ニホンミツバチの巣は高床式建物の床下に作られていた。
高床だとはいうものの、寝転んでの作業なので大変。
強制的に捕獲した一群は、数十メートル離れたS氏の地所に飼育箱を設置して引越しさせるつもりだったが、たとえ巣を完全に撤去したとしても、すぐに元の場所に戻ってしまうのではないかと思われた。
そこで、20Kmほど離れた普段は無人の生家の庭に強制移住させることにした。
手当たり次第吸い込む中に女王さえ含まれていれば成功するのではないか、という楽観的希望。
設置しておいた飼育箱の一番上の箱に、撤去して持ち帰った巣の一番下の部分をできるだけぶら下げた。
巣の上部は貯蜜倉庫で下部が産卵育児室なので、生育途中の子をオトリにして逃げ出さないようにするというアコギな思惑。
女王からすれば我が子、働き蜂にすれば妹。
上から二番目の箱の上から、プラスチック衣装ケースに入った一群を、ドサッと落とし入れる。
そうしてから、素早く子がぶら下がる最上部箱を乗せ、屋根を乗せて完了。
手早くするということは、どうしたって乱暴にもなるけれど、女王様の息災をひたすら祈るばかり。
結論から言うならば、どうやらビギナーズ・ラックとなったようだ。
二日間が過ぎて、当初のパニックは収まり、逃げ去る気配もなく定着している。
S氏には本当にお世話になり、K氏との二人三脚があってこそ事を成し遂げられた。
各場面で画像を撮るべしだったけれど、そのゆとりを持てなかったのが心残り。
撮影担当が別に一人いたら、結構スリリングな画像をたくさん撮れただろうに・・。