援機構」など重点プロジェクトの一部は、今年中に具体化させる予定だ》。

《フォーラムは、経済社会の構造転換が進む中、奈良という地域の特色を生かした地域づくりを市民からの提案に基づいて進めようと昨年2月に発足。「第一次提案」は76の市民提案を盛り込んでいる》《県の各部局とも複数の研究会をつくってビジョンの具体化を図るとともに、2011年度は農林業、医療・福祉、教育に関する市民提案を公募し、「第二次提案」づくりを目指す。冊子はB5判、50ページ。1千部発行。525円(税込み)。実行委にファクス(0742・24・2261)、メール(vision@nit-ass.jp)で申し込む》。

早速取り寄せて読んでみたところ、これがとても面白い。まさに「巻を措(お)くあたわず」、蛍光ペンと付箋だらけにしながら一気に読み終えた。巻末に載っている同フォーラム実行委員のリストには、朝廣佳子さん、野村幸治さん、平原正樹さん、松村洋子さん、室雅博さん、山本太治さん、山本善徳さんなど、存じ上げている方のお名前をたくさん拝見した。

私は学者ではないので、この冊子の提案を網羅的に紹介するのは止め、とにかく読んでピンときて、思わずマーカーを走らせた部分だけを、掲載順にずらずらと並べてみる。ご興味のある方は、ぜひ冊子を入手して読んでいただきたい、何しろ525円なのだから。なお本冊子は観光にとどまらず、幅広い領域を対象としているが、私は主に観光に関する提案のところに注目したので、「観光地奈良の勝ち残り戦略」シリーズの一環とした。

「はじめに」で、同フォーラム実行委員会の村田委員長は《どのような奈良にすべきであるのか、どのような奈良での生活がここちよさと誇りをもてるのかを、政治・行政に任せきりにせず、県民・産業界・学界等が一緒になって議論し、将来ビジョンをつくるためのフォーラムを、2010年2月にスタートさせました》と書いている。続いて将来ビジョンが3つと、3つめのビジョンに付随した8つの目標が示される。以下[tetsuda私見]と「注」以外は、すべて同冊子からの引用文である。

奈良の将来ビジョン-1.奈良県の将来発展方向と将来に向けての施策の目標
《※奈良県が抱える問題 奈良県は、1)高質・多大な資源(注:地域資源のこと)の未活用、2)県民の能力発揮環境の不備、3)人口と高次都市機能の北部への偏在、4)産業の自律性の欠如、5)マスツーリズムへの依存、6)農地・山林の荒廃、7)新しい発展戦略の不足などの問題を抱えている》。


写真は大和民俗公園(大和郡山市矢田町)みんぱく梅林で撮影(05.3.5)。今年の梅は、まだかいな

奈良の将来ビジョン-2.重点プロジェクトの提案
○盛年(元気なリタイアド層)の社会参画の促進
《地域の中心になる人材が不足しており、また、継続的な人材供給の仕組みづくりがなされていない。盛年に活躍してもらえるように、学習機会の拡大、活動拠点づくり、コーディネーターの配置、地域・企業との交流会など社会参画支援システムを整備する》《※盛年層には社会参画意欲があるにも関わらず、参画の方法が不明で、また、参画の仲間がいない。盛年層は、自由な時間と公民としての役務に参加する方法・機会を見失っている》《各市町村の生涯学習センター等は、趣味・習いごとが中心で、幅広い人的ネットワークづくり、地域活動の教育と人材発掘の場にはなっていない》《※奈良県では、生産に携わらない人の割合が、2015年には40%を超える》。

[tetsuda私見]上記のうち「社会参画意欲があるにも関わらず、参画の方法が不明で、また、参画の仲間がいない。盛年層は、自由な時間と公民としての役務に参加する方法・機会を見失っている」という部分には、特に共感する。リタイア組の大半は、お稽古ごとに時間を費やしたいとは思っていない。地域や社会のために、何か役に立ことをしたい、と考えているのだ。

○産学官と県民による政策検討委員会の設置
《行政スタッフの視点・感覚・経験だけで政策がつくられる場合、その政策には、地域の人々や産業人の視点・感覚・経験や将来への思いが欠落してしまうことが生じる》。

[tetsuda私見]別の箇所に「ノウハウをもたないスタッフが専門性を必要とする部署に配属されて四苦八苦している例が見られる。産業振興、観光振興など行政スタッフがノウハウをもたない分野は、必要に応じて、民間に委託し、民間のノウハウを活用することが適切である」とあった。行政に通じた書き手が、行政に対して厳しい目を向けている印象だ。

○地域資源を活かす新観光・交流産業の開発・振興
《地域の多様な主体が協力して、奈良の地域資源を活かすオルタナティブツーリズム(注:マスツーリズムに取って替わる観光)を開発すること、また、その新観光・交流と連携する産業を開発・振興することを、助成金・支援金の提供、盛年層をはじめとする知識・ノウハウ・人的ネットワークをもつ人材の投入などにより支援していく必要がある》。

○奈良の産学官の総力を結集した産業ビジョンの策定と実施
《奈良の産業界の中核を担っている組織が、奈良の学官ならびに盛年層との交流・共働および関西の産業界等との交流・共働を主体的・積極的に進めることが、その前提として必要である》《奈良の盛年層は、社会再参画の面で問題を抱えているが、優れた能力を有している人たちが多く、アメリカでの事例と同様な新産業開発に関わることを期待したい》。

○地域資源を活かした新商品づくり支援機構の設立
《※奈良には「食」のイメージがなく、日帰り観光客の消費額(ひとり3,500円程度)は、神戸・京都(同7,000~8,000円)に遠く及ばない。当面、奈良らしい、奈良独自の商品を、他府県の消費者の協力も得て開発し、日帰り観光客の消費額を少なくとも1,000円増やしてもらうことが肝要である。それだけで、1,000円×3,500万人=350億円もの消費額が生まれる。※農業者等で商品開発意欲を持つ人はいるが、方法論や流通がわからず、諦めてしまっている》。

[tetsuda私見]これは鋭い指摘だ。せっかく良い農畜産物があるのに、流通やマーケティング、PR方法が分からず、埋もれている事例が多い。このような支援機構があれば、いろんな「食の魅力」が発掘できそうだ。



奈良の将来ビジョン-3.奈良県の将来に向けての施策の提案
目標-1.県民が能力を発揮できる機会が多い奈良県を創る
方針-1.各世代が社会との関わりをもって生き生きと活動する状況を創出する

《老若男女すべての人が奈良県に愛着を持つことができる状況となることが望ましい》《盛年は、知識・ノウハウ・人的ネットワークを持っており、地域社会の運営の中核を担う存在として位置づけたい。定年退職者には地域デビューの問題があり、学習機会を提供すること、学校等公的機関から知識・ノウハウ等の提供を要請すること、地域でのたまり場を提供することなど、社会再参加の機会を提供する》。

○地域を知り、地域愛を育む活動の支援
《奈良には祭が多いにもかかわらず、その来歴を知る住民は少なく、学校で、祭の来歴や地域の歴史を学ぶ機会も減っている。※高校では、日本史を学ばない生徒もいるという問題がある》。

[tetsuda私見]「地域を知り、地域愛を育む」という点については、私も以前「そこに愛はあるのかい」というブログ記事を書いたことがある。1300年祭で変わったと思うが、かつての奈良県では、地元に関する知識不足→関心不足→誇り・愛情不足という悪魔の循環が回っていた。県民は、奈良県のことを知らなさすぎたのだ。これを逆に回し、地元に誇り・愛情をもつ→関心を持つ→知識を持つ、という好循環に変えよう、というのが私の持論である。

方針-2.地域住民が潜在的な人的資質を開花させるとともに、主体的に地域の魅力を発見し、地域発展に結びつける活動を支援する
《奈良は奈良のまま(古さ)を生かしつつ新しさを取り入れる。つまり、リフォーム(元へ戻す改善・再生)ではなく、リノベーション(価値を高めるために変えていく改革・刷新)を進めたい》《住民は、地域づくりに非地ような知識やノウハウを必ずしも備えているわけではなく、住民の主体的な行動・活動を支援する体制を整える必要がある》。

○地域プランナー・コーディネータの活動支援・育成
《各地域では、地域資源の発掘・活用、誘客・もてなしサービスなどのノウハウを持ち合わせている人材が少ない。このため、地域の将来像作成と将来発展計画づくりを支援する地域プランナー、その実現と地域間連携を支援する地域コーディネータを制度化し、各地域へ派遣する仕組みづくりが必要である》。

○地域づくり会社設立の支援
《各地域にある農林・商工・観光等の団体の縦割を超え、それらを総合化して「地域づくり会社」を設立することを支援する。地域づくり会社は、地域づくりのビジョンを示すとともに、その実現に向けた事業を実施する》。

目標-2.NPO・ボランティア・地域団体と行政が共働し、安心して、活力をもって暮らせる奈良県を創る
方針-1.地域社会を再生する

《特に都市部では、地縁型コミュニティの単なる押しつけではなく、地域にいくつものソサイエティをつくっていくことで、ソサイエティ型の人たちが自治会など地縁型コミュニティの人たちとも親しくなり、共働して何かを動かす状況をつくることができる。このようなネットワークの形成を支援する必要がある》。

○課題解決型ソサエティの育成
《課題解決型ソサイエティへお金が回っていく仕組みをつくり、行政の負担を減らしていく。このため、課題解決型ソサイエティから地域づくりの提案を出してもらい、審査のうえ活動を助成する》《※奈良に多いサラリーマンのまちでは、みんなで地域のために何かをしようという意識は希薄である》。

[tetsuda私見]リタイアすると自治会(地縁型コミュニティ)へ、というのがお決まりだが、それよりもっと広い意味での地域おこし有志グループ(課題解決型ソサエティ)に参加してもらい、得意分野で能力を発揮してもらうのが良い。先に「奈良の盛年層は、社会再参画の面で問題を抱えているが、優れた能力を有している人たちが多く…」とあったとおり、奈良のリタイア組には、能力の高い人が多い。それは、昨年の平城宮跡ツアーガイドボランティアで痛感した。

目標-3.利便性が高く、各地域の個性・特性を発揮できる地域・広域生活圏をもつ奈良県を創る
方針-2.各地域の個性・特性を活かすブランディング作戦を展開する
○各地域のブランディング作戦の支援

《概ね市町村単位で、個性・特性を活かし、広域・国際的に存在感のあるまちづくりを支援する。地域プランナー・コーディネータを送り込み、地域住民・市町村と一緒に取り組む》《※例えば、天理市には、優れた資源(古代、日本文化、国際的な文化・民族、西洋音楽・雅楽、スポーツ文化など)があり、それを活用する広域・国際交流拠点、新価値創造拠点としてのまちづくりが望まれる》。

方針-3.利便性が高い総合交通体系を効率的に構築する
○JR桜井線のLRT化と奈良公園への延伸

《JR桜井線をLRT(注:軽量軌道交通)化し、奈良公園まで延伸する。その際、気軽に乗れるように駅間距離を短くし、利用利便の拡大を図る》。

○近鉄線・JR線の接続
《JR大和路線・近鉄橿原線の交差箇所(大和郡山市内)に両者の接続駅を設け、利便の拡大を図る》。

[tetsuda私見]これは良い提案である。LRTは、ならまち周辺を通過するルートとするのも面白い。JR大和路線と近鉄橿原線を接続できれば、奈良公園→薬師寺→法隆寺というゴールデンルートができる。いろんなところで、提案し続けよう。

○奈良サイクルロードの整備促進
○全県をめぐる歩行者専用道路「緑の回道」の整備

目標-4.資源を活かし、国内・世界各地域に貢献する高次人材を育成する奈良県を創る
方針-3.奈良各地域の潜在力を開花させるために、専門的知識をもって地域づくりを支援する地域プランナー・コーディネータを育成する

目標-5.他地域の人々との交流により新たな価値を生み出す奈良県を創る
方針-1.地域主権・道州制時代の奈良のポジションづくりを行う
○関西州の「迎賓拠点」としての奈良づくり

《奈良には、高質な宿泊施設がないため、迎賓館としても利用できる宿泊施設を誘致する》。

○関西州に向けての大阪府との先行的連携
《大阪を近くにある巨大マーケットとして再認識し、活用する。また、大阪の産業・技術・人材集積との連携をねらったパートナーとして活用する。大阪側は、奈良県を、大阪には少ない農林資源の供給地、農山村を府民の癒しの地として活用する。また、大阪には少ない歴史文化系の観光資源を活かし、特にインバウンド対応において、大阪の都市型観光との広域連携を図る》。

方針-2.20年先の時代への対応のため、観光・交流を再構築する
《観光・交流は、奈良が比較優位を持ち得る数少ない分野である。そして、観光・交流は、農業・工業・工芸・商業など多様な産業活動と結びついており、観光・交流の振興は、それらの産業の活性化にもつながる可能性を持っている。観光・交流に関連する産業群は、雇用・所得・税収の拡大にとって重要な、今後の奈良県を支えるリーディング産業であると言える。一方、観光・交流は、それを通じた友好関係の構築、相互理解の促進、相互の気づきや発想の獲得、文化の進展をもたらす多面的な価値を持っている》。

《※地域に存在しなかった視点や感性は、地域が新価値を生み出す刺激となり、情報源となるものである。さらに、来訪者は、地域の人々の人的資源の開花を促す。来訪者と地域の人々との十分な関わりを確保するために、滞在・交流地域づくりが必要である。十分な関わりを持った来訪者は、大切なパートナー、理解者として育ち、再び来訪してくれる。※観光・交流の進展は、観光関連産業への直接的な効果にとどまらず、県民に、来訪者との出会いによる刺激と地域再発見の機会をもたらす》。



○ミニ観光・交流の振興とミディ観光・交流への発展
《現在、幾つもの地域において、小さな観光・交流地域づくり(年間来訪者数千人~数万人)が進められている。このような「ミニ観光・交流地域」を、年間来訪者十万人~数十万人の「ミディ観光・交流地域」へと発展させ、それらが相互に繋がる「ミディ観光・交流地域」の集合体としての奈良県を創ることが望ましい》。

○人を中心とした観光・交流への再構築
《※そこへ行かなければ出会えない「人」「地域固有のもの」が、これからの観光・交流にとって重要である。そこへ行かなければ出会えない「人」「もの」は、各地域に存在し、住民主導の小さな工夫でそれを活かしている地域が活力をもっている》。

○奈良二十四ヶ所めぐり
《丸1日を楽しめる規模を基本に奈良県を24地域に分け、各地域それぞれにおいて、喜んでもらえるサービスをつくり上げることが新しい観光・交流と関連産業の開発になる》。

○南都八大寺セミナーの常時開催
《南都八大寺の僧侶により、毎日持ち回りで仏教や奈良に関係するセミナーを開催することが望まれる》。

[tetsuda私見]「奈良二十四ヶ所めぐり」「南都八大寺セミナー」とは、面白い。現状の「大和七福八宝めぐり」「大和十三佛霊場めぐり」とのタイアップも考えられる。「(見どころが多すぎて)どこへ行けば良いのか分からない」「せっかく来たのだから、法話も聞きたい」というニーズに応えることが、「人を中心とした観光・交流への再構築」につながる。

方針-3.各地域・地区が連携し、総合的な機能をもつ体制づくりを進める
《いくつもの地域が「むらがる」状況を創出することにより、来訪者への多様な選択肢の提供、来訪したことの満足の向上に結びつけられる》。

○宇陀の高原地帯における総合力がある観光・交流地域づくり
《夏場は、「家族向け資源」「歴史文化」「名物料理と温泉」の3本柱を立て、宿泊所を強化し、連携できれば、1~2泊の観光・交流ルートが成立する。冬場も料理を強化して「ゆっくり、ゆったり」を売りにすることができる》。

方針-4.もてなしの心を醸成するとともに、もてなしの質の向上を図る
○国際観光大学院大学の開設



方針-5.地域情報の発信力の強化を図る
○奈良の観光・交流の質の向上を目指す観光・交流評価情報提供システムの構築

○奈良ゴト知らしめ隊の設立

《奈良各地が宝もの(人・もの・出来事)を知らしめようとしても、知識や技術が未熟であり、専門会社に依頼しても、多額の費用が必要で、継続実施が困難である。このため、利益追求を求めない「広告会社」のような仕組みを、行政とNPO等の共働により設置する》《広告会社や調査会社、企業の広報・広告担当のOB等を核として活動する。また、地域活動家にそのノウハウを伝授・教育する》《※まちには歴史があるので、「ものがたり」を知らせ、広げることが望ましい。※奈良の人物アピール作戦を展開することが望まれる。人は人の生きざまに感動する。奈良にも歴史上の偉人、魅力ある地域人がたくさんいる。その人たちを丁寧にズームアップし、発信する必要がある》。

[tetsuda私見]非営利の広告屋(奈良ゴト知らしめ隊)とは、ユニークな発想だ。奈良県民の広告下手は、つとに知られているからだ。私は長年、企業の広報担当を務めているが、広報(マスコミ対応)や広告(宣伝)にノウハウを持つリタイア組も、県下にはたくさんおられることだろう。私も、定年後の楽しみの1つに数えておきたい。

方針-6.都心に交流空間を設け、県民・来訪者に提供する
○ならまちロードの設定(注:東向、もちいどの、三条通の店舗閉店時刻を21時に)
○屋根付き・簡易トイレ付きの団体用休憩所(おべんと広場)の設置

方針-7.新しい観光・交流産業を開発・振興する

《奈良の地域資源を考えた時、グリーンツーリズム(体験・交流を伴う農業・酪農観光など)、工房ツーリズム(工房めぐり、ものづくり体験、工房主の指導による自分だけのものづくりなど)、林業ツーリズム(林業体験、山歩き、山菜採取と山菜料理など)、ラーニングツーリズム(特に歴史上の人物の生き方・エピソードに重点を置いた古代史の学習)、やすらぎツーリズム(神社仏閣での講話・写経など)、食文化ツーリズム(地域の伝統料理、川魚釣りと川魚料理、ジビエ料理、こだわり栽培の野菜料理、伝統調味料に出会う旅など)、産業ツーリズム(伝統技術をもつ工場の見学、工場での技術体験、起業家との交流など)の開発が望まれる》。

方針-8.観光・交流の促進に結びつくインフラストラクチャーを整備・再編成する
○景観の保全と修復

《奈良には、まち中の景観、里山や棚田の景観、農山村・田園の景観、産地を遠望する景観など優れた景観が多いが、建造物・広告等によって阻害されており、景観の保全と修復が必要である》。

引用は以上である、いかがだろう。この冊子には「どのような奈良にすべきであるのか、どのような奈良での生活がここちよさと誇りをもてるのか」というヒントが、随所に散りばめられている。参考資料として巻末に掲載されている「諸指標から見る奈良県の現状」は、同フォーラムのサイトからダウンロードできるので、参考にしていただきたい。

良いレポートをができ上がった。次はぜひ、具体的な1歩を踏み出したいものである。荒井知事曰く「1人の100歩より、100人の1歩」。今年こそ、何か具体的なムーブメントを起こしたいものだ。皆さん、いかがですか?


(1/30)追記 同フォーラム実行委員のお1人である鏡清澄さん(筆名)から、当記事にコメントをいただいたので、その一部を紹介させていただく。

《自らが行動する必要性 町おこしに行政と市民のタイアップは欠かせませんが、行政に頼り過ぎるのは良くないです。将来ビジョンも提案だけして、何も実現できなかったら意味がありません。結果として、「また言っただけだった」とフォーラムメンバーに不満が残ってはいけません。何か一つでも自分たちのできることを努力していくということが必要でしょう》。

[tetsuda私見]今回の「第一次提案」ほどのレベルに達しないまでも、、この種の提言は毎年、様々な団体や個人から出されている。だから「実現されなければ意味がない」のである。昨年の当県が盛り上がったのは、県下各所で同時多発的にイベントが行われ、それを目がけて人が集まったからである。今回の提案を受けて、1つでも具体的な動きが出てくることを期待する。

《強みをさらに磨いてアピール》《誰もがイメージする古都、奈良。仏都であり古典の地である奈良。この強烈なイメージこそ大切にすべきです。強みに特化してこそ戦略は成り立ちます。他府県にないこの強みこそ奈良を売り込む最大の武器だと思います。問題は、十分心しないと神社仏閣が単なる見て回るだけのものになってしまうことでしょう。神社仏閣が人々の心や生き方に影響を与える本来の役割を果たしていくなら、悩める人の多い現代、奈良は大きな役割を世の中に果たせると思います》。

[tetsuda私見]昨年大ヒットした1300年祭の事業に、「祈りの回廊 奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳」がある。これは、他所では決してマネのできない事業であった。仏像ブームだけでなく、最近では若い女性を中心に、パワースポット(スピリチュアルスポット)めぐりが盛んで、県下の古社の参拝客が増えている。古社めぐりをうまく取り込んだ事業が、ポスト1300年祭の観光振興のヒントになるのではないか。
コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

結崎ネブカうどん(by 手づくりうどん 美ノ吉)

2011年01月23日 | グルメガイド
1/20には、磯城郡川西町結崎(ゆうざき)の「屋台ちかみちらーめん」を紹介したが、今日は同じ結崎の「手づくりうどん 美ノ吉」を紹介する。今の時期は、結崎ネブカをたぷり使った名物「結崎ネブカうどん」(=トップ写真)が美味しい。場所は同僚のMくんに教えていただいた。近鉄結崎駅のすぐ近く、スーパーおくやま(旧サティ結崎店)のお向かいである。

毎日新聞奈良版(1/16付)の「奈良の食探訪」に詳しく紹介されている。タイトルは《結崎ネブカうどん 「幻のネギ」使う逸品》だ。《「結崎ネブカ」は、室町時代に天から翁(おきな)の能面とともに落ちてきたという伝説もある「幻のネギ」。豊かな甘みが特長で、川西町内では戦前まで多くの農家が栽培していた。しかし、葉が柔らかいのですぐ折れ曲がり、商品価値が下がるため、戦後は栽培が途絶えていた》。


この写真は09.9.24撮影。これ以外は11.1.16に撮影

《復活は02年。町商工会が地域活性化の核にしようと「結崎ネブカ復活プロジェクト」を始めた。現在は「結崎ネブカ生産部会」を設ける県農業協同組合川西支店(乾栄一支店長)を中心に、生産者15人が計約1ヘクタールの畑で栽培している。県の「大和の伝統野菜」にも認定された》。02年に復活ということは、来年(12年)はちょうど「復活10周年」なのだ!

《出荷は9月から翌年2月まで。町内の小中学校の給食で使うネギは原則として結崎ネブカ。「ネッピー」と名づけたマスコットキャラクターも活躍中だ。部会長の宇野正増さん(81)は「のどごしや味わいは言葉にするのが難しいほど素晴らしい。ただ、栽培で機械化ができず、出荷作業にも手間がかかり、今でも採算を度外視しなければやっていけない状態です。先日も、東京の料亭の経営者らが視察に来られ、『味わいが違う』とおほめの言葉をいただいたのですが」と話す》。



《近鉄結崎駅にほど近い「手づくりうどん 美ノ吉」(0745・43・1156)。看板メニューは、ネブカと牛肉でうどんを覆い尽くす「結崎ネブカうどん」(600円)。ネブカの出荷時期にだけ、店のメニューに登場する逸品だ。店主の木田勝裕さん(51)は「賄(まかな)いで食べてみると、甘さとやわらかさに驚かされました。びっくりするような量でもぺろっと食べられます」と話している》。

この結崎ネブカうどん、トッピングは結崎ネブカのほか、牛肉、きざみ(薄揚げ)、かまぼこなどが入っている。昆布に削り節ダシがよく利いたツユに甘みたっぷりの結崎ネブカと牛肉コマ切れを煮込んであり、いろんな味がミックスしていて、とても美味しい。大阪風のもちもちうどん(手打ち)も、私の好物である。ネブカのご利益か、食後、体がぽかぽかと温まってきた。ここに50円プラスすれば、かやくごはんがつく(=結崎ネブカうどん定食)。



料理研究家・おぜんさんのブログ(膳-Sai)には《おうどんの上にたっぷりのネブカ。鰹出汁に牛肉も入ってます。お葱で隠れてますが、かまぼこ2枚、わかめも。お葱がシャキシャキ、甘く、沢山入ってるのがうれしいです。ちょっとお塩の利いたお出汁で、私にはちょっと辛かったです。麺は手打ちでもちもち、しっかりで美味しい麺でした。頼めば、いろんなおうどんにネブカをトッピングしてくださるそうです。その土地でしか味わえない味、うれしいですね。もっとネブカが拡がりますように!》とあった。全く、結崎ネブカはスグレモノである。

川西町商工会のサイト(結崎ネブカの店)には、カレーうどん、鍋焼きうどん、釜揚げうどんも名物、と出ていたので、次回はぜひこちらにトライしたいと思う。この時期にしか食べられない「幻のネギ」をたっぷり使った逸品、ぜひ「美ノ吉」をお訪ねいただきたい。

※お店データ
〒636-0202 奈良県磯城郡川西町結崎577-1
TEL: 0745-43-1156
営業時間: AM11:00~PM8:30
定休日: 月曜日
主なメニュー: 各種うどん、丼、てんぷら 各種定食
料金: ネブカうどん定食650円、釜揚げうどん470円
ざるうどん470円、鍋焼きうどん795円、カレーうどん575円(NO1商品)
お持ち帰り: 各種うどん、丼物 生麺、おだし
一品料理: 天婦羅盛り合わせ、若鶏のから揚げ、炊き合わせ、各種メニューあり
地図はこちら
(参考:食べログ
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第2回ならスイーツコンテスト、1/29(土)開催!

2011年01月22日 | 奈良にこだわる
いよいよ来週の土曜日、第2回ならスイーツコンテストが開催される。朝日新聞奈良版の「情報クリップNARA」(1/21付)が、簡潔に紹介している。《ならスイーツコンテスト 1月29日10時半~17時、奈良市橋本町の奈良マーチャントシードセンター。「奈良」をテーマに地産素材を使った創作菓子のコンテスト。一般とプロの2部門。投票券付きチケット(飲み物付き各千円、当日10時から販売)を買うと、試食して投票に参加でき、プレゼントの抽選もある。野菜、果物など県産食材の販売コーナー、コーヒーショップも。入場無料。問い合わせはならスイーツプロジェクトの荒木さん(tyaraki@m3.kcn.ne.jp)へ》。

昨年に開かれたコンテストには、私もお邪魔し、当ブログで紹介させていただいた(大盛況!第1回 ならスイーツコンテスト)。当日は開場の1時間以上前から、試食チケット購入のため長蛇の列ができ、チケットはオープン時に即完売した。主催者の荒木友美子さん(イベント企画団体・YUMIふぁーむ代表)も、忙しく会場を走り回っておられた。



第2回の詳細情報が、同コンテストのブログに出ている。かいつまんで紹介すると、

○入場は「無料」 1階で参加パティシエの自慢のスイーツを購入し、2階喫茶コーナーで召し上がっていただけます
○「一般審査員」として参加の場合は、投票券付チケット(A・B各¥1,000)を購入(当日チケット有 10:00~販売。即完売が予想されます、ご了承ください)
A.一般部門(10:30~12:30) 試食審査・投票
B.プロ部門(13:30~15:30) 試食審査・投票
チケットをゲットしたあなたも、一般審査員として一票をお願いします(コンテスト試食審査会場は2階) 
○出展者のプロフィール
一般部門Ⅰ
一般部門Ⅱ
一般部門Ⅲ
プロ部門Ⅰ
プロ部門Ⅱ
ならSweetsマルシェ(ドリンクコーナー)

○混雑を緩和し、ゆっくり試食審査やスイーツを楽み、購入いただけるよう、1階(販売)、2階(コンテスト試食会場と喫茶)に分けています
○今回は、もう一つ、サプライズなお楽しみ 素敵なプレゼントが当たる抽選券をチケットにプラスしています! 地域・商店街・企業のみなさまからのプレゼント賞品提供 152点もいただきました プレゼントに当たった方は、引き換え券を持って プレゼント提供店マップを見ながら足を運んで賞品に交換いただきます 奈良の町を散策しつつ、会場以外の奈良の魅力もお楽しみください 


 
コンテストの審査にあたるのは、チケットを購入した人(一般審査員)と、3人のプロ審査員である。プロ審査員は、川端繁隆氏(審査委員長=「ヴィラージュ川端」オーナーパティシエ)、米田悦子氏(若羽調理専門学校副校長)、仲川順子氏(奈良NPOセンター理事長)の3人である。毎日新聞奈良版の「順子さんのわくわく通信」でおなじみの仲川さんが、今回から審査員に加わったのだ、これは面白い。

前回、最優秀賞に輝いたのは「pommier ポミエ」の佐藤全子さんだった(今回は、エントリーされていない)。作品は「<春の丘の恋>あすかルビーと煎茶のケイク」で、《万葉集巻頭を飾る雄略天皇の恋歌から。あすかルビードライ苺と刻みチョコのメイン生地、真ん中は大和茶生地、底はショコラ生地で恋を表現》というものだった(トップ写真の試食トレイ中央。写真は第1回コンテストのブログ記事から拝借)>。

スイーツの出店数は、前回の13店から、今回は15店に増えた。飲み物コーナーでは、今西清兵衛商店の「スイーツに合う日本酒の試飲」もできるので、辛党の方も楽しめる。おまけに抽選で、152点ものプレゼントが当たる。皆さん、ぜひ1/29は、奈良マーチャントシードセンターにお運び下さい!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする