道端のヘブンリーブルー;本文とは特には関係ありません。
私は一度だけ入院したことがあり、八人部屋の私のベッドの向こう側に末期癌患者がいた。
毎日やってくる奥さんが、問わず語りに最近モルヒネを使ってもらっていると言っていた。
ある晩その患者がベッドから落ち、私がナースコールを押した。
すごい音がしてユルユルと表情なくもがいている彼を見て、身体に力が入らず命が尽きようとしている状態というのはこういうことかと衝撃を受けた。
確か、その日のうちにナースセンター横の個室に移された。
その個室前を通りかかった時に一度ドアが開いていたことがあって、覗き見たら花屋の店内かと思うほどの生花が飾られていた。
意識のはっきりしているうちにと、たくさんの人が訪れ、別れを告げているところだったのだろう。
ここで、ようやく本題に戻ろう。
私の癌は、前立腺癌悪性度の指標(グリソンスコア)は3+4=7で治療が必要な癌とある。
中悪性度で治療を受ければ治る可能性が高いという。
治療としては、切除手術(ロボット手術)と放射線治療の2種類があり、私の上の兄が17年ほど前に選択した民間療法は問題外だという。
そうして、父が受けたコバルト照射というのも、今は違う放射線治療になっている。
自分だけは大丈夫かも知れないと期待して、わざわざ調べることをしなかったけれど、私の耳に入ってくるだけで重粒子線あり、陽子線あり、X線ありという具合。
私の担当医師は重粒子線治療には否定的で、あえて重粒子線にしなくてもX線の一種の何とか線照射で十分だという考え。
手術と照射の2択となるが、あえてどうしてもその二つが嫌なら化学療法も選択できるとは言ってくれた。
その理由として、『たとえば彼女がいて、副作用が困るということであれば・・』とのこと。
つづく