春から堰を切ってかなり乾かしたとはいえ、周りに何もなくて日当たりが良いならいざ知らず、半日近く日陰になるところもあるような田んぼに蕎麦を作ることがかなり無茶だと分かった。
蕎麦は水が必要なくて乾燥した場所が適しているという意味も作ってみるとよく分かる。
乾いた土地によく耐えて、しっかりと根を張り、細い茎で背は低くても花は咲きしっかりした実をつける、そういう性質が作る側には都合が良いということのようだ。
私の蕎麦は、水気のある土なので根を張る必要がなく、太い茎で背が高く、花はまずまず咲いたけれどしっかり先端に栄養を配る力がなくて未熟気味な実しかつけない。
稲刈りのように茎を握って鎌で払うと、茎がきれずに根ごと抜けてしまう。
太い茎はちぎれやすく、強く握っただけでポキンと折れるのもある。
それならと鎌を使わずに千切り取ってみると、細めのやつは折れない。
手だけでやるのはどうにも能率が悪い。
農事の師が見にきて、手本を示したうえで刃が薄くてよく切れる鎌を貸してくれた。
そうしてようやく何とかやれそうな雰囲気になってきた。
束にする結び方も教えてもらい、私の手持ち藁束では不足だろうから、自分のとこのを分けてくれるとも言ってくれた。
明日からやるぞと気合十分なのに、夜から雨が降りはじめ、二日ほど雨が続きそうだ。