昆虫採集を夢中になってやっていた子ども時分は、羽の破れた蝶なんて対象外。
大人になってカメラを持てるようになって、たまたま撮るにしても破れのない完全な姿を求める。
ところがボロボロの蝶に興味を示すマニアックな人もいるらしい。
標本にはしないのだろうと思われる。
死んだものなら作為的にいくらでも羽を破れるから、そこは自然の姿を写真に撮ってこそのはず。
蝶にヤラセは効かないだろうから、確かに生きていることの分かるボロボロ蝶を撮り、コレクションとして比較しあったり、蝶の来し方に思いを巡らせたり想いを寄せたりというあんばいか。
私もボロ羽の蝶に心惹かれる歳になったようだ。
このヒョウモンチョウは蜘蛛の巣にかかっても振りほどき、鳥の攻撃も躱(かわ)して、ボロボロになりながら生き延びてきたのだ。
そう思えば『ごくろうさん』と声をかけたくなるほどの愛おしさも湧いてくるというもの。