狭くても向こうが見通せる魅力ある空間。
このように書いてから、どのように進めようかと迷う。
言葉の連想ゲームをやれば詩のようなものが出来上がるかもしれない。
隙間があれば目をこらしたり覗き込むようにしたくなるのは何故だろう、などと考察すればエッセイになるかもしれない。
何が潜んでいるかわからない隙間に猫がためらいなく入って行く様子を克明に書いたら、何かの序文のようなものが書けるかもしれない。
隙間にまつわる様々な設定や状況を空想し続けたら、短編小説の一つくらいは書けそうだ。
じつは私はこの場所でいつ来るかわからないトラックをイライラと待ち続けた。
同じ場所に立ちっぱなしだったわけではなく、ウロウロと歩き回ったり、トイレに行ったりもした。
隙間の先に見えるのは、公孫樹の裸木の半身。
もうすぐ小さな公孫樹の葉が吹き出すように現れ、大人の葉に成長するにつれて枝も幹も隠される。
向こう側に通り抜けてみたい気はしたけれど、そんなこともせずに1時間40分をこちら側で過ごした。