
地表でくねる大木の根を撮ろうとしたら立派な体型の鳩がポーズをとった。
子供の頃に鳩を飼っていたのだが、この手をニビキ(翼に2本線模様)と呼んでいて一番一般的な柄。
この公園にたむろしている鳩は、あまりオドオドとすることがなく貧弱さがない。
それは『ハトにエサをやらないでください』という張り紙がないからだと思われる。
糞害を及ぼすような、限定された箇所に大群でとどまることがないのかも知れない。
自転車を停めたおじさんが鳩に囲まれていた。
荷台のバスケットからエサをばらまいていた。
エサをついばむ鳩を眺めるのでもなく、声をかけるでもなく、周りを気にするふうでもなく、少しずつやるというのでもなく、無造作にばさっとばらまいてすぐさま自転車をこいで立ち去った。
何十キロも離れた違う場所でもそのようにして鳩にエサをやるおばさんを見たことがある。
野良猫にエサをやる猫おばさんを目撃したこともある。
みなが無表情に事務的に用事をこなしてそそくさと立ち去る。
何かを他人から言われるのが嫌で、人とは関わりたくないからだろう。
何箇所か回っていて忙しいのかも知れない。
飢えた生き物が争うように食う様子を見るのが辛くてそそくさと立ち去るのだろうか。
愛情が溢れて仕方ないからだろうか、使命感だろうか、何かの啓示でも感じてのことだろうか。
黙認されてさりげなく行われているそのようなことが景色を作っているのかも知れないなどと思う。