1ヶ月前は、蚕室から出てきたばかりの元気はつらつだったから、角つき合わせて撥ね飛ばし合いばかりだった。
田舎から戻り、久々に見る宇治の我が家の飼育箱の中では、オスどうしが隅に頭を寄せて、じっと見つめあっているような雰囲気。
箱の外側にうっすらと見えるのは、撥ね飛ばし合戦の末に頭がちぎれてしまった残骸。
樹皮を削るノミ状の突起はあるけれど牙なんてないのだから、どんな物理的力が働いたのか。
犠牲になったオスが板にがっちりつかまって踏ん張っているところを、他の2匹がこれまた木に爪を食い込ませ一度に角を跳ね上げたのかも知れない。
いや、それとも相撲の喉輪(のどわ)のように、ノミ状突起が関節に決まって、グイグイ押したらもげちゃったということだろうか。
やはりオスの多頭飼育は無理があるのだろうか。
次に見たときは昆虫ゼリーをあてがわれ、争う必要もなく穏やかに食餌中。
他のオス2匹とメス2匹は土中にもぐっていて見えない。